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裏RTF!! ゲッツの72年モントルー祭

Monday, August 8th 2011


Stan Getz Quartrt @Montreux 1972




スタン・ゲッツ・カルテット 1972年モントルー・ジャズ・フェスティヴァル


 テナー巨人スタン・ゲッツのリーダー作品でこの時期セールスが伸びるブツと言えば、ジョアン・ジルベルトとの爽涼ボサノヴァ盤『Getz / Gilberto』と相場が決まっていたのですが、どうやら今年は少し様子が違うようで・・・ ”主役喰い” とも囁かれそうな超豪華サイドメンを従えて登場した『Montreux Jazz Festival 1972』に注目が集まっているとのこと。

 ”主役喰い”とは決して大袈裟ではなく、当時結成直後のリターン・トゥ・フォーエヴァー(RTF)陣容、チック・コリア(p)とスタンリー・クラーク(b)の二人に、マイルス・デイヴィス第二期クインテット解体後に自己グループ「ライフタイム」で華々しく活躍していたスーパー・ドラマー、トニー・ウィリアムスという、やがて訪れるフュージョン・シーズンの顔役ばかりが集まったスーパー・グループ。短命に終わったそのスタン・ゲッツ・グループの一世一代の名演が甦るということで、多くのジャズ・ファンが色めき立つのは無理もないでしょう。ちなみにゲッツとチックの初共演というのは、当時より5年程さかのぼった1967年の『Sweet Rain』。チックは、処女作『Tones For Joan's Bones』こそリリースしているものの、その名を広く知らしめたマイルス塾入門以前ということもあり、まだまだ ”駆け出し感” が強く付きまとっていたのは否めなかった時期でした。

 モントルー祭出演の4ヶ月前には『Captain Marvel』というこれまたフュージョン風味の快作を世に送り出したスタン・ゲッツ・グループ。『Getz / Gilberto』同様に、いつの時代もジャズに新しさを求めていたゲッツ。フュージョン前夜に若手中心のグループを結成し、フレッシュな音の創造を模索するということは至って自然な流れと言えるでしょう。そんなゲッツの熱気溢れるプレイもさることながら、『Return To Forever』録音直後となる新グループのコンディションを確かめるかのように全体に目配せをするチックのクレバーぶりも印象的。チックのコンポジションがそのほとんどを占め、またアイアート・モレイラ(per)の参戦なども含めて、「裏RTF」と本作が呼ばれるべくムードが全編にわたって漂白。「La Fiesta」、「500 Miles High」、「Time's Lie」、「Crystal Silence」など、リターン・トゥ・フォーエヴァーのヴァージョンで有名となるナンバーがズラリと並んでいれば誰だって自ずとそんな情景が脳裏をよぎるってものです。

 そんなRTFのフロント二人を擁したスタン・ゲッツ・グループがモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに登場したのは、1972年7月23日。チックのソロ名義となる『Return To Forever』、さらに『Captain Marvel』もすでに吹き込まれている時期。俯瞰すれば、ゲッツとチックがそれぞれ違う未来予想図を描いていたことにより短命に終わったスーパー・カルテットの、その一瞬の閃光が放たれたステージと位置付けてよいかもしれません。実際は、この時点ですでに解散と相成っていたものの、モントルー祭出演のためだけに再度召集されたということで(チックにとってはRTFのプロモーションの一環でもあったとか...)、極めて刹那的な感情に支配されそうにはなるのですが、そこはやはり千両役者たちによる極北のサークル。モントルーの聴衆がその演奏にシビれまくったことは言うまでもありません。


Stan Getz Quartrt @Montreux 1972
 

 『Portrait』というタイトルで15年程前に日本盤CDでもリリース(ハーフ・オフィシャル?)されていた、このモントルー・ジャズ祭の記録。何年か前にもスペインのGambitから、『Portrait』ではオミットされていた「I Remember Clifford」、「Times Lie」を収録した完全盤『Complete Live At Montreux 1972』というブツがリリースされていましたが、限定プレスのため今では入手困難。どちらも演奏の素晴らしさとは裏腹に、音質はお世辞にも良好と言えず長年胸のつかえが取れなかったファンも多かったはず。  

