CASIOPEA 3rd インタビュー

HATS UNLIMITED

2014年11月15日 (土)



-- カシオペア・サードのお披露目ライブをおこなってから1年が経ちましたが、バンドの雰囲気やコンビネーションに変化はありましたか?

野呂 もともとの雰囲気はカシオペア・サードがスタートした時からあまり変わってないですね。大高さんとのなれそめもそもそも呑み会だったので、そういうノリのまま現在に至るという(笑)。ただ、オルガンというカシオペアにとって新しい楽器の位置づけをどうするかということで、サードのメンバーが決まって最初の数カ月は3人(野呂、鳴瀬、大高)でずいぶんリハーサルはしたよね。
鳴瀬 なんで3人だけだったんだろうね。
野呂 なんでだろうねー(笑)。ま、神保さんはリズムが正確なので、最初はメトロノームで練習していても問題ないでしょうということですかね。生神保になってからも、まったくかわらないテンポで行けちゃいますからねぇ。
神保 でも、譜面を見ながらカシオペアの曲を叩くってあり得ないことなので、スタジオに入るときもライブの時も、事前の予習と練習は欠かせないんですよ(笑)。すべての曲を暗譜するので短期間でレコーディングに参加するのは結構チャレンジなんですから

-- カシオペア・サードとしての初のフル・オリジナルアルバム『TA・MA・TE・BOX』がいよいよ完成しました。このタイトルに込められた想いやアルバムのコンセプトについて聞かせてください。

野呂 みんなとごはんを食べながらアルバムの話をしているときに、いろんな音楽、いろんなカシオペアの側面が詰めこまれた「玉手箱的」な作品にしたいね、というのはありました。あんなのも、こんなのも、何でもありだよって。
大高 とにかくレコーディングが楽しくて、それがどの曲にもすごく出ていると思います。いろんなタイプの曲に挑戦しているけれど、1枚のアルバムとして聴いたときにとっ散らかっていない。そこが「野呂マジック」のすごいところだなぁって。
鳴瀬 レコーディングしている最中から、これは良い作品になるなとは感じていたけれど、曲順が決まってから改めて聴いてみたらさらに良くなっていた。完成してからのイメージがここまでいい意味で変わった回はなかったな。ホント、うちのリーダーはやるときゃやりますから(笑)。
野呂 8年間お休みをしていたこともあって、こう、いかにもなタイトルをつけた方がいいのかなと思ったりもしましたが、あまり象徴的なタイトルをつけて聴いてもらう前からイメージが限定されるのはイヤだったんです。「こんな良いモノできたけど、どう?」ってそんな感じのタイトルです。


-- 聴いてすぐにわかるのは、とにかくオルガンの音が印象的だということ。今回、メンバー全員が曲を書いていますが、みなさん、大高さんのオルガンを構いたくて構いたくてしょうがなかったんだなぁという思いが伝わってきます。

大高 あれ、私、構っていただいていたんですか?
鳴瀬 えーっ、わかんなかったのぉ!?
一同 爆笑
鳴瀬 やっぱりオレはベース主体の曲を作りたいって気持ちがあるんだけど、一方でオルガンのリズムカッティングが好きだから、それをうまく絡めてみたらおもしろいかなって思って「VORTEX OF EMOTION」を作ったね。
大高 まさに、イントロからそんな感じの曲でしたよね。
神保 僕がカシオペアの曲を書くときは、いつも何曲か作って野呂さんに選んでもらうんですけれど、今回は3曲書いた中で「BRAND NEW SOUL」がいいね、ということになりました。カシオペアは、大高さんが入ってすごくロック色が強くなった気がしていて、実際の曲の仕上がりも自分が思っていた以上にロックっぽく、ハードなっちゃいましたね。
野呂 やはり今回、曲を作る際には、頭の中で最初からオルガンの音が鳴っていました。だから、今までとは違う曲作りに自ずとなりましたよね。今までは、ここはブラスの音とか、カリビアンな感じの音とか、音色的なイメージも考えながら作っていましたが、今回はすべてオルガンの音で。そういう点でもサードで1年経って、オルガンの位置づけがより明確になってきたんじゃないかと思います。


-- では、オルガンの音が今では違和感なくカシオペアの音になっているんですね。

野呂 そうですね。オルガンってこういう使い方ができるんだというのもだいぶ見えてきましたし。「ああ、この出したり引いたりするバーの組み合わせで、こんなに音が変わるんだ」とか。
大高 ドローバーですね。
野呂 あとは、微妙なスピーカーの回転の付け方で変わるとか。そういう特性がわかっていくなかで、オルガンが僕たちの音楽に根付いていったなと感じますね。


