【インタビュー】 Rayflower ベストアルバム『～One Side & One Side～』

2021年07月27日 (火)　12:00

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7月28日にファン投票で選ばれた上位20曲を再レコーディングした2枚組ベストアルバム『～One Side & One Side～』を発売するRayflowerから、リーダーの都啓一氏への独占インタビューをお届け。アルバムに込めた想いや制作時のエピソードなど様々なお話をご覧ください。

---　まず最初に、10周年おめでとうございます。お伺いしている結成のいきさつ（※アニメのタイアップが先に決まっておりその曲のために結集したバンド）からしますと、10年続いている事やベストアルバムのリリースに至ったことはリーダー都さんご自身でも想像されていなかったのではないでしょうか？

都啓一：そうですね、まったく想像していませんでした。最初の頃は、いつか記念にこのメンバーで1回ライヴ出来たらいいな、くらいの感じでした。それでも当時は自分の身体の事もあって活動もなかなかできなくて、それでやっとできたライヴ（※デビューシングル発売から2年2か月後、2012/7/24@渋谷O-EASTでの対バンイベント）が楽しくて、そこが今に繋がる本当の始まりだったような気もします。

--- Rayflowerそのものの意味がメンバーにとってもデビュー時からどんどん変化してきたと思うのですが、10年というひとつの節目を迎えられて2021年の今Rayflowerを改めて簡単に自己紹介頂くとどんなグループでしょうか？

都啓一：一言で即答するのは難しいですが・・・（しばらく考える）、コロナ禍の中で今は思うように身動きは取れていないですが、やっぱり“ライヴバンドになった”という事かなと思います。全国ツアーで毎年20都市以上を回れるくらいのバンドになったというのは最初にイメージしていた姿とは全く違うものですね。最初の頃は色々なところで活躍しているメンバーが集まったプロジェクトという捉え方をされることが多かったと思いますが、僕らの中ではRayflowerとしてひとつの塊の“ライヴバンド”になって来た、という感じですね。

--- 10周年を記念するリリース作品として(1)ベストアルバム (2)再レコーディング (3)ファン投票で選曲、することにした理由やいきさつを教えてください。

都啓一：今回のリリースがベストアルバムになったのは、その前にRayflowerの持ち曲を入れ替えながら全曲披露するツアーをまわったのですが、その時に久しぶりに演奏する曲もあって、みんなで全ての曲を改めて身体に入れるというような事を経て、10周年の事を考えた時にベストアルバムのリリースのアイデアが自然と繋がってきた感じですね。ただ最初の頃は、再レコーディングをするかどうかに関しては半々くらいで漠然と考えていただけでした。

--- その後、再レコ―ディンしようと最終的に決めたキッカケは何かあったのでしょうか？

都啓一：オリジナルの音源に不満があったわけでは全くなかったのですが、その後のライヴで培ってきたものなどもありましたので、ふとした時に“今だったらこうするな”というような、新しいアイデアについて考えることはありました。そんな時に全曲を披露するツアーを回った事も重なって、再レコーディングするなら今かな、じゃあ今やろうか、という考えに次第に傾いていった感じですね。

--- ファン投票での選曲にしようとなったのはどうですか？

都啓一：最終的にファンクラブメンバーに投票してもらう企画になったのですが、ずっと応援してくれている皆が聴きたいものや喜んでもらえるものにしよう、というのが一番の理由でした。

--- ファン投票の結果選ばれた曲や順位で意外だったものはありますか？

都啓一：ライヴであまり演奏したことのない初期の曲が入っていた点など意外に感じたところはありましたが、もともと投票してもらう時点で「選ばれた楽曲を再レコーディングします」という事を宣言していましたので、それが結果に反映されたところはあったかもしれないですね。「好きな曲を選んで下さい」という投票だったら、もしかしたらまた少し違う結果だったのかもしれません。

