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【特集】 ジョン・コルトレーン '65-'67

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2011年10月28日 (金)


はじめての(Impluse! 中・後期)ジョン・コルトレーン



 故・油井正一氏をして「生きていてよかった!」と言わしめ、日本全国のジャズ・ファンを悶絶させ一部紛糾させた1966年7月のジョン・コルトレーン最初で最後の来日公演。それから45年という節目のときを迎え、『John Coltrane Live in Japan』という我が国が世界に誇るコンサートの記録が、2005年に発見された「全三部の記者会見」という新たなドキュメント・コンテンツが加わった増強・拡大盤という形で再び世に出ることとなった。 

 折りしも今年はImpulse! レコーズが設立50周年。コルトレーン晩年の諸作品を生み出すことによって60年代におけるレーベルの評価を決定的なものとしたImpulse!は、その後も70年代初頭に至るまで ”ニュー・ウェイブ・オブ・ジャズ”の名に恥じない革新的で先鋭的な作品を数多くリリースしていった、言うまでもなくジャズ史における最重要銘柄のひとつだ。

 こちらでは、伝説の来日公演および晩年のレギュラー・グループによる演奏記録をキーファクターとして、Impulse! における中・後期、つまり1965〜67年の作品を主にとりあげながら、ジョン・コルトレーンという世紀のテナー巨人の魅力に迫ってみたいと思う。「はじめてコルトレーンを聴こうと思っているんだけど・・・」という方尚歓迎な、ジョン・コルトレーン ['65-'67] 特集。 オススメする側される側、どちらも体力勝負!




 
Live In Japan 【完全版】

 
 John Coltrane 「Live in Japan」 【完全版】
 ユニバーサル インターナショナル UCCI9191 発売中

【収録曲】
ディスク 1: 1. アフロ・ブルー 2. ピース・オン・アース
ディスク 2: 1. クレッセント
ディスク 3: 1. ピース・オン・アース 2. レオ
ディスク 4: 1. マイ・フェイヴァリット・シングス
ディスク 5: 1. 記者会見 2. 3大学の学生による共同インタヴュー 3. プライヴェート・インタヴュー




日本盤解説ブックレット
1. アリス・コルトレーンによるコメント(1973年・LP発売時の解説、日本語訳付)
2. マイケル・カスクーナによる解説(1991年・CD発売時の解説、日本語訳付)
3. 岡崎正通 「ジョン・コルトレーン、来日コンサートの衝撃」(書き下ろし)
4. 藤岡靖洋 「コルトレーン来日の意味」(書き下ろし)
5. 藤岡靖洋 「インタヴュー音源の日本語訳全文」(書き下ろし)
6. 藤岡靖洋 「1966年日本ツアー17日間の全日程表」(書き下ろし)
加えて、清水遠流、持田昌弘、有原隆による1966年来日時の貴重な写真を掲載。




 注目はやはり、コルトレーンの肉声を聴くことができるドキュメント・コンテンツ「記者会見/インタビュー」を収録したディスク5となるだろうか。7月9日午後1時から東京プリンスホテルで行なわれた公式記者会見では、当時「スイングジャーナル」の編集長を務めていた児山紀芳氏との質疑応答によって、スーパージャイアンツのインナースペースをほんのわずかだが垣間見ることができる。「尊敬する三人のミュージシャンは?」という問いには、「ラヴィ・シャンカール、オーネット・コールマン、カルロス・サルゼード(ハープ奏者)」の名を挙げ、コルトレーンの音楽がすでに新しい局面に突入していることを日本中のジャズ・ファンは看破し、感嘆と溜め息を交差させた。 

 「わたしは聖者になりたい」という有名な発言もこの公式会見時に出たものだが、コルトレーン研究家・藤岡靖洋氏による「聖者」発言への新しい解釈を踏まえた上で、果たしてどのようなニュアンス、どのような表情、どのような間合いでコルトレーンがそう発言したのか? その真意を実際に我が耳で確かめることができるということで、当時を知る者知らない者をひっくるめたジャズ・ファン全てが色めきたつ。

 [第二部]として同日午後2時からは、早稲田・慶応・立教「三大学モダンジャズ連盟」による共同インタビューが行なわれ、日本・アメリカともに若者を中心にした反旗の闘争が出来する60年代当時を反映したかのような質問が学生連から次々に飛んだ。「マルコム]を尊敬している」というコルトレーンの回答に、当時の日本の若者たちは何を感じたのだろうか? 興味深いインタビューラインである。

 ラストの「プライヴェート・インタヴュー」は、これまでにも何度か音盤化されてきた7月7日東京プリンスホテルのコルトレーンの宿泊室で行なわれたおなじみのもの。上記の囲み取材に比べると幾分リラックスしたコルトレーンの様子が汲みとれるという意味で、最もその嗜好や思想の核心に迫り得ることができたドキュメントなのではないかとあらためて感じてしまう。

 ちなみに、各インタビューのランニングタイムは、「共同記者会見第一部:12分41秒」、「共同記者会見第二部:4分41秒」、「プライベート・インタビュー:16分48秒」となる。都合30分以上に及ぶコルトレーンのインタビューを収めたプロダクツというのは、公式なものにおいて世界中見渡してもおそらくこの『Live in Japan』以外には存在しないのではないだろうか? コルトレーンに対する我が国日本の敬愛の深さ、そこに一瞬たりとも手を抜くことなく強烈な熱風を吹きつけたコルトレーンの誠。今一度しっかり噛み締めたいと思う。 



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ジョン・コルトレーン「ライブ・イン・ジャパン」 変遷


John Coltrane 「Live in Japan」
 今回の【完全版】が登場するまで最もポピュラーだったのがこちらのCD4枚組セット。87年にワーナーからセパレートで発売されていた『ライヴ・イン・ジャパン Vol.1』、『同 Vol.2』を91年にマイケル・カスクーナの監修・編纂で合算したものとなる。TBS、ニッポン放送が所有していたマスターを採用したモノラル音源。ディスク1,2には、ツアー2日目つまり7月11日の東京サンケイホール公演から「Afro Blue」、「Peace On Earth」、「Crescent」が、ディスク3,4には、東京ステージ千秋楽となる同月22日の厚生年金会館公演から「Peace On Earth」、「Leo」、「My Favorite Things」がそれぞれ収められている。ブックレットには、写真家・宮下明義氏によるコルトレーンのポートレイトが掲載されており、またライナーノーツは、カスクーナの書き下ろしと併せて、評論家の岡崎正通氏が86年に執筆したものが再び採用されている。ほか、7月7日に宿泊先の東京プリンスホテル、コルトレーンの部屋で行なわれたインタビュー・テキストも掲載。ちなみに海外盤にも岡崎氏のノートは英語に翻訳され掲載されている。現在この4枚組、国内盤は数年前に生産が終了しており、輸入盤のみが入手可能となっている。


