注目のマイナー・ピアノトリオ 【5月13日掲載分】
Friday, May 30th 2014
毎週各国より続々と投入されるピアノトリオ作品をまとめてご紹介。名手による堂々の新録から、小粒でもぴりりと辛い隠れ人気盤、レア本、ディスクガイド掲載の限定再プレス/再流通盤までよりどりみどり!
Trio Acoustic 『For Trio's Sake』 
『Autumn Leaves』、『Dedicated To You』再プレス盤も瞬く間に完売した、オルタン・ゾラー(p)率いるハンガリーの人気ピアノトリオ、トリオ・アコースティック、待望の新作が登場。スタンダードにオリジナル曲、さらには同郷のポップ・ナンバーを並べたラインナップ。彼らの迫力ある演奏はさらにエネルギッシュに輝き、また馴染みあるスタンダードーも、彼らならではの解釈によってオリジナリティあるものに様変わり。もちろん哀愁漂う旋律もたっぷりと。彼らの勢いをそのまま閉じ込めたようなエネルギッシュな快作。紙ジャケ仕様輸入盤。
Zoltan Olah (p)
Peter Olah (b)
Andras Lakatos Pecek (ds)
Mike Longo 『Step On It』 
CAPレーベル・オーナーでもあるベテラン・ピアニスト、マイク・ロンゴが放つ待望の最新トリオ作品。いぶし銀ベーシスト、ボブ・クランショウ、最もクレバーなドラマー、ルイス・ナッシュという名手2人を迎え、高度の演奏力だけでなくどんなスタイルの楽曲でも独自の世界観を提示することのできる真の独創性を見せつけている。円熟した深い響きと抜群の安定感、情熱と叙情溢れるハイレベルなプレイは勿論、多くのピアノトリオ・ファンに愛されるメロディが充実した逸品。
Mike Longo (p)
Bob Cranshaw (b)
Lewis Nash (ds)
Frank Harrison 『Lunaris』 
2006年『First Light』、2012年『Sideways』がピアノトリオ愛好家の好評を得たイギリスの俊英ピアニスト、フランク・ハリソン。柔らかなタッチとクラシカルなサウンドで魅了するトリオ新録が登場。またスタンダードの解釈など、リスナーにとって非常にイマジネーションを掻き立てさせる深い作品に仕上がっている。
Frank Harrison (p)
Dave Whitford (b)
Enzo Zirilli (ds)
John Venkiah Trio 『Things Change』 
作のプロデューサーでもあるヤン・ラングレンの下で学んだ若手スウェディッシュ・ピアニスト/シンガー、ジョン・ヴェンキアーのトリオによるデビュー作。ビル・エヴァンスやチック・コリア、キース・ジャレットを想像させるヴェンキアーのサウンドは、ソウル&モダンに影響されながらも、どこか新時代のカラーを漂わせている。スウィートなヴォーカル、透明感のあるソロピアノ曲も文句なし。ラストの「Till There Was You」におけるラテン/ブーガルー・テイストも新味。フレッシュな感覚がたっぷりと味わえる一枚。
John Venkiah (p,vo)
Simon Petersson (b)
Kristoffer Rostedt (ds)
Daniel Kramer 『Waltz For A Lovely Wife』 
シベリア・ノボシビルスク発の秘境ジャズ・ピアノトリオの名盤が紙ジャケ仕様にて限定再プレス。歌心溢れるピアノ、ゆったりとしたスイング感を醸し出すリズム陣、終始ロマン溢れる雰囲気の中、乾いた気持ちを癒してくれる好内容。キース・ジャレットのケルン・コンサートの最期を飾るあまりに美しい名曲「パートIIc」 もタイトルを変えて収録。マニア垂涎の盤というだけでなく、ジャズ初心者の方にもオススメしたい逸品。
Daniel Kramer (p)
Dmitri Averchenkov (b)
Sergei Belichenko (ds)
1997年録音
Andre Ceccarelli / Jean Michel Pilc / Thomas Bramerie 『Twenty』 
アンドレ・チェカレリ、ジャン・ミシェル・ピルク、トマ・ブラメリー、ヨーロッパを代表する3人のアーティストによる素晴らしいトリオ・ミュージックの結晶。楽曲はピルクおよび三者の共作によるナンバー5曲と、スタンダード7曲による全12曲。いずれも三位一体のアンサンブルから生み出された美しいメロディ感覚が息づいている。
Andre Ceccarelli (ds)
Jean-Michel Pilc (p)
Thomas Bramerie (b)
George Colligan 『Ask Me Tomorrow』 
「ニューヨークで最も輝きを放つピアニストが登場した」と称賛されてから四半世紀。ジョージ・コリガンの新録は、新たに結成したリンダ・オー(b)、テッド・プア(ds)との”ニューヨーク・トリオ”で吹き込んだ全曲オリジナル・コンポジションという意欲作。ピアノトリオ・ファン必聴の快作。
George Colligan (p)
Linda Oh (b)
Ted Poor (ds)
Pedro Neves 『Ausente』 