--- アルバムを完成されての手応えや感じる事などありますか？

都啓一：コロナの影響も大きく、当初の発売予定から10カ月ほどリリースが遅れてしまいましたが、こうして時間があったことでかなり作り込めたと言うか自分自身が納得するところまで作業も出来た達成感みたいなものはありますね。あのまま当初の発売予定（※2020年9月発売予定）に間に合わせることを最優先にしていたら、間違いなく今の作品の形になりませんでしたし、いろんな意味で良い形でのリリースにはならなかっただろうな、と感じているところもあります。楽しみにしてくれていた皆にはずいぶん待ってもらうことになってしまいましたが、せっかく皆に投票もしてもらった作品でもあり、良いものを作りたい気持ちも強かったですし、僕個人としてはそれも含めて納得のいく作品が作れたなと感じています。

--- アルバムを一足早く聴かせて頂いて、オリジナルヴァージョンのイメージを損なわない、でも新しいフレーズが随所にちりばめられたアレンジで、オリジナルヴァージョンを聴き込んできたファンが聴くとたくさんの驚きや発見がある一方で、新しくRayflowerを聴いてみようと考えている人にも最初に聴く作品として安心して勧められるベストアルバムだと感じます。今回のリ・アレンジで狙った方向性など教えてください。

都啓一：そもそもの話としてですが、オリジナルヴァージョンは超えられないものだと考えています。それは、聴いてくれた人それぞれに思い出があったり、その頃の気持ちが重なったものであったりするので、アレンジの善し悪しということではなくなっていると思います。でも自分たちはミュージシャンとして“今だったらこうするな”という視点でそれぞれの曲を捉えている部分もありますので、それを今回改めて全体的に見直しながら形にした感じですね。何かひとつの決まった指標、例えば“ファンの皆を驚かせよう”というようなコンセプトがあったわけではなく、それぞれの楽曲ごとに“ここはもっと広がりを持たせたい”というようなところを形にしながら、これまでのライヴで培ってきたものなども含めて随所に散りばめられたと感じています。あとは、よりバンド然としたものにしたかったと言うか、これまでの音源ではたくさん音を重ねてきた部分で、例えば機械でループさせていた音だったり、音の厚みを出すためにYUKI君のギターでは同じフレーズを2回弾いて重ねていたり、ヴォーカルに対して田澤君自身がコーラスを重ねていたり、というようなところは今回は最低限まで削り、キーボードでもアナログ機材の手弾きの音だけで表現したり、自分たち5人だけで生でも奏でられるものにより近づける、というような事を全体像としては考えていました。

--- コロナ禍が長引くなかで、スタジオの長期間休業の影響も受けてレコーディングがしばらく中断した期間があったと伺がっています。先日の配信ライヴ（「2021/6/7 RemoteFlower vol.2」）の際にもYUKIさんが“ギターのレコーディングで少し考えすぎてしまって途中でしばらく時間が必要だった”旨の話をされていましたが、いま振り返ってこのアルバムの制作はどんなレコーディングだったか、印象深い事などあれば教えてください。

都啓一：先ほどのお話に少し重なりますが、例えば“もう少し響きに広がりを持たせたい”と漠然と感じていたものを具体的な形にしていくときに“ここはピアノでこうやっていけば良いかな”というようなアイデアがことごとく成功したレコーディングだったなと感じています。自分の中で、ですけれど。作業が進み始めるとそれが止まるのが怖かったくらいに順調でした。 “これどうしよう”というように悩んで止まることがなく、それぞれの楽曲に対して“こうしたい”“こうしよう”のアイデアがどんどん形に出来ました。反対に一回作ったものに対しても更にアイデアが出てきてレコーディング済みのものも後から更に差し替えた事も何カ所もありました。

--- 先ほど触れた配信ライヴの「RemoteFlower」では全曲アコースティックアレンジでしたが、それ以前からたびたびアコースティックスタイルでのステージもやって来られた中で、今回のベストアルバム制作に際しても表現者としてあえて全く異なるアレンジのヴァージョンも録音してみたくなることは無かったでしょうか？

