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【インタビュー】 OGRE YOU ASSHOLE 『ペーパークラフト』

ROCK NEXT STANDARD

2014年10月20日 (月)

【インタビュー】 OGRE YOU ASSHOLE 『ペーパークラフト』


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『しらない合図しらせる子』(2008年)以来、プロデューサー 石原洋、エンジニア 中村宗一郎という鉄壁の布陣で創作を続けるOGRE YOU ASSHOLE。アルバムごとに常に新たなアプローチを携え、聴く者に新鮮な驚きを与えてきた彼らの新作『ペーパークラフト』が、また段違いに素晴らしい。今作で彼らが掲げたキーワードはミニマルメロウ。特異な境地に至った、彼らの最新にして最高傑作『ペーパークラフト』の完成を記念し、OGRE YOU ASSHOLEの出戸学、馬渕啓にインタビューを実施。その制作の源泉を手繰る貴重な話をどうぞご覧ください。


--- 前作『100年後』から、約2年ぶりの新作『ペーパークラフト』。完全新録音の7曲が収録されていますが、制作期間はどのくらいでしたか?

出戸「録音期間は半年ほど。自分たちとしては長い方です。アルバムイメージが最初に立ち上がったのは、年末のリキッドルームの打ち上げでの時ですね。リキッドの山根さんが、Altzが作った和物のリミックスCDを流してたんです。その中にサビを延々と繰り返すようなドリーミーなミックスがあって、格好良かったんですよ。すごくドラマチックな感じだったので、直接それがやりたいとかは思わなかったんだけど、そういえばミニマルでメロウな曲ってありそうでない、あったら格好いいよねって話が進んで。次のアルバムの音はそれで行こうかって盛り上がったんです。」

馬渕「『100年後』を作った後すぐなんかには、次作はノイズ・インダストリアルな雰囲気で作ろうなんて話してました。でもレーベルの移籍とか、マネージメントを自分たちでやっていく仕組みを試行錯誤したりで、なかなかアルバムに取りかかれなかったんですよね。途中『confidential』を作ったってのもあったし。去年作っていたら、もっとエクストリームな内容になってたかもしれませんね。」

出戸「色々あって、去年『見えないルール』のアナログを作った頃には、次のアルバムはこの曲みたいに硬質でミニマムな雰囲気が中心になると思ってました。それが、年末に話して展開したんです。そこにメロウという要素が加わったんだよね。」

--- 今回も前3作同様、サウンド・プロデューサーに石原洋氏、レコーディング&ミックス・エンジニアに中村宗一郎氏という黄金コンビを迎えて制作されていますが、OGRE YOU ASSHOLEにとってお二方はどのような存在でしょうか?

出戸「全体的な質感、コンセプトをメンバーと石原さんとで話して考えます。ジャケットとかタイトルとかトータルイメージも含めて。バンドとプロデューサーのどっちの好きにするかというより、一緒に作品に向かっているという感覚が強いですね。スタジオでは、バンドで作った曲の基本の上に入るモノを、石原さんが考えたりします。例えば、ここに何か入れるのはどう?って石原さんが思いついて、そこに具体的に何を入れるかは馬渕が考える、とか。さらに細かい部分の質感も石原さんと考えたりします。意外性があるというか、スパイスのような音を提案される事が多いですね。」

馬渕「あと、アレンジに困ると、中村さんに相談して面白い機材を出してもらって、それで一気に曲が進むことも結構あります。中村さんにはアレンジの細部で音が当たってないかとか、技術面で相談することも多いですね。」

出戸「『homely』以降、お互いの理解が進んだというか、それまではスタジオ以外ではほとんど話さなかったし。」

馬渕「レコーディングにはスピード感が大事なんですよ。こういうアレンジをしよう、こういうフレーズを入れようってなったとき、メンバーと石原さん、中村さんと、さっと共通のイメージを持って、それを音にしなきゃいけない。時間がかかってるとアイデアが逃げていくというか。少し前から、感覚を共有できてるって感じは強くなってきましたね。」

--- レコーディングはどのように進んでいくのでしょうか?

