【対談】野宮真貴×中塚武 pt.2
Monday, March 12th 2012
- 賢崇 今回の30周年記念アルバムには中塚さんは参加してない?おやおや。
中塚 ねえ? なんで?
野宮 そこ、突っ込まないでよ〜(笑)。- 賢崇 まず聴いてみて、どうでしたか?
中塚 いいアルバムですよ!1曲ずつ、ひとりひとりのプロデューサーと野宮さんの対決が。野宮さんのほうは余裕なんだけど、相手は一生懸命っていう。
- 賢崇 同時に元曲との闘い、小西康陽さんとの闘いもあるわけだしね。
野宮 闘いとまでは思っていない方もいると思うけど(笑)。
- 賢崇 ああ、小西さんより大先輩もいるわけだもんね。
中塚 ピチカートとは全然違って聴けましたけどね。ここには女王・野宮真貴がいて〜、その周りを…
- 賢崇 しもべたちが固めてると。
中塚 しもべとは言いませんよ〜(笑)。大先輩もいるのに!1曲ごとに闘ってる感じがスリリングでしたね。
- 賢崇 真貴ちゃんが女王だと、高橋ユキヒロさんや鈴木慶一さんさえ、老家臣のようなイメージに。。
中塚 それ、ぼくに答えさせないでください(笑)、で、いまライブの仕込み用に曲のデータをお預かりしてパートごとバラバラにして聴いてるんですよね。そうすると、また闘いが見えてきて。それぞれの個性が。ああ、この人こんなふうにして作ってんだ〜とか。そこへぼくがどうやって入っていこうかと。今、ぜいたくな聴き方させていただいてます!
野宮 私も、そんなぜいたくな聴き方してないな。
中塚 じゃ、今度のリハで。- 賢崇 しかし昔からの野宮真貴を聴いてて、今回さらに歌声が進化してる!て思いませんか?
中塚 進化してる!いろんな歌手がいる中でどんどん々進化していく人ってのはいる。野宮さんはそのタイプ。
- 賢崇 この年になっても、まだうまくなってる、伸びしろがある、て感じましたね。
野宮 それぞれのプロデューサーによって、新たな自分を引き出してもらっていることも大きいと思う。
- 賢崇 たとえば「ベイビーポータブル・ロック」とか昔よりカワイイ声になってる。
野宮 あれはヒャダインが元曲の感じで歌ってほしいと言うので、昔の自分の歌を聴き直して少しデフォルメしたかも。
中塚 まさにsingsノミヤマキって感じでしたよね。- 賢崇 逆に次の「スーパースター」とかはね、もっとあたしを愛して、みたいなとこに熟女の深みが出ている(笑)。若い男にすがりつくようなイメージさえ。
中塚 あれは、めちゃくちゃカッコいいね。
- 賢崇 真貴ちゃんは、やりすぎるとカッコ悪いこともわかってるから、ある幅は広げすぎず、その中でさらに深みが増していく、技を増やしてる。
野宮 ありがとうございます。
- 賢崇 アレンジ的にはどうですか? 中塚さんは。
中塚 やっぱ「スーパースター」はよかったですねえ。
- 賢崇 雅さん。なんか黒人みたいなギター弾きますよね。
中塚 チョッパーベースみたいなね。
野宮 彼はピチカートをあまり知らなかったようだけど。- 賢崇 ああ、だから逆によかった、みたいな。
野宮 そうですね。
- 賢崇 カジヒデキくんとかは、よく知りすぎてるからこその味、ですよね。
野宮 そう、渋谷系に徹してくれて!とても良かった。
- 賢崇 元曲は切ない感じなんだけど、思い切りスタイル・カウンシルみたいな大都会交響楽みたいなね。カジくんは渋谷系を創った一員のくせに、いまだに自分自身が渋谷系に憧れてる少年みたいな気持ちがあるんだよね〜。
野宮 最後の渋谷系って呼ばれてたよね。
中塚 ぼく、まだお二人が並んだとこみてないけど、二人とも顔ちっちゃいからね〜。
野宮 カジくんも昔から、すごく近いとこにいたのに一緒に仕事したことがなくて。お会いしたのは、彼の番組に出た時と、ピチカートのお葬式のときゲストで出てもらったくらい。今回、やっと仲良くなりました(笑)。- 賢崇 そうなんだ! 意外ですね。
野宮 ユキヒロさんもね、よく色々なとこでお会いしますけど、実はレコーディングは今回が初めて。
中塚 そういう感じ、意外と多いですね。- 賢崇 真貴ちゃん、去年ライブでヒカシューと共演したけど、巻上公一さんとも話したことないって言ってましたもんね。
野宮 そう、初めてだった。
- 賢崇 長く業界にいる同士ても、案外そうなんですね。
野宮 私、社交的じゃないから(笑)。
- 賢崇 な、ことないですよ!まあアルバム作ると、そのおかげでいろんな人と出会える、てのもありますよね。
中塚 ぼくもね、出不精で、知り合い少ないんですよ。あの人、前から知ってる?とか聞かれても、だいたい初めてだったり。こもって曲作ってるとね〜。
- 賢崇 それはいけませんね!夜遊びの現場にも出ていかないと!遊びで出会いを。
中塚 ま、僕は遊ばせる方の立場なので。
- 賢崇 それで、まあ、今回は野宮真貴ライブの音楽監督になった、というわけですね。これを中塚さんに頼んだ、というのは?
