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LINKIN PARKのあの日、あの時 13

Friday, August 31st 2012


オリジナル作品発売のインターバルを3、4年置くも、それを感じさせない匠さ
文●有島博志(GrindHouse)

 唐突ながら、数日前にこういうニュースが入ってきた。

 LINKIN PARKのデビュー作『HYBRID THEORY』(2000年)の、アメリカ国内だけのセールスが見事1,000万枚を突破した。'91年にサウンドスキャン(音楽・映像ソフトの推定販売枚数及びランキングを集計・発表するサービス)がセールス数を記録し始めてから、1,000万枚セールスを達成した作品は『HYBRID THEORY』でちょうど20枚目にあたるという。まさに時代も世代も時空も超越し、今後もより多くの人たちに聴かれ、語り継がれていく“超名盤”だ。

 ストーリー連載も今回で第13回目となる。第1回目から毎回読んでくれている大勢の人たちのなかには薄々気づいている人もいるかもしれない。LINKIN PARKぐらいの“超大物”となると、オリジナル作品とオリジナル作品の間に置かれるインターバルは3、4年が普通だ。時代の回転の速さが著しくなり、音楽市場の縮小も加わり、その期間がどんどん狭まってきているのが最近の傾向だけど、かつては“超大物”の場合「7年ぶりの待ちに待った新作がいよいよ発売へ!」なんていうことがしごく当たり前のようにあった。THE PRODIGYNINE INCH NAILSらがその最たる例だ。今この時代にもしそういうことをしたのなら確実に音楽市場に置いてけぼりを食い、アーティスト自身が首を絞めることになりかねない。もしかすると不適切な物言いになるかもしれないけど、たまにLINKIN PARKに対し「うまいな〜、ホント商売上手だよな!」と感心させられることがある。確かに彼らは上記インターバルでオリジナル作品を出しているけど、そのインターバルの間にはもちろんツアーにも出ていて、作品のプロモーションやライヴを通じてのファンとのコミュニケーションも行っている。ただ、彼らの場合、ある意味その通常レベルには留まらない。そのインターバル期間に必ずやなにかしらの企画作品を出していて、音楽市場へのさらなるアテンションを怠らず、ファンとのコミュニケーションの度合いも高め、深めている。これまでの連載で取り上げてきたリミックス盤『REANIMATION』(2002年)、ライヴDVD/CD『LIVE IN TEXAS』(2003年)、JAY-Zとのマッシュアップ作『COLLISION COURSE』(2004年)、そして2001年発売の彼らにとって初映像作品となった『FRAT PARTY AT THE PANKAKE FESTIVAL』とみなそうだ。さらにLINKIN PARK UNDERGROUND(以下LPU)なるオフィシャル・ファン・クラブの会員には定期的に未発表音源が特典のひとつとして提供されている。FORT MINORは極めてマイク・シノダ(vo,g,key)のパーソナルなプロジェクトだけど、ツアー実施や『THE RISING TIED』(2005年)発売は結果的に上記のと同様の効果を生んでいる。“超大物”勢のなかでここまで新音源 & 映像にオープンなバンドを、自分はLINKIN PARKしか知らない。この点もまた、彼らの特筆すべき点だ。

 彼らがそういったことをどういう意図でやっているのかは知らない。もしかしたら自説は単なる下種の勘繰り、かもしれない。今度の取材のときにでもぜひ訊いてみたいと思う。

でだ、『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)発売後、当然のごとく彼らはツアーをスタートさせた。実は今作品発売の一環では3度来日している。1枚の作品での最多来日回数だ。まず今作発売直後の2007年7月の地球温暖化防止活動を促進するために催された世界規模のチャリティー・コンサート、Live Earthに参戦し、その4ヵ月後の11月には単独で3都市巡演し、計4公演を行った。そして翌2009年8月、サマソニ参戦と、沖縄での米軍慰安イベント出演で来日した。まるでその間を縫うかのように企画作品の発売が3種類相次いだ。まず2008年12月(US盤は11月)、『ROAD TO REVOLUTION:LIVE AT MILTON KEYNES』が発売された。『LIVE IN TEXAS』に続くライヴDVD/CD第2弾だ。『LIVE IN TEXAS』の頃よりいろんな意味で超ビッグになり、スケール感、説得力などをさらに増した(当時の)彼らのライヴ・パフォーマンスが心ゆくまで楽しめ、満喫できる好作だ。欧米をサーキットした、彼ら主導・先導のパッケージ・ツアー、Projekt Revolution Tourのまさにピーク中のピーク期に差しかかったイギリス中部に位置するミルトン・キーンズでの野外公演の模様を収録している。同ツアーに出演陣のひとりとして同行していたJAY-Z(ほかにPENDULUMENTER SHIKARIN*E*R*Dらが帯同)が飛び入り参加し、『COLLISION COURSE』収録曲「Numb/Encore」「Jigga What/Faint」を披露するというライヴならではのハプニングも目の当たりにできる。

 2009年にはデモ音源集CD発売が短期間で2作品続いた。5月に8曲入り『SONGS FROM THE UNDERGROUND』、12月に9曲入り『LINKIN PARK UNDERGROUND 9:DEMOS』が、それだ。上述したLPUから会員に提供されたデモ、未発表ライヴ、そしてiTunesで限定配信された音源などでそれぞれ構成されている。前者収録の「Hunger Strike」はTEMPLE OF THE DOG(以下TOTD)のカヴァーのライヴ・ヴァージョンで、そのTOTDの構成員でもあったSOUNDGARDENクリス・コーネル(vo)が飛び入り参加している。また、「Qwerty」はサマソニ2006出演時に披露された。後者収録の「Faint(Demo 2002)」はまだチェスター・ベニントンのヴォーカル・パートが一切入っていない超初期ヴァージョンで、「Fear(Leave Out All The Rest Demo 2006)」はチェスターのヴォーカルが未完成のものだとすぐにわかる仮歌ヴァージョンだ。アーティストたる者、普通なら極力他人には知られたくない、そのようなあられもない楽曲の姿をこうして堂々とファンに聴かせてしまうところは、もしかするとLINKIN PARKというバンドの強み、すごさかもしれない。かつてのMETALLICAにもそうした側面があった。


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■■■ 有島博志プロフィール ■■■

 80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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