Wednesday, February 13th 2013
いつまでも歌い継がれているスタンダード・ナンバーの魅力がたっぷり。 第一弾となる本作は「恋」をテーマに甘く、時にほろ苦い48の物語が収められています。
 『いつか聴いた歌 〜スタンダード・ラヴ・ソングス』
Sony Musicが有するColumbia、RCAといった歴史あるレーベルの音源を中心に、Universal Music、 EMI Musicなどの音源も収録。まさに名アーティストによる珠玉のラヴ・ソングのスタンダートを収録したコンピレーション。CD収録タイムぎりぎりの48曲を収録。企画・監修・選曲・解説はグラフィック・デザイナー、イラストレーター、エッセイスト、映画監督など、様々な分野で幅広く活躍を続けている和田誠氏。スダンダード曲に造詣が深く、スタンダード曲の魅力をまとめた「いつか聴いた歌」(文春)の著書もあり、今回のタイトルにもなっています。ジャケットのイラストレーションも和田誠氏による書下ろし。さらに今回の歌詞の対訳も和田誠氏が手掛けており、スタンダード・ソングの魅力を歌詞の面からもお楽しみ頂けます。

初回盤のみ3種類(和田誠氏のイラストレーション:フランク・シナトラ、トニイ・ベネット、エラ・フィッツジェラルドを使用)のメッセージ・カードを封入。

『いつか聴いた歌』のこと、スタンダード・ソングのこと、和田誠さんに色々とお訊きしました。
『いつか聴いた歌 〜スタンダード・ラヴ・ソングス』から始める はじめてのスタンダード・ソング
「スタンダード」とは文字通り「標準」「規準」を意味することば。音楽の世界では、50年以上に亘って標準であり続ける、つまり多くの音楽家たちによって、時間を越えて今なお歌い継がれ、演奏され続けている曲を一般的に「スタンダード・ソング/ナンバー」と呼んでいます。歌い手や演奏家のオリジナリティに沿った、または時代に応じた様々な解釈がなされることで原曲の表情はみずみずしくも多彩に変化。古典といえども決して過去の遺産として封じ込められるわけではなく、事あるごとに取り上げられてはそこに新しい息吹がもたらされていくものがほとんどです。
ここでは星の数ほどあるスタンダード・ソング/ナンバーを、和田誠さん監修・選曲の『いつか聴いた歌』収録曲に照らし合わせながら厳選。さらにジャズ器楽奏者の名演など、”聴き比べ”に持ってこいの作品を(わずかながらですが)もろもろ追加。
「スタンダードの名唱・名演をさがせば、必ずやジャズのマスターピースに突き当たる」(その逆も然り)ということで、まずは前編として、ディスク1 [Love Is] サイドの24曲と、そこに準じた都合84作品をご紹介しましょう。
「What Is This Thing Called Love ?」 (恋とは何でしょう)
作詞・作曲: コール・ポーター [1929年録音]
1929年、ミュージカル「ウェイク・アップ・アンド・ドリーム」の中でエルシー・カーライル(ロンドン公演)とフランセス・シェリー(ニューヨーク公演)によって歌われた恋の歌。「神様に聞いてみた、恋とはいったい何なのでしょう?」とポツリ。この曲のコード進行を引用したタッド・ダメロンの「ホット・ハウス」がチャーリー・パーカーに取り上げられたことから、ビ・バップ以降のジャズメンたちにも多く愛奏されている。
「My Romance」 (マイ・ロマンス)
作詞: ロレンツ・ハート/作曲: リチャード・ロジャース [1935年録音]
1935年、ミュージカル「ビリー・ローズのジャンボ」の主題歌として歌われた。当時はヒットしなかったものの、1962年にドリス・デイ主演で映画化され、そのドリスのヴァージョンが最も有名だろう。「素敵なムードはいらない。あなただけでいいの」という一途な恋を表した歌詞。シンガーだけでなく、ビル・エヴァンスをはじめ多くのピアニスト〜器楽奏者にも愛奏され続けている。
Doris Day 『Jumbo』 (1962) 
1962年公開のミュージカル映画「ビリー・ローズのジャンボ」で披露され最もポピュラーとなった、主演ドリス・デイによる歌唱。共演相手で当時の夫でもあったマーティン・メルチャーに艶っぽく語りかけるように。
