Monday満ちる 踊れるカヴァー作

このプロジェクトは、高い志をもつエクレクティック・インディーレーベルGrand Galleryのヘッド、井出靖氏からコンピレーションに1曲、2曲参加しないかとお誘いいただいたことがきっかけで始まる。1曲目はスティービーのカタログから"AS"を選ばせてもらい、2曲目は、井出さんがポジティブでアップリフティングな詞のBrand New Heavies"You Are the Universe"を選曲。出来上がりに満足いただいたようで、2曲だけでなく、アルバムを作ってみないかとのお誘いをいただいた。勿論、そのお話は嬉しかったけれど、当時の私のキャリアの中ではむしろオリジナルアルバムの制作やソングライティングに集中すべきなのではという思いがありすぐには回答がでなかった。

それは2009年のことで、その後アイディアが徐々に熟してきた。ある日、私の友人でもあり、お気に入りのエンジニア、デイブ・ダーリントンとヴォーカルレコーディングセッションをしていたとき、なんとなく今後のソロアルバムの話になったので、井出さんからのお話と自分の中の迷いを話した。そうするとデイブはYou Tubeで次々と私たちが大好きな曲、若いときに影響を受けた曲を検索し始めた。The Emotionの"Best of My Love, Chaka Khan"I Know You, I Live You" (実際、チャカの同じアルバムの別曲をやってみないという話もして、結局デイブがこの曲に私を連れ戻した）、The Systemsの "Don't Disturb This Groove" (彼らはどうなってしまったのでしょう? -- 勿論、デイブは彼らの一番最初のNYアンダーグラウンド時代から知っている）等々。というわけで、徐々に気持ちが高まっていった。

アコースティックではない音を考えていたので、自分でプロデュース／アレンジするよりもだれかに託したいと思い、スペインのSoulfeenixにメインプロデュース／アレンジ／プログラムお願いしたいと思った。最近のライブセットでも頻繁に私がパフォームするお気に入りソング、アジムスの "Um Amigo" を紹介してくれたのも彼である。残念ながら、彼はスケジュールが合わず、残る選択肢は私自身。腕まくりをして私の持ち得る想像力を最大限に発揮、そして出来上がったのが本作。

多くの曲の中から選ばれた曲の1曲は、あまり世間では知られていないシンガーマリリン・スコットによるレア・グルーヴトラック "Dreams of Tomorrow." 　オリジナルは私たちがよく一緒にイベントをしていたころのKyoto Jazz Massiveの沖野好洋 が90年代によくプレイしていた楽曲。彼がこの曲をかけるとよくこれ誰の曲？と叫んで聞いてものだったが、翌朝になると必ずクラブ明け独特なジェットラグにかかり忘れてしまっていた曲。最近、友人がこの曲はまさしく私向きの曲だけど知ってるかと送ってくれてた。このすばらしくポジティブでインスピレーションあふれる楽曲に再会した私はこのプロジェクトに収録を決めた。


まだまだ続く東日本大地震の余波や福島原発の困難な世の中、前向きな精神と希望が求められる。特に、被害者やその家族にとって。
私の希望はこのアルバムが聴いてくれる人々に、今後私たちが立ち向かう明日に向う希望や力を与えるポジティブな光となること。このアルバムは、いろいろな意味で、様々な事を学んだ日本の音楽シーンへのトリビュートとして作った作品。私が学んだ最大のことは、意思と希望なしでは私たちは生きられないということである。

このアルバムは、他の作品と同様、愛情を込めて作りあげた。
This album, as all others, was made with love.