10-FEETのあの日、あの時 3
2012年10月12日 (金)
「もしかして知らないのは自分だけで、実は誰もが承知の事実だったりする!?」と少し不安になる。この連載を始めるにあたり、10-FEETの面々に3時間近く取材させてもらった。その最中に知らされた。結成当初は今現在のトリオ編成ではなく、もうひとりギタリストが布陣に顔を並べた4人組だった、と。みんなはこのことを知っていただろうか? こういう話になった経緯はこうだ。「なぜロック・バンド最少のトリオ編成でやることにしたの?」という質問に対し、TAKUMA(vo,g,key,blues harp)がこう答えたからだ。そのやり取りをここに完全再現する。
TAKUMA 「実は当初はギターがいたんですよ」
――え、4人組だった、と?
TAKUMA 「シンちゃんがいたんです(笑)。シンちゃん、“やる”って一回返事したんですけど、ライヴの10日ぐらい前に辞めたんです(笑)。もうライヴ決まってんのに」
――それ、キッツいね(笑)。
TAKUMA 「“やっぱ辞めとくわぁ〜”って(笑)。で、“どうしよ?”みたいな(笑)」
――それは10-FEETとしての初ライヴ?
NAOKI(b,vo) 「イヤ、えーっとねぇ…」
TAKUMA 「まぁ形を変えつつ何回かやりながらの…」
――経緯のなかで?
NAOKI 「そうです。だけど3人編成では…結果的に初になりました(笑)」
TAKUMA 「“どうしよ?”みたいになり、オレはそんなギター弾けへんし、ましてや弾きながら歌うなんて…」
――無理やろ、と?
TAKUMA 「はい。ザック・ワイルド(g/特に元オジー・オズボーン・バンドのギタリストとして有名)も言ってましたけど、歌いながらギター弾くんは“小便とウ○コを同時にするぐらい難しい”と」
一同「(爆笑)」
TAKUMA 「絶対やれるわけないと。小便もちゃんとできんのに。オレも3人編成バンド大好きやから“弾きいや”って。“イヤ、とりあえず弾くけど弾かへん!”みたいな自己葛藤があって(笑)。で、ヴォーカル/ギターで初ライヴをやって、ギター募集しながら発進していったっていう。だけど、ギターこないんですよ。きたの、たったの3人ですから。特に締め切ってないんですけどね(笑)」
一同「(爆笑)」
――いまだに締め切ってないんだ(笑)。
TAKUMA 「ま、募集もしてないですけどね(笑)。で、気づいたらそのまんまもう7枚目『thread』を出すっていう(笑)」
読んでくれている人のなかには「どこまでが事実で、どっからが冗談なのかわからん!」ってなる人っているだろう。実際、このやり取りをしているときに自分もそうだったので、TAKUMAに念を押したところすべてが紛れもない事実なのだ(笑)。取材中にこういう流れでくると、自然と話はバンド名の由来へと移っていく。ここも、やり取りを完全再現する。
――10-FEETっていうバンド名は、事前にほかにいくつか候補があり、悩みに悩んだ末のものなの?それとも頭っから10-FEETで決め打ちだったとか?
TAKUMA 「そうですね、最初は10-FEETか1000-FEETのどっちかだったんです」
――10か1000?その違いは?
TAKUMA 「1000-FEETにすると、one thousand feetって言わなきゃならないから“1000-FEETはダセ!”って(笑)。だけど“高く舞い上がれ!”っていう意味やから“10”でいいんじゃね?みたいな。3メートルも人は上に飛べないよな、って思って(笑)。だけど飛ぶ!みたいな。ギリギリ飛べそうで飛べへん、そやけど飛べるようにするんだ、みたいな感じで」
――で、10-FEETに?