「Embraceable You」 (君を抱いて)
作詞: アイラ・ガーシュイン/作曲: ジョージ・ガーシュイン [1930年録音]
1930年、アイラ&ジョージのガーシュイン兄弟がミュージカル「ガール・クレイジー」のために書いたもので、ジンジャー・ロジャース(レッド・ニコルス楽団伴奏)によって歌われた。その後1932、43、65年に映画化され、それぞれアーリーン・ジャッジ、ジュディ・ガーランド、コニー・フランシスによって歌われた。
Dianne Reeves
『The Calling』 (2001)
サラ・ヴォーンというジャズ・ヴォーカル界が生んだ最高のディーバに捧げられたアルバム。冒頭「Lullaby of Birdland」〜「Speak Low」の流れはサラの雰囲気を自分の個性へと純化した気持ちの良い流れを感じさせる。スキャットでの個性もサラにはなかった新しい感覚。
「The Nearness Of You」 (あなたのそばに)
作詞: ネッド・ワシントン/作曲: ホーギー・カーマイケル [1937年録音]
1938年のパラマウント映画「ロマンス・イン・ザ・ダーク」で挿入されたのが最初と言われているスタンダード・バラードの代表曲。「ぼくの気持ちが高ぶっているのは、君のそばにいるから」という典型的なラブ・ソングは、40年代のグレン・ミラー楽団&レイ・エバールを皮切りに、現在でもノラ・ジョーンズなど多くのシンガーに歌い継がれている。
「Fools Rush In (Where Angels Fear To Tread)」 (恋は愚かと言うけれど)
作詞: ジョニー・マーサー/作曲: ルーブ・ブルーム [1940年録音]
キャピトル・レコードの創始者でもあるソングライター、ジョニー・マーサーがルーブ・ブルームの曲に詞を乗せたもの。1940年にグレン・ミラー楽団&レイ・エバールが録音してヒット。同年トミー・ドーシー楽団の伴奏でフランク・シナトラも歌っている。ほか、ディーン・マーティン、エルヴィス・プレスリー、リッキー・ネルソンなどポップス界でも頻繁に取り上げられた。
Dean Martin 『Dream With Dean』 (1964)
バーニー・ケッセル(g)、レッド・ミッチェル(b)らジャズ・コンボをバックに悠々と歌う、シナトラ一家(ラット・パック)のディーン・マーティン。聴き手の女性をウットリさせる歌唱はまさに伊達男の本領。
Glenn Miller
『The Essential』
スウィング・メロディの魔術師、“キング・オブ・スウィング” グレン・ミラー。最大のヒット曲「In The Mood」から「G.I. Jive」まで一気に聴かせる不滅のグレン・ミラー・サウンドを堪能できるベスト盤。「Fools Rush In」はレイ・エバールが歌う1940年のヒット。
Stan Getz
『Plays』 (1957)
ゲッツはホットとクールの両面を持ったジャズ史上最高の“メロディスト”だった。実はウォームな一面を多く持つゲッツの典型的なアルバムで、次々と印象的なフレーズを繰り出す尽きぬクリエイティヴィティを満喫するにも最適な一枚。
「It Could Happen To You」 (あなたに降る夢)
作詞: ジョニー・パーク/作曲: ジミー・ヴァン・ヒューゼン [1944年録音]
1944年の映画「アンド・ジ・エンジェル・シング」で使われ、ドロシー・ラムーアとフレッド・マクマレイによって歌われた人気スタンダード。「恋の病に気をつけなさい」といった内容のユニークな恋愛歌で、ビング・クロスビー、ジョー・スタッフォードらが歌い、またマイルス・デイヴィス、ホレス・パーラン、秋吉敏子などによって絶妙なアレンジが施された様々な名演が生まれた。
Miles Davis
『Relaxin'』 (1956)
4枚の「マラソン・セッション」の中でも人気・出来共にトップに挙げられるアルバム。冒頭のレッド・ガーランド弾き直しは、ジャズが生成されていく過程を図らずも披露した、ジャズ史上最も素晴らしい瞬間。マイルスが、トランペッターとしてクリフォード・ブラウンの高みに迫った時間がここにある。
