SIGH 川嶋氏コラム番外編!
Wednesday, September 5th 2012
Alcest / 『Les voyages de l'âme』
音楽において、ジャンル分けは必要か。ジャンル分けは善なのか、それとも悪なのか。
よく音楽をジャンルにおいて分類することによる弊害について語られるのを耳にする。
音楽には良い音楽と悪い音楽しかない、ジャンルなどどうでも良いという主張。(そもそも良い音楽悪い音楽って何だよって聞きたいですけど。)自らがジャンルの奴隷となり、興味を持てないジャンルの素晴らしい音楽を耳にする機会を逸してしまう危険。どれも一理ある。しかしジャンルというものが、音楽にとって絶対的に悪ならば、おそらくはその存在そのものが淘汰されているだろう。しかしジャンル分けは無くならない。何故か。
そこはやはりジャンルというものがあった方が、少なくとも「便利」であるからだ。
Bartok のとなりに Bathory が並んでいるようなCD屋があったら、それはそれは探しにくくて不便だろう。HR/HM が独立しておらず、すべて Rock コーナーに並べられている CD 屋で、「メタルくらい別コーナーにしてくれよ!!」と叫びかかった経験を持つ人も少なくないはず。
というわけで、ジャンル分けというのは芸術的・音楽的見地とは別に、便宜性という点においては少なくともあった方が便利なのは間違いない。
しかしジャンル分けというのは時に容易ではない。ある中古CD屋での出来事。そこではクラシックの中古 ALL 300円引き、ジャズの中古 ALL 200円引きというセールをやっていた。
そこで私は Steve Reich の "Different Trains / Electric Counterpoint" というCDを買った。
Steve Reich は一応説明すると、ミニマル・ミュージックと呼ばれるスタイルを代表する20世紀のアメリカの作曲家。通常はクラシックに分類されるし、このCD屋でもクラシックコーナーに置いてあった。ところが会計をすると、店員は何故か200円引きしかしてくれない。
「あれ、クラシックは300円引きですよね?」という問いに対して店員は、「え?でもこれ、演奏はPat Methenyですよね?」という驚愕の対応!確かにそのとおり、Electric Counterpoint の演奏は、アメリカのジャズギタリスト、Pat Metheny によるものなのだ。まあとは言え、Reich の作品をジャズ扱いするのは無理があるし、向こうもこちらがお客様ということであっさり300円引きにしてくれたのだが、ジャンル分けの難しさというのはこんなしょうもない事態を引き起こすことがある。
そもそも我々の愛する Heavy Metal って何なんだろう? Hard Rock とはどう違うのか?どこに境界線があるのか。ファンである我々は、何となくその違いを耳で知っている。しかし言葉で明確に定義しろと言われると、それは容易なことではないし、おそらく人によっても見解が異なってくるだろう。そしてまたその混乱に輪をかけるのが、そのサブジャンルの多さ。
Heavy Metal から Speed Metal 、Power Metal 、Thrash Metal が生まれた。ではその3つはどう違うのか?前者2つはヴォーカルがハイトーン、もしくはメロディがある、後者はヴォーカルにメロディが無い、もしくは希薄。そんな漠然とした印象は受ける。では Speed Metal と Power Metal は違うのか?例えば Gamma Ray などは Power Metal と言われても違和感ないが、Speed Metal かと言われると、それはちょっとという気がするから、やはり何らかの違いはあるのだろう。そして Thrash Metal から Death Metal が生まれる。しかし当然この2つの境界線もあいまいだ。Death のファーストは Thrash Metal なのか Death Metal なのか?二つのジャンルの中間とも言える Deathrash というジャンルすら存在する。今更言うことでもないが、これら外部の方々から見たら、一体何の違いがあるのかわからない無数のサブジャンルは、それぞれが別箇に存在するのではなく、あるときはグラデーションのように連なり、あるときは学生時代に習ったヴェン図のように、一部が重なりあったり、或いはサブジャンルの中にまた別のサブジャンルが包含されていたりする。

Venom

Bathory
つまり、Black Metal とはどんな音楽か、と聞かれれば、基本的には Bathory の "Under the Sign of the Black Mark" を持ち出せば良いものの、実際には "Black Metal" というのは、もはや音楽のスタイルを規定することのできる言葉ではなくなっているのも事実だ。

Alcest
est というスペリングで、語末の st を発音しないのは、例えば "C'est bon"=セ・ボン、これおいしいね、の est、英語で言うところの be動詞にあたる etre の活用形 est が例外的に「エ」と読まれる程度。
むしろ est で終わる単語では st が発音されるほうが支配的だ。
その Alcest、これまでにフルレングスのアルバムとしては2007年に "Souvenirs d'un autre monde"、2010年に " Écailles de lune"、そして今年 " Les voyages de l'âme" の3枚をリリースしている。
