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HMVインタビュー: ティミー・レジスフォード

Thursday, May 12th 2011

interview

Timmy Regisford

大好評 Heart Beat×AIRのMIXシリーズ第6弾を担当する、NYディープ・ハウス界のカリスマ Timmy Regisfordにインタビュー!

演奏する音楽はどうとでも出来るけど、歌手が歌っているものはなくならないもので、私にとって重要なものなんだ。


--- このミックスCDに収録されているトラックを選曲する際に何を考慮に入れましたでしょうか?

Timmy Regisford: そうだね、まだリリースされていない自分の楽曲を幾つか選曲して収録したよ。ミックスCDの形態で聴いてもらう事によって、よりクラブの現場にいるような雰囲気で紹介したくてね。そして私自身がプレイする事で収録している音楽を人々が少しでも理解してくれるように。これらの楽曲はお店に行っても手に入れる事は出来ないしね。

--- 収録されているトラックは調べたところ、凄く新しくて、最近リリースされたばかりか、まだリリースされていないようですね。

Timmy Regisford: 幾つかのトラックは既にリリースされているけど、何曲かは未発表又は最新なものだね。

--- 貴方が選曲したものの中、どのトラックは未発表なのでしょうか?

Timmy Regisford: 4曲目のBobezy Feat. Siphu Zeeの「Someday」、5、6曲目のDaddyの「Kubu (Instrumental)」と「Kubu (Vocal)」は、まだアメリカではリリースされていないね。11曲目に収録されているフェラ・クティのトラック「Suffering & Smiling」もリリースされていない。

--- このフェラ・クティの曲も未発表なんですか?

Timmy Regisford: そう。19曲目の自分のトラック「Trying Hard」、22曲目のGeorgina Cee & Quentin Harrisのトラック「Don’t U Worry」もリリースされていない。だから6曲ほど未発表曲だね。

--- 貴方にとって、選曲したトラックの中で特に思い出深いトラックはありますか?

Timmy Regisford: 最も気に入っていてまたタイムレスな名曲だと思っているのは、マックスウェルの「Til The Cops Come Knocking」のインスト・リミックス・ヴァージョンだね。私がどこでこの曲をプレイしても、人々は踊ってくれるから。新旧問わず、この曲の音質は素晴らしくて最高なトラックだよ。

--- 世界中で有名なDJとして、去年20周年(1991年開業)を祝ったばかりのクラブ・シェルターのオーナー兼DJとして、そして自身の独自なスタンスと地位で、80年代からNYのディープ・ハウス・シーンをリードし、20年以上もハウス・ミュージックをアンダーグラウンド・シーンから世界中多くの方々が楽しめるものへと成長した中貴方は多大な影響を及ぼしたかと思います。貴方の視点で、ディープ・ハウスの成長についての意見を教えて下さい。

Timmy Regisford: 成長しているかというと難しいね。しかし、多くの転換期を通っているのは確かだ。その中で我々が何をしようが、いつもハウスのエッセンスに回帰しているのは間違いない。なぜかと言うと、80年代〜90年代初頭では、ハウスとは実はダンス・ミュージック又は旧ディスコ・ミュージックと見なされていて、その時代では多くのソング(注:しっかりとしたメロディ、アレンジ、歌詞のある、歌もの)があった。しかしテクノロジーの発展が音楽制作自体に関与し始め、多くはソングを作曲する大事さを忘れてしまった。皆ソングライターではなくミュージシャンになり、リリックなしのハウスのレコードをリリースし始めた。そういった時期も通ったけれどハウスを制作する人間は、まだ発展している最中の段階にいて本当にクリエイティヴになっていないとさえ言える。なぜかと言うと、彼等は楽曲をきちんと作曲していないからだ。現在、人々はインスト音楽に飽きて、作曲する際に作詞(ときちんとしたヴォーカルのアレンジをも)しなければならない時に戻って来た。なので、何をしようがともかく、音楽を制作する人間は皆歌を作詞作曲する基本に戻らなければならない。ソングはいつも必要なんだよ。

--- この考え方は貴方にとって大事なのでしょうか?

