2011年12月28日 (水)

2011年がゆき、2012年がくる。並びにエンケンやってくる。
HMV ONLINE、二年ぶり二度目のご登場となるエンケンさん。いつになくグググッと力のこもったその言音で、自らに、渡世に、八街に、大宇宙に、とどめは遥か高くそびえ立つあのスカイツリーに向かってワッショイワッショイ打ちまくる。エンケンさんは死なない。ちゃんと哭きじゃくり、ちゃんと叫びまくる。ゆえに切ないがちゃんと突き刺さる。だってちゃんと努力する。ゴメンネみいこ、負けるな友よ、俺ももうちょっとだけ頑張ってみようかな...未ダ迎合知ラズ妥協知ラズの純音楽家、その戦いの旅路はまだまだ続く。
ニューアルバム『ちゃんとやれ!えんけん!』の発売、さらには「第三回純音楽祭り」の開催を来たる新春に控えたエンケンさんにたっぷりとお話を伺ってまいりました。
エンケンさん、2012年も基本からやるよ!
インタビュー/構成: 小浜文晶
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--- 本日は、来年1月11日にリリースされるニューアルバム『ちゃんとやれ!えんけん!』についてお話をお伺いしたいなと思っております。宜しくお願いいたします。
最近のブログなどを拝見していますと、よくスカイツリーや神田川のあたりを散策されているそうですが、今回のアルバムの中写真にもスカイツリーをバックに撮影されているものがありますね。 この写真は、「東京スカイツリー」が完成する前にみんなで見に行こうって、友だちと遊びに行ったときのもので。よくみんなで東京のあちこちに行って、その町で地元の人がやってる生活に根ざしたお店とかに遊びに行くんだよね。ここも案の定すごくいい町だった。
- --- 押上駅周辺ですか?
うん。「おしなりくん」っていうゆるキャラの着ぐるみなんかもいて。「押上」と「業平橋」駅を引っ掛けたキャラクターね。本当にすごくいい町だったな。この写真は、浅草の桜橋の上から撮ったものなんだけど、そこで生涯忘れられない体験をしたんだよね...
そのときは、女六人、男四人ぐらいで行ってたんだけど。ふと俺が橋の上から下の隅田川を覗いたら、何か光るモノが川を上ってくるんだよね。何だろ?って思ったら、クラゲ。クラゲが群れを成して溯上してきた。だから、みんなでクラゲめがけてツバ引っかけて(笑)。特攻だよね。またやりたいなぁ(笑)。子供の頃だったら多分立ち小便して狙っただろうね。そういうことしなかった?
- --- (笑)命中させてハシャいでいたかもしれませんね。
するよね。そのときも男はみんなペッ、ペッて(笑)。でも、高さがあって風も吹いてるからなかなか当たらないんだよね。クラゲもまっすぐスーッて泳いでるのもいれば、斜めにユラユラしてるのもいて、スターウォーズみたいだった(笑)。あれは本当におもしろかった。男の本懐だったね。こういう遊びってどこかでオチンチンと直結したものがあるんだろうね。
- --- (笑)オチンチンが元気なかぎりいつまでもやめられない遊びってありますよね....では、あらためてお話をニューアルバム『ちゃんとやれ!えんけん!』に移させていただきまして、前作の「ふにゃふにゃ」に続いてこのたびは「ちゃんとやれ!」と。 エンケンさんにとっての「ちゃんとやれ!」というのは、ご自身の創作活動に対しての叱咤という意味も勿論あるかと思いますが、と同時に、今回の震災、原発事故という出来事を正面で受け止めて、その中から出てきたエンケンさんの叫び、とも捉えているのですが...
