SIGH 川嶋未来氏コラム第3弾!
2012年5月16日 (水)
『第1回 S.O.D. とニューヨークの Crossover シーン』
メタルとパンクの融合は、今では何ら特殊なことではない。元々はアンチハードコアを標榜していたブラックメタルというジャンルにおいてすら、ハードコアとの融合が進んでいるほどである。
1985年頃、アメリカを中心に、ヘヴィメタルとハードコアパンクを「融合」した Crossover というジャンルがブームとなった。ブームの火付け役となったのは Anthrax のメンバーを擁するニューヨークの S.O.D.。そしてアメリカ全土で、いわゆる Crossover を標榜するバンドが大量発生、大きなブームとなったのであるが、このブーム、残念ながら非常に燃え尽きるのが早かった。ブームなんてそんなものと言ってしまえばそうなのかもしれないが、この Crossover ブームは期間にしてわずか2年弱、各バンドともアルバム1枚を出しただけでブーム終了という短命ぶり。一体何故なのか。

S.O.D.
「スキンヘッドもヘッドバンガーもパンクスも、一丸となって Crossover の究極シーンへ」。
同アルバムに収録された一曲 "United Forces" =手を組んだ敵同士、からの一節。敵同士とは当然ここではメタルとパンクのことだ。しかし本当にメタルとパンクはまったく相容れない、音楽的にも思想的にも水と油のような状態であったのかというと、そんなことはない。もちろんパンクを技術的に稚拙な音楽だと見下すメタルファンや、メタルの思想、というよりは思想の無さに眉をひそめるパンクスは存在していたし、今でも存在する。ライブ会場でメタルとパンクスが乱闘になることもあった。しかしスラッシュメタルのスピードは、明らかにハードコアパンクの洗礼を受けて誕生、発展したものであるし、Venom、Slayer、Metallica といったスラッシュの先駆者たちが、ハードコアパンクのファンであったことは周知の事実。それはパンク側にしても同じことで、GBH のようにヘヴィメタル好きを公言しているバンドは少なくなかったし、それを音に出している例もいくらでもあった。Suicidal Tendencies のファーストは1983年発表だが、ヘヴィメタルギターの影響は顕著。
だが S.O.D. はそのどちらでもなかった。
「もちろん Crossover のムーヴメントは S.O.D. 以前から存在していたよ、でもそれはたいていハードコア側からメタルに接近するという一方通行だった。反対に S.O.D. 以前にメタル側からハードコアに接近していたバンドもいたけどね、Nuclear Assault のように。S.O.D.は当時に人気が出てきていた Anthrax のメンバーがいたからインパクトはデカかったよ。Nuclear Assault は "Game Over" がリリースされるまではあまり知られていなかったから。S.O.D.がCrossoverの創始者だとは言わない。だけど大きなレーベルからアルバムを出したこと、メンバーが有名だったことで大きな話題になったのは事実だよ。影響を受けたバンド?もう27年も前のことだから全部を思い出すのは難しいけど、Agnostic Front , Suicidal Tendencies, Slayer , Siege , The Cro-Mags , Murphy's Law , Dr. Know , Discharge , G.B.H. , Minor Threat あたりかな。」

Nuclear Assault
S.O.D. のほうがアルバムリリースが早かったため、Nuclear Assault というと何となく S.O.D. の後に Danny が本格始動したバンドのようなイメージがあるが、実際は結成は1984年。S.O.D. 以前に Crossover の試みは始められていた。Danny は、やはりいち早く Crossover を試みていた NYC Mayhem の Craig Setari (現 Sick of It All、Cro-Mags )と Crab Society というプロジェクトもやっていた。これは音的には Crossover というより、即興によるショートグラインドのようなプロジェクトではあったのだが、S.O.D. についても当初は同様のショートグラインド路線を狙っていたようである。アルバムでも聴ける "Diamond and Lust" などの超ショートナンバーにその残り香が感じられるが、Charlie Benante の猛反対にあい、よりメタル寄りの Crossover 路線に、結果としてそれが大成功と相成った。
S.O.D. を輩出したニューヨークはアメリカ Crossover シーンの要であった。Crumbsuckers、Ludichrist は共に、Relativity Records 傘下の Combat Core からアルバムデビュー。
Comat Core は Combat Records の兄弟レーベルのような感じで、アメリカだけでなく、English Dogs や Broken Bones、G.B.H.、The Exploited など、イギリスのメタル色の強いハードコアバンドのリリースもしていた。Crossover ブームが短命であったように、このレーベルも短命に終わったのだが、重要なリリースを何枚かしている。Crumbsuckers の "Life of Dreams" は話題性では S.O.D. に何歩も譲ったが、クオリティでは負けていない。独特のヴォーカル、確かな演奏テクニック、中近東っぽいフレーズを取り入れたりなど幅広い、まさにメタルともパンクとも言い切れない音楽性。Ludichrist の "Immaculate Deception" も同様。メタル、パンクだけでなく、ファンク、ラップなども取り入れ、それを非常に高い演奏能力で自分たちの音楽に消化。こちらも S.O.D. に勝るとも劣らないバンドであった。

Agnostic Front
その Peter の Carnivore も Crossover の文脈で語られることが少なくないが、こちらはメタルからハードコアに接近した、数少ない例の一つ。特にアメリカではユーモアたっぷりの歌詞が大きな評価を得ているが、音だけ聴いても十分にカッコよく楽しめる。

NYC Mayhem
当時アルバムリリースこそなかったが、NYC Mayhem の影響力は無視できない。Danny Lilker とプロジェクトをやったり、かなりS.O.D.との交流が深かったようなのだが、残されたライブテープなどを聴くと、超高速ショートナンバーに混じって、S.O.D. を思わせる Crossover スタイルの曲もプレイされている。相互に影響を与え合っていたのだろうか。ちなみに NYC Mayhem、当時最速と言われたバンドの一つである。
Nuclear Assault ついては多くを説明する必要はないだろう。
86年の名作 "Game Over" 収録の "Hang the Pope" が当時のメタルファンに与えた衝撃は大きかった。
他にも Cro-Mags の "The Age of Quarrel" や Murphy's Law の 1st、Leeway の 1st など、かなりハードコア寄りのものも含め、確実に Crossover ブームの中心地であったニューヨークからは数多くの名作が発信された。
次回は引き続き Crossover ムーブメントについて、
「80年代アメリカにおける Crossoverブーム第2回 D.R.I. と Crossover ブームの終焉」。
川嶋未来/SIGH
http://twitter.com/sighjapan
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