馬渕「基本的に今のオウガの曲は、ベースになる部分を自分と出戸が別々に作ってます。録音したデモを石原さんにメールで送って、意見をもらって作り替えたりする。それをまた送って、戻ってきて…ってやりとりを、今回は2月か3月くらいからやってました。アニメの『スペース☆ダンディ』の劇伴奏の制作が終わったあたりからだったかな。」

出戸「自分と馬渕が一緒にスタジオに入ってつくるわけではないです。自分が弾き語り的につくった原曲に、馬渕がバックを展開していくパターンと、馬渕の作ったコード進行に自分がメロディを乗せるというパターンがあります。歌メロと歌詞は全て自分が作ってますね。自分も馬渕も、お互い好きなコード進行があるんだけど、二人いるからバンドとしてはパターン化しにくいのはいいですね。コード進行にメロをはめてく作り方だと、思わぬ展開が生まれたりするのも面白いんです。」

馬渕「こういう作り方は、『浮かれている人』から始まって、『homely』で定着しました。でも、事前にいろいろ考えておいても、スタジオに入ると、全然違う方向にがらっと変わったりするんです。それもまた面白いですね。」

出戸「そういう変化を嫌がるミュージシャンもいるかもしれないけど、曲ががらっとかわって良い感じになっていくんだから、それでいいんです。よく僕らは「笑いが大事」って言ってます。アレンジがよくてスタジオ内で爆笑が起きたら、それはOKってことで。逆に良くないと、みんなシーンとしたりして、何も言わなくてもわかるというか」

--- アルバムタイトルを『ペーパークラフト』にした理由を教えて下さい。

出戸「ペラペラした感じに見える部分が多いというか…表面だけ綺麗に取り繕って、後ろ側は何でも良い、みたいなものが目立ってきたように感じるというか。表層しか見てない感じ。敢えて言葉にするなら、そういう風潮に違和感を感じてたってことかもしれないけど。」

馬渕「そんな社会はおかしい、とか声を大にして言いたいとかは全然ないよね」

出戸「批判したいとか、非難したいって気持ちじゃなくて。自分だってそのペラペラの一部だとも言えるし、社会じゃなくて自分がおかしいのかもしれない。」

--- ジャケットワークやPV、アーティストフォトの監修・作成に至るまで、自ら行ったとの事ですが、このアルバムを制作するにあたってコンセプトのようなものはありましたか?

出戸「『homely』『100年後』と通して、コンセプトを表す「居心地のいい悲惨な場所」って言葉があって。今回の作品にも、それは通底してると思います。」

馬渕「今回の『ペーパークラフト』は、肉体がない感じというか、極端に言うなら人間が感じられないアルバムになったと思います。でも、機械っぽいわけじゃない。テクノみたいに、マシーンとしての非肉体性じゃないというか。音的に、余分なものを入れないで研ぎ澄ましていったら、曲の構造がミニマルになって、肉体性が薄らいでいった感じ。」

出戸「全体的に何かが欠落している感じを、表しているというか。普段感じている欠落感、欠損感。そういったものを音にしたかったのかもしれないですね。一見理路整然として綺麗で整っているのに、欠落感、不足感が裏側に隠れているような。言葉にするとなんか違う気もするけど、多分普段そんなことを感じてて。」

馬渕「でも、繰り返すけど批判したい訳じゃない。距離を置いて見て、批評しているというか」

出戸「たぶん性格がシニカルというか、素直じゃない感じなんですよ。今はみんながシリアスな問題に直面してて、苛立ったり怒ったりして、どんどん混沌とした状況になってる。でも敢えて、こういう熱がこもりすぎない、真剣にシニカルに徹する向き合い方も悪くないんじゃないかって思うんです。」