 そんなぐずついた気分を一掃するべく登場する今回の『Montreux Jazz Festival 1972』。マスターの状態に起因(一説には当時のPAの不調によって発生したものとも)する一部音声の乱れ・ノイズが入ってはいるものの、しっかりとしたリマスタリングが施され再登場となるのです。しかもオフィシャルとしては本邦初公開となる映像も併せて、ということなのでそこに「初公式化」としての意義も大いにあるというもの。



『Montreux Jazz Festival 1972』(DVD+CD)限定盤 収録曲

ディスク1 (DVD)
  • 1. Captain Marvel
  • 2. Day Waves
  • 3. Lush Life
  • 4. Windows
  • 5. I Remember Clifford
  • 6. La Fiesta
  • 7. Times Lie

ディスク2 (CD)
  • 1. Captain Marvel
  • 2. Day Waves
  • 3. Lush Life
  • 4. Windows
  • 5. I Remember Clifford
  • 6. La Fiesta
  • 7. Times Lie

Stan Getz (ts), Chick Corea (el-p), Stanley Clarke (b), Tony Williams (ds)
Recorded Live at the Montreux Jazz Festival on July 23




 フェンダー・ローズのみで弾き倒すチック、パーカッシヴに愛器をヒットするスタンリー、今なお斬新に響くトニーのドラム。「ジャズ新時代到来」を傍目に(脅威とも?)感じながら、親分ゲッツも負けじと熱いブロウで応戦。メリハリのない乱打戦に突入かと思いきや、しっかりと全体の統制は取れているのだからアラ不思議。チックの握った主導権が多分に功を奏した、つまり「リターン・トゥ・フォーエヴァーに半ば組み込まれたカタチでのゲッツ」という図式が成り立ったことで、この日の演奏すべてが「伝説」とも呼べる、キリリと締まった名演に落成。特に「La Fiesta」におけるがっぷり四つの激演はその際たるものとも言えるでしょう。

 チックの比類なき感性とテクニックに、暴れん坊リズム隊のキレまくるスピード&チャージ・・・「裏RTFとは言い得て妙」どころか「完全なる裏RTF」、いやいや「プレRTF」とでもあらんばかりの? だからと言って親分ゲッツがそこに気圧されるわけでもなく、むしろ ”ボサノヴァの呪縛” から解放されたかのような猛々しくもリラックスした咆哮をぶつけまくる。さらに、モダン・ジャズ本流の深みを味わわせてくれる「I Remember Clifford」でのソロは ”まさか” の独壇場。有名スタンダードの「Lush Life」も含め、やはりこの顔ぶれによるカルテットでしか成しえない名演となっています。

 大いに邪推すれば、ジャズ世代交代 ”引導受け渡しのひとコマ” とも捉えられかねない、「新旧」の勢いの差が判りやすく浮き彫りともなったステージではあるのですが・・・そんなさもしい歴史観をよそに、ゲッツ、チック、スタンリー、トニーの四人は演目を重ねるほどに激しさを増しながらも、確実にひとつになっていく。70年代初期のジャズがいかに混沌としていたかを伝える貴重な記録とも言えるでしょう。「あーだこーだ」言う愉しさをひとまず呑み込んで、何はともあれ「La Fiesta」を聴いてみてください。

   DVD+同内容のCD付き限定盤および、DVD単体CD単体、全3ヴァージョンのリリースが8月24日に再度決定となりました。いずれも日本語解説付きとなります。




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* Point ratios listed below are the case
for Bronze / Gold / Platinum Stage.  

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Montreux Jazz Festival 1972 (+CD)

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Release Date:24/August/2011

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DVD

Live At Montreux 1972

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Stan Getz / Chick Corea / Stanley Clarke / Tony Williams

User Review :5 points (1 reviews) ★★★★★

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(tax incl.): ¥3,461

Release Date:24/August/2011

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CD

Live At Montreux 1972

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Live At Montreux 1972

Stan Getz / Chick Corea / Stanley Clarke / Tony Williams

Price (tax incl.): ¥2,619
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(tax incl.): ¥2,410

Release Date:24/August/2011

  • Deleted

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1972年録音『Captain Marvel』

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Price (tax incl.): ¥1,914
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Release Date:01/March/2008

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スタン・ゲッツ Columbia ボックス

Classic Columbia Albums Collection

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Release Date:20/September/2011
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