「My Funny Valentine」 (いとしのヴァレンタイン)
作詞: ロレンツ・ハート/作曲: リチャード・ロジャース [1937年録音]
1937年のミュージカル「ベイブス・イン・マイ・アームズ」で使用された曲で、2年後の映画化の際にはジュディ・ガーランドによって歌われている。甘く蕩けるようなムードを連想するが、「わたしを心から笑わせてくれる、かわいくて面白いヴァレンタイン」と内容はまさに”ファニーな男”のことを歌っている。女性シンガーだけでなく、チェット・ベイカー、フランク・シナトラら多くの男性シンガーにも取り上げられている。
Chet Baker 『Sings』 (1956) 
耳元で囁くようにそっと歌われたこの曲も、都合100テイクはレコーディングされたと言われている。当初、評論家筋ウケこそ決して良くはなかったが、女性のハートはしっかりキャッチ。チェットが歌えばすべてが媚薬となる。
Miles Davis
『My Funny Valentine』 (1965)
1964年2月12日のライヴを本作と『Four & More』に分けて発売。静の『My Funny Valentine』と動の『Four & More』と評された。マイルスのライヴ演奏の中でスロームードの演奏を集めてこれだけのレベルを保った作品は他にない。「My Funny Valentine」を録音した名盤は数あれど、これぞマイルスによる決定盤。
「My One And Only Love」 (ただひとつの恋)
作詞: ロバート・メリン/作曲: ガイ・ウッド [1953年録音]
ロシアのクラシック音楽アントン・ルービンシュタインの「ロマンス」をベースにして作られたと言われており、1953年にフランク・シナトラが歌って大ヒットした大人の男のラヴ・ソング。ジャズ・シンガー/器楽奏者にも多く取り上げられるようになるが、その規範となったのは、1963年のジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマンによる共演ヴァージョンだろう。
Doris Day / Andre Previn 『Duet』 (1962)
ドリス・デイがアンドレ・プレヴィンのピアノトリオ伴奏で歌うスタンダード。クラシックの作曲家・指揮者としても高名なプレヴィンの流麗なピアノが主役の貞淑な歌唱を支え、はんなりとしたムードを演出している。
「But Beautiful」 (バット・ビューティフル)
作詞: ジョニー・パーク/作曲: ジミー・ヴァン・ヒューゼン [1947年録音]
1947年のパラマウント映画「ロード・トゥ・リオ(南米珍道中)」の挿入歌として書かれ、ビング・クロスビーが歌い大ヒットを記録。クロスビーの代名詞的1曲となった。「恋は可笑しかったり、悲しかったり・・・浮かれては泣いて、でも、ひたすら美しい」という究極的な価値観を表した人生讃歌。
Bing Crosby
『Crosby Classics』
「White Christmas」などのヒットで「クリスマスソングの王様」とも呼ばれ、またスマートで滑らかな歌唱法の「クルーナー・スタイル」を確立した国民的シンガー、ビング・クロスビー。自らが出演する映画「珍道中」シリーズの第5作目「Road to Rio」で歌われた「But Beautiful」を収録。
「It Had To Be You」 (もしあなただったら)
作詞: ガス・カーン/作曲: アイシャム・ジョーンズ [1924年録音]
1924年以降、現在も愛唱・愛奏され続けている息の長いスタンダード。アイシャムが自己楽団で最初のヒットを記録し、マリオン・ハリス、アーティ・ショウ楽団の録音で一躍有名となった。「僕の運命の人、あなたでなければだめなんだ」という切実な想いを託した歌詞と哀愁のメロディ。アンディ・ウィリアムス、フランク・シナトラ、昨今は、ハリー・コニックJr. やロッド・スチュワートなどポピュラー方面でも度々取り上げられている。
Django Reinhardt