半分はそうだろうね。でも「ちゃんとやれ!」っていうのは、曲を作り出したときから思っていたことでもあるから。若い頃は、アルバムをこの先何十枚も出すなんて思っていないわけだし、まして誰に頼まれて音楽家をやってるわけでもないんだから、とにかく曲を作って人前で歌うんだったら自分のために「ちゃんとやろう」って、そう思った。それが根底にずっとあるんだよね。だから、とり立てて昨日今日に「ちゃんとやれ!」って思ったわけじゃないんだよね。
「ちゃんとやれ!えんけん!」は実際ニ、三年前に作った曲。そもそも俺の中には、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「Testify」って曲が常にライバル曲としてあったんだよね。すごく好きな曲でもあるんだけど。- --- どこかのお店の中で突然流れてきた「Testify」を耳にして衝撃を受けたと以前おっしゃっていましたよね。
沖縄のロックバーでね。「何だこの曲は!?」って。でも店主に聞くのが悔しいから三年ぐらい探し回って。「ひょっとするとイギー・ポップか?」とか言いながら、結局は見付からずに、また沖縄に行ったときに聞いたんだよね(笑)。そうしたら「<Testify>って曲だよ」って。あの曲はとにかく鮮烈...というよりは、「あっ、俺と同じだ!」って思ったんだよ。
俺は、他人から影響を受けるって事はあまりないんだけど、触発されるっていうことはよくある。ライバルとして「コノヤロー!」って。ただ、それと同じようにやろうとは思わないんだよ。同じにやったら負けるに決まってるじゃない? レイジのやり方に対抗するには俺のやり方しかないんだよ。相手がニール・ヤングでもボブ・ディランでも同じ。それは昔から根底としてあるんだよね。『にゃあ!』の中の「ド・素人はスッコンデロォ!」も、『君にふにゃふにゃ』の「おぉい!みんな!」も、ライバル曲として同じ「Testify」があるんだよね。いちばん最初の対抗曲は「純音楽の道」になるんだけど。そういう意味で「ちゃんとやれ!えんけん!」は、四発目のレイジへの対抗曲になるんだよね。- --- あくまで「おっ、コノヤロー!」って思いながら。
セックス・ピストルズを聴いたときもそうだったんだけど、別に感化されたわけじゃない。俺は自分がやりたいようにやってるから、感化されるってことは絶対にありえない。ただ「コノヤロー、いいのやってんな!」って。俺も人にそう思われたら嬉しいし、それが芸術家の本分だと思ってるから。よくみんな「芸術」って言葉は嫌いって言うけど、俺は好きなんだよね。昔はそうでもなかったけど。
人の前で生きることはみんな芸術だと思ってる。音楽、映画、小説なんかに関わらず。人前に出て、ひとりひとり自分の絵を描いて生きていく。そういう意味で芸術家なんだよね。ひとりひとりが自分の音楽を奏でる。「トボトボ」とだったり、「コノヤロー!」「コンチクショー!」「ウレシイー!」って言いながらリズムを刻んで生きていくってことは、「言音一致の純音楽家」っていつも俺が言ってるのと同じことなんだよ。リズムは音楽の根本。だから、みんな偉大な純音楽家なんだって。
「ちゃんとやれ!えんけん!」は、はじめは「ちゃんとやれ!」っていうタイトルだったんだよね。それは常に俺が言ってることだから。でもこれは「えんけん!」を付けないとお説教になるかなと思って。それで「ちゃんとやれ!えんけん!」になったんだよね。そうあるべきだと俺は思っているから。- --- まず自分に。
うん。すべての芸術もそうだし、サッカーみたいなスポーツもそうだけど、みんな自分の胸に打つものがあるんだよね。俺は、「心を打つ」ってことは「ロック」、それが音楽だと思ってるわけ。みんなにとってそれはフォークやロックだったりするのかもしれないけど、俺にとって力強く打つものはハードロックでもあるんだよね。例えば、長友がゴールを決めたときっていうのは、やっぱり自分の胸をゴーン! ってハードロックのように打ってくるんだよ。だから、本人が「打った!」って思ったときには、みんな周りも「オレの胸も打った!」っていうことでもあって。芸術にかぎって言えば、それがまさに本分なんだと思う。