馬渕「肉体が無いとか、熱が無いとか色々言いましたけど、アルバムとライブは完全に別ですね。さっきの言い方を続けるなら、アルバムには肉体性がないけど、ライブはやっぱり肉体性が、隠せないレベルで存在していると思うんですよ。ある種の快楽がやっぱりあって。逆にアルバムはライブと同じとは考えてないんです。別のモノとして、独立した作品として妥協なく、ライブがどうとか考えずにやっています。CDを発展させてライブをやっているとは思ってないし、その逆でもない。全く別ものなんですよ。」

出戸「『ペーパークラフト』がライブでどんな形になるかは、またアルバムとは違ったものになるというか、ならざるを得ないです。それはそれでまた観て欲しいと言うか、レコ発ツアーもあるんで楽しみにしてて下さい(笑)」

--- ありがとうございました。


 OGRE YOU ASSHOLE 『ペーパークラフト』[2014年10月15日]

OGRE YOU ASSHOLE 『ペーパークラフト』 現在の日本のロック・シーンをリードし、特異なスタンスで独自の存在感を放っているOGRE YOU ASSHOLE(オウガ・ユー・アスホール)が、遂に待望のニュー・アルバムをリリース! ポストパンク、サイケ〜プログレ、AOR、ノイズ・エクスペリメンタルなど、様々なモードを咀嚼した末に、叙情的でありながらクールでデカダンな「ミニマルメロウ」とでも言うべき新境地に至った、彼らの最新にして最高傑作がここに…

サウンド・プロデューサー : 石原洋
レコーディング & ミックス・エンジニア : 中村宗一郎

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『ペーパークラフト』収録楽曲

  • 01. 他人の夢
  • 02. 見えないルール
  • 03. いつかの旅行
  • 04. ムダがないって素晴らしい
  • 05. ちょっとの後悔
  • 06. ペーパークラフト
  • 07. 誰もいない

OGRE YOU ASSHOLE プロフィール

メンバーは出戸学(Vo,Gt)、馬渕啓(Gt)、勝浦隆嗣(Drs)、清水隆史(Ba)の4 人。
2003 年頃から活動を開始し、2005 年にセルフタイトルの1st アルバムをリリース。2007 年には、大型ロックフェス出演やメジャー・シーンのオルタナティブ・バンドとのツアー、海外有名アーティストのサポートなどで日本のメジャー音楽シーンで知られるようになった。
2009 年3 月にバップへ移籍し、シングル「ピンホール」をリリース。
2010 年11月にはモントリオール出身のWolf Paradeと共に全米+ カナダの18ヶ所をまわるツアーを行った。
2008 年制作の『しらないあいずしらせる子』以来、現在に至るまで、プロデューサーの石原洋とエンジニアの中村宗一郎がレコーディングを手がけている。
2012 年に5th アルバム「100 年後」をリリース。
2013 年2 月にはリミックス・リアレンジアルバム「confidential」をリリース。
2014 年7 月に「見えないルール」をALTZ によるリミックスをB 面に収録し、12inch アナログリリース。
10 月 待望となる最新アルバム「ペーパークラフト」をP-VINE RECORDS よりリリース。

 OGRE YOU ASSHOLE オフィシャルサイト

OGRE YOU ASSHOLE ライブ情報

●ニューアルバム・リリースツアー " ペーパークラフト "
12月13日(土) 大阪・梅田 CLUB QUATTRO
12月20日(土) 甲府 CONVICTION / w田我流
12月21日(日) 長野 ネオンホール
12月27日(土) 東京・恵比寿 LIQUIDROOM
1月10日(土) 札幌 KRAPS HALL
1月16日(金) 名古屋 CLUB QUATTRO
1月17日(土) 広島 4.14
1月24日(土) 新潟 CLUB RIVERST
1月25日(日) 熊谷 HEAVEN'S ROCK kumagaya VJ-1
1月31日(土) 鹿児島 SR HALL
2月1日(日) 福岡 DRUM SON
2月7日(土) 仙台 HOOK
2月8日(日) 松本 ALECX


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プロデューサー:石原洋
エンジニア:中村宗一郎

Facies

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