John Coltrane 「Concert in Japan」LP各種
 アナログ時代、まずその口火を切ったのは、22日の厚生年金会館公演の音源が3枚組LPとして73年に東芝音楽工業から発売された『コルトレーン・イン・ジャパン』(ニッポン放送所有のマスター音源)。第6面にはインタビューの一部が収められている。77年には、11日の東京サンケイホール公演を『セカンド・ナイト・イン・トーキョー』(TBSラジオ所有のマスター)というタイトルでこちらも3枚組にて日本コロムビアが発売。同社からは『コルトレーン・イン・ジャパン』という22日公演を収めた3枚組LPも同時発売されている。当時の来日公演をリアルタイムに知るジャズ・ファンのほとんどはおそらくこの2枚で、衝撃のステージを振り返ったのではないだろうか。ほか、ビクター音楽産業からは22日公演を収めた『コルトレーン・イン・トーキョー Vol.1』、11日公演を収めた『同 Vol.2』というLPが発売されている。LP時代には日付けが後ろの音源を「第1集」として発売したものが多いが、これは要するに東京公演最終22日の演奏を「音盤化してくれ」と多数挙がったリクエストとのすり合わせで、最終的にメーカーがセールス・プライオリティを鑑みた結果だろうと推測される。

 また、73年に米Impulse! からリリースされた海外盤には、いかにも”外国人目線”といった感じの北斎風イラストがジャケット・アートワークとしてド派手にあしらわれている。しかしながら、コルトレーンが北島三郎に見えるというある種のシュルレアリスムは、ここ日本でしか通用しない萎びた冗句にすぎないのである。





コルトレーン・クインテットの面々 [1965〜1967]



Pharoah Sanders
 サン・ラー・アーケストラでの活動(『Featuring Pharoah Sanders & Black Harold』参考)などで激しい雄叫びを上げていたファラオに目を付けていたコルトレーンは、65年『Ascension』のセッションでこの若き闘士を初起用。直後に正式メンバーとして迎えられ、コルトレーンが世を去る1967年まで、レギュラー・クインテットのフロントライン ”二枚岩”の牙城で大暴れした。初リーダー録音は65年のESPだが、コルトレーン・グループ入団を受けてImpulse!に移籍。記念すべき第1弾『Tauhid』を皮切りに、『Karma』、『Thembi』、『Love In Us All』など、所謂「スピリチュアル・ジャズ」の基本概念を示した計11枚のリーダー作を吹き込み、コルトレーン亡き後の同レーベルの看板アーティストのひとりとしてジャズの”ニューシング”を牽引した。




Tauhid
 
 Tauhid
 Impulse! GRD129
 ファラオがコルトレーン・グループ在籍中の66年に録音したImpulse! 初作品。ソニー・シャロック(g)、ヘンリー・グライムズ(b)、デイヴ・バレル(p)といった当時気鋭の若手闘士らが集まり、 ”ポスト・コルトレーン・サウンド” として対置されるであろう、さらに新しいジャズの創出に腐心。現代文脈における「クラブ・スピリチュアル」の源流がここにあると言ってもよいだろう。またコルトレーン・グループ日本公演直後ということもあって、珍しくヴォーカルをとった「Japan」という曲もやっている。演奏内容はオリエンタルな風情こそ漂わせているものの、さほど「和」なテイストが感じられないのはご愛嬌。




 



アリス・コルトレーン
 1962〜63年にテリー・ギブス楽団に参加したことをきっかけにジョン・コルトレーンと出会ったアリス。65年にマッコイ・タイナーに代わりグループに加入。結婚はさらにその翌年となる。ゴスペル色の強いピアノとハープを弾き分け、コルトレーン晩年のサウンドに玄妙さを流し込んだ。『至上の愛』における「決意」のパートは、当時4人の女性と同時交際していたコルトレーンがそれを認め、アリスに懺悔しようとした上で創作された曲と言われている。夫亡き後は、ファラオ、ジミー・ギャリソン、ラシッド・アリらを伴って、Impulse!に初リーダー作『Monastic Trio』を録音。その後もImpulse!から20枚近くのリーダー作品を発表。中でも、インドのグル=スワミ・サッチダナンダの思想に帰依し、5ヶ月に及ぶインド紀行で得た体験・思想を吹き込んだ72年の『Universal Consciousness』は、壮大でトリッピンなスピリチュアル絵巻として人気が高い。2007年死去。




Monastic Trio
 
 Monastic Trio
 ユニバーサル UCCI9104
 ジョン・コルトレーンの死の翌年に、彼が残したカルテットと共に録音された作品。夫ジョンの音楽への意志を踏襲しようとするアリスの強い熱意は、コンセプトとアイディアを同時に取り入れ既存の音楽フォーマットを超えようとする試みに充ちている。結果的には彼女にしか成し得ない慈愛に満ちた天の川ハープの世界が広がっている。「Lord, Help Me To Be」、「The Sun」の2曲は『Cosmic Music』にも収録され、後者は甥のフライング・ロータス「Comet Course」の中でサンプリング使用されていることでも知られている。



Jimmy Garrison
(ジミー・ギャリソン)


ジミー・ギャリソン
 50年代後半からプロとしての活動を開始し、ビル・エヴァンス、ケニー・ドーハム、レニー・トリスターノ、オーネット・コールマンらのサイドを務めてきたベース奏者。コルトレーン・グループには『Impressions』の核となった61年11月の ”ヴィレッジ・ヴァンガード・セッション”で初参加。翌62年2月の”バードランド・セッション”以降レジー・ワークマンに代わってレギュラー・ベーシストの座に就き、マッコイ・タイナー(p)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)と共に「至高のカルテット」を形成。67年までコルトレーン・グループのボトムを支えた。モードからフリーまでなんでもござれの表現の幅広さや驚異のテクニックには、晩年の「My Favorite Things」において長尺のベースソロ・スペースを与えるなど、コルトレーンも全幅の信頼を置いていた。




Illumination! / Dear John C.
 
 Illumination! / Dear John C.
 Impulse! 5334698
 至高のコルトレーン・カルテット在籍中に、エルヴィン・ジョーンズとジミー・ギャリソンがカルテットのリズム・セクションに三管フロントを組み合わせて吹き込んだ、フリージャズにも接近した先鋭的な演奏が強力な1963年作品。チャーリー・マリアーノを迎えたエルヴィンの65年リーダー作『Dear John C.』をカップリング。そちらには不参加。






 



ラシッド・アリ
 徐々に調性から逸脱していく後期コルトレーン・サウンドの律動を掌ったドラマー、ラシッド・アリことロバート・パターソン。グループ初参加は、エルヴィンとの2ドラム体制となった65年11月の『Meditations』のためのセッション。ギャリソンやパーカッション部隊と創出した未曾有のアフロポリ・グルーヴは、間違いなくこの時期のコルトレーン・グループの大動脈となっている。エルヴィンは「ドラムの腕前も大したことないのに、エゴイスティックで口が悪くて...」とこぼしていたそうだが、この軋轢は強大なポリグルーヴの創出に欠かすことができないアリに軍配があがったことは言うまでもない。70年代に入ると自己のグループを結成し、ジェイムス・ブラッド・ウルマー、フランク・ロウといったロフト人脈をオルグしながら活動を展開。その後もコンスタントにリーダー作品を発表しながら、ジャコ・パストリアスとのデュオ作品『Blackbird』の録音や、ジョン・ゾーン、ピーター・ブロッツマン、デヴィッド・マレイらとの共演を行なった。2009年死去。




Why Not
 
 Marion Brown
/ Why Not
 ESP 1040 
 Impulse!時代に傑作が多いとされるマリオン・ブラウンがキャリア初期の66年10月にESPに吹き込んだワンホーン・アルバム。すでにコルトレーン・グループへの入団を決めていたラシッド・アリだが、ここでは全般的にノリス ”シローネ” ジョーンズと共にオーソドックスなリズムを刻むことに務めるている。すわ一転、表題曲のみ全員一丸となってアグレッシヴに突っ走る。