-- 大高さんにとっては、カシオペア・サードのメンバーとして初めての曲になりますね。

大高 とにかく自分の中での「カシオペアらしさ」というイメージを結集させて作った曲なんですけど、私の中でのカシオペアらしさって神保さんのドラミングに象徴される部分がすごく大きくて、いちばん最初に神保さんに「タ、チーチーチーチー」って叩いてほしいなぁって思って生まれた曲なんです。
一同 タ、チーチーチーチー!!(笑)
鳴瀬 ある意味、フュージョンの大道だよな。
神保 長めの曲なのでリズムキープするのが結構大変なんです。
一同 タ、チーチーチーチー(笑)。だから、「AUTOBAHN」なんでしょ?
野呂 大高さんには、カシオペアとして初めてあげていただいた曲なんですけれど、展開の仕方がうまくて、意外性もしっかり練り込んで持って来てくれた。もう「合格!」って感じでしたね。
大高 おありがとうございます(笑)。


-- 大高さんもおっしゃっていたように、バンドの楽しさ、和気あいあいとした雰囲気がしっかりと伝わってくる作品になっていますが、今回、このメンバーでレコーディングをしてみて、再認識したカシオペア・サードの魅力はありましたか?

大高 こうしてシンセサイザーがオルガンに変わっても、確固とした野呂さんの世界観は変わらないんですね。ザッツ・野呂ワールド。メロディアスだったり、オーギュメントの多いコード進行だとか、そういうのが崩れないのがすごいなと思いした。オルガンの使い方にしてもオルガニストが考える使い方とはだいぶ違うアイディアを出して来てくださるので、その辺のやりとりも楽しかったですね。
鳴瀬 ま、結局構成が4人だけだからさ、キーボードがオルガンに変わってもただよってくる普遍性というか、ある意味での頑固さみたいな部分はあるよね。今までも実験的にほかの楽器を入れてみたりしたこともあったけど、あんまり記憶に残ってなかったりするし(笑)。4人の出す音がつねにコアになっているっていう部分はサードになっても変わらずにしっかりあってさ、そこがやっぱりお客さんを惹きつけてるんじゃないかなと思うね。ますます面白くなってると思うよ。
神保 このバンドは結成から数えるともう37年ぐらい経っているらしいんですけど、
鳴瀬 そりゃ、ゴイスーだな!
神保 これだけやっていると、いい意味でも悪い意味でもカドが取れて丸くなってしまうのが世の常だと思うんです。でも、カシオペア・サードの場合はヤンチャな部分もまだまだそのまま残っているし、逆に30年以上やってきた深みも出ているし、すごくおもしろいユニットだなと思います。無限の可能性を感じるバンド……
鳴瀬 へっへっへっ、ホントぉ?
神保 あの、ホント、ホント(笑)


-- リーダーとしての立場から野呂さんはどう思われます?

野呂 サードになってから、より一層「4人でやっています」という音がかたまってきた気がします。ミュージシャンとしては「かたまる」って言葉は好きじゃないんですけどね。やっぱり、つねに流動的でありたい。でも、「あれもやりたい、これもやってみたい」という好奇心やある意味移り気な気持ちがあっても、ベースのところに4人でガッチリかたまって作れる音があるという点は、すごく魅力になっていると思うんです。僕自身、とくに最近そう感じるようになりました。


-- そういう多彩な側面は、オトナだからこそ持てるものでもありますよね

野呂 そうですね。でも一方でコドモじゃないとできないことでもある。だから、いいんですよね。オトナでもありコドモでもあり、とらえどころがなくてかたまってもいないということは、今のカシオペアの魅力の源泉だと思います。


-- オルガンはシンセサイザーとは根本的に違う楽器だということもありますから、レコーディングの手法そのものも、これまでと違う部分があったのでは?

野呂 オルガンってマイク録りする楽器なんですよ。つまり、ライン録りじゃなくてロータリースピーカーから出た音を4本のマイクで拾うんです。エアー感というか、ヘッドフォンで聴いていただくと、オルガンが間近で鳴っているような臨場感を感じてもらえると思います。そういう部分での音の違いはかなり大きいと思いますね。人工的にステレオにしているものだと、他の楽器と横並びにしたときに音が引っ込んじゃうんです、でも、オルガンは引っ込まない。リアルなステレオ感が強力に出ていると思います。


-- そのせいか、リズム隊のおふたりの音もいつもに増して大きく厚くなった感じがしましたが、実際はいかがですか?