「ちゃんとやれ!えんけん!」は、そういう観点で歌ってる曲ではあるんだけど、今回はやっぱり「3.11」があった。「夢よ叫べ」もそうなんだけど、特にこの曲を歌っていると...ふとテレビを見ると、福島に住んでいる小さな女の子が「ワタシ、福島以外の人とはもう結婚できないかもしれないの。東京の人とかはきっと結婚してくれないんだ・・・」って。「あぁひどいことをしたんだなぁ」って思ったよ。でも、「ちゃんとやれ!えんけん!」や「夢よ叫べ」を歌ってるとき、俺の絵柄はやっぱり男なんだよ。働いてる男がうなだれている絵。で、それは日々の俺の姿でもあって...俺も落ち込んでるからね。そこに歌ってる気がする。裏を返せば、それは俺でありながらも、福島で働いている人、一生懸命農業とかをやってきた人かもしれないし、もしかしたらテレビで見た小さな女の子かもしれない。でもそれを言葉としてそのまま入れていったら、俺は音楽家としては負けだと思うんだよね。人に対して具体的なことをあれこれ言わなくてもその人が「おっ!」って思ってくれる音楽じゃないかぎり、俺はその音楽をよくないものだって思ってしまう。「夢よ叫べ」もそう。究極的には俺に言ってるんだよね。それが芸術の基本だと思う。
- --- おしつけるのではなく。
おしつけじゃダメだね。だけど、俺もおしつけたいときはあるよ。たしかにある。でもそれは自分がどこか寂しいときだと思う。恵まれなかったり報われなかったりとか。「こんなに一生懸命にやったのにチクショウ...」っていうときは誰にでもあるじゃない? 俺にもしょっちゅうあるけど、でもそれを歌にするとき、人に対してあーしろこーしろってお説教っぽかったり哲学めいたものにするっていうのは、はっきり言ってキライだね。
だって、みんなひとりひとりすごいもの。さっき言ったようにみんな芸術家だし音楽家だし。どんなに主義・主張が合わなくても、みんなひとりひとりはすごい哲学家だし芸術家だよ。歌いはじめたときから俺はずっとそういう観点でやってるよ。じゃなきゃ人に失礼だもん。
哲学書の翻訳なんかにしても、どこか外国の人のほうが偉い、優れているみたいな感じで書くじゃない? 「わたしたちは彼らに教えを乞いましょう」みたいな。それは明治維新から続いていることでもあるんだけど。お雇い外国人がやってきてご託宣を下すとか。向こうで食いっぱぐれた得体の知れないヤツだと思うけどね(笑)。昔、八丈島の鯨捕りの人なんかは、貯炭場に見張り役として外国人を付けていたらしいんだけど、ロクでもないヤツが多かったらしいからね。だから、東大でも何でも当時日本に来たお雇い外国人の中には、きっととんでもないヤツがたくさんいたんだろうなって俺は思ってるんだよ。しかも「外人だったら何でもいい」みたいな感じは今でも続いてるから。「ビートルズ、ストーンズが日本のロックより絶対優れているんだ!」とか。俺は、ボブ・ディランとかニール・ヤングとかも好きだけど、そんなことまったく思ったことないから。- --- 盲目的に“崇め奉る”ということと、好きであることはまったく別の話ですもんね。むしろ崇めることの中に純粋に好きだという感情はないのでは、と思えてしまうというか。
そういうド素人が多いよね。作り手にもいっぱいいるから。何でもかんでも崇めちゃう人はド素人だと思ってる、俺は。ボブ・ディランが好きだったら、ボブ・ディランの匂いをさせながら歌ったり、T・レックスだったらT・レックスの匂いをさせながら歌ったりって、そういうのは本当にイヤだね。「利用するな!自分の匂いを振りまけ!」って思う。これもいつも言ってることで、クラシックの人たちはしゃかりきになって何百年前のモーツァルトとかベートーヴェンの曲を勉強して演奏しているけど、自分で作れよって。そこからこの国を始めようよって俺は思うんだ。
「3.11」以降テレビ局やなんかも反省するかと思ったけど、全然反省してないね。同じ顔ブレで同じことしかやってない。国民のほとんどは「何だこいつら、いつまでも...」って感じてるのに。親戚関係みたいな連中同士が金儲けだけ考えて...独裁政権みたいだよね。それも変わるかなと思ったけど変わらない。でもわずかな希望として、少しずつ変わっていくのかなとは思っているんだけど。- --- ごく個人のレベルでは、色々と考えて見つめ直したり、価値観をあらためさせられている人はもしかすると多いのではないかなと思うのですが、一転、“群れ”の中ではそれを平気で覆してしまうような人も結構いますからね。
民主党みたいなもんだよね。最初だけ都合のいいこと言って、今じゃ中途半端な自民党とさほど変わらないから。最悪だよね。
