HMVインタビュー：西崎信太郎 ダンス＆ソウル・インタビューへ戻る

-- 今年の1月にリリースされた『Urban NEXT-R&B Masterpiece』シリーズ第二弾、リリースおめでとうございます。 前作は私もたくさん聴かせていただいていて、今回のリリースを本当に楽しみにしていました。年内に第二弾リリースは予定通りでしたか？

西崎信太郎（以下、N）： 欲を言えばもっとリリースしたかったですが(笑)、でもバッチリ予定通りです！


-- 今回でUrban NEXTシリーズは10作目ですね。一番最初にリリースした二年半前とご自身や業界の変化を感じたりしますか？

N：　 僕自身は第1作目をリリースした頃と比べて環境の変化はありましたので、シーンに対する見方も変わりました。 結果的にこれは僕自身にとってかなりプラスな事でした。 今の音楽業界は明るい話題が少ないですからね。 言い訳して現状に愚痴を言うのは簡単なので、いかにリスナーの方に喜んでもらえる事をするか。それを誠実に届けるだけです。 それが出来なかったら趣味で音楽を楽しんでいる方が幸せでしょうね、きっと。


-- 10作目だからこそ意識したことはありますか？

N：　 いえ、特に意識はしていないです。 数えたら10作目だったっていうだけで(笑)、でも常に進化はしたいです。 「このロゴのCD見たことある！」とか「この人がオススメする曲なら間違いない！」ってもっと沢山の人に言われるようになりたいですね。


-- “アーティストや曲の知名度を度外視した良質なR&Bだけにフォーカスする”というのは、実はみんなやりたくてもなかなか手が出せないところだと思うんです。 有名でないだけにリリースにするにあたってリスクを考えたり・・・西崎さん自身今まで不安に感じることはありましたか？

N：　 リスクは全く考えていないです。考えた事もないですね。むしろチャンス、市場がないなら市場を作れば良いだけですから。 もちろん、色々な障害は沢山あります。 だからこそやりがいがあると思っています、チャレンジはワクワクしますね。今年は約30組のアーティストのアルバムを日本でリリースしました。日本では知名度の低いアーティスト達ばかりです。でも彼らとて、音楽愛を持って誠実にアーティスト活動を続け、実に素晴らしい曲を生み出しています。そんな良いアーティスト達を日本で広めないなんて、罪だと思いませんか？ 音楽の本質は娯楽です。楽しませる事が目的なので、1人でも多くの人と良い音楽を共有する、それしかないです。そこにメジャーやインディと言った枠組みは一切関係無いと思ってます。


-- 一言でザックリ聞いちゃいます！R&Bの魅力ってなんだと思いますか？

N：　 これは永遠のテーマですね！カッコつけた言い方すれば、理解出来ないからやり続ける、そんな感じです。僕自身もずっとR&Bの魅力を追い続けていたいので、あえて理解しないで感じるようにしているのかもしれないです。答えになってないですね(笑)。


-- 今回がCD初収録のアーティストもいますが、何千、何万といるインディーアーティストの中どうやってニューカマーを探し出すんですか？企業秘密の場合ヒントください(笑)！

N：　 海外アーティストの場合はネットで探すしかないですね。でもそれだけで充分です。新しいアーティスト達との出会いは本当に楽しいですよ！


-- 膨大な楽曲を聴いて選ばれていると思いますが、第一印象を信じますか？じっくり何度も聴いて選びますか？

N：　 全て第1印象です。理由は、R&Bをもっと広めたいと思っているからです。もっと広めたいという事は、今までR&Bに馴染みがなかった方達にも楽しんでもらいたいという事を意味しています。先程の「R&Bの魅力って何ですか？」と聞かれても僕自身、実はその答えがまだ分からないんです。そもそもフィーリングで好きになった人間なので。理屈を超えた部分というか。例えば、店頭で僕がプロデュースするCDをどなたかが聴いて下さるとします。でも、試聴機の前で30分も試聴する方って本当に稀だと思います。でも、そこで良いって思ってもらわなければ買って頂けない、だからファースト・インプレッションは本当に大切です。こちらの伝えたい意図を超えて、理屈抜きに良いと思って頂けないといけないので。まずは好きになってもらう事が大切、じっくり聴いて頂けるのはその後でも良いと思っております。