TAKUMA 「そうですね。あとはサーフィンとかスケートボードで10フィートランプとか10フィートハイとかいろんなところで使えるし、当時そういうエクストリーム・スポーツ系の友達が増え始めたところで、その分野に憧れもあったんで“かっこいいなー!”って。で、10-FEETに決まったんです」
とりあえず布陣もTAKUMA、NAOKI、KOUICHI(ds,background vocal)に落ち着き(笑)、バンド名も10-FEETに決めた彼らは、地元・京都で精力的なライヴ活動を繰り広げていく。「昨年閉店してしまったんですけど、京都にWHOOPEE’S(ウーピーズ)っていうライヴ・ハウスがあったんですね。そこで、ライヴを月5本とかやったりしてましたから(笑)」 (NAOKI・談)。これにKOUICHIが続いた。
「だからお客さんに言われましたもん、“どのライヴに行ったらいいの?”って(爆笑)」
ライヴの数を重ねれば重ねるほど、オリジナル楽曲を増やし、自主音源も作りたくなるっていうのが、バンドの常、そして性だ。その経緯をTAKUMAがこう語ってくれた。 「10-FEETの布陣がガッチリ固まる前に、コピー曲を混ぜながらライヴをやっていた時期があって。そのもう一段前にはコピー曲だけでやるなかにオリジナル楽曲を1、2曲混ぜてやってたこともあったんですね。この世にない楽曲を書き、それで大勢の人たちの気持ちを盛り上がらせることができるってホントにすごいことやなと思って。で、“オリジナル楽曲をもっとやってみたい”“どんなのが作れるかわからないけど、いろんな楽曲を書いてどこまでやれるかやってみたい”ってどんどん気持ちが膨らんでいって。で、そのオリジナル楽曲群を持って、この3人でガンガン発信していったんです」
で、この頃彼らは早くも京都を飛び出し、東京をはじめ関東にもきてライヴをやっている。GORILLA ATTACKのツアーに同行してだ。
NAOKI 「GORILLA ATTACKがCDを出してツアーを回るときに東京連れてってくれて。まだ僕たちCD出してなかったんですけど(笑)」
KOUICHI 「千葉LOOKと、渋谷GIG-ANTIC(閉店)でライヴをやったな。そのとき確か高速乗るの初めてやったな? 免許取って以来高速乗ってなかったんですよ。で、東京いくのにGORILLA ATTACKと一緒に並走しようって言って。だけど僕たちそんなスピード出せへんから、GORILLA ATTACKの機材車はス〜ッていくし(笑)。“お前ら遅いわ!”ってサービスエリアで何回も言われてました。途中、何回も休憩して…」
そのとき彼らがツアーに持っていき、会場で手売りしていたのが、「PLANLESS」「SO」「LIFE LIFE LIFE」、そしてごくごく初期楽曲“BE FRIENDS AGAIN”から途中でキャノンボールの音源に変わるという4曲入りのデモ音源だ。時代を物語るのだけど、その音源はCDではなく、ミュージック・カセットで売られていた。そのインデックスが右にあるものだ。なんと1本100円だった。当然、現在は絶版で入手不可能だ。
「関東でのライヴのウケは、大概めっちゃよかったですね。毎回デモは売り切れ、俺たちもそんなに量産でけへんから、自宅で2本カセットを入れれるラジカセでコピーして。何本かに1本は“もわ〜んもわ〜ん”(※ちゃんと録音できてなかったテープ音源の口マネ)とかなってて(笑)。こんなもん売っていいんかな、みたいな(笑)。毎回20、30本ぐらいやったんですけど、それでもすべて売り切れるってすごいことやなって」とTAKUMA。
こうした、まさにD.I.Y.(Do It Yourselfの略語)な活動をその後何年か繰り返した後の2001年4月、彼らはついに初公式音源となった4曲入りシングル『april fool』で正式デビューを飾るのだった…。
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■■■ 有島博志プロフィール ■■■
80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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同時連載中の「あの日、あの時」シリーズ & GrindHouse × HMV
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