そのいずれでも良いので聞いてみて欲しい。おそらく殆どの人が、これのどこがブラックメタル?と思うはず。確かにブラックメタルを思わせるギターのトレモロや、それらしきドラムパターンもたまに挿入される。しかし殆どのパートはアコースティックギターやクリーントーンのギター、美しいヴォーカルなどに支配され、最早普通のロックファンであっても何の抵抗もなく聴けるであろう仕上がりになっている。
もちろん轟音ギターは度々登場するものの、それもあくまでメロディックなもの、特に最近の作品では Black Metal 特有の絶叫ヴォーカルなど、殆ど存在しない。何故このような美しい音楽すら Black Metal 扱いされるほどその懐は深いのか。まあ実際はリーダーの Neige(ネジュ=フランス語で雪の意)が、元々はブラックメタルバンドとして Alcest としてスタートさせた名残だと言うのが大きな理由の一つだろう。かつて Metallica が、どんなに本人達が否定しようとも、しつこくスラッシュメタル扱いされていたように。2001年にリリースされたデモ "Tristesse hivernale" を聞いてみればわかるが、これは完全な Black Metal だ。それもコテコテの、むしろプリミティブな。たまに現れるメロディックなギターフレーズに、現在の Alcest の萌芽は見られるものの、知らなければこのデモと最近の作品が同じバンドによるものだと見破るのは不可能であろう。しかし次作、2005年発売のEP "Le Secret" でいきなり転換期に入る。10分超えの大作2曲からなるこの EP で、いきなり現在の ALCEST の象徴とも言えるギターのトレモロ、アルペジオを主体とした楽曲に、Neige の美しい歌声が乗るというスタイルが完成される。いわゆるシューゲイザースタイルのブラックメタルだ。シューゲイザーとは何かという問いに、物凄く簡略化して答えるなら、ギターは轟音なのにヴォーカルは妙に甘ったるくポップな音楽の総称ということになるだろう。そういう意味で、"Le Secret" は間違いなくシューゲイザーだ。ギターのトレモロによって作り出される轟音の壁は、確実に Burzum によって作り出され、Emperor によって一般化されたブラックメタルスタイル。ブラックメタルのシューゲイザー化、もしくはブラックメタルとシューゲイザーの融合、その完成形が2007年の "Souvenirs d'un autre monde"。
ここで一つ考えたいのは、へヴィメタルの定義とは何か、という点だ。もちろん人により定義は様々だが、大切なのは、やはりへヴィなギターが中心であることだろう。しかし、ただギターがへヴィであればへヴィメタルなのかというとそうではなく、やはり「リフ」を中心に曲が構成されているという点が重要である。ただコードをジャカジャカ弾き鳴らしているだけでは、いくらギターの音がへヴィであっても(狭義の)へヴィメタルではない。例えば Iron Maiden の超名曲、"Hallowed be Thy Name" はあの名リフあってこその名曲であって、あそこでバックのギターがリフではなく、単に Em → Em/C → Em/D とコードをかき鳴らしているだけだったらどうだろう?「こんなのメタルじゃない!」と思うコアなファンも少なくないだろう。少なくともあれほどの名曲とはならなかったのは間違いない。ところがその点、ブラックメタルは非常に緩い。特にプリミティブブラックメタルになると、最早リフではなく、単にコードや単音をかき鳴らしているだけというバンドも少なくない。もちろん「こんなのメタルじゃないよ」と切り捨てるメタルファンも少なくないだろう。しかしこれはこれで一つのジャンルとして認知されているのである。そして、ブラックメタルというバンドが、他のメタルのジャンルに比して「リフ」というものを重視しなかったせいで、まったく別のジャンルを取り入れやすかった、結びつきやすかった、というのはおそらく事実だろう。シューゲイザーと結びついたのはその最たる例である。厳密に言えば、このようなギタースタイルは「リフ」とは言い切れない。(絶対リフじゃないとも言えないが。)リフではないとなると、これはメタルではない、と成りかねない。しかし、リフへのこだわりが緩いブラックメタルの世界ではこれが許されるのである。ちなみにメロディックな単音トレモロ(=リフと呼べるか否かのギリギリの境界線)というスタイルは、Burzum の Varg は自分が発明したと明言している。そして Emperor を始めとする、他のブラックメタルはすべて Burzum のコピーでしかないとも発言している。まあ Burzum の影響力の大きさは認めざるを得ないとしても、探そうと思えば例えば Helloween の "Ride the Sky" など、単音トレモロメロディを軸とした楽曲は、Burzum 以前にもいくらでも存在している。

Burzum
で、何故敢えて Alcest を取り上げたかというと、すでに多くの方はご存じだろうが、彼らは9月に来日公演を行うのである! Alcest のライブは映像などにも気を配っており、フランス語で歌うことに強い拘りを持っている彼らとしては当然音楽も含め、総合芸術として非常に完成度が高い。
是非この動画もチェックしてみて頂きたい。
日本でこのライブが見られる日が来ようとは。こんなチャンスを逃す手はない!
日程その他は以下の通り。
追加公演東京編 9/27@渋谷Star lounge
出演:ALCEST、Vampillia
開場/開演:18:00/19:00
■Lコード:71363
■e+
料金:前売4,000円、当日4,500円(別途ドリンク代)
2012年9月28日(金)名古屋3Star
