【Loppi・HMV限定盤】井上ヨシマサ1stソロ・アルバム『JAZZ』が待望の復刻！

2016年5月3日 (火)

　アレンジャーに清水信之を迎え、原信夫とシャープス・アンド・フラッツをはじめ、日本が誇るスタジオ・ミュージシャンが数多く集結したJAZZ歌謡アルバムの傑作。1987年作品。

　井上にとってルーツでもある“ジャズ”をポピュラー・ミュージック的視点から捉え直し、80年代のブラック・コンテンポラリー、AOR、ボサノヴァなど、彼が通ってきた音楽スタイルを完全消化した作品。収録曲M4「赤と金のツイスト」は、田原俊彦が、28枚目のシングル「KID」(1987年1月リリース)にてカヴァー（歌詞を阿久悠が書き直してのリリース）。M9「Slow Dancer II」は小泉今日子の8枚目のアルバム『今日子の清く楽しく美しく』(1986年2月リリース)に収録された「Slow　Dancer」の本人カヴァー。作詞クレジットの”美夏夜”は小泉今日子本人。

　今剛、松原正樹、岡沢章、岡沢茂、高水健司、富倉安生、渡嘉敷祐一、村上秀一、山木秀夫、島健、浜口茂外也、Jake H. Concepcion、包国充、土岐英史、中村誠一など数多くのスタジオ・ミュージシャンが参加。

『JAZZ』収録曲

01. ブルーボーイに赤いバラ
02. Saturday Night
03. ロマンチーク　～君はフラメンコ～
04. 赤と金のツイスト
05. シルヴィーの涙
06. 波に乗ったペーパームーン
07. 悲しきブールバード
08. オルゴールの枯葉
09. Slow Dancer II
10. ラブレターは誕生石で

参加ミュージシャン：
幾見雅博 (el-g) / 今剛 (el-g) / 斉藤秀夫 (el-g) / 杉本喜代志 (el-g) / 塚原知哉 (g) / 松原正樹 (el-g) / 石橋敬一 (el-b) / 岡沢章 (el-b) / 岡沢茂 (el-b) / 小林順一 (b) / 高水健司 (el-b) / 富倉安生 (el-b) / Alan Bates (ds) / 市原康 (ds) / 渡嘉敷祐一 (ds) / 村上秀一 (ds) / 山木秀夫 (ds) / 飯沼五洋 (p) / 市川秀夫 (p) / 島健 (p) / 清水信之 (p,el-g,per) / 浜口茂外也 (per) / 数原晋 (tp) / 木幡光邦 (tp) / 小山宣夫 (tp) / 菅坂雅彦 (tp) / 福島照之 (tp) / 宮下明 (tp) / 森川周三 (tp) / 横山均 (tp) / 岡田澄雄 (tb) / 佐藤俊次 (tb) / 谷山忠男 (tb) / 花坂義孝 (tb) / 西山健二 (tb) / 松林辰郎 (tb) / 松原純夫 (tb) / 村上準一郎 (tb) / Jake H. Concepcion (sax) / 石兼武美 (sax) / 包国充 (sax) / 土岐英史 (sax) / 中村誠一 (sax) / 鈴木和雄 (as) / 鈴木孝二 (as) / 本田雅人 (as) / 唐木洋介 (ts) / 原信夫 (ts) / 広津誠 (ts) / 森川信幸 (bs) / 伊集加代子 (cho) / 鈴木弘子 (cho) / 和田夏代子 (cho) / 飯田高広（synthesizer operate）

directed (produced) by 田村充義・鈴木誠
mixing engineered by 大川正義
recording engineered by 大川正義・梅津達男・河合千里

