【連載】中島ノブユキ(第1回) 中島ノブユキ『日々螺旋階段』へ戻る

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2011年6月15日 (水)

photo:青野賢一

第1回 『レパートリー雑感』


このたび連載をはじめさせていただきます、中島ノブユキと申します。音楽活動で生きております。どうぞお見知りおき下さいませ。さて担当のMさんから頂いたお題は自由。なるほど「表現にとって自由とは」なんて話題に言及し、「自由からの逃亡」(E・フロム著)なんかの話しも織り交ぜて、「私は自由に空を飛びたい」なんてポエティックなことも散りばめて...え、違うの?お題は自由にお任せしますよってこと??ほぉ、なるほど。ますます大変だ。今回が第一回目の連載になります。この連載を読んでくださる皆さまの大多数の方々は中島の事なんて知らないよ、な方々なわけで、そんなわけでむしろなんでもないことから書いていていこうとおもいます。


なんでもないこと、だけどとても大切な...レパートリーすなわち演奏曲について。

ある演奏会を開こうとする。当然どんな曲目を織り交ぜるのかが重要だ。演奏し慣れた曲を多く演奏するのか、はたまた新曲目白押しでのぞむのか。或いは弾き慣れた曲を新アレンジにしてお披露目するか...。いろいろなパターンがある。例えば気の利いた料理屋さんなんかが本日の活きのいい食材を使ってその日のメニューを考えたりするのと似ているか。いつも来てくれるお客さんのためにはお馴染みの定番も入れたいし、その日のアイデアでちょっと実験的な組み合わせを試してみたくなったりして。おぉ、思いがけないこの味の出会い!そんなところから新しい定番メニューが生まれて...。つまり当たり前だけどメニュー(=レパートリー)も新陳代謝が必要なんだ。自分にとってもお客さんにとっても音楽の鮮度を保っていくために。

さて、僕は今とあるレパートリーを考えて悩む日々を送っている。今年の夏頃制作に入るであろうあるアルバムのものだ。演奏会と録音作品のレパートリーの違い。その違いは微妙なもののように捉えがちだけど(自分には)大きく違うように思える。それは演奏会が季節や気候や演奏時間帯やそんな外的要因からも大きな影響を受けるし、もちろん聴きに来てくださるお客さんの熱気や期待感からも。逆に言えばそういう環境からの影響に発想をゆだねてしまえるしまたその方が良い結果を生むこともある。演奏当日になって曲順を変更したり曲目そのものを変えることもある。しかしことアルバムとなるとそれはそれなりに覚悟のいるもので(もちろん演奏会には覚悟がないというわけではない)構築美や構成美、ことによると曲順まで含めてそこに各楽曲の調性関係、各楽曲のテンポ感の移り変わり等々が複雑に絡み合った複数の選択肢の中から正にそのアルバムでしかあり得ない「レパートリー」を紡ぎ出さなくてはならないからだ。

しかしそうは言っても最近は(というよりここ数年は)配信という選択肢が音楽リスナーと音楽制作者の中で大きな選択肢の一つになってきていて、その事によってアルバムの構成(もしくは構築美)ということが以前ほど重要なものではなくなってきている傾向にあることは疑いがない。しかしたとえそういった選択肢の中にあっても構成や構造に腐心するし、またそうしたいのだ。あ、結局悩む日々といってもその悩みも楽し、ということなのか。


ところで6月15日に発売のアルバム" pianona "。このアルバムはここ1年半くらい続けている演奏会(フクモリというお店で毎月1回開いています)が基本になっています。ピアノソロで演奏したり色々な演奏者の方とご一緒したりしながら続けてきています。そのつど5〜6曲を演奏してきたその曲目の中から今回のアルバムのためにレパートリーを選んで全てレコーディングし直しました。もし良かったら聴いてみてくださいませ。