お金が集まるところに人が集まるのはやっぱりしょうがないのかなって。もちろん食わないと生きていけないわけだし。「悪いな」「イヤだな」とは思いながらも食うために“そっち”へ加担するのがほとんどだよね。人間だから、まぁしょうがないとは思うけど...俺みたいに音楽をやってるような人間は本意じゃないと思ったところに加担しなくていいじゃない? 自分ひとりで戦うから。そこは音楽活動のいいところでもあるよね。それもあってこの「ちゃんとやれ!えんけん!」は出来たんだと思う。「ちゃんとやるのは自分次第なんだ」って思ってても、みんなそれを普段表に出すことってなかなか難しいことだと思うから。- --- 今までもずっとそうだと思いますが、今回は特にその“ひとりで戦っている”という気持ちが強く出てきているような。
うん、それはあると思う。ピアノを弾いて歌った「もうちょっとだけ頑張ってみようかな …2011年3月14日月曜晴れ…」っていう曲があるんだけど。震災から三日後、放射能が降りてきたってとき。俺もう本当にダメかと思ったもん。「何のために生まれてきたんだろうな...」って思った。日本国中そうだったかもしれないけど。
- --- 僕個人にも、この「3月14日月曜日」はかなり鮮明な記憶として残っていまして。虚しいぐらいよく晴れていたんですよね。
ピカピカなんだよね。「春だなぁ」って感じるぐらいに。でも、放射能は降ってるんだよなって。
- --- 「もうちょっとだけ頑張ってみようかな」のワンコーラス目の歌詞、まさにこの心境といいますか。
俺も落ち込んだもん。これはそのときの状況そのまんまだよ。本当に猫がさくらんぼの木の下で寝ててね。そのまんまやるっていうのがいちばん難しいんだけど、それがいちばん訴えると思う。どの曲も俺はそのまんまだよ。そのまんまで、それを音と言葉にまとめていくってことだね。
- --- エンケンさん、みいこちゃんに「ゴメンネ ゴメンネ」って繰り返してますね。
(笑)悪いと思ったよ、本当に。その前から「あれ?もしかして」とは思ってたんだけど、やっぱりお腹が大きかったんだよね。
- --- その後は無事に出産したんですか?
うん、三匹。その前も三匹だったから、それが一回のお産の限度なのかもしれないよね。もしかしたらどこかで間引きしているのかもしれないし。小さい頃見たことあるんだけど、猫はもうこれ以上産めない育てられないってなったら、臍帯を食べてるのもいたからね。栄養にもなるらしいんだけど、しっかりしてるよね。
黒子っていう名前だったかな。昔、途中でお産をやめようとしていた猫もいた。余計なお世話だったのかもしれないけど、俺がお腹をさすりながら胎児をちょっと産道の方に押し出してやったらまた産んだりしてね。猫は多産系だから厳しいよ。やっぱり捨てるところは捨てる。特にのら猫は、生まれたときから自分が身をもって色々経験してるし、周りがバタバタ死んでるのも見てるから、産む数なんかをちゃんと計算して決めてるんだよね。かっこいいよ、うん。- --- 歌詞の中では、「ご苦労様」「あっどうも」という郵便屋さんとの何気ないやりとりが交わされる節も印象的ですね。
心細そうだった。でも、ひと声掛けたら嬉しそうだったよ。22、23ぐらいの若い子で。普段は別にそんなこと言わなくてもいいとは思ってるんだけど、この日にかぎってはオートバイの音もきれいだったし、郵便物がポストに「ポト」って落ちる音がすごいきれいだった。だから、一瞬迷ったんだけど玄関開けて「ごくろうさま」って。そうすると本当に小さい声で「あぁ、どうも」ってホッとしたように言ったんだよね。多分その人にとっては“死の町”だったんだと思う。“死の町”に郵便を配っているような心境だったのかもしれないね。
「もうちょっとだけ頑張ってみようかな」は、作った日にはさすがに録音していなくて、3月21日の渋谷B.Y.Gで最初に歌ったんだね。あの日ライブが終わって帰ってるときに急に雨が降り出したんだけど、その雨が熱かったんだよ。ポツボツって二、三滴きたときに「あれ、何でこんなに熱いんだろう?」って。雨が熱いなんていう体験ないじゃない? だから「もしかしたら...」っていうのは感じてたんだけど、でもどこかで気のせいだって思いたい感じもあったんだよね。- --- 曲の最後では、ぐーっとためて「お花見に行こう」と。
さっきのスカイツリーを見に行った連中なんかと毎年お花見をしてるんだけど。みんなとお花見行きたいなって。あれは夢だったんだねって言いながらお花見したいなって。実際には、後日行ったんだけどね、もう散りかけてはいたけど。
- --- そして、「夢よ叫べ」のリメイクも今回収録されますが、山本恭司さんと録音するということはかなり前から決まっていたことなのですか?
