【第6回】バイヤー寺町知秀のわくわくPOPSランド

洋楽の森からオススメ作品をピックアップ
あの番組、覚えてますか？
このコーナーでは、わくわくせずにはいられない海外の良質POPSをお届けします！

【第6回】石の上にも35年。

　みなさん、こんにちは。わくわくPOPSランド第6回目は、結成35年を迎えるメタリカのリアルシットな最新作『ハードワイアード...トゥ・セルフディストラクト』にズームイン。“わくわく”はともかく、“POPS”でメタリカはないだろという声が聞こえてきそうですが、個人的な見解では、広義でメタリカは“ポピュラー・ミュージック＝大衆音楽”と言えるかと。

　以前大阪在住時に、近所の地味目な理容室の看板ロゴが見事にメタリカ・ロゴのインスパイア系で、その様が下町にすんなりなじむ光景を見て、メタリカの庶民派な一面を垣間見た気がしました。メタリカはネーミングに反してメタル畑以外でも支持が高く、逆にメタリカのメンバーもまた、他のシーンに寛容なことも（UKロック全盛期にはスタジオにオアシスのポスターを貼っていた）大衆の支持を高めていった一因でしょう。さて、8年ぶりの新作は、意気揚々とゴリゴリのリフをかまし、スラッシュ&スピード・メタル魂炸裂でアグレッシヴに攻めた先行曲「ハードワイアード」を筆頭に、長年に渡りハードを極めてきたがゆえの“ポピュラー”なメタリカ節大全開。「どんな文化的な背景をもっていようが、どんな年齢だろうが、どんなファン層だろうが、ビートとエネルギーが語りかけてくるんだ。もし耳にして、関わったら万事完了さ」――メタリカの看板ギタリスト、カーク・ハメットの言葉に偽りはないっすね。

　今月のもう1枚は、ザ・レモン・ツイッグス『ドゥ・ハリウッド』。英国の名門4ADからデビューとなった、この天才ティーンエイジャー兄弟デュオfrom NYは、グラム・ロック直系なルックスも含めて、ロイ・ウッド、ウィザード辺りの、グリッターでキッチュ、そしてパラノイアな変態ポップセンスを現代に蘇らせております。もう、過剰なくらいに。兄貴のトッド・ラングレン黄金期のような極めてセンチメンタルな歌声に、弟のもろキース・ムーンなドラム・アクション、そこに、現代っ子ならではのモダン・アシッド・フィーリングが交錯。こりゃ、10代にして恐るべき才能が出てきましたね。では、また来月お会いしましょう。