ジョシュア×メルドー こうなった!
Tuesday, May 7th 2013
ブラッド・メルドー・プロデュース♪ ジョシュア・レッドマン 4年ぶりのリーダー作
いつもよりだいぶ甘口だと思う。ただし・・・
重厚な歴史とそこに抗うかのような革新入り乱れるコンテンポラリー・ジャズ・シーンのメイン・ストリート、そのド真ん中を今日も往く。吹けば全ての意気上がる、 “永遠の若大将”テナー(&ソプラノ)、ジョシュア・レッドマン、4年ぶりの最新リーダー作『Walking Shadows』が登場。
もはや説明不要のテナーマン、と言ってもよいのだろう。デビューを飾った90年代から現在に至るまで、同志ブラッド・メルドー、ブライアン・ブレイド、ラリー・グレナディア、ジェフ・バラード、サム・ヤエルらと共に“ジャズの革新”を追及し、常にクリエイティヴでセンセーショナルでラジカル、それでいて、ジャズという音楽に対するとてつもないほどの慈愛を感じさせる作品をぼくらに届けてくれたジョシュア。
また、ヤヤ・キューブドから発展したエラスティック・バンドでは、アコースティック・ジャズの垣根を軽々と飛び越え、2005年のアルバムが話題を呼んだSFジャズ・コレクティヴでは、同郷有志らと伝統的なジャズへの愛情を爆発させ、さらに、ジョシュア以下、アーロン・パークス、マット・ペンマン、エリック・ハーランドという猛者が揃い踏み、テン年代の扉を鮮やかに開けたジェームズ・ファームでは、四者の技と叡智が凝り固まりそうなジャズの概念を首尾よく揉みほぐす。
といった具合に、ジョシュアは現代最高峰のテナーマンでありながらも、決して“孤高”や“ワンマン”、また“聖人君子”のように立ちそびえる存在でいることを好まない。過去のどのアルバムからでも分かるとおり、彼はどんな時でも、バンドメンバーやコラボレイターたちとしっかり膝を付き合わせ対話することで、音楽の豊潤さを手に入れてきたのだ。
その意味から言っても、再び三たびブラッド・メルドー、ブライアン・ブレイド、ラリー・グレナディアといった肝胆相照らすツーカーのソウルメイトが集まった本作『Walking Shadows』は、当然ながらジョシュアのこれまでの音楽遍路にしっかりと則したもので、そこから大きくアウトした“無茶な”作りにはなっていない。
ただしそこに「進歩がない」とするのはこれまた見当違いで、まず分かりやすいところでは、メルドー『Highway Rider』にも参加していたコンダクター/アレンジャー、ダン・コールマン指揮による16人のストリングス・オーケストラとの共演が行なわれているというところに、本作の新鮮味、ひいてはジョシュアの進取の気象なる姿をみることができるだろう。そう、ジョシュアはいつでもチャレンジしながら己の道を切り拓いてきた男でもあるのだ。
こうした新機軸の取り込みが起爆剤となって、気の合う仲間同士とのセッション/レコーディングにもある種独特の緊張感がもたらされる。ゆえに、ジョシュアとメルドー、“ドリーム・ブラザー”の関係に“縁側の囲碁将棋”という言葉は無縁なのだ。これは、昨年の両者のデュオ公演を目の当たりにした人たちにとっては、切に感じられることではないだろうか。遅ればせながら、本作のプロデュースはメルドーが担当。つまりそれが “馴れ合うことなく” 十分に望ましい作用をもたらしているということだ。
『Walking Shadows』 収録曲
- 01. The Folks Who Live On The Hill
- 02. Lush Life
- 03. Stop This Train
- 04. Adagio
- 05. Easy Living
- 06. Doll is Mine
- 07. Infant Eyes
- 08. Let it Be
- 09. Final Hour
- 10. Last Glimpse of Gotham
- 11. Star Dust
- 12. Ugly Beauty (国内盤のみボーナストラックとして収録)
- 13. Let Me Down Easy
Joshua Redman (ts,ss) / Brad Mehldau (p,pro,arr) / Larry Grenadier (ds) / Brian Blade (b)