商品ページへ   中島ノブユキ  『pianona』
    [ 2011年06月15日 発売 / 通常価格 ¥2,500(tax in) ]
[収録曲]
01. fragment I
02. Thinking of You
03. East St.Louis Toodle-Oo
04. fragment II
05. Oblivion
06. fragment III

07. Pocket
08. fragment IV
09. Kyrie
10. Simon's Dream
11. fragment V
12. What a Wonderful World
東神田のカフェ兼定食屋「フクモリ」にて、ピアニスト中島ノブユキが毎月行っているイベント「pianona」。その「フクモリ」の開店二周年記念として、中島ノブユキを中心にこれまでに共演したアーティストや楽曲が集い、一枚のアルバムが出来上がりました。
本作には中島ノブユキの他、持田香織(Every Little Thing)、武田カオリ(TICA)、権藤知彦(pupa)、鈴木正人(LITTLE CREATURES)、田村玄一(LITTLE TEMPO)、高田漣など錚々たる面々が参加。 中島ノブユキの即興オリジナル・ピアノソロ「Fragment」5曲(うち1曲は「フクモリ」にある大正時代のピアノを録音した楽曲)をアクセントに、gabby&lopezの森俊二と石井マサユキをヴォーカルとギターに迎えたSister Sledge「Thinking of you」、武田カオリ・高田漣・鈴木正人による「What a wonderful world」、持田香織のソロ曲のセルフカヴァー「Pocket」など、絶品のカヴァー曲を収録。
孤高のピアニスト・中島ノブユキが「フクモリ」で育んだ、暖かくも不思議な空気感をそのままパッケージングした名盤となっています。


関連作品

中島ノブユキ プロフィール

中島ノブユキ

[中島ノブユキ / Nobuyuki Nakajima]
音楽家

ピアニストとしては勿論の事、時に作・編曲家としてエレガントかつスリリングなアンサンブルを構築し、映画音楽〜JAZZ〜POPS〜広告音楽〜クラシック 等様々なフィールドで展開。編曲家として菊地成孔、UA、ゴンチチ、沖仁、高木正勝、CALMらの作品に携わる。またピアニストとして畠山美由紀、ジェーン・バーキン、高田漣、原田知世らと共演。2010年タップダンサー熊谷和徳と東京フィルハーモニー交響楽団が共演する「REVOLUCION」に参加(音楽監修/作曲、オーケストレーション)。映画「人間失格」、アニメーション「たまゆら」の音楽を担当。ソロアルバムとして『エテパルマ』(06)『パッサカイユ』(07)『メランコリア』(10)を発表。2009年より月例ピアノ演奏会 "pianona" をフクモリにて開催中。2011年6月発表のコラボレーションアルバム『pianona』をプロデュース(持田香織、森俊二、武田カオリ、高田漣、北村聡らが参加)。近年は完全即興と作曲との稜線を行くピアノソロによる演奏活動も行っている。日本大学藝術学部で教鞭を執る。


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中島ノブユキ 今月のレコメンド
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人生を共に歩んだクリスティアーヌ・キューブリック撮影による映画監督スタンリー・キューブリックの素顔。映画の撮影中に見せるふとした表情など謎に包まれたキューブリックの意外な一面が見られて楽しい一冊。
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今とても心惹かれているゴスペル。このCDは20年代から50年代までの録音を集めたもの。無伴奏によるコーラスから、ストリングスやバンドによる伴奏まで様々なサウンドを楽しめる。


関連リンク

「フクモリ」は、一人でも立ち寄れる「カフェ兼定食屋」です。
  『フクモリ』HP






中島ノブユキ Live情報


【6月22日】 Candle Night 〜Calm days〜

※普段ライブで使っている音響システムは使わず、生音での演奏そしてステージ照明もキャンドルの灯りのみになります。

【出演】中島ノブユキ / haruka nakamura / small color
【時間】会場 18:30 / 開演 19:30
【料金】前売 ¥3,000 / 当日¥3,500+1D(500)
【会場】晴れたら空に豆まいて(リンク