『Djangology』
フランスが生んだ最も偉大なジャズ・ミュージシャンとしてジプシー・スイングのコンセプトをジャズと融合したジャンゴ・ラインハルト。僚友ステファン・グラッペリと共に、ヨーロッパの格調と香気に満ち、郷愁と哀愁溢れる決定的名演の数々を生んだ。
「All The Things You Are」 (君は我がすべて)
作詞: オスカー・ハマースタイン U世/作曲: ジェローム・カーン [1939年録音]
1939年のミュージカル「5月にしては暖かい」のために書かれた、元々はスローテンポのバラード。舞台はヒットせず、曲自体も広い音域を必要とするために、取り上げるシンガーは少なかったが、その斬新なハーモニーなどがミュージシャンにウケて、古くはチャーリー・パーカー、80年代にはポール・ブレイ、近年ではパット・メセニーなど、原曲とは異なる様々なアレンジで演奏されるようになった。
「Like Someone In Love」 (ライク・サムワン・イン・ラブ)
作詞: ジョニー・パーク/作曲: ジミー・ヴァン・ヒューゼン [1944年録音]
1944年の映画「ユーコンの美女」の挿入歌として書かれ、その劇中でダイナ・ショアが歌った甘美なスロー・バラード。「この気持ちは何? まるで恋してる人みたい」という内容で、フランク・シナトラ、ビング・クロスビー、サラ・ヴォーンら多くの大物シンガーに取り上げられている。器楽演奏では、エリック・ドルフィー、ジョン・コルトレーン、アート・ファーマーによるヴァージョンも素晴らしい。
Art Farmer
『Modern Art』 (1958)
盟友ベニー・ゴルソン(ts)の参加とアレンジを得て、アート・ファーマーがソウルフルなプレイを繰り広げる傑作。加えて、このようなファンキー・セッションに顔を出したことのないビル・エヴァンスとの共演もトピック。いつものリリカルなプレイを強調しつつも、ブルージーなタッチを響かせるところが興味深い。
「Love Me Or Leave Me」 (ラブ・ミー・オア・リーヴ・ミー)
作詞: ガス・カーン/作曲: ウォルター・ドナルドソン [1928年録音]
”トーチ・ソングの女王” ルース・エティングが、エディ・キャンター主演のミュージカル「ウーピー」で歌いヒットを記録。その後1955年に彼女の伝記映画「情欲の悪魔(Love Me Or Leave Me)」が作られた際に、エティング役のドリス・デイによって歌われ、ほか、ビリー・ホリデイ、アニタ・オディ、ペギー・リー、ニーナ・シモン、さらに日本の美空ひばりといった名だたる女性シンガーたちが取り上げている。
美空ひばり
『ジャズ&スタンダード 1955-66』
昭和20年代頃に美空ひばりがジャズのスタンダードを歌った作品集。表現力の豊かさ、タメが効いた独自のリズム感、「A列車で行こう」における天性のスウィング感、シャンソンやブルースまでもをサラリと歌いこなすセンスなど、歌謡界の女王にとどまらないその芸と懐の深さは、やはり美空ひばりならでは。
「Come Rain Or Come Shine」 (降っても晴れても)
作詞: ジョニー・マーサー/作曲: ハロルド・アーレン [1946年録音]
1946年、ミュージカル「セントルイス・ウーマン」の挿入歌として書かれ、リナ・ホーンの”トラ”として舞台に立ったパール・ベイリーによって歌われたラヴ・ソング。ミュージカルはヒットしなかったものの、「どしゃ降りだろうと、かんかん照りだろうと、君さえよければ、僕は君のことを想い続けたい」というシンプルな求愛歌詞と、ハロルド・アーレンの心地よく洗練されたメロディとが聴き手の心を捉えた。
Art Blakey
『Moanin'』 (1959)
日本中にファンキー・ブームを巻き起こしたことで、ブルーノート諸作品中知名度・人気度共に群を抜いて高い一枚。リー・モーガン、ベニー・ゴルソン、ボビー・ティモンズというやがてこの時代を動かすことになる若者達が怖いもの知らずに吹きまくる様は、40年以上経った今もまったく色褪せていない。「Come Rain...」にしてもファンキー。
