デヴィン・タウンゼンド インタビュー
2014年11月17日 (月)
デヴィン・タウンゼンドの創造力の泉は、枯れることを知らない。これまで数多くの名義で作品を発表してきた彼だが2014年10月、最新作『Z²(Zスクエアード)』と『カジュアリティーズ・オブ・クール』を同時リリースした。
『Z²』はデヴィン・タウンゼンド・プロジェクト名義の『スカイ・ブルー』とジルトイド名義の『ダーク・マターズ』という2枚の別個のアルバムをカップリング、さらに日本盤のみDVD『ライヴ・アット・ラウドパーク13』を加えた3枚組仕様だ。また女性ヴォーカリスト、チェ・エイミー・ドーヴァルと制作した『カジュアリティーズ・オブ・クール』も2枚組。なんと一気に5枚が世に出ることになる。いずれも異なったスタイルでありながら唯一無比の個性の上に築かれた、デヴィンのありったけの創造性を込めた作品だ。
ハード・ロック/ヘヴィ・メタル界で最もクリエイティヴなアーティストの一人と呼ばれるデヴィンに、新作について訊いた。
- --- ジルトイドとしての『ダーク・マターズ』は、全知の宇宙パペット“ジルトイド”を主人公にした『ジルトイド・ザ・オムニシェント』(2007)の続編的なスペース・オペラですが、あなたはSFファンだったのですか?
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デヴィン・タウンゼンド(以下、D) :いや、子供の頃に好きだったけど、凄いSFファンというわけではないよ。SFはカラフルだし、オープンなところに惹かれるけど、アルバムを作るにあたって過去の名作を研究したりはしなかった。俺にとってSFの原点は、子供の頃に見た映画『ダーククリスタル』なんだ。映画作品であるのと同時に、ジム・ヘンソンが自由な表現を行うための“環境”だったと思う。『ダーククリスタル』のキャラクターもジルトイドも、パペットという点では共通しているよね。
- --- 「ジルトイド・ゴーズ・ホーム」という曲タイトルがフレドリック・ブラウンの小説『火星人ゴーホーム!』を思わせたり、ジルトイドの性格も火星人に似て気まぐれで、周囲を困惑させますね。
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D :実は『火星人ゴーホーム!』は読んでいないんだ。俺にとってアルバムのストーリーは、音楽をより円滑に進めて、連続性を持たせるためにあるんだ。自分がSF作家になったつもりはないし、ストーリーに破綻があるという批判は受け付けない。そりゃ破綻ぐらいあるよ!ジルトイドというキャラクターは、俺がクリエイティヴかつ幼稚になる表現手段として、有効なものだった。どんな非日常的なことが起こっても、「別の惑星の出来事だから」という言い訳が出来る。その逆にコーヒーを飲むという、我々にとって日常的な行為が、ショッキングなものになるんだ。それと同じで、あり得ないスケールやコード進行であっても、「地球の音楽とは異なるから!」で済むんだよ。
- --- “ジルトイド・サーガ”ではコーヒーが重要な役割を担っていますが、あなた自身、コーヒーはお好きですか?
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D :大好きだ。こないだ新しいフレンチ・プレスを買ったばかりなんだ。親が使っていたコーヒーメーカーで淹れていたんだけど、いいかげんオンボロだったからね。俺は酒もドラッグもやらないから朝、一杯コーヒーを飲むぐらいは自分を甘やかしてもいいと思っている。ただ、お昼を過ぎたら飲まないようにしている。夜、眠れなくなってしまうからね。
- --- 戦争のきっかけとなるプーザーという動物は、どのようにして生まれたのですか?
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D :土星の衛星であるタイタンには液体メタンの海があると、友人に教えてもらったんだ。そんな中に生息する動物ってどんなだろう?と思いを巡らせて、おそらく水かきがあって、メタンガスのおならをブーブー発する、尻みたいな頭をした動物じゃないかと思った。そして、うちの子供や親戚の子供たちに一番ウケが良かった名前が“プーザー”だったんだ。
- --- 『スカイ・ブルー』は『ダーク・マターズ』とどのようにリンクするのでしょうか?