McCoy Tyner
McCoy Tyner

Donald ”Rafael” Garrett
Donald Garrett
 
Elvin Jones
Elvin Jones

Emanuel K Rahim
Emanuel Rahim
 
Art Davis
Art Davis
  [1965-1967] クラシック・カルテットとその他のメンバー

 [1965-1967]のコルトレーン・グループにおいては、もちろんこの4人以外にも演奏記録を残しているメンバーはいる。”至高のカルテット”を形成したマッコイ・タイナー(p)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)は、65年11月23日の『Meditations』録音後に共に退団するまで在籍。つまり65年のほぼ1年間は、主にこの「クラシック・カルテット」を軸にした編成でセッションに臨んでいる。61年、Atlantic時代最後の『Ole』セッションや、Impulse! における最初の『Africa/Brass』セッションなどで、ツインベース・サウンドが必要の際にサポーター的に参加していたアート・デイヴィスだが、この時期は65年の『Ascension』セッションに一度登場したきり。アートに代わってそのツインベース・サポーター役に重用されたのが、シカゴのハードバップ・シーンで活躍していたドナルド ”ラファエル”ギャレット。本職のベース以外にバス・クラリネットを操る芸達者ぶりで、さすが「第5のメンバー」と呼ばれていた人物だけはある。ファラオ初見参の『Live in Seattle』、『Kulu Se Mama』、『OM』に登場する。ニュー・クインテット誕生以降折に触れてパーカッション奏者が加わることもあったが、66年の『Live At The Village Vanguard Again!』に記録された「My Favorite Things」における怒涛のアフロポリ生成に一役買ったのがエマニュエル・ラヒムだ。のちに自己グループ名義でリリースした『Total Submission』(ファラオの「The Dues Prayer」と異名同曲となる「Spirit of Truth」を収録)がレアグルーヴ界隈で人気を博すラテン・パーカッション奏者、忘れじの名演。






 
はじめてのジョン・コルトレーン [1965-1967]
グループのレギュラーメンバーの変遷とその演奏記録を辿りながら


   ”コルトレーン入門”の1枚として、『Blue Train』(Blue Note)、『Giant Steps』(Atlantic)、『My Favorite Things』(Atlantic)あたりの作品を推してくるというのは、今昔変わらず鉄板と言うべきか、然様なテーマでは誰がどうチョイスしてもこの3枚が外れることはまずないでしょう。巷に散乱するジャズ・ガイドブックを開いてもこのうちのいずれかは ”殿堂入り” の作品、あるいは通過儀礼的にマストなものとしておよそ大々的に紹介されているはず。また、『Ballads』『Coltrane』(共にImpulse!)なんかを”丸投げ”しても特別問題はなかったり・・・ところが、『Live in Japan』をご本尊に据え置きながら本稿で取り上げているこの時代、つまりレコード会社在籍体系においてImpulse!の中・後期、西暦において大体1965〜67年のコルトレーン作品と不特定多数の方々にファースト・コンタクトを取っていただくにあたっては、レコメンドする側(特に一介の小売り)のより慎重且つ大胆な態度が必要になってくるのではないか、と手に汗握る日々を勝手に過ごしている昨今。とにかく語彙の豊富さと言葉自体のキレがないことには、この時期のコルトレーン・グループ特有のサウンドは巧く表現しきれない、などなど本当にヘコたれそうな今日この頃・・・

 「長丁場のジャズとの対峙」を苦痛に思うかどうかはこの際置いといて、この時期のコルトレーン・グループ特有の強烈な演奏に耐え切れるかどうかがまずは第一のハードルになる、と言えば適当でしょうか。激しい呻き声を上げながら一目散に出て行ってしまった息子(ファラオ)、その後を裸足で追いかける親父(トレーン)もこれまた強烈な怒号を轟かせる。ママ(アリス)は「いつものことよ、ほっときなさい」といった様相で持ち場を離れず。ブラザーたち(リズム陣)はアフロとも何とも形容しがたい騒乱パルスですべての隙間を埋め尽くす。「悪魔のいけにえ」のソーヤー一家の狂気の団欒を想起...などとはあまり大きな声では言えませんが、どう考えても圧倒的な風景。何だったらあまり関わりたくない修羅場だと目を背けるのがおよそ一般的。『Live in Japan』『Live At The Village Vanguard Again!』の「My Favorite Things」を聴いてるかぎり、とてもじゃないが「京都に行こう」だなんていう気にはなれない。天井知らずにしばき上げられるソプラノ/テナー・サックス、地を這うベースソロによる殺しのメロディ 、決壊し氾濫したリズムの洪水がいざなう果ては、間違いなく新幹線で2時間ほどの情緒溢れる古都ではなく、往ったきり帰ってくることができないと見込まれる魔境の僻地? そう考えるとこれ以上恐ろしくて聴き込めません! と ”トレーン・イップス” を発症したリスナーが当時続出したかどうかは判りませんが、そこには「ジャズの巨人」として総じて親しまれていた60年代前半までのコルトレーンの姿はすでになかった、と極端な解釈をせずにはいられない壮絶な音のせめぎ合いがみっちりと封じ込められています。

ジョン・コルトレーン
 いかにも物騒な怪事に触れるかのような抽象テキストを並べてしまいましたが、この時期の「Naima」あるいは「Peace On Earth」などは、これに反して美しくも荘厳な銀河系の大海原へ聴き手諸共放り出してくれる無限の開放感と幸福感に満ち溢れている、そんなK点越えのスーパーアレンジ。ところどころで殺気立つファラオの咆哮にもどこか狂気と表裏の「美しさ」、轟々と命燃やすがための「儚さ」を感じずにはいられず、また90年代以降のクラブジャズ・シーンがコルトレーンの精神性のようなものに最接近し深くコミットしたという文脈の凡そは、おそらくこのあたりの楽曲からの大きなシンパシーに依るものであったと捉えることができそうです。ただやはり、65〜67年においてコルトレーン自身によって再構築された「Naima」、「Peace On Earth」などには、生半可な覚悟でおいそれと手を出すわけにはいかない、至極アンタッチャブルなムードが漂い、圧倒される・衝撃を受けるという意味でも前述の「My Favorite Things」と同列で語り継がれていって然るべき、それほど他の追随を許すまじこの世に二つとないものだということも加えておきたい次第なのです。   