「All Of Me」 (オール・オブ・ミー)
作詞・作曲: セイモア・シモンズ、ジェラルド・マークス [1931年録音]
ベル・ベイカーによるヒットを皮切りに、1932年には映画「ケアレス・レディ」で使われ、その後ルース・エティング、ケイト・スミス、ビリー・ホリデイ、ダイナ・ワシントンなど女性シンガーの歌唱でもおなじみの曲。1952年のミュージカル映画「ミーティング・ダニー・ウィルソン」で主演のフランク・シナトラがスウィンギーに歌ったことでリバイバル・ヒット。「どうしてわたしの全てを奪ってくれないの?」という歌詞さえもシナトラ流に料理された。
Lee Konitz
『Motion』 (1961)
エルヴィン・ジョーンズとの出会いがコニッツを一段とエキサイトさせた、まさにエモーショナルなアルバム。ソニー・ダラスのホリゾンタルなベース・ランニング、五線譜を掛けまわるコニッツ、ポリリズムに徹して我は関せずのエルヴィン。三者三様ながらまとまりのある不思議な名演。
「Love Is Here To Stay」 (わが愛はここに)
作詞: アイラ・ガーシュイン/作曲: ジョージ・ガーシュイン [1938年録音]
1938年、映画「ザ・ゴールドウィンズ・フォリーズ」のために書いたと言われているが、兄ジョージはこの曲の完成を前に1937年7月死去。そのため親交のあったピアニストのオスカー・レヴァントが、作曲家のヴァーノン・デュークの協力を仰ぎながら仕上げたという。「ラジオや電話や映画は所詮流行りもの。でも、わたしたちの愛は変わらずここにある」という内容で、1951年の映画「巴里のアメリカ人」に使われ有名となった。
Bill Evans
『Trio '65』 (1965)
チャック・イスラエル(b)、ラリー・バンカー(ds)という新編成トリオでお気に入りのレパートリーを取り上げ、新たな生命を吹き込んだ愛奏曲集。エヴァンス・トリオ史上最もリラックスした味わいのメンバー。ナチュラル感覚のサウンドが心地よい。
「You Make Me Feel So Young」 (ユー・メイク・ミー・フィール・ソー・ヤング)
作詞: マック・ゴードン/作曲: ジョウゼフ・マイロウ [1946年録音]
1946年、映画「スリー・リトル・ガールズ・イン・ブルー」で、ヴェラ・エレンとフランク・ラティモアによって歌われた。1956年、フランク・シナトラが豪華なネルソン・リドル楽団をバックに「君の笑顔を見てると、とても幸せだ」と明るくダイナミックに歌ったことで一躍スタンダードに。ペリー・コモ、ポール・アンカ、ボビー・ダーリン、エラ・フィッツジェラルド、クリス・コナー、ジェリ・サザーンなど男女問わず多くのシンガーに取り上げられている。
Paul Anka 『The Essential』 
1962年録音。「若いんだから、どんどん恋をしよう!」というコンセプトで制作されたアルバム『Young, Alive And In Love!』に収録。オープニングのコーラスに導かれ、まさに青春を謳歌するように勢いよくハジけるパフォーマンスにパワーをもらえる。
「I Could Write A Book」 (書き残したい私の恋)
作詞: ロレンツ・ハート/作曲: リチャード・ロジャース [1940年録音]
1940年、ミュージカル「パル・ジョーイ」の中でジーン・ケリーが歌い、1957年、その映画化の際にフランク・シナトラが歌ったことで有名に。「あなたの歩き方、囁き方、愛し方・・・ 何でも知っているから本を書けるわ」という微笑ましくも心温まる歌詞のため、エラ・フィッツジェラルド、アニタ・オデイ、トニ・ハーパー、ダイナ・ワシントン、ベティ・カーターなど女性シンガーによる名唱が多いのも納得できる。
Betty Carter 『The Ultimate』 
1955年録音。ライオネル・ハンプトン楽団で華々しくデビューを飾ったベティ・カーターの初アルバムから。バップ・イディオムの即興歌唱スタイルを得意とすることもあって、しっとりと歌う中にも独特のグルーヴと訛りがある。レイ・ブライアント・トリオの伴奏も文句なし。
O.S.T.