都啓一：今回は10周年で“今のバンドの音”を“ちゃんと形”にするという考えでしたので、通常の演奏スタイルで再レコーディングするということしか考えていませんでした。今後いつか単独の企画で一枚丸々アコースティックのアルバムを作る、というようなことは考えても良いかもしれないですね。いま自分一人で勝手に話していますが（苦笑）。

--- 今回のベストアルバムは全体の音作りの方向性自体がこれまでの作品とは少し異なるように感じました。特に初期の楽曲は発表から10年ほど経っていて、世の中的にも10年経つとシーンの様子も移り変わって行きますが、サウンドプロデューサーとしてそういった世の中のトレンドを参考にすることなどはありましたか？

都啓一：新しいものも普段から色々聴いていますので、今回に限らずですが、参考にすることはありますね。実際にそれぞれの楽曲の音像と言うか、どう聴こえるかという部分を仕上げていくときにいくつかの選択肢から迷うこともあって、そんな時に洋楽のあたらしいものの傾向なども参考にすることはありますね。

--- アルバムの、こういったところを聴いてもらいたい、など具体的にありますか？

都啓一：オリジナルヴァージョンとの違いを聴いてもらえると嬉しく思いますが、変化そのものという事ではなく、これまでライヴをやってきたことで楽曲が成長した形が今回のアルバムでもありますので、ファンの皆の存在があってこうなったんだ、ということを聴きながら感じてもらえると嬉しいですね。

--- ライヴのことなど思い出しながら聴いてもらえるといいですよね。

都啓一：そうですね。

--- 振り返ってみるとこのベストアルバムのアイデアが最初に発表されたのが、2019年12月24日で、その際「ファンとの強い“絆”を結ぶベストアルバムをリリース」という表現がされていました。その後、世の中はまったく想像もしていなかった状況になっていますが、いま改めて、または以前とは違う形でファンとの“絆”を感じる事などはありますか？

都啓一：レコーディングをしている時にそれぞれの楽曲をライヴでやっていた時の客席の皆の姿を思い出したり、新しくなったアレンジをまた有観客ライヴで皆に聴いてもらいたいと思いながらレコーディングをしていましたので、このコロナ禍だからこそファンの存在をより強く意識したと言うか、“絆”を感じながらのレコーディングだったと感じます。

--- 今後のライヴの予定など決まっていることはありますか？

都啓一：計画はしているのですが、まだ発表できるところまでは固まってはいないのが現状です。ですが、必ずまたお客さんと一緒にライヴが出来るようにと考えていますので、新しいアルバムを聴きながらもうしばらく待っていてほしいなと思います。

--- 最後に一言、読んで下さった方にメッセージをお願いします。

都啓一：ありがとうございます。今までずっと応援してきてくれた来たファンの皆も、最近知ってくれた人にも“今のRayflower”を一番いい形で聴いてもらえるベストアルバムになったと思いますので、是非多くの方に聴いてもらえると嬉しいです。

--- ありがとうございました。

20曲もの曲を再レコーディングするベストアルバムというのはあまり例がない。途中、音の数を削った話も聞かれたが、オリジナル楽曲がもつメロディーや大事なテーマの部分はそのままに、全体の印象は大きくブラッシュアップされた作品に仕上がっている。ファンが投票してくれた作品だから良いものにしたかったという言葉も印象的だった。多くのエネルギーが注ぎこまれたこの新録ベストアルバム、是非多くの方に聴いてもらいたい。

Rayflower ベストアルバム『～One Side & One Side～』商品情報

2021年7月28日（水）リリース

ファン投票で選ばれた全20曲を再レコーディング！
初期のミステリアスな雰囲気をまとった楽曲から、近年のメロディアスな楽曲まで、オリジナルアレンジを大切にしながら新たに散りばめられたフレーズと煌びやかなサウンドが輝く10th Anniversary Best Album、遂に発売！

10年の時を経て更に磨き上げられた個々の技、バンドとして一体感、そして新たなアレンジ。
数々のステージを重ねてきた現在のRayflowerだからこそのサウンドで紡ぐ初のベストアルバム『～One Side & One Side～』、2枚組仕様で登場！