金澤寿和氏による『JAZZ』解説

『JAZZ』と謳いながらも、当時のブラック・コンテンポラリーや
AOR、ボサノヴァなど、彼が通ってきたスタイルをものの見事に昇華
　ソングライター、アレンジャーとして数多くのヒット曲をJ-ポップ・シーンに送り出している井上ヨシマサ。昨年７月に作曲家デビュー30周年記念アルバム『それぞれの夢』をリリースしたが、それ以前の本格的ソロ作というと、87 年発表の『JAZZ』が唯一の存在。しかも当時はまだ20歳そこそこで、音楽以外のアルバイトで生計を立てながら、ようやくソングライターとしてのキャリアを築き始めたところだった。実力は確かでも知名度など皆無に等しいから、プレスはたった5000枚。プロモーションもなく、ロクに売れなかった。が、このソロ作発表後に作家活動が急に忙しくなり、現在に至るという。

　その初ソロ・アルバム『JAZZ』が、発売から30年近く経ってようやく復刻。AKB48のブレイク以降、彼に対する注目度は飛躍的に上がっていたが、『JAZZ』はずっと入手困難な状態が続いていたので、これは喜ばしい再発だ。ポップス系にして『JAZZ』と名付けるあたり、若くして既に一筋縄ではいかないモノを感じるが、彼の音楽観を知れば、自ずとその意味や目指すステージが見えるだろう。

　『JAZZ』というと、一般的には難解でマニア向けの音楽という印象がある。しかし彼にとってはルーツそのもの。と同時に、50年代のジャズは大衆音楽だったという認識がある。そして何より、コスミック・インヴェンションでやり損ねたコトを世に問いたかったに違いない。ただし、シンセ版ビッグ・バンドは本物のビッグ・バンドにスケール・アップし、プログラムも相当凝ったモノに。しかも演奏には歌謡界で活躍し、ひばりのバックを務めた日本屈指のバンド、シャープ＆フラッツが起用された。その中身は、『JAZZ』と謳いながらも、当時のブラック・コンテンポラリーやAOR、ボサノヴァなど、彼が通ってきたスタイルをものの見事に昇華しており、その成長ぶりが手に取るよう。井上自身も、「20歳そこそこの自作自演家としては、誇れるものができた」と自負している。

　シャープ＆フラッツ以外にも、村上ポンタ秀一（ds）、山木秀夫（ds）、渡嘉敷祐一（ds）、高水健司（b）、岡沢章・茂兄弟（共にb）、今剛（g）、松原正樹（g）、島健（pf）、浜口茂外也（per）、土岐英史（sax）、数原晋（tr）等など、多くの著名ミュージシャンが参加した点も価値がある。サックス・セクションにクレジットされた本田雅人は、まだT-SQUARE加入前。当時の彼はシャープ＆フラッツのソリストを務めながら、多くのスタジオ・ワークを行っていた。

　各楽曲については皆さんの感想に委ねるが、まだまだ自己主張が強かった時期に作ったソロ作ゆえ、肩に力が入っているところ無きにしも非ず。『神曲ができるまで』でも、“編曲や演奏の豪華さに圧倒され、歌の必死さが浮き彫りになった点は反省”と述べている。

　それでも、彼の才気が詰まりまくったアルバムなのは疑いようもない。この作品完成後、急に多忙になってプロモーション不足を招いたが、そうしたタイミングの合致も単なる偶然ではないだろう。

2016年2月金澤寿和

井上ヨシマサプロフィール

東京都出身のシンガーソングライター／作曲家／編曲家。
1979年のデビュー以来、浅香唯「TRUE LOVE」、小泉今日子「Smile Again」、光GENJI「Diamondハリケーン」、中山美穂「ROSA」をはじめ、沢田研二、田原俊彦、松本伊代、イ・ビョンホンなどに楽曲を提供。2007年以降、AKB48の作曲を開始。「大声ダイヤモンド」、「10年桜」、「涙サプライズ」、「RIVER」、「Beginner」、「Everydayカチューシャ」、「真夏のSounds Good!!」、「UZA」、「希望的リフレイン」、「ハロウィンナイト」などミリオンセラーを含む多くの作曲を手掛ける。

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