Timmy Regisford: 最も大事な事はまずソングなんだよ。技術の革新が、我々にディスコのレコードをクラシックスに、またクラシックスをディスコ(注:エディット、リミックス、サンプリングの事を言っているかと思います)に変える事を可能にさせた。しかし、唯一変えられなく差し替える事が出来ないのは、人間が作詞した歌詞と作曲した歌なんだ。それは決してなくならないよ。演奏する音楽はどうとでも出来るけど、歌手が歌っているものはなくならないもので、私にとって重要なものなんだ。

--- 南アフリカのディープ・ハウス・パーティーに行くと、クラブの観客は皆かかっている曲の歌詞を合唱するという話を最近聞いたのですが、こんな現象は私に取って驚きです。日本のクラブではあり得ない事なので。

Timmy Regisford: 南アフリカではみんな歌う事が解っている。ディープ・ハウスは彼等にとってコマーシャルな音楽なのだ。彼等は、我々が80年代にC&Cミュージック・ファクトリー、C.C.ペニストンやザ・ウェザー・ガールズといったダンス系のアーティストがヒットを飛ばした頃みたいな時期を今(初めて)経験している。我々(の市場で)は4〜5年置きに、ダンス系のアーティストがビッグ・ヒットを飛ばし、メインストリームの領域にクロスオーヴァーするが、彼等のメインストリームは我々にとってのアンダーグラウンド・ミュージック(ディープ・ハウス)なんだ。

--- 南アフリカでは、ハウスが普通にテレビ、ラジオ等で放送されている事を以前に聞いた事があります。東京に住んでいると信じられない事ですが。

Timmy Regisford: うん、そうだね、ここ(東京)では頻繁にはかかっていないよね。南アフリカではまだかなりアンダーグラウンドな存在であり、成長している最中の音楽マーケットである事も考慮しなければならないけど、長年(アパルトヘイト政策で)人々は束縛されていたので、今やっと本領を発揮し始め起動に乗ってきたところなんだ。独自の道を探っている最中で、ハウスは彼等に今似合うコマーシャルな音楽と見なしている。どこかの大手の会社が彼等に、“皆よ、次はテクノを聴こう”と言えば、それを消化し始めるまでは(ハウスの人気が)続くと思うね。

--- 南アフリカに行った事がありますでしょうか?

Timmy Regisford: うん、何回も行った事があるよ。

--- 滞在した時、楽しみましたでしょうか?

Timmy Regisford: ラッキー・デューベという南アのアーティストを手がける理由で行っていたので他の人と比べれば違う経験をしたかな。彼は南アのボブ・マーリーみたいなアーティストなんだけど、当時アパルトヘイトが終ったばかりだったので、(他の国との)文化の違いが相当激しくてね。中流階級もなく、(人口の)98%が黒人で、2%が白人だったんだ。そんな特別な状況だったから、彼の音楽に対しても相違が存在していね。彼はある特定なスタイルの音楽をリリースする事が出来ず、もし少しでもアパルトヘイトに対する反論を歌ったら、海外出演する許可を政府から得る事が出来ないなど、色々な面で難しいことを経験したよ。

--- 本作を制作した幾つかの理由を教えて下さい。

Timmy Regisford: 私は長い間ミックスCDを制作していなかったので、常に色々な人たちからミックスCDを作らないかと聞かれていてね。また自身のリリースしていない幾つかの楽曲をこういった形で人々に触れてほしいと思ったので、本作を制作する事にしたんだ。

--- 現在、どのアーティストとレーベルに注目をしているのでしょうか?

Timmy Regisford: 今、ロンドンを拠点に置いているTribe(レーベル)の連中がやっている事が気に入っているね。彼等が持っているコンセプト、向っている方向性、出している音楽が好きだ。ジョー・クラウゼルのレーベル、Sacred Rhythmがやっている事も好きだね。

それと最近南アから出て来ている多くのアーティストとレーベルも気に入っている。なぜかと言うと、かなりアンダーグラウンドからだ。探すのが難解だが、今多くのいい音楽が南アから出ているね。

--- そうなのですね。例えばどのアーティストがお薦めでしょうか?

