HMVインタビュー: KAITO

2014年2月10日 (月)

ドイツの名門<KOMPAKT>からリリースした最新アルバム『Until The End Of Time』からビートを抜いて再構築したビートレス盤『Less Time Until The End』をリリースする、KAITOことHIROSHI WATANABEさんにインタビュー!



-- 昨年末にリリースされたKAITOプロジェクトの4枚目のアルバム『Until The End Of Time』に続いて今回、ファンにとっては恒例とも言えるビートレス・アルバム『Less Time Until The End』がリリースされますが、ワタナベさんご自身にとって今回の2枚の各アルバムはどんな位置付けの作品なのでしょうか?

そうですね、位置付けという意味ではやはりメインアルバムである『Until The End Of Time』に関しての方が新たなプロジェクトとしてのスタートを切る、切ったという意味を持たせましたので、その流れから派生する今作品、『Less Time Until The End』も更にその流れを完成させて行ったという事になると思います。

ただ、いつも思う事はメインアルバムでの作り方とビートレスアルバムとでは音のよりどころというモノがそもそも違う事があり、ビートを省く事で更に自分自身が音楽として何を見せたいのか?もしくは、ビートに頼らない事で見えてくるそもそもの音の世界感を自分自身で再認識せざる終えない作品でもあるんです。今回のビートレスアルバムは過去の作品から比べても制作期間的にも長く楽曲との対話をより深くしてみました。リミックスとも違うリアレンジ作業の中で残されたシーケンスがどうあれば良いか?どうあるべきなのか?楽しくもあり、苦しくもあり、実に充実した日々でした。


-- 『Until The End Of Time』と同じトラック名の作品が収録されていますが、今回のビートレス作品では曲順も雰囲気もがらりと変わっていて、元が同じ素材の作品とは思えない程、印象が異なる作品ですが、これは意図した事なのでしょうか?

先ほど既に答えてしまったかも知れませんが、、、意図というよりもビートが無くなる事で見えて来る残された音達のあるべき姿を辿るという作業の結果です。

作品によっては全てを同じフレーズ、シーケンスが新たな音に差し代わった曲もあれば、オリジナルのまま使われているものもあります。音の存在意義を確認しながらベストな形に再構成させるのが近年の僕のビートレス作品となってます。


-- 今回の2作のアートワークはどちらも空の写真を起用していますが、何かテーマがあるのでしょうか?2作のタイトル名『Until The End Of Time』と『Less Time Until The End』に込められた思いも教えて下さい。

メインアルバムの『Until The End Of Time』では僕の新たなコンセプトと思いを全てデザインを担当してくれている北原くんへと伝えていました。

いつも彼にとにかく沢山の写真を送るんです。撮り溜めて来た写真を辿りながら今作品にあるだろうと思えるものを送り、その中から彼に更にイメージとしてあうものがどれかを選び抜いて貰うんです。結果、辿り着いたのはその中でもモノクロの写真で撮っていた例の空シリーズです。同じ日の中である場所の空を数時間の間で撮影をした空が使われています。今回のアートワークはその写真を元に北原くんデザイン的アプローチで更に音との調和をして頂けてます。過去にあった様な子供というイメージから 今作品は抜け出し、より自分自身のプロジェクトとして再スタートを切るという信念を見事にアートワークで表現をして貰えてます。最高に気に入ってますよ!

そして、今作『Less Time Until The End』はと言いますと、こちらはビートレスアルバムとしての指針、方向性自体は過去同様であり、僕のKaito作品をずっと聴いてくれているリスナーはお分かりだと思いますが、常にジャケットには子供というイメージは一切始めた当初から持って来てないんですね。ですので、今回もそのまま気持ちを変えずに僕がお気に入りの写真を選び、KOMPAKTへ送り、レーベル側でタイトルを載せて貰って完成をさせています。メインアルバムは北原くんがデザインし、ビートレスアルバムはレーベルでシンプルに制作をというのが今迄通りの流れです!使われた写真への元々意味があるというよりも音、作品があってそのイメージに合うものを選び抜いた結果がこれらの写真であったという事です。これは過去の作品も変わりありません。

タイトルの意味ですが、ストレートにその思いを伝えますととても重たい意味になります。正に人生というものを意味しています。人それぞれに用意されている人生の最後というものがありますが、その最後の瞬間を迎える迄、自分自身がどうあるべきなのか?どう生きるべきなのか?そんな自問自答の作品です。より誠実に確実に自分であるべき姿を見つめて生きたいという思いを音楽へ全て込めてみています。