さて、本作もうひとつの注目ポイントとして挙げたいのが、毎度その独特なセレクト・センスに脱帽させられ、またジャズが新たな局面を迎えていることさえもリアルに感じさせてくれるカヴァー・ナンバー。過去においても、ジェイムズ・ブラウン、スティーヴィー・ワンダー、プリンス、ボブ・ディラン、レッド・ツェッペリン、シェリル・クロウらの楽曲を躊躇なく採り上げていたジョシュアだが、ここでも、ジョン・メイヤー「Stop This Train」、さらには90年代栄光のグランジ・シーンに生み落とされたエクスペリメンタル・ロック・バンド、ブロンド・レッドヘッドの「Doll is Mine」という、まことユニークな2曲がカヴァーされている。
一般的な知名度を踏まえれば、前者はともかく、後者を知っているごくオーソドックスなジャズ・ファンって、例えばここ日本に一体どれぐらいいるのだろうか?・・・ とやや気をもんだりもしたのだが、とはいえ、そんなことはお構いなしと、「演りたい曲を演っただけ」というこれまでの姿勢を崩さずにフェイヴァリット・ソングをガンガン放り込んでくるあたりが、やはり“今を生きるジャズマン”たる所以でもある。そして何より、ジョシュア、メルドーにしても至極柔軟で、なおかつ懐が深い音楽家ということなのだ。
ほどなく濡れたジョシュアのソフトな口当たりにもマッチした「Doll is Mine」は、原曲を知らずに聴けば、「この“スタンダード”・・・何だっけ?」という錯覚に陥る可能性も? 一方の「Stop This Train」にしても、ジョシュアならではの艶のある音色がメロディのよさを際立たせている天晴れなもの(特にロック・ファンにはたまらない質感だろうな)。いつまでもビートルズの「Let It Be」ばかりにジャズ・カヴァーとの親和性を見出している場合じゃないぞと。そういう点でもこの2曲のカヴァーは痛快だ。
ストリングスが濃厚に絡むウェイン・ショーターの「Infant Eyes」でソプラノを操るジョシュア。つい先日、老いてなお化け物級に素晴らしいリーダー・アルバムを発表したそのショーターの姿に、彼はきっと目から鱗どころか、溢れ返る万感の想いを隠しきれなかったに違いない。7年ほど前にジョー・ロヴァーノと吹き分けた「Indian Song」を採り上げたときとは比べ物にならないほど、そこに深い感情の移入が感じられるのは気のせいだろうか?
ジョシュアのテナー/ソプラノは相変わらずメロウでジェントリーだなぁ、と口々にもらす人も多いことだろう。ストリングスとの相乗効果もあって、いつもよりだいぶ甘口だと思う。ただし、「The Folks Who Live On The Hill」、「Lush Life」、「Stardust」といったおなじみのスタンダードにしても、ツーンと香る甘さはあるものの、メルドーやパトリック・ジメリらアレンジャーとの綿密な意見交換やディスカッションがあったことを窺わせる、それだけ出来が良く飽きさせないものになっている。独奏から流れ込む「Stardust」などは、何というか、四十男の知的なエロスをビシビシと感じさせてくれる。本作のハイライトと言ってさしつかえないほどの仕上がりだろう。
チャレンジ精神旺盛ではあるが、作品ごとにその毛色を大きく違えることはないジョシュアの傾向からすれば、この『Walking Shadows』にも安心二重丸の“ジョシュア印”が押されていると言ってもいいと思う。それは、本作が例に漏れず、メンバー含む周りの人間たちとのコミュニケーションがしっかり成された上で、クリエイティヴィティというものが初めて形になっている、という意味合いにおいても同様。しかし、ジョシュアらしさは据え置きなのに、いつもより全体を包むムードに高揚したものがあるというのもまた正解。
勿論ストリングスの導入がその要因のひとつでもあるのだろうが、でもきっとそんな単純な話でもないのだと思う。また前作『Compass』と比べてもリズム面などに凝った仕掛けがあるわけじゃない。いたってシンプルだ。
そしてシンプルであるがために窮めるべき奥義、それにジョシュアは出逢うことができのではないだろうか、と。その悦びによって、これまでになく甘く高揚した主役テナーの熱気そのものがどの音からも迸っている。ごく個人的な感想ではあるが、少なくともそう感じずにはいられなかった。
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