野宮 様々な音楽に精通しているから。今回のアルバム個性的なプロデューサーが集まって、色々なアレンジの楽曲が並んでいるので、それを全部まとめられる人だと思って。
- 賢崇 参加してるゲスト全員来てもらうわけにいかないしね。中塚さんて、ぼくはDJとかエレクトロニックな人のイメージでしたけど、最近は生バンドの活動が多いんですね?
中塚 昔からバンドマン気質なんですよ〜。自分ではそんなにピコピコとかばっかりのつもりはなくて。
- 賢崇 ホーンが参加するライブとか、前もやってたんですか?
中塚 もともとファンクが好きなんで、学生時代からホーンセクションの入るバンドやってました。そっからプリンスの「パレード」みたいな音を求めて、どこまで音を薄くできるか、と考えてシンセやサンプリングの音とか使ってるうちに、そっちがフィーチャーされちゃった感じで。他の仕事の時でも、今回は生でオーケストラ使おう、とかそういうの楽しみながら続けてましたね。
- 賢崇 現実問題として、ホーンのたくさん入るバンドとかステージも狭くなるし、お金もかかるリスクはありますよね。
中塚 まあね!あと大所帯なバンドだと、フロントが、ボーカルが誰だかわからなくなることありますけど。今回お話いただいたとき、ああ、野宮真貴がそこにいれば絶対、大丈夫だな、って。それならどんなに大所帯でも魅せられるって。
- 賢崇 象徴ですからね。
野宮 私もとても楽しみです。
- 賢崇 野宮さん的には中塚さんが大所帯のバンドを引き連れてくるだろう、という予想でオファーを?
野宮 私の場合、ステージでは音楽監督が必要なんです。今回はピチカートの曲も多いので、そのあたりのセンスもわかる人だし、あと、人柄がいいじゃない?(笑)
- 賢崇 人柄で選んだら、この人!
野宮 あと、ルックスもいいじゃない?(笑)
中塚 いやいやいやいや。前に野宮さんのリサイタル、菊地成孔さんとかと一緒にやったの見て、カッコいいなあ、って思ってたし。衣装とかもね。ぼくの番組に来てくれたときも、そのままの内容でベルリンとか行きたいって言ってたじゃないですか。野宮真貴のライブは目も耳も五感全部で楽しませなきゃいけない、てのは、ぼくに課せられた至上の命題ですね。- 賢崇 中塚さんご自身のライブでもビジュアルも含めて重視するほうですよね。
中塚 ま、今回はほんと野宮真貴ていう日本を代表するアイコンが厳然とそこにいるわけだから、そこにどんな音の衣装を着せるか、デザイナーに近い感覚ですね。
- 賢崇 今回みたいなアルバムは曲のタイプもバラバラだから、ぶっちゃけ、ライブもカラオケでもよかったわけじゃないですか。でも中塚さんにお願いしてみたと。
野宮 今回はリサイタルのような凝った演出はなくて、歌を聴かせたいと思っているので。
- 賢崇 今回アルバムで、聴きなれたピチカートの曲がまた変わったアレンジで生まれ変わったのを聴いて、また、このライブに行くと、さらに変わったバージョンが聴けるわけですね。
中塚 そう。そうやって音のパレットが変わっていく中で、そこに立っている野宮真貴という存在感がさらにハッキリしていく、そういう感じ?