1978年ポルトガル・ポルト出身の新鋭ピアニスト、ペドロ・ネヴィス。7歳よりクラシック・ピアノを学び、以後ポルトガルとスペインの様々なジャズ・プロジェクトで修業を重ねてきた。こちらは、新興レーベルPORTA JAZZからのリリースで、ペドロの初リーダー作となる。確かなテクニックと抜群のメロディセンスは、今後の活躍を大いに期待させる。
Pedro Neves (p)
Miguel Angelo (b)
Leandro Leonet (ds)
Darek Dobroszczyk 『Simple Delights』 
ポーランドのピアニスト/コンポーザー、ダレク・ドブロシュチルク率いるピアノトリオの最新盤。静謐ながら気高いパッションが凝縮された、硬質で清澄でありながらどこまでも深い豊富な音色が、サウンド全体に豊かな物語性を築いている。オリジナルに加え、クシシュトフ・コメダ「Moja Ballada」、ビリー・ハーパー「If One Could Only See」、さらにはスティング「When We Dance」なども見事にアレンジ。
Darek Dobroszczyk (p)
Jakub Mielcarek (b)
Grzegorz Maslowski (ds)
Andrzej Kurylewicz 『Andrzej Kurylewicz Trio』 
ポーランド・ジャズ界を代表するベテラン・ジャズピアニストのひとり、アンジェイ・クリレヴィッチが2007年に録音した、知性溢れるプレーが展開されるトリオ盤。飄々とした中にキラリと光るような理知的な鋭い閃光と東欧独特のニュアンスが入り交じり、多くのジャズファンを魅了する作品に仕上げられている。パソコンで再生可能なPAL仕様の演奏風景映像も収録。
Andrzej Kurylewicz (p)
Pawel Panta (b)
Cezary Konrad (ds)
2007年録音
Shalosh Trio 『Bell Garden』 
「SHALOSH」とはヘブライ語で「3」という意味。エルサレム出身、現在はイスラエルとニューヨークで活動中のピアノトリオ。「バッドプラス+ブラッド・メルドー+ジューイッシュ」とも評される、至極聴きやすい一枚。ちなみにこのトリオ、昨年アルバム『Shades Of Fish』がヒットしたオフィール・シュワルツ(p)氏の猛烈なプッシュにより、このたびの日本流通が実現したという。
Gadi Stern (p)
Daniel Benhorin (b)
Matan Assayag (ds)
Konrad Paszkudzki 『Konrad Paszkudzki Trio』 
2013年デビュー作が好評を博した西オーストラリアのピアニスト、コンラッド・パシュクデゥスキの2ndアルバム。50年代のレッド・ガーランド、アーマッド・ジャマル、オスカー・ピーターソン、エロル・ガーナーなど、あの時代のオーセンティックなピアノ・スタイルが現代に舞い戻ったかのような伝統的なトリオ作品。前半はエレガントでスウィンギーなピアノトリオ、後半はブリジット・デイヴィスのヴォーカルが加わり、よりソフィスティケイトされた空間が演出される。Konrad Paszkudzki (p)
Dag Markhus (ds)
Hassan JJ Shakur (b)
Bridget Davis (vo)
Selen Gulun 『Answers』 
発売延期となっていましたが、5月下旬に入荷を予定しております。 トルコ・イスタンブールの最重要ミュージシャンとして活躍する女流ピアニスト、セレン・ゲウィレンの2010年トリオ作品。容姿端麗で、シンガー、作曲家としても現地では有名な彼女。ピアノスタイルは気品のある欧州スタイルながら、ハッとするようなリズムセンスも併せ持っている。全曲オリジナル・コンポジション。エキゾチックなところもあったりと実に魅惑的な一枚。
Selen Gulun (p)
Patrick Zambonin (b,el-b)
Jorg Mikula (ds)
Christoph Stiefel 『Big Ship』 
90年代にはアンビエント系ソロピアノなどの秀作を残していたスイスのピアニスト、クリストフ・スティーフェル。新作ピアノトリオは、クリストフのコンポーザーとしてのレベルの高さ、ユニークなスタイルが十二分に発揮された充実作
「例えばM5の『New May』、なんの変哲もない曲ではあるものの、彼の時間の遊び方というか鍵盤とのお付き合いの仕方がボクにとっては、とても心地よくって、いい時間を過ごさせてもらったな、と思うのだ」(JAZZ PERSPECTIVE編集長・山本隆氏)
Christoph Stiefel (p)
Arne Huber (b)
Kevin Chesham (ds)
Jon Di Fiore 『Yellow Petals』 
ニューヨークなど様々なライヴスポットで活躍しているニュージャージー州出身のドラマー、ジョナサン・ディ・フィオーレ率いるピアノトリオ作品。エヴァンス、モチアン、ギレルモ・クライン、ストラヴィンスキーに影響を受けたという楽曲は、ジャズをベースにクラシックやヨーロッパ、南米、アフリカの民族音楽の要素を取り入れた個性的なもの。少しフレッド・ハーシュ・トリオのテイストも感じさせる深い音楽性。注目の若手ピアノトリオ盤。
Jon Di Fiore (ds)
Billy Test (p)
Adrian Moring (b)
