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[シリーズ名盤] はっぴいえんど 編

2011年5月27日 (金)

【シリーズ名盤】 はっぴいえんど 編

さてみなさん、年間でどれだけのCDがリリースされているかご存知でしょうか?
日本レコード協会の統計データによると、2009年のCDアルバムのリリースタイトルは15,054タイトル。ここ5年を平均してみても、毎年15,000以上のCDアルバムが発売されているわけです。
そんな膨大なリリース量の中で後世に残っていく作品は、ほんの一握り。その一握りの素晴らしい作品を僕らは名盤と呼ぶのだと思います。
時代が変われど、色褪せず聴き継がれていく音楽。次の世代にも聴いて貰いたい豊かな作品。そんな名盤を少しずつまとめていければと思うわけです。
今回クローズアップするのは「はっぴいえんど」
幾度となく再評価の波があり、名盤と言えば必ず列挙されるアーティストの一つです。

結成は69年。細野晴臣、鈴木茂、大滝詠一、松本隆の4人によって、バッファロースプリングフィールドなどウエストコーストロックに想いを馳せ結成されたようです。

69年といえば、ウッドストック。以降70年71年・・・と続くブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニズ・ジョップリン、ジム・モリソンら多くのミュージシャンの死。ロックの歴史が揺れ動いた、ある種象徴的な時代。

一方ここ日本は、70年安保目前、フォーク全盛期。GSブームは終焉を向かえ、ロックとかいうアメリカの音楽を初めて意識し始めた時代と言えるかもしれません。

そんな時代に、日本語でロックを鳴らしていたのが“はっぴいえんど”というバンドだった訳です。
今でこそ当たり前の様にロックバンドは日本語で歌ってますが、当時は「日本語でロックはダメ絶対!」って決め付けられてた時代のようなので、“はっぴいえんど”のその姿勢は相当変だった事と思います。 いつだって時代に風穴を開けるのは変人なんですね。

とかく、日本語ロックの始祖的な事がクローズアップされる“はっぴいえんど”ですが、果たしてそれだけで、今も聴き継がれるものでしょうか?

そこはやっぱり“はっぴいえんど”の音楽性があってこそ。
“はっぴいえんど”の音楽には、自分達が日本人である事に対するある種のあきらめ、所詮アメリカ人にはなれない事を受け入れた人間の潔さがあるように思えるのです。
「俺ロックがやりてーからアメリカ人になりきって演奏してやるぜ!」と言った出鱈目な不自然さはなく、あくまで自分達は日本人。「アメリカに憧れるちょっととんがった東京人」という視点で描いている点が最大の魅力なんじゃないか思います。
“はっぴいえんど”の音楽に含まれる、「東京の原風景」的な郷愁は、この辺にあるのでは?
アメリカのロックに憧れてスタートした結果、かえって日本人のアイデンティティーが浮き彫りになった。
不思議なものです。
だからこそそれは日本人にしか出来ないオリジナルなロックとなり、今の時代にも色褪せず聴き継がれているのでしょう。

さて、では“はっぴいえんど”の名盤とはどれに当たるのでしょうか?
『はっぴいえんど(通称:ゆでめん)』『風街ろまん』『HAPPY END』と3枚のオリジナルアルバムがリリースされていますが・・・全部です。持ってない方は今すぐ3枚まとめて買って下さい。
と言うのは少々乱暴かもしれませんので指針をひとつ。
この中でとりあえず1枚と言うことであれば『風街ろまん』をお勧めします。バンド的にも最も結束した時期の作品ですし、何より一般的に名盤と語られる事が最も多い作品です。
なにを隠そう、90年代当時、サニーデイサービスやオリジナルラブら渋谷系と言われるアーティストのルーツとして“はっぴいえんど”再評価熱が高まった時期に僕が最初に手にしたCDも『風街ろまん』。
収録曲「はいからはくち」の圧倒的なロックにド肝を抜かれた感動を今でも覚えています。カバーされる事も多い名曲「風をあつめて」等もこのアルバムに収録されています。
まずはこの『風街ろまん』から入り、その後にでも他の2枚を買い揃えて、自分にとっての名盤はどれなのかあれやこれやと想いを巡らせて見るのも一興です。ちなみに僕は『HAPPY END』が一番好きだったりします。

それでは各タイトルが一体どのような作品なのか、少しずつ触れて行きましょう。

はっぴいえんど 『はっぴいえんど』 / はっぴいえんど
[1970年08月05日 発売]
日本のロック史に風穴をあけた記念すべきデビュー盤。バッファロー・スプリングフィールドやモビーグレイプなどのウエスト・コースト・ロックに触発されたサウンドは今聴いても超クール。鈴木茂のギターも豪快に暴れまわってる様子。ある種の暗さも備えた、はっぴいえんどの中で最もサイケデリックで紫煙の香りがする作品。松本隆が書く歌詞も「雨に憑れた」「嘘が一枚(ひとひら)」など言葉選びの奇妙さが伺える。それぞれに手探りの中、やりたい事を全快でぶつけたのだろう。4人が最もとんがっていた時期の作品と言えるかもしれない。収録曲「春よこい」「かくれんぼ」はロック史に残る名曲だし、「朝」のような美しい楽曲も収録されている。