ビートレスの『Less Time Until The End』に関してはBeatlessのレス(Less)を文字って過去作品の『Trust less』もそうでしたがMichael Mayerのアイディアでタイトルに新たな息吹を加えて貰ってます。直訳すると『終える迄に残された時間は少ない』というまた意味深な言葉になり対のアルバムとしてとっても最高なタイトルだと思うんですね。


-- 今回のビートレス・アルバムはクラブミュージック以外のファンにも是非聴いてもらいたい作品だと思いました。ワタナベさんは普段他のアンビエ ント・ミュージックやエレクトロニカ等の作品は聴いていますか?好きなアーティストや気に入っている作品があれば教えて下さい。

そもそものエレクトロミュージックへの入りが正に今でいうアンビエントミュージックでしたからね。当時はニューエイジミュージックとも分類されていましたけど多くの作品を聴きましたよ。

ダンスミュージックに自分が入り込む前に特に気に入って聴いていたアメリカのニューエイジ、アンビエント専門の<Hearts of Space>というレーベルがあるんですが、ここから出している作品がまたホントにレーベル名からも分かる通りどのリリース作品を聴いても宇宙を感じるものばかりで好きでしたね。そもそも天体、宇宙が大好きだったのでエレクトロミュージックそのもの、もっと言えばシンセサイザーという楽器そのものが宇宙だと思ってましたからね。(笑)こんなにも音だけで自由に脳が発想を繰り広げられる切掛けを作れるなんて凄い!と幼少期に音から引きずり込まれました。

宇宙というのが軸でもあるのでSF映画で使われたサウンドトラックなどはどれも良い影響受けてますね。富田勳さんも大好きでした。最高ですね。クラシックという音楽の深さ、これがまたとてもとても宇宙ですよ、富田勳さんはそのクラシックの音楽を和えてシンセサイザーで更に宇宙サウンドへとリアレンジして魅了させてくれた訳ですが、そもそもクラシック音楽、現代音楽というもの自体が見事なユニバースサウンドでして、壮大な宇宙そのものを表現している様に感じます。


-- KAITOが所属しているKOMPAKTにはアンビエント・ミュージックで人気のあるウォルフガング・フォイトやトーマス・フェルナンの作品もありますが、彼等の作品は好きですか?

勿論大好きです。僕がKOMPAKTへ作品を送りたいと思った切掛けは『Pop Ambient 2001』を聴いてからですからね。勿論、レーベルとしての認識がそこだったんですがそれ以前からThe Orbも大好きでしたし、90年代中期にNYCのRoselandで行われたThe Orbのライブは最高でしたよ。今でも鮮明にその時の衝撃は忘れられないですね。Gasも勿論聴いてました。レコードで彼等のアンビエントをDJでは混ぜてミックスしてましたしね。


-- 今回の作品を制作していた時に何かエピソードがあれば教えて下さい。

メインアルバム全て完成し終えた後からの作業でしたのでエピソードというものではないですが、実は僕は正直な事を言うとまさかKOMPAKTから4作目となるこのアルバムもビートレスアルバムを出すとは言わないだろうな!と勝手に思ってました。(アルバムの数えで言えば8作目となるんです)というのもやはりなかなかセールスという事で言えば厳しい世の中とシーンが現状ですので勝手にそう思ってたのですが、アルバムのリリースが決まって色々と進行を進めて行く中でMichael Mayerに『さて、今回も恒例のビートレスアルバム出すよね?』ってSkypeで言われて、僕は『勿論でしょ!』って瞬間的に即答してました。(笑)ある意味で、既に出したアルバムの楽曲と全く同じタイトルの曲を全て使って再度アンビエントアルバムを毎回こうして出せている事はこの上ない喜びです。

とっても贅沢な企画だと思っています。本当にKOMPAKTには感謝していますし、Michael本人にこのビートレスアルバムを作り終えた時に、『今迄とはレベルの違う素晴らしい作品が出来上がったね、おめでとう』と言われたんですね。嬉しかったですよ。僕が過去13年間の中で沢山の楽曲をKOMPAKTから出せている事へ言葉では語る事の出来ない思いが沢山あります。


-- 昨年末にKOMPAKT JAPANのパーティーで披露されたライヴは素晴らしい物でしたが、今回のビートレス・アルバムではライヴの予定はあるのでしょうか?

