【HMVインタビュー】 プリシラ・アーン 『思い出のマーニー』

2014年7月22日 (火)

--- スタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』の主題歌に抜擢された経緯をもう少し詳しくお伺いしてもよろしいですか？

去年のクリスマス時期に、三鷹の森ジブリ美術館でコンサートをしたのですが、その時に聞いて下さったジブリのスタッフの方が気に入ってくれたのがきっかけだと思います。帰国してから西村プロデューサーから次のジブリ映画で主題歌を歌うことに興味ありませんか、とオファーのメールを頂き、もちろん「イエス！」と答えました！

--- 即答されたんですね。以前からジブリ作品がお好きだと伺いました。確か、これまでのご自身のアルバムでも、『魔女の宅急便』のテーマ曲「やさしさに包まれたなら」や「風の谷のナウシカ」も日本語でカバーされていますよね。 初めて観たジブリ作品は何ですか？また、一番好きな（思い入れのある）ジブリ作品を教えて下さい。

最初に観たのは『ハウルの動く城』でした。
一番好きなのは…『千と千尋の神隠し』かな…一番を選ぶなんてすごく難しい！うーん、けど、『千と千尋〜』は印象深いたくさんのキャラクターたちと、千尋が成長の過程で愛を見つけるという美しいストーリーがあって、やっぱり大好きですね。

--- 難しい質問してしまいすみません・・・（笑）さて、今回の「思い出のマーニー」の主題歌「ファイア・オン・ジ・アザーサイド」ですが、は映画からどんなインスピレーションを受けての曲ですか？また、アルバムタイトル「あなたのことが大すき。」というのもとても印象的ですが、こちらも映画の作品イメージから付けられたのでしょうか？

実はこの楽曲は9年前に書いたものなので、この映画のために書き下ろしたというわけじゃないんです。映画のために書き下ろして提出した曲も何曲かあるんですが、それでもこの遠い昔に書いた曲が頭から離れなかったんです。疎外感を歌っている内容が、あまりに原作本の内容とリンクしていたし、個人的にも正直な心を歌った意味のある楽曲だったので。だからこの曲も一緒にジブリへ提出したところ、幸運なことに彼らはこの曲を選んでくれたんです。
「あなたのことが大すき。」というタイトルも『思い出のマーニー』のキャッチコピーでもあるし、すごくキュートで優しいメッセージだと思ったので、この言葉をタイトルにしました。自分で日本語をしらべて、あってるかどうか皆さんに確認して、うん、この言葉がいいナ！と思いました。

--- なるほど。確かに、この作品の主人公も、日常に孤独感を感じてしまうゆえに、自ら距離を置こうとする自分が嫌いで仕方ない、という葛藤を抱えた少女でした。
歌詞にあるにある、＜ひとりでも　―　これからも外側にいたっていいの＞や、＜ときに　ぜんぜん大丈夫じゃなくなって　泣いてしまう―＞という歌詞は、そんな主人公の心象や置かれた状況を表現されていると思いました。

原作を読まれてすぐに杏奈とマーニーが好きになったということですが、9年前にこの歌がすでにできていたということは、やはりご自身にも同じような経験があったからですね？

はい、杏奈には個人的にすごく親近感を覚えました。私自身の姿をたくさん彼女の中に見ました。私も彼女と同じ年ごろのときには、いつもどこか輪の外側にいる（on the outside）っていう感覚があって、（杏奈みたいに）「私は私が嫌い」とまでは言わなかったけど、自分の嫌いなところはたくさんあったし、他の普通の人とも違うと思っていたから。

同時に、マーニーにも共感します。彼女は外見上は（on the outside）とってもハッピーで、完璧な人生を送っているように見えますが、内側ではとてもさみしくて、傷ついていて、彼女自身も本当は杏奈と同じくらいにさみしいんですよね。私もかつて家にいてもすごくさみしい思いをしていたし、他の人と同じなろうとして一生懸命勉強したり、スポーツに励んだりしてましたから。

--- 今回ジブリ映画の音楽では初の全編英語詞楽曲ということで、これは意図的に英語歌詞にされたのですか？また監督からそのような要望があってのことでしょうか？

英語で書いたけど、きっとそのうち日本語になるんだろうと思ってたんですよ！でも監督もプロデューサーも、そのまま英語にしておこうと思ったみたいです。「ほんとに英語のままでいいんですか？別バージョンで日本語のものを作る必要もないんですか？」って念を押して聞いたんだけど、翻訳してしまうとあまりに直接的になってしまうから、英語のままがいいんじゃないかと言ってくれました。

--- 米林宏昌監督の印象や、もし心に残ったエピソードなどもしあれば教えてください。

彼はアーティストですね！独創的なアーティスト気質があって、ユーモアのセンスがあって、とても優しい人です。初めて会った日にとても親切にスタジオジブリの中を全部案内してくれて、作りかけのアートワークを見せてくれました。すごく面白い方なので、監督と一緒にキャンペーンを回るのはとっても楽しいんですよ。そして、とても謙虚な人でもありますね。尊敬してます！

--- 今後の活動予定、もしくはどのような活動をしていきたいかなど、お聞かせ下さい。

このプロジェクトがおわったら、ひとまず家に帰ってお休みするかしら（笑）。でもまた日本にも帰ってきたいし、アジアを回るツアーができたらいいな、と思ってます。

--- 最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

いつも応援ありがとうございます。皆さんがいなかったら、こんなに日本に来れていなかったし、こうやって来日できることをすごく幸せなことだと思っています。『思い出のマーニー』、ぜひ観て頂けたらと思います。エンディングで流れる私の歌、気に入ってくれると嬉しいです！

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