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D :何もリンクしない、対極にあることがリンクなんだ。ジルトイドは虚構の世界、『スカイ・ブルー』は現実に根差した世界。ジルトイドは自分の中の子供、『スカイ・ブルー』は自分の中の大人だ。『スカイ・ブルー』は少なからず“死”をイメージさせる曲が多いと思う。友人のお母さんが亡くなったり、15年間飼っていた猫が野生のコヨーテだか何だかに食べられてしまったり…でも、そんな気持ちが『スカイ・ブルー』のエネルギーの源になっていると思う。
- --- 『スカイ・ブルー』では、あなたのヴォーカルの声域の幅広さが際だっていますね。
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D :もちろん声域が広ければ良いシンガーだというわけではないけど、自分自身を表現できる領域が拡がるのは良いことだ。自分の声域は、体調によってまったく異なるんだ。ストレスがない状態でたっぷりと睡眠を取れば、高い音も低い音も出るけど、長いツアーで睡眠不足だったりすると、酷い状態になるよ。
- --- 同時発売の『カジュアリティーズ・オブ・クール』は、どのようなプロジェクトですか?
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D :このプロジェクトは俺と女性ヴォーカリストのチェ・エイミー・ドーヴァルを中心としたものなんだ。彼女とは、俺のバンドでギターを弾いているデイヴ・ヤングの紹介で知り合った。彼女は『KI / 氣』でも歌っているし、素晴らしいシンガーだよ。俺はずっと自分の作品では歌ってきたけど、実はヴォーカルを取るのは苦手なんだ。ギターやベースを弾いている方がしっくりする。でも自分で書いた曲のエモーションを自分以上に表現できる人はなかなかいないし、ジレンマを感じていた。チェはとても知的で才能のある、個性的なシンガーだ。『カジュアリティーズ・オブ・クール』は『Z²』とはさらに対極にある、1970年代のAMラジオから流れているような音楽を狙ったんだ。エディ・ラビットや、いろんなカントリー・ロックとかね。
- --- 『カジュアリティーズ・オブ・クール』はクラウド・ファンディング・サイト『プレッジミュージック』でファンからリリース費用を募りましたが、それはどんな作業でしたか?
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D :レコード会社を介さずにアルバムを作ったから、音楽性に関しては自由だった。クラウド・ファンディングはファンとの距離を縮めることが出来て、面白い手段だと思う。ただ、音楽を作る以外のあらゆることもすべて自分でやらなければならないから、頭を悩ますこともあった。CD/レコードのプレスや配送業者もそうだし、特典も考えたり、いろいろ大変だよ。オプションとして“「ハッピー・バースデー」を歌ってもらえる権”とか、ペットに名前を付けるというのも、面白そうだからやってみたけど、10人ぐらいかと思ったら、数百人からオーダーが来てしまって、頭を抱えたよ。
- --- カジュアリティーズ・オブ・クールも長期的なプロジェクトになるでしょうか?
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D :もちろんだ。今、俺がやっているあらゆるライヴ・プロジェクトで、カジュアリティーズ・オブ・クールは一番のお気に入りだよ。ロンドンとヘルシンキでショーをやったけど、ただギターを弾いて、制限がなく音楽に専念することが出来た。ステージMCをする必要もなかったんだ。もしスケジュールに余裕があるならば、しばらくカジュアリティーズ・オブ・クールに専念したいぐらいだよ。2枚目のアルバムを作ることも話している。カントリー色は後退して、マッシヴ・アタックやポーティスヘッドのようなエレクトロニックな要素を取り入れていきたい。
- --- 『Z²』と『カジュアリティーズ・オブ・クール』発表後のツアーは、どのような構成となりますか?
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D :贅沢な悩みだけど、過去7年のあいだに26枚のアルバムを出したし、どの音楽性も異なっているから、どうしようか困っているんだ(苦笑)。でも今考えているのは、俺のキャリアを網羅するヒストリー・ライヴにすることだ。『オーシャン・マシーン』や『フィジシスト』からの曲や、今までライヴでやったことがない曲まで交えてプレイしたいね。『ラウド・パーク13』では日本の観衆とコネクトすることが出来たし、『Z²』に付いているDVD『ライヴ・アット・ラウドパーク13』も良い出来になったから、2015年にぜひまた日本でプレイしたいね。
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