『Pal Joey』 (1957)
フランク・シナトラ、キム・ノヴァク、リタ・ヘイワース出演の映画「パル・ジョーイ(夜の豹)」の中で歌われた「I Could Write A Book」。コメディ・タッチになりすぎず雰囲気たっぷりに歌えるのはシナトラならでは。ほか劇中には「My Funny Valentine」などスタンダードが満載。
「That Old Black Magic」 (恋の魔術師)
作詞: ジョニー・マーサー/作曲: ハロルド・アーレン [1942年録音]
1942年、ビング・クロスビー主演のパラマウント映画「スター・スパングルド・リズム」の挿入歌として書かれ、ジョニー・ジョンストンによって歌われた、歌詞に大きな魅力を持つ恋の歌。「恋という名の古き黒魔術」というのがまさにその「恋心」。エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラ、スキップ・ネルソン、ルイス・プリマ&キーリー・スミス、さらには1956年の映画「バス停留所」で歌ったマリリン・モンローの歌唱が有名だろう。
Herbie Hancock
『Trio '81』 (1981)
60年代黄金の第二期マイルス・クインテットのメンバーとして活躍したハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)によるアルバム。「V.S.O.P.クインテットのトリオ版」とも言える『Trio '77』とはまた異なる成熟したピアノトリオ・サウンド。
「I Concentrate On You」
(あなたに夢中)
作詞・作曲: コール・ポーター [1939年録音]
ミュージカル映画「ザ・ブロードウェイ・メロディ・オブ・1949」に使われ、主演のフレッド・アステアによって歌われた名スタンダード。「みんながお前はもう終わりだと言っても、僕は君のことだけを考えている」という歌詞が心に響く。ジャズはもとより、ラテンやボサノヴァ・アレンジのものも多く、アントニオ・カルロス・ジョビンとフランク・シナトラの素晴らしい共演なども残されている。
「Too Marvelous For Words」 (口に出せない素晴らしさ)
作詞: ジョニー・マーサー/作曲: リチャード・ホワイティング [1937年録音]
1937年、ミュージカル映画「レディー・ウィリング・アンド・ エイブル」に使用され、ルビー・キーラーとリー・ディクソンによって歌われ、また同年にはビング・クロスビーのヴァージョンがヒットした。「君は素晴らしい。ウェブスター辞典にも形容する言葉が載っていないぐらい」というやや大げさな愛情表現の歌詞が人気となり、ナット・キング・コール、ヘレン・フォレスト、ドリス・デイ、さらにオスカー・ピーターソンまでにも愛唱された。
Nat King Cole Trio
『Best Of』
1947年録音。歌唱以上にジャズ・ピアニストとして高い評価を得ていたナット・キング・コール。ジャイヴ感覚溢れる粋な演奏に艶のある歌声が乗る、トリオ時代のビッグヒットがこの「Too Marvellous For Words」。
「Alone Together」 (たった二人で)
作詞: ハワード・ディーツ/作曲: アーサー・シュワルツ [1932年録音]
ディーツ&シュワルツの名ソングライター・コンビによって、1932年のミュージカル「フライング・カラーズ」のために書かれた。マイナーからメジャーに転調するコード進行や変則的な構成から、器楽演奏で取り上げられることが多い。また、ダイナ・ワシントンとクリフォード・ブラウン、チェット・ベイカーとビル・エヴァンス、ケニー・ドーハムとトミー・フラナガンなどの名競演も残されている。
Chet Baker
『Chet』 (1959)
甘い歌こそ披露していないものの、パシフィック時代とも異なるロマンチックな響きを持つインスト曲に耽溺。ビル・エヴァンス(p)の参加も貴重。「アローン・トゥゲザー」一曲でチェットの虜になることだろう。
[Torch] 編は3月7日掲載予定です。
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