恭司くんとは、吉祥寺のスター・パインズ・カフェでやってる「純音楽の友」で二、三年前に一緒にやったんだけど、彼のギターがすごいよくて「もう一回やりたいな」ってずっと思ってた。それもエレキ・ギターと生ギターで。
「夢よ叫べ」は、「ちゃんとやれ!えんけん!」と同じように、それは俺の姿でもあって、そこにうなだれて座っている男に向けて歌いたいなって思ったんだよ。究極的には自分のことでもあるんだけど。だって、自分の痛みとか喜びや悲しみが分からなかったら他人のなんて分かりっこないから。- --- それは「ちゃんとやれ!えんけん!」にも書かれていますよね。
そういうものだと思う。自分の痛みが分からなければ、他人の痛みも分からない。だから、東電も原発事故の責任を本当に感じているんだったら日本全国に向けて土下座して謝るべきじゃない? でもそれすらしていない。痛みが分からないんだと思う。分からない人生を送ってきたんだね。それがエリートって呼ばれる人なのかどうかは知らんけど。
周りも悪いんだけどね。「いいところに就職したね」なんて持ち上げて。スチュワーデスとかアナウンサーとかもそう。どうだっていいのに。みんなひとりひとりちゃんとやってるのにね。そんなもの言ってみれば、持ち上げることが好きな人たちのコンプレックスでしかないと思うよ。俺だってもちろんコンプレックスはそれなりにあるけど...でも、どこの会社だから偉いとか、どこの学校出たから凄いとか、そんなこと全然思わないからね。- --- 漠然とした社会的な肩書きというよりは、もっと根本的にその人個々が組織とどう向き合ってどう対決していくかというのが問題だったりもするのかなと。ほとんどの人は会社勤めなので、なかなか難しいことでもあるのでしょうけど。
まぁしょうがないでしょ。俺だって言ってみればそうだしね。MIDIからCDを出すってことがそうだから。でも、渋々やらなきゃいけないことがないっていう部分では、音楽家の方がみんなより幸せなのかもしれない。自分の才覚や力があるかどうかの問題だけだからね。俳優さんなんかでもみんな音楽やりたがるのって多分そういうことなんだと思う。映画の中の「○○組」じゃなくて、ひとりでやりたいんだって。俺の周りの役者の友達はみんな音楽やってるよ。HMVで働いてる人の中にだって音楽で食っていきたいんだって思ってる人も多いんじゃない? だから、音楽はいい仕事だと思う。その分競争率が激しいから大変だけどね。自分がちゃんとした信念を持ってないと無理だよ。
- --- でも、ぽっと出のタレントなんかが簡単にレコードを出したりするっていうことには、あまりいい気持ちはしていないんじゃないですか? もはや気にすら留めていないかとも思いますが。
ちゃんとやってる人は好きだよ。変にロックぶってるヤツなんかより、かえってアイドルの方がちゃんとやってるよね。”ぶってる”ヤツはイヤだね。ラップぶってるとか、ジャズぶってるとか、クラシックぶってるとか。俺はこういう音と言葉なんだっていうのを見せないヤツは才能ないと思ってるから。そいつの人格がどんなにいいとしても、音楽やらせたら「ダメだなぁ」って、でもそういう人にかぎって売れたりするよね(笑)。あれ、不思議だよね。日本の国のカタチなんだと思うよ。
- --- もしやリスナーの甘やかしも(笑)。
あとは騙されてるのかも。「これがいいんだ、これがいいんだ」って教科書みたいに言われて、「みんながこれがいいって言ってるからオレも好きにならなくっちゃ」って。そういうのは本当に改善してほしいね。
- --- テレビをはじめとした一部メディアの責任もあるかなと。
大いにあるだろうね。今はもう抑えられない気がするもん。言ってみれば、軍部の独走に近いものがあるよ(笑)。俺、別に戦争は経験していないけど。周囲も何も関係なく「オレたちが儲かればいいんだ」って突き進むじゃない。満州事変とかに通ずるものがあるというか。そういう意味じゃ危ないよね。国民おいてけぼりだからさ。