-- 収録曲はアルバム全体のコンセプトやイメージを決めてから選ばれるのでしょうか？

N：　 今回のUrban NEXTの副題は“Masterpiece”で、R&Bを聴くにあたって絶対に聴いておいて欲しいマスターピースな楽曲を選びました。でも一番大切なのは聴きやすさですね！主張はいくら強くても問題ないと思っていますが、結果的にそれが多くの人に受け入れられなければただの自己満足で終わってしまうので。1人でも多くの方が楽しんで頂けたら嬉しいです！


-- 今回はSWVやエリオット・ヤミン、ジェイ・ショーン等、すでにスターな人たちも参加されてますがメジャー・アーティストも収録しようと思った経緯を教えてください。

N：　 これは入口を広げる為です。先程も答えさせて頂いたように、自己主張を強く持たないといけないけど、決して自己満足で終わってはいけないと思っています。でも、やはりインディーズでも良いアーティストが沢山いるという事は伝えていきたい。でもどうしても接点が少ないアーティストばかりだと、リスナーの方からすればリスクが高い。だから今回はより知名度の高いアーティスト達の楽曲も収録させて頂こうと思いました。


-- 元プリティ・リッキーのAmbitionの楽曲はグループの時とはまた違った雰囲気を感じましたが、ソロになって新たな一面を見れるのも音楽の面白いところですね。

N：　 Ambitionがプリティ・リッキーに在籍していた時は、結局アルバムをリリース出来なかったから残念でしたね。この曲は特に聴きやすい雰囲気が出ていたので今回収録させて頂きました。


-- この曲はこんなシーンにおすすめ！という西崎さん流の聴き方はありますか？

N：　 男性の方がこのCDをドライブ中にかけて、女性を口説いてくれればそれで満足です(笑)。


-- ここだけの話、この曲を収録するのは大変だった・・という裏話があれば教えてください。

N：　 特に無いですね！レコード会社の皆様に本当に感謝です！タケ社長、アパッチさん、トモさんに本当に感謝です！


-- 今回、スティーヴィー・ホアンは2曲収録ですね。やはり西崎さんのアルバムには欠かせない存在ですか？

N：　 そうですね、彼とは良い関係を築けていると思います。僕自身も彼がいたから今の自分がいると思っていますし、今後も何か面白い事が出来たら良いなと思っております！


-- Urban Nextシリーズは毎回ジャケットもオシャレですが、今回のデザインはどんなテーマだったのでしょうか？

N：　 これだけCDの存在価値が稀薄化しているとジャケットのアドヴァンテージを高めたいと思いまして、今回は洋雑誌風にしてみました。 ビジュアル面からR&Bのスマートさをアプローチしたかったのと、よりファッショナブルにする事によって、これまでR&Bに馴染みがなかった方も手に取りやすいかなと思いまして、今回はこのようなデザインにしてみました。


-- いまや「西崎さんが推すなら間違いない！」という選び方をする人もたくさんいると思いますが、R&Bファンのアツイ想い、西崎さんまで届いていますか？

N：　 自分自身は趣味で音楽を楽しんでいる頃と本質は何も変わっていない至って普通の人間ですが、SNS等を通して頂く沢山のお言葉は嬉しいですね。本当に励みになります。僕はど素人から音楽業界に入ったので、素人目線を持っている事は最大の強みだと思っています。喜びも、楽しさも、よく分かるんです。だから嬉しい事にいつも僕をサポートして下さっている方達と、共に音楽シーンを盛り上げていけたらなと思っています！喜びは共有した時にその本質が理解出来ると思っていますから。


-- 今回のUrban NEXT -R&B Masterpiece 2-、R&Bファンにとって最高のクリスマスプレゼントになると思います。もう次回へ向けての準備も進んでいたりするのでしょうか。

N：　 進みまくっています！どんどんリリースをしたいと思っています！


-- このアルバムでR&Bを聴き始める方もいると思いますが、やっぱりR&B Masterpieceの第一弾を振り返った方がいいですか？

N：　 僕は「あの頃にしては良かったな」って思うような気持ちで何かを作っている訳ではありません。常に自分が良いと思った音楽を発信しているつもりです。だからいつ聴いて頂いても良いと思って頂けると信じております。ですので、是非過去の作品も振り返って聴いて頂けたら嬉しいです！


-- では全国のR&Bファンに向けてメッセージおねがいします！

N：　 素敵なR&Bを聴きまくって、皆幸せになっちゃえば良いのに！