 ここまでくると遠回しに「聴かないほうがいい」と訴えているようであまりにも具合が悪いのですが、決してそういうわけではなく、むしろ「爆発するテンション」と「今までにない厳しい美しさ」とを両価的に持ちあわせているかのようなこの時期のコルトレーンの混沌めいたサウンドを ”入門のためのカード” として引くのもアリではないかなと。「ジャズの新たな波」を標榜したImpulse! レーベルの作品に例を見れば、ファラオ・サンダースはもちろん、アーチー・シェップアルバート・アイラーマリオン・ブラウン、はたまたユセフ・ラティーフといった同朋楽士、さらにはデューイ・レッドマンサム・リヴァースからサン・ラーに至るまでのフリー〜コズミック派のリーダー作品を「スピリチュアル」というトレンドの名の下でTPO分け隔てなくたのしむことができる昨今の開放的で風通しの良い潮流。良くも悪くも順序立てて聴くことを ”絶対” としてきた音楽鑑賞のスタイルは、経年変化による価値観の様変わりや相次ぐディスカヴァリーがもたらした歴史の更新などと共にさほど重要視されることがなくなったと言ってもよいかもしれません。コルトレーン作品も例外なく。『至上の愛』をジャズ喫茶の片隅で頭を抱えながら聴いていた時代が本当に存在したんスか? という声が上がるほど、音楽を取り巻く環境というものは、少なくとも現代日本において政治・哲学などの思想分野一般からかなり乖離したところにあり、であるがゆえの「柔軟な耳」「偏見なき感性」という本来あるべき姿を多く生み出しているのではないでしょうか。ヘヴィメタ好きの兄ちゃんがオラトゥンジ文化センターでの「My Favorite Things」ライブ・ヴァージョンに感化され次の日から阿部薫の中古CDを漁り出してもまったくもって可笑しくはないし、「月9」に夢中のOLのipodに「Expression」が入っていて「スゴイの」と喘いでも何ら不思議ではないということ。ミニマル、ノイズ、アンビエント、ドローンを日々是貪る層にとってこの時期のコルトレーンやエレクトリック・マイルスを子守唄にするぐらいワケないぞ、と時代がニヒルにほくそ笑んでいることにも気付かされてしまいます。  

 これまでに世界中で語られ尽くされてきた音楽家の最も肉感的でマジカルな時期のサウンドだけに、そこに薦める側の勝手な葛藤や錯綜があるにせよ、提示されたら最後、あとはこの音の塊を体いっぱいに受け止めてその陽陰反応を待つしかないわけでして。まずは、当時のジャズ・ファンの評価を真っ二つに分かった『至上の愛』で ”スピリチュアル・トレーン”の何たるかというものを肌身で感じていただきましょう。録音は1964年12月となるので、厳密には[1965-1967]と半ば恣意的に分断した時代区分にはあてはまらないのですが、発売が翌65年ということ、そして何と言っても、このアルバムを基点にしてコルトレーンの音楽路が新しい章へと突入した劇的なパラダイムシフトが存在するということを重要視して、ここで本作を取り上げてみたいと思います。


 
A Love Supreme
 
 A Love Supreme 《デラックス・エディション》
 ユニバーサル インターナショナル UCCO9198 2011年8月24日発売 

【収録曲】
ディスク 1
1. パート1:承認  2. パート2:決意 3. パート3:追求 4. パート4:賛美

ディスク 2
1. アンドレ・フランシスによるイントロダクション  2. 至上の愛 パート1:承認 (ライブ) 3. パート2:決意(ライブ) 4. パート3:追求(ライブ) 5. パート4:賛美(ライブ)  6. パート2:決意(別テイク) 7. パート2:決意(ブレイクダウン) 8. パート1:承認(別テイク) 9. パート1:承認(別テイク)




  • Transition

    『Transition』 (rec. 1965)

    死後にリリースされたアルバムで、1965年6月10日のセッションを録音したものが中心となっている。『至上の愛』の流れを汲みながらも随所にフリーの要素が散りばめられた、文字どおりの”変遷期”を捉えた作品にしてカルテット崩壊寸前の記録。美しいバラード「Dear Lord」、「至上の愛」の続編的な「組曲」など全てが名演...

 
  • Sun Ship

    『Sun Ship』 (rec. 1965)

    ファラオ・サンダースを迎える直前、黄金のカルテット最後の年である65年の8月に吹き込まれた1枚。コルトレーンを筆頭とする全メンバーが、壮絶な音の会話を繰り広げる。「Ascent」はベース奏者ジミー・ギャリソンを代表する熱演。決して甘くはないバラード「Dearly Beloved」も含めて本カルテットによる最も激しい演奏が聴ける...

 
  • First Meditations

    『First Meditations』 (rec. 1965)

    最強カルテット解体直前、つまりマッコイ、ギャリソン、エルヴィンらとの事実上のラスト・レコーディングとなる65年9月2日録音。リリースはコルトレーンの死後10年が経った77年。タイトルに「ファースト」と付くのは、『Meditations』の約3ヵ月前の録音であるため。シンプルなメロディ、燃えるような即興演奏を満喫できる...



 「承認」「決意」「追求」「賛美」の四部からなる組曲という構成をとっていること自体、1964年当時ジャズの世界では珍しいこともあり、ここにコルトレーンの作曲(創作)をする上での強い意志を感じることができると、評論家スジの方々は口を揃えていたそうです。録音当時コルトレーンは、インド哲学に深く傾倒したことをはじめ世界中のあらゆる宗教に強い関心を持っており、ときおり瞑想に耽ってはそうした ”宗教観”や”宇宙観”を手繰り寄せていたそうです。「神に捧げし小さな祈り」という概念を持って創作された作品がこの『至上の愛』となるわけですが、一握りの好事家連を除けば、この前情報がそう簡単においしいトピックとなるはずもなく、全体に漂うドーンとした空気にあっという間に押しつぶされてしまうのが関の山か・・・と懸念するもののそれはまったくの杞憂に過ぎず。例えば「承認」は、70年代にサンタナとジョン・マクラフリンによってロック・シーンに紹介され、80年代レアグル勃興期にはダグ&ジーン・カーンのカヴァーがロンドンのダンスジャズ・フロアを鼓舞。90年代以降現在に至るまでには、Mo'waxのパターソン、ホセ・ジェイムスビルド・アン・アークあるいはドゥワイト・トライブらの幾らか通俗的な解釈によって『至上の愛』は、ジャズ以外(ニア・ジャズ)のシーンにおいても広く伝播されてきました。日本の裏原系某アパレルにいたっては自社のブランド・イメージ広告に ”ラブ・シュプリーム・トレーン” を登場させるほどの大胆なブッ込みよう。 つまり、「思ったよりもとっつきやすいっスね」というのが現代人の感覚。ビートルズ上陸前夜、ラーメン一杯60円の時代とは受け手の咀嚼力にも大きな違いが出てくるというのも当然と言えるでしょう。「承認」における神への感謝の唱和に「お経のようでドープ」とする流れなどは、もはや宗教理解なんぞそっちのけでそのムードとフォルムをひたすら愛玩する1,2年前の仏女(ふつじょ)ブームにまでチェインしていったという曲解も・・・。 さりとて、”村一番のコルトレーン信者” ブランフォード・マルサリスのリメイク(95年『Red Hot+Cool』コンピ/2003年アムステルダム公演)に憑かれた人もそうでない人も、こうした宗家以外のミュージシャンによる十人十色の解釈に触れるのも、現在において『至上の愛』がどういったポジションに置かれつつあるかを知り得る上でちょっとした参考になるのではないでしょうか。