別にマスコミが全部悪いとは言わないし、ちゃんとやってる人はいるからね。スポンサーとどこかで癒着していかなくちゃ生きていけないところもあるんだろうけど...俺もさっき言ったようにMIDIとある意味癒着していないとレコードを出せないわけだし。そういうつながりはあるとは言え、どこかで「自分の思っているとおりにできないんだったら辞めてやるよ」っていうことはできるよね。そういう部分では音楽家は強いよ。でも明日から完璧に路頭に迷うんだけどね。退職金も何もないわけだから。そういう体験は実際一回、二回しているんだけど、でも辞めるか辞めないかのギリギリのところでいつも戦ってきたつもりではいるよ。- --- エンケンさんには、そこでひとりでも粘り強く戦える強さがありますよね。
それは音楽に自信があるからだろうね。俺は、自分の音楽をきちっとやれば、少ないながらも誰かがちゃんと聴いてくれたりついてきてくれると思っているから。
- --- 今回のレコーディング・メンバーで言えば、山本恭司さん、満園兄弟、アイラブユー(大塚謙一郎+森信行)であったり。
それから、エンケンバンドの石塚俊明、湯川トーベン。いちばん昔からやってるからね。みんなそういうヤツらなんだよ。音楽でちゃんと食っていこうと思ってるヤツって、どこかでテキトーな部分があったとしても、音楽だけはきちっとやってちゃんといい音を出すっていう自信がある。だから最後にはしっかり信念を貫くところはあるんだよね。そういうヤツじゃないといい音を出してくれないし、俺も一緒にやりたくはないから。音楽には命賭けてるからね。向こうにしても命を賭けてぶつかってこないかぎり俺はやりたくはない。
- --- それゆえに「芸術家なんだ」って言いきれるわけですね。でも昔はあまりそういうことを口にするのは好きではなかったと。
イヤだったんだね。クサイなぁと思って。二十代の頃だと思うけど、そう言ってる人が「アンタには言われたくないな」っていう人だったのかもしれないね。例えば「こんな下らない絵描いてるのに、芸術だってよく言えるよな...」って。しかも作品より先に「芸術だ」って言ってるのイヤじゃない? あと、「僕は芸術家なんですよ」っていかにもな感じのヤツね。今でもいるじゃない? 誰でも芸術家だし、 まぁ、かわいいって言えばかわいいんだけど(笑)。
でも芸術って言葉には全然罪はないから。愛って言葉もそうだけど。ちゃんとやってるヤツは「芸術なんだ」って言っていいと思ったんだね。まず自分の作品を「どうですか!」って並べて、そこではじめて「つまんないよ」「いいねぇ」ってなるわけだから。そういう度胸があるヤツが芸術って言葉を使う分にはいいと思う。もちろん評価されるってことは誰でも恐いけど。でもそこからまた「よーし!」って自分と戦う気持ちが出てくるんだったら、それは本当の芸術家だって言えると思うんだけど。そういう意味では、多分俺はギターを弾くことではじめて自分の生き様を見つけたんだね。自分の絵柄や考えを全部そこにぶつけようと思ったわけだから。
- ちゃんとやれ!えんけん! / 遠藤賢司
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純音楽生活43年。2012年1月13日に65歳を迎える遠藤賢司の17作目となるオリジナルアルバム!
あの名曲の弾き語りにカリスマ・ギタリスト山本恭司(BOWWOW)がエレキ・ギター・ソロで泣かせる「夢よ叫べ」の新録バージョンや、震災直後の日常を歌った、しみじみと心に響くピアノ弾き語り「もう少し頑張ってみよう」、自身のバンド“エンケンバンド”での演奏で、誰もが思う自分の生き様を訴える「俺が死んだ時」。山本恭司率いるハードロックバンド“ワイルドフラッグ”を率いてのロックンロールの原点を披露する「ア!ウ!」最新バンド、“エンケン&アイラブユー” でのパンク歌謡ロック「心の奥まで抱きしめて」など全10曲を収録。HMV ONLINE/MOBILEでお買い上げのお客様から抽選で5名の方に「エンケン直筆サイン入り色紙」をプレゼント!