ありがとうございます。昨年末のUNITでのライブは本当に僕も心に残る最高のライブだったと思ってます。ある意味で、自画自賛出来るという事が起こってくれるケースは作り手にとってはとても重要で、作品もライブもDJであれ、常に自画自賛出来る様なクオリティでありたいと願っています!年齢と共に何事にも極めて冷静に物事を捉え、感じる様になっていますのでね、若い時よりも簡単には自画自賛とまで行かないんですよね。ハードルはどんどん上がって行ってしまいますからね。そもそも自分の場合は自分で作った作品は大好きな人なので、昔は正に『自画自賛』という塊でしたね。(笑)若かったです。

話が極めて反れてしまいましたが、、、、ビートレスのライブ、勿論やりたいですよね。
思いと言いますか到達地点がまたライブとしても違いますからね、、過去にも何度かアンビエントライブをしていますが、とても素直に表現が出来て最高です。アルバムの中のSmileという作品は実に2年前のCamp Off-Toneというアンビエント野外フェスにKaitoで出演した時に作り上げた作品なんです。

ですので、アルバム制作の本当のスタートを切れたのもそのアンビエントライブがあったからだったんです。このインタヴュー中でも色々述べさせて頂きましたが、僕にとってアンビエントミュージックは基礎でもあるのでその分、またライブでの思いは深いのだろうと思っていますよ。


-- 今年はどんな年にしたいですか?何かやりたい事はありますか?

更に音楽のイメージを拡大して行きたいですね。これは毎年加速化して行く事なのだと思います。イメージの拡大とは単にジャンルを飛び越えたいという事ではなく、知れているつもりの事であっても更に探求する事で見えて来るよりミクロな部分であったり、超感覚的な部分である訳です。同じ事を続けるという喜びと時にぶつかる大きな壁を常に越えて行きたいと思っています。アルバムを作っている時は、その喜びと苦しさとが常に100%混同していました。

やり遂げたと思えるその瞬間が訪れる迄というのは地獄であり、天国の様です。これはあくまでも僕自身の事ですので苦しさなんて感じない!という方も勿論いる筈ですし、苦しさしか無い!という方もいる筈ですからね。

活動という意味で一番実現をしてみたいのは全国のプラネタリウムを使ってライブツアーをしたいです。これは単に考えている事なのでまだなんの一歩も進んでいる話ではないですが、ある地方ではこの企画を進めるべく動く切っ掛けを現在探していますよ。プラネタリウムでは番組の音楽も絶対に担当してみたいですよね。実際にそんな切っ掛けを持っていらっしゃる方がおりましたら是非お声を掛けて下さい!!!お願いします。


-- 最後にリスナーの方々にメッセージをお願いします。

はい、いつもいつも本当に曲を聴いて下さっている大切なリスナーさん達へは心から感謝しています。ありがとうございます。メール、SNSを通じて様々な方、人生を歩む人達から嬉しいメッセージを頂ける事は正直にこの上無い喜びであり、自分自身の存在意義を確かめられる一つの手段となり、大きな支えとなります。これからもその純粋な活動のサイクルを絶やさず、発し続けられたと思っております。

僕は僕の中で追い求める音楽をこれからも探求して行きたいと思っています、ある意味その勝手な思いで作り上げられた音楽がもし皆さんの心を少しでも潤わすモノであれる様ならば、生きているという意味をまた僕も見出せます。どうぞ『Less Time Until The End』をじっくりと聴いてみて下さい。そして何かを感じて貰えたら是非、遠慮なく僕へ伝えて下さい。お待ちしてます!



Kaito『Less Time Until The End』 [2013年02月05日 発売]


日本人サウンド・クリエイター、Hiroshi Watanabeの人気プロジェクト=KAITOが話題の最新アルバム『Until The End Of Time』からビートを抜いて再構築したビートレス盤をリリース!今回、日本でのみCDリリースとなる本作には海外アナログ・ヴァージョンとは全て異なるフルヴァージョンを贅沢に収録。全てのトラックがこのビートレス・ヴァージョンの為に再構築された美しいアンビエント・アルバム!


収録曲

  • 01. Smile
  • 02. I'm Leaving Home
  • 03. Sky is the Limit
  • 04. Will to Live
  • 05. Run Through the Road in the Fog
  • 06. Behind My Life
  • 07. Inner Space
  • 08. Until the End of Time
  • 09. Dear Friends
  • 10. Star of Snow




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『Less Time Until The End』

Less Time Until The End

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発売日:2014年02月05日

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最新アルバム『Until The End Of Time』

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Until The End Of Time

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Trust Less

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Hundred Million Love Years

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