感動もらえるメセニー美ソロ・ギター

Friday, June 10th 2011

パット・メセニーが愛してやまない名曲を、一切のオーバーダビングなしのアコースティック・ソロ・ギターで。この音さえあれば何も要らない感動のギター世界。



パット・メセニーは、アコースティックのソロ・アルバム「One Quiet Night」で2003年にグラミー賞を受賞して以来、そのアルバムのレコーディングで使用した、特別に調整されたバリトン・ギターを、ツアー中にも持ち歩くようになり、サウンドチェックと本番のあいだなどの空き時間に演奏していたのだといいます。

複数の楽器を自動演奏させるという驚異のアプローチを成し遂げた前作『オーケストリオン』に続くソロ・アコースティック・ギター作『What’s It All About』。ここに収録された曲は、全曲他アーチストの曲。いわゆるカヴァー・アルバムとなっています。これまで40近くに及ぶメセニーのアルバムで自身のオリジナル曲が1曲も入っていない作品はこれまでになく、メセニーにとって初の試みとなっています。

「One Quiet Night」のときと同様、「What’s It All About」のレコーディングも、深夜、メセニーの二ューヨークの自宅で、ほんの短い期間で行われました。このアルバムは3曲を除いて、アコースティック・バリトン・ギターで録音。その3曲とは、42弦の特注「ピカソ」ギターを使用した「サウンド・オブ・サイレンス」(ポール・サイモン)、通常の6弦ギターで収録された「パイプライン」(ボブ・スピッカード/ブライアン・カーマン)、ナイロン弦のギターを使用した「アンド・アイ・ラブ・ハー」(ジョン・レノン/ポール・マッカートニー)です。



至高の技術を持って豊かなギターの音色と共に美しく奏でられる名曲達。まさにメセニー流と呼べる、これまでにないソロ・ギター作、そして最上級のカヴァー集と言えるでしょう。『オーケストリオン』に続き、今度はギター1本で、またもやメセニーは誰にも真似できない作品を作り上げてしまいました。

バリトン･ギター

歴史は意外と古く1956年辺りに世界初の｢バリトン･ギター｣が誕生。 通常のギターよりもチューニングを落として演奏するために作られたロング･スケールのギターで、ギター/ベースのようなはっきりとしたチューニングやスケールの決まりがないのが特徴。6本の弦はギターのオクターブ下のチューニング(ベースと同じ音程)のものが多いものの、スケールはベースのレギュラー･スケール(432mm)よりもはるかに短い。

TRACK LISTING

01 The Sound of Silence (Paul Simon)
　　サウンド･オブ･サイレンス/サイモン&ガーファンクル

02 Cherish (Terry Kirkman)
　　チェリッシュ/アソシエイション
〜 71年にデヴィッド･キャシディがカバー米国で9位を記録

03 Alfie (Burt Bacharach & Hal David)
　　アルフィー/シラ･ブラック
〜オリジナルは映画挿入歌としてソニーボノが編曲、シェールが米国で66年8月27日に最高位32位(8月6日チャートイン)を記録。またディオンヌ･ワーウイックが67年に米国で15位。スティーヴィー･ワンダーが別名Eivets Rednowで、インストゥルメンタル(ハーモニカ)として68年に米国で60位を記録。

04 Pipeline (Bob Spickard & Brian Carman)
　　パイプライン/シャンテイズ
〜日本ではベンチャーズが絶大な人気を博していたので、オリジナルよりもベンチャーズのバージョンが有名。

05 Garota de Ipanema (Antonio Carlos Jobim & Vinicius de Moraes)
　　イパネマの娘/アントニオ･カルロス･ジョビン

06 Rainy Days and Mondays (Roger S. Nichols & Paul H. Williams)
　　雨の日と月曜日は/カーペンターズ

07 That’s the Way I’ve Always Heard It Should Be (Carly Simon & Jacob Brackman)
　　幸福のノクターン/カーリー･サイモン

08 Slow Hot Wind (Henry Mancini & Normal Gimbel)
　　スロー･ホット･ウインド/ヘンリー･マンシーニ

09 Betcha by Golly, Wow (Thomas Bell & Linda Creed)
　　ゴーリー･ワウ/スタイリスティックス

10 And I Love Her (John Lennon & Paul McCartney)
　　アンド･アイ･ラブ･ハー/ビートルズ

日本盤・LP ボーナス・トラック

11 Round About Midnight (Thelonious Monk)
ラウンド・アバウト・ミッドナイト/セロニアス・モンク

12 This Nearly Was Mine
ジス・ニアリー・ワズ・マイン/ミュージカル「南太平洋」より

◆日本盤にはボーナス・トラック2曲収録のほか、渡辺香津美氏のライナーが付属。

CREDITS

MUSICIANS
Pat Metheny,

solo baritone guitar;
42-string guitar (track 1),
6-string guitar (track 4),
nylon-string guitar (track 10)

PRODUCTION CREDITS
Produced by Pat Metheny
Recorded February 2011 in New York, NY
Recorded by Pat Metheny, Pete Karam, and David Oakes
Mixed by Pete Karam
Mastered by Ted Jensen at Sterling Sound, New York, NY

Design by Barbara de Wilde
Photography by Sandrine Lee
Executive Producer: Robert Hurwitz