収録曲

01. 春よ来い
02. かくれんぼ
03. しんしんしん
04. 飛べない空
05. 敵タナトスを想起せよ!
06. あやか市の動物園
07. 12月の雨の日
08. いらいら
09. 朝
10. はっぴいえんど
11. 続はっぴーいいえーんど
はっぴいえんど 『風街ろまん』 / はっぴいえんど
[1971年11月20日 発売]
日本のロック史に燦然と輝く金字塔。彼らの最高傑作との呼び声が高い2ndアルバム。それぞれがやりたい事を全力でぶつけた前作に比べ、バンドサウンドとしてのバランスを徹底的に意識した作品のように思える。オルタナティブなイメージすらある「はいからはくち」、ジェイムステイラーらシンガーソングライターからの影響を感じさせる「風をあつめて」「夏なんです」、カントリーミュージックテイストの「暗闇坂むささび変化」。サポートで駒沢裕城のペダルスルティールが入っている事も大きな要因だろう。そんな土の匂いを感じさせるサウンドに、都会=風街をイメージさせる歌詞が吹き込まれる。ここで僕らが感じる「東京の原風景」、それに対する郷愁のようなものは、幻想の街「風街」に対する想いかもしれない。

収録曲

01. 抱きしめたい
02. 空いろのくれよん
03. 風をあつめて
04. 暗闇坂むささび変化
05. はいからはくち
06. はいから・びゅーちふる
07. 夏なんです
08. 花いちもんめ
09. あしたてんきになあれ
10. 颱風
11. 春らんまん
12. 愛餓を
はっぴいえんど 『HAPPY END』 / はっぴいえんど
[1973年02月25日 発売]
『風街ろまん』というある種完璧とも言えるアルバムを作り終えたメンバーは、“はっぴいえんど”としてやりたかった事を全てし尽くし、この後は個人個人の音楽性を強めていく事になる。既に解散も決めたいたにもかかわらず、LAレコーディングというえさにつられて再び集った最後のスタジオ録音。ローウェル・ジョージらリトルフィートの面々やヴァン・ダイク・パークスが参加しているという驚きの3rdアルバムにしてラストアルバム。どこか白昼夢のような印象も感じさせるのは、メンバー間の状況も起因しているかもしれない。「日本語でロック」への気負いのようなものは完全に排除され、それは「さよならアメリカ さよならニッポン」に象徴される。アメリカ/ニッポンという妙な意識からするりと脱却してしまったんである。また前作収録の「花いちもんめ」で覗かせた鈴木茂のソングライターとしての才能が「氷雨月のスケッチ」「明日あたりはきっと春」「さよなら通り3番地」で完全に開花した事も特筆すべき点だろう。このアルバムのリリースから半年後、73年9月21日「CITY ラスト・タイム・アラウンド」と題された解散コンサートを最後に“はっぴいえんど”は、その濃く短い歴史に幕を下ろした。(85年に再結成ライブを行っていますが・・・)

収録曲

01. 風来坊
02. 氷雨月のスケッチ
03. 明日あたりはきっと春
04. 無風状態
05. さよなら通り3番地
06. 相合傘
07. 田舎道
08. 外はいい天気
09. さよならアメリカ・さよならニッポン
いかがでしたでしょうか?
無論“はっぴいえんど”はこの3枚以外にもチェックすべき作品は満載。前述の解散コンサートのLIVE音源では初お目見えのシュガーベイブ(山下達郎・大貫妙子)のコーラスが聴けますし、「暗闇坂むささび変化」の原型バージョンが収録されたLIVE作品『LIVE ON STAGE』や「はいからはくち」の別バージョンが収録されたベスト盤『CITY』など聴くべき作品はまだあります。これを機に抜け出せなくなすのもいいもんですよ。

なお、日本のロック史に燦然と輝く“はっぴいえんど”の残した名盤は、脈々と受け継がれ、前述の渋谷系アーティスト、さらには最近だとキセルやSAKEROCK、おとぎ話、レイハラカミやOKAMOTO'Sに至るまで、様々なアーティストに影響を与えています。
そういった系譜をたどっていくのも音楽の醍醐味ですよね。

ではこの名盤企画、不定期更新で続けますので次回もお楽しみに〜!

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    時代が変われど、色褪せず聴き継がれていく音楽。次の世代にも聴いて貰いたい豊かな作品。そんな名盤を少しずつまとめ中。

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