 コルトレーン・カルテットは『至上の愛』録音後の翌65年に、アルバム制作用のスタジオ・セッションを何度となく重ねることになります。ただしそのうちのほとんどは、後年のマテリアルを含むいくつかのセッションをまとめた未発表編集盤のようなカタチでコルトレーンの死後に発表されるのですが、このことが反ってジャズ入門者のコルトレーン理解の足かせとなっている気もするのですが。。要するに紛らわしいというか、親切丁寧なディスクガイドか、知識があって誠実なレコ屋のオヤジのような指南役がいなければ、求めていたサウンドを芋づる式になかなか引っ張り上げられないのではないかなと。ここに関しては、本稿でできるかぎりセッションの性質が似ていたり、録音時期が近いものを並列させていければと思っております。『Transition』『Sun Ship』『First Meditations』という上掲3作品はいずれも65年のセッションを含み、且つ組曲形式の演奏が記録されているという点においても『至上の愛』の延長線上に属するとされる楽曲を一部収めているものばかり。中でも『Transition』に収録された5つのパートから成る「Suite」(65年6月10日録音)は、激しくも美しい瞬間をいくつも表出し、全体の起伏に富んだ構成、コルトレーンおよびメンバー各自のソロなど、どこをとってもその完成度は非常に高いものとなり、ゆえに『至上の愛』を引き合いにして、「それ以上の傑作」「いや、その凝縮にすぎない」という意見のぶつかり合いを方々で生んだほどなのです。同年8月26日のセッション『Sun Ship』では絶叫に次ぐ絶叫と呼ぶに相応しいカルテットの爆発寸前の演奏を、また一方、同じく9月2日のセッションで後にニュー・クインテットによって一部再構築される『First Meditations』ではバラードに重きを置いたかのような穏やかでシリアスな演奏にほだされることは確実でしょう。


 
Ascension: Editions 1 & 2
 
 Ascension: Editions 1 & 2
 Impulse! 1792024 

【収録曲】
1. Ascension (Edition ll)   2. Ascension (Edition l) 




 さて、『至上の愛』でひとつの境地に達したと目されるコルトレーンですが、とどまることなく65年にセッションを繰り返し、同年6月28日、調性から逸脱した新しいアプローチの一手として総勢11名の若手楽士を集め吹き込んだ『Ascention』という音の記録を持って次のステージ、つまりは「フリージャズ」というジャズのニューウェイヴに自らを躍り投ずることを決意しました。発売当時から本作を肴にした「ジャズ史における『Ascension』の意義とは?」といった類の議論が繰り返されてきたそうですが、この生々しくけたたましい音の渦と衝撃波は、大のオトナたちがいくら口角泡をとばして丁々発止やり合ったところで何らかの結論が出るような軟なレベルのものではないんじゃないかと・・・それでも議論せずにはいられないのだから、コルトレーンの音楽が持つ聴き手への扇動力や焚き付け力というものがいかにパワフルなものであるかを窺い知ることができるでしょう。フリージャズに対する抗体がなければ大怪我しかねないこのドンチャン騒ぎも、「ワケがわからん」と切り捨てる前に、「コレクティヴ・インプロヴィゼーション(集団即興)とパーソナル・インプロヴィゼーション(個の即興)の反復」と称し、その上「神の園」などとという邦題を宛がえてしまえば、イヤでも高名で芸術的な香りは高まるというもの。とは言え、そんなすかしたテクニカル・タームを用いて理詰めで聴くよりも、このドンチャン騒ぎそのものの ”悦” をおすそ分けしてもらおうじゃないかと臨むのが、本作をエンジョイするにあたり最も適切な姿勢と言えるのではないでしょうか。

アーチー・シェップとファラオ・サンダース
 あくまで主観ですが、このドンチャン騒ぎは、フィールド録音、特に世界各地の祝祭の熱狂を記録した音源に顕著な演者のトランス状態と共通項を多く見るような気がしてなりません。祭囃子の方が理路整然として確たるビートが存在している場合も多いので、『Ascention』の方がカオス指数に関しては高いと言えるのでしょうが、ただしこれは「フリーだ! カオスだ! 破壊だ! 断末魔だ!」といった表層的な部分に対するあーだこーだの感情論ではなく、その現場にいるパフォーマーたちの恍惚感や陶酔ぶりをいかにたっぷりと自己投影できるかという点において祝祭時の熱狂と騒乱に相通じているものなのでは、ということなのです。一方では、黒人解放運動の主導者マルコム]が65年2月に暗殺されたことを受け、解放運動に密に携わっていたミュージシャン、アーチー・シェップファラオ・サンダースらとの交流を深めることによって「ブラック・レヴォリューショナリー」としての闘争姿勢をひっそり剥き出しにしていたと捉える向きも多かったそうです。   


  • Kulu Se Mama

    『Kulu Se Mama』 (rec. 1965)

    ドナルド・ラファエル・ギャレットの参加、ジュノ・ルイスのヴォーカル(ヴォイス)のフィーチャーがこの年のコルトレーンの変遷を実感させてくれる。すでに『Cosmic Music』の萌芽が聴き取れる演奏には、この時点でジョンがある意味での啓示を受け取っていたことは確実。『Half Note Live』あたりのストレイト・アヘッドなジャズのダイナミズムとは異なる、内的なバイブレイションから創出されたエネルギーがサウンド全体を覆っているのが明らかに聴こえる。コルトレーンの音楽哲学が初めて顔をはっきりと現した記念すべきアルバムとも言えるだろうか...

 
  • OM

    『OM』 (rec. 1965)

    65年10月1日に吹き込まれ、「(創造主≠ブッダへの)帰依」を意味するタイトルが付けられた作品。前年にインドのシタール奏者ラヴィ・シャンカールと親交を深めたこともあり、コルトレーンの”聖なるもの”または”超越したもの”への強い思いが直接音になっているようだ。29分全1曲からなる本作で彼の内なる宗教に出会える...

 
  • Meditations

    『Meditations』 (rec. 1965)

    最初のセッション『First Meditatiions』で録音されたもの精査し、おなじみのカルテットにファラオ・サンダースやラシッド・アリを加えて再度組み立て直した作品。そこにはすでに定型のジャズとは無縁の世界が広がり、新参ふたりの混沌としたものへの価値観がピタリとはまった。コルトレーン・サウンドの新局面を捉えたエポックメイキングな1枚...

  • Live In Seattle

    『Live In Seattle』 (rec. 1965)

    『Ascension』のリリースに先がけた65年9月30日、シアトルのライブ・ハウスにファラオ・サンダース(ts)とドナルド・ギャレット(bcl,b)を加えたニュー・セクステットで登場したコルトレーン。圧巻の「Evolution」に続く「Afro Blue」における新加入ファラオのソロも素晴らしい。アナログ時代は3曲しか収録されていなかったが、その「Afro Blue」をはじめ、現在では「Body and Soul」、「Tapestry In Sound」が追加収録された2枚組がスタンダードとなっている...

 
  • Selflessness Featuring My Favorite Things

    『Selflessness Featuring My Favorite Things』 (rec. 1963/65)

    屈指の名演と称される「My Favorite Things」を含む63年7月2日のニューポート・ジャズ・フェス(M-1,2)の音源に喰われがちだが、65年10月14日に吹き込まれた「Selflessness」も忘れてはならない名曲。コルトレーンとファラオの絡みからマッコイの耽美なソロに至るまで、いかにこの年のレギュラー・グループが充実していたかを物語っているかのような1曲だ...

 
  • My Favorite Things: Coltrane At Newport

    『My Favorite Things: Coltrane At Newport』 (rec. 1963/65)

    左掲『Selflessness...』にも収録された63年のニューポート・ジャズ・フェスと65年の同フェス・ライブ音源を1枚にまとめたお買い得盤。2ヴァージョンの「My Favorite Things」をとにかく聴き比べてほしい。既発盤にはなかった未発表トラック収録に加え、ステージ・アナウンスメントも復元。さらにオリジナル3トラックのマスターテープからアップグレードしたミックスを採用し、フェスのレアな写真もブックレットに掲載。没後40年となる2007年のリリース...