Timmy Regisford: ブラック・コーヒー、クルー・デ・ソム、ヴェノム等々。

--- 貴方は何度も来日していますが、日本のクラブ・シーンと観客はどう思っているのでしょうか?

Timmy Regisford: 私が渡航した数々の国々の中で恐らく最も(音楽知識の)教養を持っている国だと思う。文化からかと思うが、日本人はパーティーにただ行くのではなく、きちんとしたイヴェントに行くと言う目的意識を持った上来ているのかと。私が誰なのか当然認識し、事前にリサーチし、宿題もしている感じがする。ヨーロッパの観客よりも日本人は闇雲に物事を行っていない感じがする。ヨーロッパの観客はどちらかと言うと、偶然私がDJしているクラブに来ている人々が多い感じがする。そして、彼等は私が誰なのかは知っているが、しかし3〜4割はただ遊びに来ているだけで、私がどんな感じの音楽をプレイするのかを知っているのは恐らく6割くらいの観客だろうと思うよ。

--- しかし、貴方は30年以上音楽業界でトップDJとして活躍している、伝説ではありませんか。貴方は凄く有名だと思いますが。。。
いや、しかし誰がただパーティーしに来ているのか、私を知らない事や誰が業界付き合いのために来ているかを(日本でDJしている際)ダンスフロアが教えてくれるんだよ。

--- と言う事は、貴方は秘密のアンテナで察知しているのですか?

Timmy Regisford: そうだね。私はどんな観客の前でプレイしているかが良く解るよ。ある瞬間に到着する観客がどれほど教養あるのか、自分が誰なのか、どんな音楽を私がプレイするのを気に入っているのかが解るんだ。フロアにいる観客を確認すると、ある観客は例えばよりハードな音楽をプレイしたいと私に求めている時、腕を振り回したりするし、彼等はここに来たくなかった事も察知出来る。このような事はまず日本では起こらない。日本では誰も私がDJしているイヴェントに来てテクノを聴きたいとは絶対に思わなく、なぜここに来たのか良く理解しているからね。

--- 貴方自身のクラブでは何が起こるのでしょうか?

Timmy Regisford: このような事はまず起こらないね。私の観客は私にとって最も挑戦的だと思うね。彼等は毎週来てくれて、私に目新しい音楽を聴くオープンな耳を開いてくれ、挑戦をしてくる。もし私は限界に挑むことが出来なかったら、これほど長くDJとして続く事が出来なかったかと思うね。もし人々が私が誰なのか知らなく、また知っているが最後に私のDJを聴いてから5年、10年、15年も経っていたら、彼等の印象に私が未だに(ダンス・)クラシックスをプレイしているかという固定観念を持つ傾向がある。私は現在はそんなにクラシックスをプレイしなくなった。最近は常にほとんど新しい音楽をプレイする限界に挑んでいる。もう「Ain’t No Mountain High Enough」や「Relight My Fire」を聴くのはうんざりだ。

--- そうなんですか。実は貴方がダンス・クラシックスばかりプレイする印象が強かったですが。

Timmy Regisford: それは間違った印象だね。クラシックスはもうかけない。この手のレコードを聴くと今でも素晴らしいと思うが、プレイしている最新のサウンド・システムでは凄く古くさく聴こえてしまうから、若い連中は「何でそんな(古い)曲をかけるんだ?」と言うぜ。昔の音楽には新しい音楽が駆使している最新の技術とクォリティーが導入されていないからね。素晴らしいのは確かだが、(現在のシステムでは)何か物足りない感じがする。ただ新旧をブレンドする事により古い曲を良くしようとしているが、最新のサウンドをかける事により、私自身は時流について行っている。クラシックスをプレイする事に対して今はかなりかけ離れているよ。

--- そうですか、今の発言は凄く興味深い事ですね。


--- それでは最後に我々の読者にメッセージを下さい。

Timmy Regisford: もし音楽を聴くのであれば、まず歌っている歌詞とヴォーカルを聴いて下さい。その後に演奏に注目して下さい。なぜならば、歌っている歌詞とヴォーカルが最も大事なので。


text & interview by
Ken Hidaka (hangouter/ Wax Poetics Japan)