遠藤賢司 ライブ情報
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ちゃんとやれ! えんけん! 2012年1月11日発売 |
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- 遠藤賢司実況録音大全: 第二巻1977-1986
- 2010年発表
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- 君にふにゃふにゃ
- 2009年発表
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- 惚れた!惚れた!
- 2007年発表
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- 遠藤賢司実況録音大全: 第一巻1968-1976
- 2007年発表
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- にゃあ!
- 2006年発表
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- 不滅の男 エンケン対日本武道館
- 2006年発表
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- 魅惑の純音楽ベスト35
- 2004年発表
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- 幾つになっても甘かあネェ
- 2002年発表
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- 21st Century Boys & Girls
- 2000年発表
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- 四畳半ロック
- 1999年発表
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- 君がそばにいたら何んにもいらない
- 1998年発表
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- 夢よ叫べ
- 1996年発表
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- シルヴァー・スター:ベスト
- 1995年発表
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- 不滅の男
- 1991年発表
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- 史上最長寿のロックン・ローラー
- 1991年発表
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- 黎明期LIVE!
- 1989年発表
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- エンケンのミッチー音頭
- 1989年発表
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- オムライス
- 1983年発表
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- 宇宙防衛軍
- 1980年発表
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- 東京ワッショイ
- 1978年発表
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- 遠藤賢司特得箱: キング オブ ワッショイ
- 2005年発表
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- HARD FOLK KENJI
- 1975年発表
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- KENJI
- 1974年発表
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- 歓喜の歌 遠藤賢司リサイタル
- 1973年発表
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- 嘆きのウクレレ
- 1972年発表
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- 満足できるかな
- 1971年発表
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- Niyago
- 1970年発表
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- FFA Folk Days Vol.4
遠藤賢司 / 友部正人 - 2007年発表
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- 不滅の男 エンケン対日本武道館
- 2006年発表
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- 遠藤賢司
- 2004年発表
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- 純音楽
- 1990年発表
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- ヘリウッド
遠藤賢司主演・音楽担当 - 1982年作品
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- ボイジャーくん
荒井良二 / 遠藤賢司 - 2008年発表
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- ミュージシャンと猫