 65年に録音されたセッションのうち、コルトレーンの生前に作品として発表されたものは、上掲『Ascension』、それに先がけた2月から5月にかけて断続的に行なわれたセッションの記録『John Coltrane Quartet Plays』『First Meditations』の一部楽曲を差し替えて再録した『Meditations』、さらには翌66年に陽の目を見た『Kulu Se Mama』『New Thing At Newport』(ライブ録音)、67年に発表された『OM』だけとなり、その他は70年代に入ってからリリースされたものや、ライブ音源となると90年代以降に編集されたものが多くを占めています。

 『Ascension』でフリージャズ時代の到来に呼応したコルトレーンは、65年9月22日のセッションを最後に ”至高のカルテット” を終息させ、およそ1週間後、シアトルの「ペントハウス」でのステージには『Ascension』で共演したファラオ・サンダースを正式メンバーに迎え入れたセクステットという編成で登場しました。このときの音源が『Live in Seattle』ということになるのですが、とにかくファラオの力みまくりで燃え上がりまくりのテナーが強烈。さらにドナルド・ギャレットのベース/バス・クラリネットが入ることで厚みを増したサウンドは、『Ascension』の騒乱や混沌でさえ凌駕しそうな圧倒的なエネルギーを放射しており、その熱波にクラクラすること受けあいです。ファラオ・ファンにも当然マストでしょう。

ジョン・コルトレーン
 そんなハードなギグの翌日にも彼らはスタジオ入りし、ヒンズー教で「上帝」を意味する『OM』というタイトルの組曲を吹き込みました。呪術的で長尺に及ぶ演奏。ファラオの発狂にも近い怒涛のソロは、ジョー・ブラジルのフルートを加えたセプテットによるマッシヴなインタープレイと相俟って何度もレッドゾーンに突入。「あのブヒブヒ騒いでるヤツは誰だ!?」と訝しげな伝統主義者の牽制もおかまいなしにとにかく何度も振り切れる。これにはコルトレーンもいたくご満悦の様子。尚このアルバムのライナーには「Om Mani Padme Hum」と記されており、その言葉は「聖なる蓮の華(仏陀)に帰依する」を意味。コルトレーンのインド哲学ひいてはこの年に対面を果たしたラヴィ・シャンカールへの深い傾倒ぶりを示しています。ラーガのいろはから、その意味や精神性、インプロヴァイズの仕方、背景のドローンなど、シャンカールから教え伝えられた(音楽を介した)インド哲学は、この『OM』という作品を通してコルトレーンの中で誠実に昇華されていきました。「君の音楽にはやすらぎや平和がない。人々が聴いただけで幸せになれるような要素がない」とシャンカールにダメを出されたことに音楽観を180度ひっくり返されそうなショックを受けるも、そこは生真面目で勤勉なコルトレーンらしく素直にその言葉を受け入れ、ある種の覚醒された感覚の中で編み上げた『OM』。そこには、コルトレーン流の幸福論が抽象的ではありますが随所にたっぷりと含まれている作品と感受してもらってもよいかもしれません。2週間後の10月14日には、西海岸はL.A.楽旅のすがら、フランク・バトラー(ds,per)、ジュノ・ルイス(per,vo)を加えたオクテット編成にてアフロポリ・ナンバー「Kulu Se Mama」、静かに燃ゆる「Selflessness」の2曲を吹き込みました。11月下旬には、セカンド・ドラマーとしてラシッド・アリを正式にメンバーに迎え入れ、その年の9月に行なわれた『First Meditations』セッションの一部マテリアル(+新曲)を再度吹き込むことを決意。パワフルなポリリズム、ファラオの咆哮テナー、新たなエレメンツが加わることでテンションが極限にまで高められたこのセッションは『Meditations』というカタチで世に出ることとなりました。「First」と冠されてはいるものの後出となった『First Meditations』と聴き比べていただければ、そのパワーやダイナミズムの差には歴然としたものがあると言えるでしょう。肉体は病魔に蝕まれつつあったものの、理想的な音の創造へ着々と脇固めをしながらいよいよ前人未到の境地へと向かわんとする、そんなコルトレーンの晩期の充実ぶりがこれらどの作品にもしっかり刻まれています。


 
Live At The Village Vanguard Again!
 
 Live At The Village Vanguard Again!
 Impulse! IMPD213 

【収録曲】
1. Naima  2. Introduction To My Favorite Things 3. My Favorite Things




  • Cosmic Music

    『Cosmic Music』 (rec. 1966)

    ニュー・クインテットによる初レコーディング・セッション。「Manifestation」、「Reverend King」という生前の後期クインテットによる演奏に、死後に妻アリスとファラオを中心に吹きこまれた「Lord, Help Me To Be」、「The Sun」を追加収録...

 
  • Jupiter Variation

    『Jupiter Variation』 (rec. 1966/67)

    晩期コルトレーン・サウンドの謎に迫るセレクション。クインテット編成からドラマー、ラシッド・アリとのデュオまで、すべての瞬間が輝かしい。「Peace On Earth」のスタジオ・ヴァージョンも収録...

 
  • Live in Japan

    『Live in Japan』 (rec. 1966)

    ジョン・コルトレーン・クインテットの歴史的な来日公演を5枚組で収録。ディスク1、2には、66年7月11日新宿厚生年金ホールでの演奏、ディスク3、4には7月22日の東京産経ホールでの演奏が収録され、さらに今回、ディスク5には、「コルトレーン・クインテットの公式記者会見」、「モダンジャズ研究会(学生)による会見」、「ホテル自室でのジョン・コルトレーン・インタビュー」といったボーナス・コンテンツが収録されている...



 1966年、マッコイ・タイナー(p)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)がグループを脱退。ラシッド・アリに次いで、二番目の妻でもあるアリス・コルトレーンが加わったことで、コルトレーン生前最後のレギュラー・グループがここに誕生します。2月にサン・フランシスコで行なわれた最初の記念すべきスタジオ・セッションの記録は、なぜかコルトレーンの生前には発売されず、その死から1年経過した68年に「Manifestation」、「Revered King」だけが『Cosmic Music』という表題で陽の目を見ました。その分かりやすいジャケットからもですが、コルトレーン一行が遂に宇宙に手が届いたことを窺い知るのは、何と言っても冒頭の「Manifestation」から。出だしからいきなり爆発するコルトレーンに唖然としていると、どこからか祭囃子のようなピッコロの音がやって来て、まとまわりつく。さすがファラオのピッコロだけあり徐々に激しさを増しながら、打楽器のレイヤー、アリスの瞑想的なソロを誘い込み、終盤は親方コルトレーンとテナー絶叫発狂大団円。そうか! ガガーリンの見た世界とはこういうものだったんだ、とその混沌とした状況をまだ見ぬ宇宙へと脳内転換。その正体が何かよく分からなくてもスケールが大きいものって、人を無条件に感動させるパワーがあるんですね、ともはや思考も無重力状態。

 残りの「Lord Help Me To Be」、「The Sun」は、コルトレーンの死後にファラオとアリスが中心となって作られた楽曲で、後者はアリスの初リーダー・アルバム『Monastic Trio』にも収録されています。また、この2月の初セッションで録音された晩年の名曲「Peace On Earth」、「Leo」は、死後にアリスが改悪(要するにストリングスやハープなどを被せまくっている)を施したものが『Infinity』や『Jupiter Variation』といった未発表編集盤に収録され、ファンから「な、何を無神経な!」と大ブーイングを買ったことでも有名です。

