HMVインタビュー:ラティーフ
2011年8月24日 (水)
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グラミー賞に2度ノミネートされるなど、ソングライターとして素晴らしい仕事を続けているフィラデルフィアの才能、ラティーフの3rdアルバムが完成。新作についてはもちろんのこと、ソングライティングの際のこぼれ話や
すべてのアルバムに参加している盟友のライアン・レスリーについてまで、たっぷりと語ってくれました。
インタビュー・文 / Kana Muramatsu
ライアンと僕はクインシー・ジョーンズとマイケル・ジャクソンの関係と似てる、と言えばわかりやすいかな。
- --- まず最初に、ソングライターとしてフェイス・エヴァンスの「Gone Already」でグラミー・ノミネート、おめでとうございます。今回でミュージック・ソウルチャイルドの「Teach Me」に続いて2回目のノミネートですが、ソングライターとして高評価される気分はどうですか?
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まだキャリアの初期の段階で、ソングライターとして名誉ある評価をしてもらえるなんて本当に光栄だよ。確かにもう何年もこの世界でやってきてはいるけど(Motownからアルバム・デビューしてからは9年)、マーヴィン・ゲイのようなレジェンドですら1度しか受賞したことのない(「セクシュアル・ヒーリング」で2部門受賞だが、1年で、という意味で解釈している模様)グラミー賞で2回もノミネートされたなんて名誉としか言えない。
- --- 「Teach Me」も「Gone Already」、それぞれの制作中のエピソードをきかせてください。これらはそれぞれ、ミュージックおよびフェイスのために書き下ろしたもの?
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「Teach Me」はミュージックのためのセッションで、6曲ぐらい作った中の1曲なんだけど、トラックを聴いて、すぐにコーラスが頭に浮かんだんだ。1時間ぐらいで完成したなぁ。フェイスの「Gone Already」は、みんなでソングライティング・セッションをしていた中で完成した曲なんだ。でも、結局は完成までに2日かかったけどね。正直、フェイスがあの曲を選んでくれるとは夢にも思ってなかったんだ。でも、神様って時に驚くようなことをしてくれるものなんだよね。
- --- 基本的に、ソングライティングする際のインスピレーションはどこから?
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昔の曲や映画や本、いろんなものからインスピレーションを受ける。普段は見過ごすようなことからもね。カラーだったり、天気だったり、洋服だったりも。実は誰にも話したことがないんだけど、面白いことがあったよ。クリス・ブラウンの「Damage」を書いたときなんだけど、その日はもうすでに2曲ぐらい作っていて、クタクタだったんだ。でも「Damage」のビートを聴いて、なんとなくスウィートなスロー・バラードを書いてみたいと思ったんだよ。自分の全てをさらけ出せるようなね。ジャーメインがトラックを聴かせてくれたときから本当に気に入ってしまって、どうしても自分が書きたいって思ったんだ。でも、あまりに疲れてて、ソファで居眠りしちゃったんだよ。みんなも帰ってしまって、どれぐらい寝ていたかわからないけど、ふと目が覚めてから15分ぐらいで曲を書き上げてしまったんだ。夢の中でもうすでに書き上げてたみたいなもんさ。誰にも話したことがなかったけど、ビートを聴きながら眠って、ほぼ完成した歌と共に目覚めたようなもんさ。実はライアン・レスリーと書いた「Before And After」って曲でも同じことがあったんだ。一緒にミーティングをしてて、一晩中どんな曲にするか話してたんだよね。で、朝5時ぐらいかな、僕もライアンも眠ってしまったんだけど、パッと目が覚めて、“曲が出来た!”って叫んじゃったんだ。まるで脳は全く眠ってなくて、ずっと動いてたようなもんだよ。ソングライティングの魅力ってそういうところにあるんだよね。
- --- 長いブランクの後、昨年アルバム『Love Is Love』を日本で発表しましたが、これは結局日本だけだったの?もしそうであれば、日本でここまで人気が出たことについてどう思いますか?
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日本だけのアルバムだよ。アメリカではソングライター業を中心に活動してきてたからね。僕のデビュー・アルバムは正直言って成功とは言えなかった。曲がどうかというよりも、やっぱりレーベルの問題だったり色々あったからね。でも、マンハッタンが僕の気持ちをアーティスト・モードにしてくれた。前作は僕にとって成長でもあり、人間としてもそれまでに経験してきたことが表現できた。アーティストとしての自分の成長も感じることも出来た。 だからこそ、日本のために2枚目のアルバムを作りたいという気持ちにもなった。アーティストである自分の気持ちを思い出させてくれた日本の人達に音楽で恩返しが出来ればと思ったんだ。
- --- 新作、『Love Life』ですが、まずアルバム全体のコンセプトを教えてください。
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意味が2つあるんだ。<みんなが人生を愛するように>という願いと問いかけでのLove Life。自分ももちろん、自分が愛する人達、家族、友人、みんなが愛に溢れた人生を謳歌して欲しいという願いを込めたんだ。そして、恋愛(Love Life)におけるサウンド・トラックとして楽しんで欲しいという意味でのLove Life。愛する人に誠実でいることの大切さだったり、愛する人を得たら絶対に手放しちゃいけないってことを歌ってたりするだろ?昔の恋愛を思い出したり。比較的、健康的な恋愛のストーリーが描かれてると思うんだ。
- --- あなたはアルバム・タイトルに常に<LOVE>という言葉を使っていますが、あなたにとって愛はなんでしょうか?