野宮 本当に楽しみです。今回引き受けていただいて、ホッとしてます。音楽の部分は中塚くんにまかせて、安心して歌えるから。- 賢崇 問題を解決してくれる人だと!
野宮 そう(笑)。
野宮真貴
『30 〜Greatest Self Covers & More!!!〜』
2012年01月25日 発売
[収録曲]
01. マキのレキシ
/ Produced by レキシ
02. 東京は夜の七時
/ Produced by DJ FUMIYA(RIP SLYME)
03. 私の知らない私
/ Produced by テイ・トウワ
04. ベイビィ・ポータブル・ロック
/ Produced by ヒャダイン
05. スーパースター
/ Produced by 雅-MIYAVI-
06. スウィート・ソウル・レヴュー
/ Produced by DAISHI DANCE
07. マジック・カーペット・ライド
/ Produced by コーネリアス
08. トゥイギー・トゥイギー
/ Produced by □□□
09. 皆笑った
/ Produced by 高橋幸宏
10. ウサギと私
/ Produced by 鈴木慶一 & 曽我部恵一
11. 悲しい歌
/ Produced by 大橋トリオ
12. メッセージ・ソング
/ Produced by カジヒデキ
13. 陽の当たる大通り
/ Produced by YOUR SONG IS GOOD
14. マキのヤボウ
/ Produced by レキシ
- BONUS TRACK -
15. スウィート・ルネッサンス
/ Performed by ポータブル・ロック

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[野宮真貴]
1981年『ピンクの心』でデビュー。その後「ポータブル・ロック」を経て、80年代ニューウェイヴシーンを代表する存在に。90年代に「ピチカート・ファイヴ」に加入、渋谷系文化のアイコンとして、日本及び海外の熱狂的な人気を集めた。現在、独創的な存在感と歌声で、音楽に加え、カルチャーやアート、ファッションなど多方面で活躍中。そのエッセンスを凝縮したシアトリカルなライブパフォーマンスが近年の白眉として、注目を集めている。2011年にデビュー30周年を迎えるにあたり、2010年10月20日にはデビューアルバムがボーナストラックを加えて再発売、2012年1月25日にデビュー30周年記念アルバム『30 -Greatest Self Covers & More!!!-』をリリース。

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[中塚武]
1998年、自ら主宰するバンド「QYPTHONE」がドイツのコンピレーションアルバム「SUSHI4004」にて海外デビュー。国内外での活動を経て、2004年にアルバム「JOY」でソロデビューを果たす。以後、オリジナルアルバム「Laughin’」「GIRLS & BOYS」「Kiss & Ride」を次々とリリース。 ジャズ、ポップス、ラテン、ハウス、エレクトロなど、様々な要素を取り入れたサウンドは日本の音楽、映像、広告業界において高く評価されており、SMAP や広瀬香美など、多くのアーティストへの楽曲提供、「POs-Ca(グリコ)」「金麦(サントリー)」などのCM音楽や、「セクシーボイスアンドロボ」「ハガネの女 season1」「ニュースZERO」などのTVやドラマ音楽と多方面で才能を発揮。 2010年に「ROCK’N'ROLL CIRCUS」をリリース後、音楽活動の基盤を自身のレーベル「Delicatessen Recordings」へ移行。配信限定アルバム「53512010」、そしてオルビスのCM曲「キミの笑顔」が収録されたコンピレーションアルバム「歌うピアノ男子」をリリース。全国各地でのライブや野外フェスにも多数出演する中、「音楽×映像×食」が融合された自身主催のライブイベント BEAT COMMUNIST もスタートさせた。 2011年の元旦より、書き下ろしの新曲を定期的に無料配信するサービス「TAKESHI LAB」をサイト上に開設。6月には docomo AQUOS PHONE のCM曲として話題になった「Black Screen」を配信限定でリリースし、ミュージックビデオがiTunes Storeエレクトロニックチャートで1位を獲得。 ニッポン放送デジタルラジオSuono Dolce「Tokyo After 6 」木曜日のナビゲーターを務める。