新譜Timmy Regisford Shelter X Air
絶妙な人選と確かなサウンドで好評の村田大造氏による Heart Beat × AIRシリーズ第6弾にNYディープハウス・シーンのレジェンド Timmy Regisfordが登場!自身3年ぶりとなる今回のミックス作品では、未発表のエクスクルーシヴ・トラック6曲を含む最新スタイルを披露。ソウル/アフロな生々しさ満点の黒いグルーヴが炸裂するハウスファン必聴の強力盤!!



profile

Timmy Regisford (ティミー・レジスフォード)

NY ブラック系ダンス・ミュージックの牙城として名高いパーティ The Shelter を主宰し、レジデント DJ をつとめる Timmy Regisford 。 気迫の漲るダイナミックなミキシング、驚異的なロング・ミックスでフロアの温度を上昇させることから「マエストロ」との異名を持 ち、厳しい選択眼によって選び抜かれた楽曲とアフロセントリックな感性が紡ぎ出す、漆黒のダンス・グルーヴはシリアスなダンス・ ミュージック・ファンを中心に熱い支持を得ている。
トリニダッド出身の Timmy は Paradise Garage に感化され音楽活動をスタートさせた。ガラージの名門レーベル Prelude では Boyd Jarvis と共に Visual、Billie、Level 3 らのプロダクションに携わり、'80 年代中頃には NY のブラック・ミュージック専門ラジオ・ス テーション WBLS におけるミックス・ショウを担当し人気を集める。さらに Motown の副社長をはじめ Atlantic、MCA、Tabu など複 数のレコード・レーベルの A&R/ ディレクター としても手腕を発揮。Teddy Riley (Guy)、SoulUSoul、Johnny Gill、BoyzUMen など才 能溢れるアーティストたちを発掘し、アーバン・ブラック・ミュージックの発展に大きく貢献する。Motown に在籍していた'90 年に はディープ・ハウス・シーンを牽引する代表的ユニット Blaze をフックアップし、ハウス・ミュージック形成期おける重要作品 "25 Years Later" を残している。
'91 年にはパーティ The Shelter をスタート。Merlin Bobb や Freddy Sanon といった Shelter ファミリーも活躍し、NY クラブ・シーン を代表するパーティとして人気を不動のものとした。同時に Timmy の音楽活動のパートナーである Freddy Sanon がオーナーとなり レーベル Shelter Records を設立。 The Shelter の音楽的指向が強く反映された同レーベルからは、Kerri Chandler によるハウス・クラシッ ク 'Atmosphere EP'、パーティのアンセムとも言える Gate-Ah 'The Shelter'、Joaquin"Joe"Claussell 'The Journey'、Kenny Bobbien 'Stand Up'、Roland Clark 'I Get Deep' などソウルフルなダンス・トラックが数多く生まれている。The Shelter は幾度かのオープン/ク ローズを繰り返しながらも、'90 年代後半にはクラブ Vinyl を拠点に開催され Ashford & Simpson、Chaka Khan、Stephanie Mills、 Mary J. Blige など錚々たる顔ぶれによるスペシャル・ライヴが行われるなど、Francois K. ら擁するパーティ Body&Soul と並びミュージッ ク・ラヴァーたちを熱狂させた。
'02 年には、新たに居を構え、クラブ Towilo で使用されていたサウンド・システム Phazon を導入し、サウンド面の強化を図るなど、 新生 The Shelter として歩み出した。ディープ・ハウス/ガラージ・ファンにとって Body & Soul なき現在の NY シーンでは貴重な存在 だと言える。近年では新たにレーベル Restricted Access を立ち上げ、Shelter ファミリーの一員である DJ/ プロデューサー、Quentin Harris と共に Patti Labelle、Jill Scott、Femi Kuti などのリミックス/ プロデュースを手掛けている。トレンドの移り変わりが激しい今 日のダンス・ミュージック・シーンにおいて真のダンス・サウンド、ヴォーカル曲の重要性を提示。ブラック・ミュージックへの底知 れぬ愛情が注ぎ込まれた 10 時間以上にも及ぶ渾身のロング・セット、頑に保ち続けるアンダーグラウンドな姿勢は敬服に値する。

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