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全てさ。愛が全て。愛=神、神=愛。この世の全てのものは愛に溢れている。僕は自分が作り、歌う音楽を通じて、常に愛を伝えていきたいと思ってるんだ。みんな愛について語るのを恥ずかしがったりするけど、語らずとも愛は存在する。妬みだって愛の裏返しだよね。愛があるから妬んだりするわけだから。愛こそが人生のエレメント。恋人からの愛だけではなく、自分自身に対する愛もそう。神に対する愛もそう。人には愛が必要だからね。
- --- 今後もアルバムには必ず<LOVE>という言葉をタイトルに織り込んでいく考えですか?
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もちろん。LOVEはパワー・ワードなんだ。言葉というのはパワフルなもんなんだよ。愛という言葉を聞いただけで、みんな何かを感じるはず。愛という言葉は、誰の心にも通じると思ってるからね。愛だけでなく、LIFE(人生)という言葉もそう。だから、今後もLOVEとLIFEという言葉は出来る限り使っていこうと思ってる。
- --- 1人の男コーリー・ラティーフ・ウィリアムスと、アーティスト、ラティーフを<愛>という言葉を使って表現してもらえませんか?
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ラティーフという名前は元々アラビア語でgentle(穏やか、寛大、優しい)という意味なんだ。僕が曲を発表し始めた頃から、繊細な音楽で知られてきていると思う。そして、1人の男としても、繊細だし、僕の音楽が素の自分を反映していると信じている。自分の繊細な部分を隠そうとするアーティストはたくさんいるけど、僕は、人と会話をしていて相手がどういう人間かわかるように、音楽も同じで、聴いただけでその人がわかるものでなければいけないと思ってるんだ。聴く人が自分を感じるようじゃなきゃダメだってね。僕は常に音楽を通じて自分の心をさらけ出してきた。そして音楽を通じてでも、人と接するときでも、常に愛を感じてもらえるようにしてきたんだ。音楽のことを話すだけでも、僕の音楽に対する愛を感じてもらえると思うし、いつも正直に語り、生きてきたつもりさ。
- --- アーティストの中には、オルター・イゴが存在して、ステージ上でも違う自分になる、という人達もいますが、あなたは全くそういうタイプではないみたいですね。
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今の時代は、人はどうしても、皆を喜ばそうとする傾向にあると思うんだよ。でも、結局は自分らしくいることしか出来ないと思うんだ。まわりの人達全員、世界中の人達みんなが求める自分になんてなれないのさ。アーティストとしては、実験的な音楽を作らされたり、逆に自分らしくない一般受けしそうな音楽を作らなきゃいけないこともあるけど、それでも、自分が受け入れられる範囲でしかできないんだよね。結局、自分とは違うことは出来ないわけさ。自分の中で(別人を作り上げようとも)、限界もあるってこと。それを知らずに無理をすると、アーティストとして問題が出てくると思うんだ。だからアーティストとして革命的なことや実験的なことをやったとしても、スティーヴィー・ワンダーだったり、カニエだったり、エリカ・バドゥだったり、ただ自分に正直にという部分が根底にあって出来上がったものは受け入れられる。たとえ、それまでの彼らの音楽とは違うサウンドだろうがね。
- --- 今回もライアン・レスリーと組んでますよね。3作通しては彼だけだと思うのですが、まずあなたがライアンを最初に起用したアーティストの1人だと思います。彼とはファミリーのようにずっと一緒にやっていこうと思っている?
もちろん。元々、僕とライアンが一緒に組んでこの世界に飛び込んだんだ。99年ぐらいにボストンで出会って、一緒にやっていこうと決めたんだよ。彼がハーバード大を卒業した後もボストンに留まってプロデュース活動をし始めてた頃で、僕はバークリー音楽大学にいて、卒業したら音楽教師かなんかになろうと考えていたところだった。そんな時、共通の友達が、彼がプロデュースした曲を聴かせてくれてすごく気に入ったんだ。運命的な出会いだったんだと思う。それで、あるタレント・ショーに出場するときに、彼に来てもらって、バックステージで会ってそれ以来、一緒に音楽をやっていこうってことになった。あまり知られてないことだけどね。初めて世に出た僕らのコラボ曲はティーン・ピープル誌の音楽コンテスト(笑)。実際に優勝したんだ。その後で、僕はバウワウだったりデスティニーズ・チャイルドの前座としてパフォーマンスもするようになった。 そして、彼の曲が初めて起用されたのも僕のデビュー・アルバムだし、もちろん、僕にとっても初めてのアルバムだったから、この世界でプロとして共にスタートした同志だね。彼はプロデューサーとして最も熱心なプロデューサーだと思う。プロデューサーというとビートを作るだけの人も多いけど、彼とはキチンとアイディアを分かち合ってやっていける。クインシー・ジョーンズとマイケル・ジャクソンの関係と似てる、と言えばわかりやすいかな。実際に彼には冗談でよく“僕にとってのクインシー・ジョーンズ”って言っているしね(笑)。最近の彼はずっとアーティスト・モードに入っていたけど、この間、また一緒にスタジオに入ろうって話をしたばかりさ。一緒にプロジェクトを作り上げようってね。彼とのケミストリーは最高なんだ。音楽は関わってる人達のケミストリーが合わないと音楽として成立しないからね。そうそう、実は僕のアルバムはショーン・ギャレットにとっても初めて曲が起用された記念すべき作品でもあるんだよ。
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- Love Life
Latif - 2011年9月7日発売
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- Love Is Love
Latif - 2010年3月発売
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- Love In The First
Latif - 2003年9月発売
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- Luvanmusiq
Musiq Soulchild - 2003年9月発売
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- Something About Faith
Faith Evans - 2010年10月発売
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- Transition
Ryan Leslie - 2009年11月発売
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- Turbo 919
Sean Garrett - 2008年5月発売
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