P-VINE BOOKS - 2011年発刊
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- Music Magazine 2007年3月号
- 2007年発刊
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遠藤賢司
(えんどう・けんじ)
1947年1月13日、茨城県勝田市(現ひたちなか市)生まれ。大学時代にFENでボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」を聴いて、自作の歌を歌うことに目覚める。数々のフォークの集いにて自作の歌を歌っているうちに、折からの60年代後半のフォーク・シーンにおいて徐々にその頭角を現すようになる。69年2月にシングル「ほんとだよ/猫が眠ってる」でデビュー。70年4月には、デビュー前のはっぴいえんど(大滝詠一を除く)が参加した1stアルバム『niyago』を発表。デビュー作にして早くも現在にまで通ずるエンケンの音楽の魅力を濃縮に詰め込んでいた。72年、三島由紀夫の割腹自殺の日のことを日常のいち風景として歌った「カレーライス」が大ヒット。その後も『東京ワッショイ』(78年)、『宇宙防衛軍』(80年)といった傑作を発表。また、82年にはその2作品に影響を受けたという長嶺高文監督の映画『ヘリウッド』に主演。音楽以外にも活動の幅を広げた。83年に細野晴臣、越美晴が参加したEP『オムライス』を発表後は、活動の場をライブ中心へと移し、ひとりでエレキ・ギターとマーシャル・アンプで豪快なライブを展開。88年にスリーピースのロック・バンド「遠藤賢司バンド」(エンケンバンド)を結成。91年にはベースに元・子供バンドの湯川トーベン、ドラムスに頭脳警察のトシが加入して、現在のラインナップに至る。96年、実に16年振りとなるスタジオ・フル・アルバム『夢よ叫べ』を発表したのを皮切りに、デビュー30周年となった99年には、生ギター1本によるセルフ・カヴァー・ベスト『エンケンの四畳半ロック』、デビュー33周年・55歳のゾロ目となった2002年に『幾つになっても甘かあネェ!』を発表し、再びアルバム・レコーディングを活発化させる。2005年には、日本武道館に於ける無観客ライブ『エンケン対日本武道館』を自らが監督・主演・音楽を務め映画化。翌年のアルバム『にゃあ!』に続き、還暦を迎えた2007年にはシングル『惚れた!惚れた!』を発表。デビュー40周年を迎えた2009年、通算20枚目となるニュー・アルバム『君にふにゃふにゃ』をリリース。「フォロパジャクエン NO.1」には、2009年におけるエンケンの、歌い始めた頃から変わらぬメッセージが込められている。2011年、3月11日に起きた東日本大震災、そして原発事故と対峙したエンケンは「もうちょっとだけ頑張ってみようかな …2011年3月14日月曜晴れ…」をピアノの弾き語りで創作した。2012年1月11日には、生誕65周年を目前にしてニューアルバム『ちゃんとやれ!えんけん!』をリリースする。
- 関連サイト(外部サイト)
- 関連特集(HMVサイト内)
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遠藤賢司ロング・インタビュー
(2009年9月)
不滅の男”エンケン”こと遠藤賢司がデビュー40周年に相応しい傑作ニューアルバム『君にふにゃふにゃ』をリリース! 新作については勿論、細野晴臣さんとの出会い、幼少期、ボブ・ディラン、鉄砲光三郎、宇宙観、東京...色々とお伺いしてまいりました。

遠藤賢司実況録音大全第二巻 (2009年12月)
エンケンさん宅の押入奥から大量の未発表音源(カセットテープ)が! 『遠藤賢司実況録音大全 第二巻』(9CD+DVD)の登場です!

ミチロウ トリビュート!
(2010年11月)
遠藤ミチロウ トリビュート・アルバムが凄い! メジャー盤は黒猫、銀杏、YUKI、戸川純....。インディ盤はエンケン、竹内ピストルなど!

頭脳警察ドキュメンタリー!
(2010年10月)
『ドキュメンタリー 頭脳警察』DVDリリース記念!40年間、変わらない。闘い続けるバンド、頭脳警察の全てを収めた、映画史の伝説を塗り替える5時間14分!

『あがた森魚ややデラックス』
あがた森魚インタビュー
(2009年11月)
『あがた森魚ややデラックス』について、お話を伺いました。吉井和哉さんとの“こぼれ話”も! ぜひ、あがたさんのライブにも足をお運び頂きたいという想いを最後に込めつつ・・・。

フォークジャンボリーの記録
(2010年11月)
まだこんな未発表の映像が残っていたとは!! 「全日本フォークジャンボリー」の記録映画【ダイジェスト映像公開中】
[シリーズ名盤]
はっぴいえんど編
時代が変われど、色褪せず聴き継がれていく音楽。そんな名盤をまとめ中です。今回ははっぴいえんどを特集します!

細野晴臣の重大発表は?
ニューアルバム『HoSoNoVa』発売! さらにリリース記念のコンサートでティン・パン・アレイ再集結! 矢野顕子まで!!

『トーキョードリフター』
松江哲明×前野健太 対談!
『ライブテープ』タッグ、再び!HMV ONLINEに2度目のご登場!絶妙な関係性の中で生まれた対談をお楽しみ下さい。直筆サイン入りポスターも抽選で!

『さむくないかい』
根本敬 インタビュー
(2010年3月)
映像夜間中学が10周年を迎え、1996年に制作された『さむくないかい』が21世紀初のパートカラーで甦った! 発売記念“因果力”インタビューを。

『HORO2010』
小坂忠 インタビュー
(2010年3月)
1975年に発表された『ほうろう』のヴォーカル・テイクを、『HORO2010』と題し35年ぶりに更新した小坂忠さんにインタビュー。

曽我部恵一
ソロ10周年アルバム
今年ソロ活動10周年を迎え、あらためて自分自身と向き合い制作された曽我部恵一のNewアルバム『PINK』が発売!

【インタビュー】
THE BEATNIKS
結成30周年! 高橋幸宏と鈴木慶一によるTHE BEATNIKSが約10年ぶりとなるアルバム『LAST TRAIN TO EXITOWN』をリリース。お二人にお話を伺いました。