Uri Caine / Ksawery Wojcinski / Robert Rasz 『Szpilman』 
ジャンルの垣根を越え独自の道を突き進む鬼才ユリ・ケインのトリオ最新作。ポランスキー監督『戦場のピアニスト』の主人公となったウワディスワフ・シュピルマンの楽曲を深く掘り下げ、ジャズの手法で解釈しながら新たな発見を目指す試み。
Uri Caine (p)
Ksawery Wojcinski (b)
Robert Rasz (ds)
Andrea Manzoni 『Destination Under Construction』 
イタリア人ピアニスト、アンドレア・マンゾーニーの2ndリーダー・アルバムは、例えればバッドプラスや上原ひろみを彷彿させる演奏スタイル。メカニカルでアグレッシヴなプレイが持ち味です。この手のタイプ”雨後の筍”な感じでもあるが、このトリオ活動以外でもテレビ、ラジオ局や映画などの活動で高い評価を受けている。
Andrea Manzoni (p)
Luca Curcio (b)
Andrea Beccaro (ds)
Mason Embry Trio 『Swingin' On A Star - A Jazz Piano Tribute To The Great Male Crooners』 
90年代半ばからナッシュビルに拠点を置き、ピアニストのみならずアレンジャー、プロデューサーとしても活動するメイソン・エンブリーが、トニー・ベネット、フランク・シナトラなど20世紀のクラシック・クルーナーたちに捧げたピアノトリオ作品。ビージー・アデールでおなじみのGREEN HILLレーベルより。
Mason Embry (p)
Jim Ferguson (b)
Joshua Hunt (ds)
Ron Davis 『My Mother's Father's Song』 
カナダ・オンタリオ州で活躍するベテラン・ピアニスト、ロン・デイヴィス、10年ぶりとなる純正ピアノトリオ作品。オスカー・ピーターソンやアンドレ・プレヴィンの影響を感じさせるダイナミクスとヴァーチューオシティ溢れるピアニズムは本作でも健在。コールドプレイ「Viva la Vida 」、ジェイムズ・テイラー「Don't Let Me Be Lonely Tonight」カヴァーなど選曲のバリエも豊富。Ron Davis (p)
Mike Downes (b)
Ted Warren (ds)
Ron Davis 『Mungle Music』 
ロン・デイヴィスの2003年録音のピアノトリオ盤再入荷。端正なタッチで歯切れよいリズミカルなフレーズを巧みに操りながら、快活に突き進んでいく爽快作。
Ron Davis (p) Drew Brinston (b) Ted Warren (ds) Richard Underhill (as on M4,6,9,13)
Fabio Giachino 『Jumble Up』
次回5月10日入荷予定。 ジャズ・ピアノの人材豊富なイタリアで今最も熱い注目を集めているファビオ・ジアチーノ。アントニオ・ファラオ、ダド・モロニなど同国の重鎮ピアニストらに師事し、2012年と13年には権威あるJAZZIT賞を受賞。新作は、テクニックだけに頼らず、常にバンドとしてのバランスを重視した”トリオならでは”のアンサンブルがたっぷり楽しめる。ミンガスの名曲をファンキーにアレンジした「Goodbye Pork Pie Hat」も面白い。
Fabio Giachino (p)
Davide Liberti (b)
Ruben Bellavia (ds)
Michele Franzini 『Un Lettore Distratto』
90年代半ばから常にイタリア・ジャズ・シーンの先頭を走り続けているミケーレ・フランツィーニ。本作では独自の世界観をさらに進化させ、激戦のヨーロッパ・ジャズ・ピアノ界の中でも抜きん出た個性を発揮している。スタンダードから組曲に至る展開こそ、現在のミケーレの真骨頂ともいえそうだ。Michele Franzini (p)
Alex Orciari (b)
Roberto Paglieri (ds)
Paolo Alderighi 『Around Broadway』
1980年ミラノ生まれ、30代前半の若さながら、ラグタイム、ストライド、ブギウギ、スイングなどのピアノ奏法を完全にマスター。アーリージャズの醍醐味を今日に継承する逸材、パオロ・アルデリギ。本作では、アーヴィング・バーリン、レナード・バーンスタインの有名古典などブロードウェイで上演されたミュージカル名曲を珠玉のピアノタッチで披露している。
Paolo Alderighi (p)
Roberto Piccolo (b)
Nicola Stranieri (ds)
Simone Maggio 『True』
リー・コニッツのアルバムにも起用されているイタリアの実力派ピアニスト、シモーネ・マッジオ率いるトリオの2013年録音作。ピンと張ったピアノの緊張感ある音色と、それを優しく細やかに支えるリズム陣による抜群のインタープレイ。抽象的なニュアンスもアクセントとなっているメロディックなナンバー。欧州ジャズ・ファンには見逃せない一枚。
Simone Maggio (p)
Andrea Colella (b)
Dacide Pentassuglia (ds)
