奇跡再び。『闇のアルバム』 第二弾
2011年8月31日 (水)

奇跡は誰にでも一度おきる。そして、二度おきる時もある。
だが、おきたことには誰も気がつかない・・・・さとるとまりんの美しくもエキセントリックな恋物語においてはその奇跡に誰ひとりとして気づくこともなかったが・・・今まさにおこりはじめているこの二度目の奇跡を前に、誰もがめまいを禁じえない。
初めての音楽作品集『闇のアルバム』(CBSソニー)が世に出てから36年、ふたたび”音楽家”楳図かずおの脳内を追体験できるアルバムに出くわすとは。
当時連載中だった「洗礼」の主人公・上原さくらがジャケットに描かれた『闇のアルバム』。すべてオリジナルとなる所収の全10曲は、「洗礼」ほか、「おろち」「へび少女」「漂流教室」「イアラ」「アゲイン」などおなじみの自作品をそのままタイトルに冠してこそあるが、そのストーリーやイメージからはおよそかけ離れた別の世界が、”アシッド歌謡フォーク詩人”楳図かずおの咽喉を震わせながら俗世の闇に放たれていく、そんな作品集だった。そこには原作漫画にリンクしている云々の議論をはるかに凌駕した、圧倒的な詞世界・メロディ・歌唱力がカタルシスのごとく漂白している。ちなみに、2005年に紙ジャケで初CD化された際には、「弾き語り」「秘蔵テープ」と題された未発表音源9曲がボーナス・トラックとして収録されているので、オリジナルLPしかお持ちでない方はこの機会に併せてどうぞ!
「まことちゃん」フィーバーに端を発した数々のシングル制作(名義は、楳図かずお&ザ・チャープス、楳図かずお&スーパー・ポリスなど)や、先ごろ解散したキャッ!!プス、ウメビンズ、楳図かずおと夫婦烏といったプロジェクトに加え、昨年はマキシ・シングル『まことちゃん音頭』を発表するなど、活発な音楽活動を継続的に行なっていたこともあって、36年という時の経過をさほど感じさせないあたりは「漂流教室」さながらの時空の歪みというべきか・・・とにかくご無沙汰感というものをあまり感じさせないのは、楳図かずおという人間自体の滋養の強さや影の濃さなのだろうと、ひとり納得。
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さて、『闇のアルバム 2』に収録されているそのほかの曲についても、基本的には前作のつくりをほぼ踏襲しているが、楽想の幅により広がりが設けられたことで楳図ワールドの引き出しの多さに下を巻く瞬間がさらに多くなった。漫画と切り離すことでさらに深い「闇」へと引きずり込まれそうな恐怖も。「チキンジョージ」は、もちろん鶏肉製造工場で生まれたあの”自然界から遣わされた復讐者”のことだが、もはやそんな頚木からは逃れ、マイケル・ジャクソンがスリラーの衣装のまま飛び乗ったティラノサウルス号で、ブラック・サバス『黒い安息日』を爆音で聴いている、という大妄想にも駆られたくなる怪唱乱麻。
「14歳」には、原作にはない異様に眩しく開き直ったかのような青空が広がる。内田裕也「コミック雑誌なんかいらない」にも通ずる毒のある清々しさだ。アレンジも見事なもので、マイケル・モンローが色気づいてブラス・セクションを導入したかのようなキレキレのロックンロールに仕立てられている。「海賊ロック」の突き抜け方も尋常ではない。「忍者うごきで イェイイェイイェイ おばさん目がけて しましま」・・・ドスは違えど「ホタテをなめるなよ」という居直り強盗の恫喝感にも酷似。この3曲を引っさげて、今年のニュー・イヤー・ロックフェスティバルの出演は決まったも同然だ。
シングルとは別ヴァージョンとなる「新宿烏」をはじめ、「新宿怨歌」「大阪の女」と、直球の演歌・歌謡曲がやはり本作のキモにもなるだろうか、”36歳での新たな門出”にふさわしい新機軸を描いている。すでに一部界隈ではトレンドとなって久しい「幻の名盤解放同盟」にただ尻尾を振ったかのような厭らしさはなく、素朴に唄うことだけをたのしむ楳図かずおの紅潮した顔から顔が次々に浮かび上がる。増位山大志郎「そんな女のひとりごと」、サンダー杉山「十字路」、江本孟紀「あなたまかせの夜」あたりと繋げて聴きたくなるのは男の性。艶かしいサロン・ジャズ歌謡「黒い色」なども含め、このメリハリのききすぎた底知れぬ情念は何なのだろう? それにしても胸を打つ。
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ちなみに、わたくしはこちらのカード(→)、ある意味アタリが出てしまいました。
※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
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初回盤のみトレーディングカード封入!
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闇のアルバム
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