ファラオとコルトレーン
 同じく2月には、N.Y.のフィルハーモニック・ホールで遂にアルバート・アイラーとの共演が実現。コルトレーン、ファラオ、アイラー兄弟、カルロス・ウォード(as)が揃い踏んだ「My Favorite Things」も演奏されたそうで、音の洪水がものすごい勢いで渦を巻いているのを想像しただけでも鳥肌が立つってもの。当夜の音源、将来的には発掘されてほしいものですが・・・と乞うしてもラチがあかないので、このニュー・クインテットによる素晴らしくも定番な実況録を。同年5月28日のヴィレッジ・ヴァンガード公演を収めた『Live At The Village Vanguard Again!』は、ファンがそのニュー・クインテットの演奏を初めて作品として耳にすることができた記録、つまり”お披露目盤”となるものです。美しく澄み切ったトーンで先陣を切るコルトレーンのテナー、バトンを受けたファラオのソロにも荒々しいが神秘めいた美しさが潜む。先妻の名を冠した「Naima」という曲をアリスはどういった気持ちで奏でていたんだろう? といった下世話な詮索をする余地すら与えない、完璧で究極なる美が両雄息吹きのアバターとして目の前を舞う。ギャリソンの6分に及ぶベースソロに導かれて堰を切る「My Favorite Things」は、もはや初演の表情を残していません。挽歌のようなメロディをソプラノのディープなトーンで吹き上げれば誰もが、その第三の眼が開眼されたかのような主役の顔つきにドキドキしながらもある種のカタルシスを得る。あっという間に天空に舞い上がりはじけて消えたアドリブは、そのままファラオの激情を扇動しながら、はるか彼方の聖地(ゴール)に向かって突き進む。それにしてもすさまじいのがギャリソン=アリがその背後で蠢き錬り出すパルスでポリなリズム群。エルヴィンやマッコイが堪りかねて脱退した理由も何となく見えてきそうな、そんな嘗てない多層的なリズムのうねりが隙間という隙間を埋め尽くしています。またこの度 Impulse! からワールドリリースされることとなったDCPRG『Alter War In Tokyo』ですが、彼らが十余年来推進し続けるアフロポリ、そのひとつのロールモデルともなった演奏がここに記録されているという点で、電化マイルスだけでなくImpulse!期のコルトレーン・マナーにもDCPRGは追随していることを(遅ればせながらではありますが)推察することができるかもしれません。

 激越なるヴィレッジ・ヴァンガード公演から1ヶ月半程を経た7月11日、全日本トレーン信教組合および全てのジャズ狂連に特大のインパクトを与えた歴史的な来日公演が、東京サンケイホールを初日として幕を開けました。17日間の滞在中16公演を行なうという超タイトなスケジュール、さらには体調不良も伝えられていたにもかかわらず、コルトレーンはそんなことを微塵も感じさせない熱演を連日繰り広げました。ある者は衝撃に打ちのめされ感動と興奮の坩堝へ、またある者は「なぜ、さくっと『ブルートレイン』を演らない!?」と苛立ち頭を抱える、ジャズの”ニューシング”なる事件に出くわし対峙し百出まとまらないムードが日本中を包み込んだか否か、しかし確実にその革命期が押し寄せていることをコルトレーン一行は強烈に体現/可視化しました。奇しくもビートルズ狂騒曲が日本列島を縦断した年(しかもたった2週間前に!)に行なわれた、コルトレーン初にして唯一の来日公演。その降臨はビートルズより局地的であったかもしれないにせよ、日本ジャズ史においては最大級の衝撃度を残したと言っても過言ではないでしょう。今回、その当時の記者会見三部を収録し【完全版】としてリリースされる『Live in Japan』で是非そのあたりを追体験しながらご確認していただければと思います。ちなみに、東京での最終日となった7月22日の厚生年金会館のステージでは、来日最中にヤマハからプレゼントされたというアルト・サックスを使って、コルトレーン、ファラオ(これがアルト初体験)の両者が素晴らしき ”アルト・バトル” を「Leo」の中で繰り広げています。その「Leo」のエンディングでは、音の洪水をかき分けながら「それではここで花束の贈呈を...」と司会の団しん也がくすぐったく登場してきて多分にズッコケを禁じえないのですが、まぁそれもこの時代ならではのご愛嬌ということで。


 
Expression
 
 Expression
 Impulse! GRD131 

【収録曲】
1. Ogunde 2. To Be 3. Offering 4. Expression 5. * Number One


* 「Ogunde」と同日のセッションで演奏されるもLP発売当時はオミットされ、のちの未発表編集盤『Jupiter Variation』で陽の目を見る。その後80年代のCD化以降、本盤のラストトラックに収められることとなった。 



  • Interstellar Space

    『Interstellar Space』 (rec. 1967)

    遺作となった『Expression』と比較されることの多い本盤には、前セッションからわずか1週間後の67年2月22日に吹き込まれた楽曲を収録している。全編ラシッド・アリ(ds)とのデュオ演奏だが、あまりにもアグレッシヴな両者の対話に身も竦む。閉塞感を感じさせない剥き出しのコルトレーンが聴き手に迫りくる...

 
  • Stellar Regions

    『Stellar Regions』 (rec. 1967)

    コルトレーンの死後28年が経過した95年にリリースされた作品。録音は67年2月15日で、コルトレーン最晩年の原点に立ち返ったかのようなテナーの咆哮を、シンプルなカルテット編成の中でストレートに感じ取ることができる...

 
  • Olatunji Concert -The Last Live Recording

    『Olatunji Concert -The Last Live Recording』 (rec. 1967)

    67年4月23日、死の3ヶ月前に行なわれた、ニューヨーク「オラトゥンジ・アフリカ文化センター」での爆発的な演奏は、コルトレーンがその霊性を音に込めた至極畢生なるもの。当時コルトレーンはすでに大分体調を崩していたが、親友オラトゥンジの要請に応えたこの日の演奏は、コルトレーンがジャズという媒体を使って伝えようとした全ての物が昇華された史上稀に見る演奏となった...



 66年も年の瀬、コルトレーンはオーネット・コールマンと共同プロデュースしたコンサートをN.Y.ヴィレッジ・シアターで開催。ライオネル ”ソニー” ジョンソンを加えた2ベース、さらにラシッド・アリの兄オマー・アリ、アルジー・ディウィットらのパーカッション部隊を導入したノネット編成にて、ポリリズムの徹底的な追求を行なったと言われています。勿論このときの音源は正式に残っておらず、当時を知る者だけが「凄まじい演奏だったけど、理解できずに席を立ったヤツらも結構いたぜ」と一様に証言しているようです。

 そして、ラストイヤー。67年の2月15日にヴァン・ゲルダー・スタジオで録音された「To Be」と「Offering」は、のちの3月に吹き込まれた「Ogunde」、「Expression」と併せ『Expression』として発表されました。悟りの境地と言うべきか涅槃の境地と言うべきか、全体にそこはかとなく漂う、美しくもダークでたおやかなれど重厚なムード。「To Be」では亡き盟友エリック・ドルフィーの形見となるフルートが使用され、死の幻想への恐怖や諦念をも感じさせるその深遠で玄妙なプレイがピンと張った空気を震わせています。ファラオのピッコロやフルートも、このプレイの前ではやや霞みがちといったところでしょうか。大いに俯瞰するのであれば、「Offering」、「Expression」においては、境地という境地を越え、もはや”聖者”の階段を穏やかな表情で上り始めている、そんなコルトレーンの姿を拝むことができると言ってもよいかもしれません。反面、このラスト・セッションに挟まれる形で行なわれたラシッド・アリとのデュオ・レコーディングでは、激しい咆哮と自由度の高い律動との阿吽の呼吸でアグレッシヴな表情を露にしています。ここで録音された曲には、「Mars」、「Venus」、「Saturn」など全て太陽系惑星の名が冠されているのも意味深。