出演:ALCEST、Vampillia
開場/開演:18:00/19:00
■Pコード:175-364
料金:前売3,800円、当日4,300円(別途ドリンク代)
2012年9月29日(土)大阪Conpass
出演:ALCEST、Vampillia
開場/開演:18:00/19:00
■Lコード:55076
■e+
料金:前売3,800円、当日4,300円(別途ドリンク代)
2012年9月30日(日)東京O-nest
出演:ALCEST、Vampillia
Special Guest:SIGH
開場/開演:18:00/19:00
※ Sold Out
いいにおいのするALCEST JAPAN TOUR 2012詳細ページ
http://iinioi.com/news04.html
27日に東京の追加公演も決定しているので、チケットを買い逃してしまった人はぜひそちらに。
川嶋未来/SIGH
https://twitter.com/sighmirai
http://twitter.com/sighjapan
SIGH 関連 Links
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Heavy Rock & MetalLatest Items / Tickets Information
for Bronze / Gold / Platinum Stage.
SIGH・2012年最新作!川嶋氏ご提供のHMVオリジナル特典付き!!
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In Somniphobia
Sigh
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¥1,694
Member Price
(tax incl.):
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Deleted
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2012年 最新作!
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Les Voyages De L`ame
Alcest
Price (tax incl.): ¥2,640
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Deleted
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2010年発表の2nd!
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Ecailles De Lune
Alcest
Price (tax incl.):
¥3,520
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(tax incl.):
¥3,062
Multi Buy Price
(tax incl.):
¥3,062
In Stock
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2007年発表の1st!
Import
Souvenirs D'un Autre Monde
Alcest
Price (tax incl.):
¥1,781
Member Price
(tax incl.):
¥1,639
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Deleted
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2005年発表のEP音源にリレコ音源を追加(2011年作)!
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関連作
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the primitive world
Vampillia + Nadja
Price (tax incl.): ¥1,980
Member Price
(tax incl.): ¥1,822
Multi Buy Price
(tax incl.): ¥1,683Release Date:04/March/2012
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Import Rule The World -Deathtiny Land
Vampillia
Price (tax incl.): ¥2,530
Member Price
(tax incl.): ¥2,201Release Date:30/May/2011
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Import Alchemic Heart
Vampillia
Price (tax incl.): ¥3,069
Member Price
(tax incl.): ¥2,824
Multi Buy Price
(tax incl.): ¥2,824Release Date:25/January/2011
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