【6月27日】 Grand Gallery Japan Presents「VELVET SONGS」RELEASE PARTY

【出演】Chocolat&Akito / 中島ノブユキ / TICA
【時間】入場 18:00 / 開演 19:00
【料金】ご予約:3000円+ドリンク代 / 当日:3500円+ドリンク代
【会場】新世界( リンク


【7月1日】 高田漣 with 中島ノブユキ Folk Roots / New Routes

【出演】高田漣(G, Vo) / 中島ノブユキ(Pf)
【時間】Open 18:00 / Start 19:30
【料金】前売券 ¥3,000 / 当日券¥4,000(ドリンク別 / 税込 / 自由席 or 立見)
【会場】Cay(リンク


【7月9日】 中島ノブユキ piano solo live

ピアノソロという、言うなれば裸の音楽形態での演奏を最近続けてきている。 完全即興と作曲された楽曲。 そしてそのどちらでもないいわば稜線とも言える音楽の状態。それらを行き来すること、それはフィジカルであると同時にクリティカルなものでもある。瞬間的で個人的で内在的な物のはずなのだが そこに「置かれているピアノ(の状態)」「演奏する時間帯」「気候」などいわば外的要因によってそれらが大きく揺り動かされることになる。その揺り動かされるという甘美な制度を僕一人で楽しむなんて贅沢は許されないと思う。その「揺らぎ」を聴きにいらした人たちと共有出来たら嬉しい。演奏はその事により完結されると思うから。

(文:中島ノブユキ)

【出演】中島ノブユキ
【時間】open 18:00 / start 19:00
【料金】¥3,000(全席自由、整理番号順のご入場。二階には桟敷席もあります。)
【会場】求道会館( リンク


中島ノブユキ ピアノソロ ツアー 2011 〜 夏は夜 〜

「夏は夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。」

この夏のツアーのことを考えていたら枕草子のこの一節をふと思い出した。ここに映された情感の移ろいはどうだろう。暑すぎていろいろな細かなことがどうでも良くなってしまう、どこか孤独と華やぎとがないまぜになったような、そんな気配すら感じる。

夏は夜。

このシンプルな言葉に寄り添ってピアノをひとり奏でたいと思います。
夏にちなんだ楽曲、そしてインプロヴィゼーションを織り交ぜて...。

(文:中島ノブユキ)

 

【出演】中島ノブユキ (Pf)
【日時】2011年7月28日(木) / Open 19:00 / Start 20:30
【料金】Adv_¥2500 Day_¥3000 (要1ドリンクオーダー)
【会場】きんせ旅館(リンク
【ご予約/お問い合わせ】きんせ旅館 TEL:075-351-4781

 

【出演】中島ノブユキ (Pf)
【日時】2011年7月29日(金) / Open 19:30 / Start 20:00
【料金】Adv_¥3500 Day_¥4000 (別途ドリンク代として¥500)
【会場】城下公会堂(リンク
【ご予約/お問い合わせ】TEL:086-234-5260 / メール:info@saudade-ent.com

 

【出演】中島ノブユキ (Pf)  ※ゲスト 寺門孝之(ライブ・ペインティング)
【日時】2011年7月30日(土)/ Open 18:30 / Start 19:30
【料金】Adv_¥3500 Day_¥4000 (別途ドリンク代として¥500)
【会場】ROUGH RARE(リンク
【ご予約/お問い合わせ】「ROUGH RARE」TEL:078-333-0808 / 「デスカルガ」メール:info@descarga.nu

 

【出演】中島ノブユキ (Pf)
【日時】2011年7月31日(日) / Open 18:00 / Start 19:00
【料金】Adv_¥2800 Day_¥3000 (共に1ドリンク付)
【会場】HUMMOCK Cafe(リンク
【ご予約/お問い合わせ】「HUMMOCK Cafe」TEL:079-254-1400




※次回に続く(7/25更新予定)




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