オラトゥンジ・アフリカ文化センターのコルトレーン・セプテット
 やがて春が訪れ、4月23日ハーレムにあるオラトゥンジ・アフリカ文化センターで開催された「アフリカの起源」コンサートに出演し、「至上の愛パート1:承認」、「My Favorite Things」などを演奏したコルトレーン・クインテット。アルジー・ディウィットとユマのパーカッションを加えたセプテット編成によるその演奏は、2001年に初めて公式に音盤化(『Olatunji Concert -The Last Live Recording』)され、”本当に最期のコルトレーンの記録”としてジャズ・ファンを驚愕させました。この時期の解釈としてすでにおなじみとなったギャリソンのベースソロからの「My Favorite Things」は、これまでになく破壊的。これは、コルトレーンの体力低下によりファラオのソロパートがより長く採用されるようになったことが一因なのかもしれません。61年にヴィレッジ・ゲイトで共演(ステージは共にしていない)して以来、ナイジェリアのパーカッション奏者ババトゥンデ・オラトゥンジが叩き出す強烈なアフリカン・ビートに心酔していたコルトレーン。彼に捧げた「Tunji」という曲があるぐらいその入れ込みようは激しいものでした。またこの時期、自身の身体を自らでコントロールできないほど健康状態が悪化していたコルトレーンですが、「オラトゥンジのためなら...」と最後の力を振り絞るかのようにこの日のステージに立ったそうです。5月にアリス抜きのピアノレス・クインテットでボルティモアにおける生涯最後のライブ演奏を行なったコルトレーンは、7月15日N.Y.ロングアイランドの自宅で吐血。翌16日に病院に搬送されたものの、17日午前4時、遂に帰らぬ人となりました。死因は肝臓がん。享年40歳。最晩年は、オラトゥンジらと先頭に立って黒人音楽の地位向上やその文化を発展させることに意欲を燃やしていただけに、志ざし半ばで”聖者”となってしまったことにはさぞかし大きな悔恨が・・・・・

 と、中盤以降はその音楽キャリアを包括的に振り返っただけで、「結局何が入門としてオススメなんだい?」という声があちこちから聞こえてきそうな感じですが。極論すれば本稿で掲載したほぼ全ての作品がそのテーマに対して打ってつけなわけでして、そこにこの時期のコルトレーンをレコメンドする難しさがあります、と開き直りと自虐の白旗状態。とは言え、今回の『Live in Japan』【完全版】を筆頭に、『至上の愛』『Ascension』『Live At The Village Vanguard Again!』『Expression』という5枚セットを入手して順繰りに聴いていくのがまずは順道妥当かなと。ハードコアなトレーン・フリークからの薫陶はその後のおたのしみにとっておいて...それでもこの5枚からは、理屈抜きに、ジョン・コルトレーンという、天賦の才を持ちながらほかの誰よりも真面目で努力家で、さらに真面目であるがゆえの決壊性分にも人々を強く惹きつけるパワーを持つ、そんな唯一無二の音楽家のソウルを感じ取っていただけるのではないかなと思っております。

 では次回、Impulse! 前期のジョン・コルトレーン [1961-1965] 特集で、またお会いしましょう。  






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Original Impulse Albums 5
 
 Original Impulse Albums 5
 Impulse! B001595002 
 『Live in Seattle』、『Concert in Japan』という後期クインテット屈指のライブ盤に、『Transition』、『Sun Ship』という『至上の愛』セッションにも通ずる”組曲”を擁する死後にリリースされた名編集盤、さらにはこちらも編集盤となる『Infinity』の5タイトルを収録したボックスセット。





 
Original Impulse Albums 4
 
 Original Impulse Albums 4
 Impulse! B001582502 
 ファラオ、アリスらを加えたニューグループの初レコーディング『Cosmic Music』、その新生クインテットのお披露目盤ともなった『Live at the Village Vanguard Again!』、ラヴィ・シャンカールとの親交から創造された『OM』、63年のニューポート・ジャズ・フェス音源に、65年10月のスタジオ・セッションを加えた『Selflessness feat. My Favorite Things』、67年の遺作となった『Expression』の5作品を収録。



Classic Quartet -Complete Impulse Studio Recordings
 
 Classic Quartet -Complete Impulse Studio Recordings
 Impulse! IMPD8280 
 マッコイ、エルヴィン、ギャリソンを擁した「クラシック・カルテット」音源を収録した8枚組ボックス。『With Duke Ellington』、『With Johnny Hartman』といったところから選曲がなされていないため中途半端さは否めないが、ディスク8にのみ「Crescent」や「Song of Praise」のファースト・ヴァージョンなど貴重な音源が纏められており聴き応えはある。またその豪華な外観の装丁と、100ページに亘って稀少フォトやトレーン本人のインタビューを挿入した解説が掲載されているブックレットもファンには嬉しいところ。


 
One Down One Up: Live At The Half Note
 
 One Down One Up: Live At The Half Note
 Impulse! 9862143 
 65年の3〜5月にかけてN.Y.のハーフノートに定期的に出演したクラシック・カルテットの記録。息子ラヴィ・コルトレーンが自宅倉庫から発見したというテープを2005年にImpulse!がリリースしたもので、ディスク1には3月26日、ディスク2には5月7日の演奏が収められている。初演のニュアンスに程近い序盤から徐々に激しい不協和音の嵐の中に突入していく「My Favorite Things」などディスク2収録の2曲がやはり白眉。途中フェイドアウトがなければ百点満点!



Living Space
 
 Living Space
 ユニバーサル インターナショナル UCCI9203 
 『至上の愛』と『Transition』のセッションからのアイトテイクを集めた1枚。本来であればその『Transition』、『Sun Ship』、『First Meditations』の項に並列させたかったところだが...元々は『Feelin' Good』というタイトルで発売されていた未発表編集盤に、65年6月10日のセッションで演奏されたピアノレス・トリオによる「The Last Blues」を加えたもので、98年にリリースされた。「Living Space」はアリスのオーバーダブが加えられていないオリジナル・ヴァージョンが収録されている。



 
Live In '60, '61 & '65
 
 Live In '60, '61 & '65
 Jazz Icons 2119007 
 ジャズレジェンドの貴重なライブ映像発掘に定評のあるJazz Iconsからリリースされた、3つの時代におけるコルトレーン・カルテット/クインテットのライブDVD。マイルス・クインテットからリーダーのマイルスが抜けたことにより形成されたコルトレーン・カルテットにオスカー・ピーターソン(p)とスタン・ゲッツ(ts)がゲスト参加した1960年4月のドイツ公演(M-1〜5)、ドルフィーとの双頭コンボで回った欧州ツアーから1961年11月のドイツ公演(M6〜8)、そして本稿向けとなるクラシック・カルテット1965年8月のベルギー公演(M-9〜11)を収録している。このベルギー公演が、純粋なクラシック・カルテットだけで行なったライブの現存最後の記録となる。