鳴瀬 いや、それはオレがうまくなったからじゃない? うそうそうそ!(笑)ベースは今回全曲8弦でやっていて、それもチャレンジだよね。
神保 オルガンって、音が減衰しない楽器なんですよね。音がぶ厚いままでずっとある。だから「僕もそれに負けないドラムの音を出すぞっ♪」というのはありました(笑)。
大高 結果的にどんどん手数が多くなってきましたよね。
野呂 とくにエンディングね。
鳴瀬 サーッとスマートに終わるのかと思ったら、ドガジャガンッ!バババン!!って。「これでいいの?」ってびっくりしてたら、神保が「オッケーですぅ」って(笑)。
神保 キレイにまとまって終わるとその時は気持ちがいいんですけど、後で何度も聴いているうちに自分でつまんなくなって来ちゃうんですよ。だから、少しぶちまけたドラミングの方が、僕的には賞味期限が長い気がするんです。
鳴瀬 ヤンチャだねー、さすがは「世界が尊敬する日本人」(笑)。
※注、神保さんはニューズウイーク誌が発表している「世界が尊敬する日本人100人」に選出されたことがあります。
野呂 尊敬される人は、やっぱりヤンチャじゃないとね(笑)。


-- 『TA・MA・TE・BOX』が11月20日発売、12月にはツアーも予定されていますが、アルバムがこのクオリティの高さなので、ファンの方も今から期待しているでしょうね。

野呂 鳴瀬 もう、そうやってハードルあげないでよ(笑)。


-- とはおっしゃりますが、「実は今回のツアーではこんなことをやらかしてやろう」とか、密かに企んでいることはないんですか?

野呂 逆立ちしながらギターを弾く、とか(笑)?
鳴瀬 いいの、いいのぉ?そんなこと言っちゃって。まぁ、野呂にはMCという課題もあるからな(笑)。
野呂 いや…、はぁ…、MCねぇ。
神保 でも、野呂さんのMCはけっこう好評なんですよ。


-- ファンのみなさんはカシオペア・サードに高い期待を寄せていると思うのですが、最後にそんなお待ちかねのファンのみなさんへメッセージを

野呂 鳴瀬 だから、そうやってハードルあげるの、やめてよ(笑)。
野呂 ええと、明るい未来に向かって頑張ってますので、みなさんもぜひ明るい未来を思い浮かべながらカシオペアを聞いてください。
神保 ヤンチャだけど奥が深い『TA・MA・TE・BOX』、よろしくお願いします!
鳴瀬 頑張って暴れられるように、体調をととのえておきまーす(笑)
大高 でも、本当に期待していただいていいと思います。ツアーもアルバムも、期待して待っていてくださいね。


  CASIOPEA 3rd プロフィール

CASIOPEA 3rd
1979年の鮮烈なレコードデビュー以降、日本を代表するスーパーバンドとして、フュージョンシーンのトップを走り続けている “CASIOPEA”。デビュー当時のキャッチコピーである「スリル・スピード・スーパーテクニック」を文字通り体現しているそのサウンドは、野呂一生の類いまれな作曲能力による親しみやすいメロディーと超絶テクニカルなプレーをいとも簡単に両立させるという、それ迄には考えられなかった全く新しい音楽性を確立し、「ASAYAKE」「DOMINO LINE」等数多くの名曲を世に送り出している。1977年の結成から1989年までの第1期、1990年から2006年までの第2期、そして6年の休止からバンド結成35周年の2012年から再始動の第3期まで、多くのメンバーチェンジを経ながらもバンドとしての評価を維持し続けている。特に第3期からは CASIOPEA 3rd と名称を変え、キーボード向谷実の脱退、大高清美の加入という劇的変化があったが、野呂一生(Eg)、鳴瀬喜博(Eb)、大高清美(Kb)にスペシャルサポートの神保彰(Ds)を加えた CASIOPEA 3rd は、リズムのキレ、絶妙のアンサンブル、最高のグルーブ感等、スーパーバンドの更なる飛躍を予感させる。


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  • これが新生CASIOPEAの実力

    これが新生CASIOPEAの実力

    昨年CASIOPEA 3rdとして復活し、数々の公演、そしてライヴCD、DVDをリリースした彼等が、遂にオリジナル・スタジオ録音作を発表。先着でステッカー。各メンバーのインタビュー掲載中。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

最新スタジオ録音

TA・MA・TE・BOX

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TA・MA・TE・BOX

CASIOPEA 3rd

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ライヴCD

Casiopea 3rd / Live Liftoff 2012 -live Cd-

Blu-spec CD 2

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CASIOPEA 3rd

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ライヴDVD

Casiopea 3rd / Live Liftoff 2012

DVD

Casiopea 3rd / Live Liftoff 2012

CASIOPEA 3rd

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CASIOPEA 3rdスタジオ新録2曲を収録したCrossover Nightコンピ。

Crossover Night ・crossover Japan 2012・

CD

Crossover Night ・crossover Japan 2012・

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