【HMVインタビュー】YAMAAN

2010年12月22日 (水)

interview

『担当者 今月のドススメ(仮)』でもPICK UPしたYAMAANの『12 Seasonal Music』。Temple ATSから放たれる、美しき日本の12ヶ月を描いたこの作品に激しく揺さぶられている。ブレイクビーツ・アンビエント・ダブ・テクノ・・・様々な音楽的背景を感じさせる、と言うよりも様々なジャンルを縦断するかのような立体的なサウンドは、何やら僕の深いトコロをくすぐり、想像力を刺激する。やがて見えてくる美しい情景に息を飲む。そんな素晴らしい作品を完成させたYAMAAN本人にいくつか質問をぶつけてみた。このインタビューの最後にあるように、ここに収録された楽曲をGOLD PANDAがremixという企画も進行しているようだ。全く楽しみでならない。
また、降神の両名、そして白石隆之氏より、このアルバムに対するコメントを頂く事が出来た。このコメントはインタビューの最後に掲載させて頂いた。

--- HMV ONLINE 初登場という事になりますので、まずは簡単に自己紹介からお願いします。

色々な音楽が混ざった様な曲を作っています。
インストの作品を作ったり、トラックメイカーとしてなのるなもない(降神)、CHIYORI、JUSWANNAに曲を提供したりしてきました。

--- YAMAANさんにとって、初めてのHIP HOP体験は?

もともとはBoredomsやSonic YouthなどのRockやTechnoが好きで、Hiphopには20歳くらいではまりました。
Hiphop体験で印象深いのは、8、9年くらい前にOnimas(TempleATS)の家に初めて遊びに行った時、 降神とその友人達が突然フリースタイルラップをやりはじめて、即興で韻を踏みながら会話の様に進んで行くラップを見た事です。超常現象かと思いました。即興のラップで普通に会話ができてしまうくらい進化している人達がたくさん居る事に興奮しました。新しい文化が始まりそうな予感がしました。

--- YAMAANさんがトラック制作を始めたきっかけは?

高校時代に何かの雑誌で、「打ち込みの音楽は、想像力次第でどんな曲でも作れる可能性がある」という文章を読んで楽しそうだなと思い、作り始めました。サンプラーやシンセサイザーを使えば、楽器音や自然界の音まであらゆる音を素材に使って曲が作れるし、それを自分の部屋という一番身近な空間で気軽に作れる事にとても自由を感じました。

--- 本人名義で初のオリジナル作品ですが、どのような作品になりましたか?

鳴っている音の背景に風景や世界が広がっている感じのするアルバムにしたいと思って作りました。

--- 日本の12ヶ月の美しい情景を12曲で描き出すというコンセプトアルバムですが、YAMAANさんは日本の春・夏・秋・冬という季節に対してどのようなイメージを持っていますか?

真夏の炎天下の屋外で仕事をしていたときに、日本って季節によって驚くほど雰囲気や空気が違うなと改めて思いました。春夏秋冬それぞれにその季節ならではの沸き上がる感情や雰囲気がありますよね。なので12ヶ月を12曲に割り当ててアルバムを作ってみたら、架空の1年間がアルバム内に存在する様な感じになって面白いかもと思い作り始めました。

--- 全編を通して美しさに貫かれた作品ですが、YAMAANさんが美しいと感じる基準はありますか?

色合いと配置かもしれません。音の色合いと音空間の配置の仕方は曲作りの核になっています。クリアーで美しく録音された音も好きですけど、アンプを通して歪んだ音やカセットテープが古くなって劣化した様なノイズ混じりの音も想像力を刺激されて好きです。綺麗な音素材をエフェクトで古びて歪んだ質感に変化させて行く作業も好きです。劣化した音色の面白さには90年代の東海岸Hiphopを通して目覚めました。

--- YAMAANさんにとって、創作の源となっているものは何ですか?(何をきっかけに楽曲制作をするのか?その源泉となっているものがあれば教えて頂きたいです。)

風景と感情が混ざった様な感覚です。それを音で描くという作業が好きでやっているのかなと思います。曲作りは映像的イメージと感情を同時に伝える事が出来るのでとても面白いです。

--- 収録曲の中でも特に思い入れの深い楽曲を3曲選び、楽曲解説をして頂けますか?

「Tabisuru Omoide」
2月の夜に雪が舞い散っている風景を思い浮かべて作りました。なのるなもないとTyme./Masさんとスタジオで色々試行錯誤しながら声録りしたり、レコードを作ったり、PVを自分で作ったりと色々な思い出が出来た曲です。

「Rain」
12ヶ月の中でも6月の雨の風景は描いておきたいと当初から思っていました。水滴の音に深い残響音をかけるところから想像を膨らませていき曲が出来ました。曲のイメージは塚本晋也監督の「六月の蛇」という映画の青く暗い映像からも影響を受けました。

「Recollection」
1年間の終わりに様々な出来事を回想する様な曲です。氷を砕く冷たい音から作り始めました。言葉では言い表せない感情を音で表現出来たと思います。

--- 2010年はYAMAANさんにとってどのような年でしたか?

とにかくこのアルバム製作に携わっていた一年でした。

--- 最後に今後の予定を聞かせて下さい。

Gold Pandaさんがこのアルバムの収録曲のRemixをしてくれる予定なので、それが完成したら何らかの形で発表したいです。
あと現在CHIYORIさんのアルバムに提供する曲を製作中です。
YAMAAN名義の2ndアルバムも作り始めています。

新譜12 Seasonal Music / YAMAAN
降神も所属するアーティスト集団、TempleATS から音楽家YAMAAN の1st アルバムが登場!日本の12ヶ月の季節の情景を12曲で表現した音楽絵巻!!ブレイクビーツ・アンビエント・ダブ・テクノ・・・様々な音楽的背景を感じさせる、と言うよりも様々なジャンルを縦断するかのようなサウンドは、ジャンル問わず音楽を偏愛する者の琴線に触れるはず。そして何より、このアルバム全体から放たれる見事なまでの美しさ。侘び寂びを感じさせる世界観。2011年最初にドロップされるドススメ盤!

降神(志人・なのるなもない)、白石隆之より推薦コメント

良き人生を送るという事は、存分に四季を感じて生きる事だ
季節の移り変わりを目で、耳で、口で、心で感じる事が出来たならば
もう此れ以上に素晴らしい事は無い

春麗らかな風吹いて緑青々と萌ゆる節
夏は提灯ぶら下げて盆の音聞こゆる神社へ参り
秋の夜長に文読み耽るヨダカの星に見つめられ
冬は行火か湯湯婆で頭寒足熱勉に励む

四季折々の恵みを頂いて、耳にはいつもYAMAAN Music

志人

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YAMAANとの出会いは青山のclubだった。

皆が飲み浮かれる中に一人、
やせた体に鋭い目つき、
試合前のボクサーのような男が佇んでいた。

友人を介し知り合ったものの、
ろくに話もしないまま、
去り際に渡された1枚のCD。

私はそれ以来YAMAANのファンだ。

なのるなもない

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「映像的」と言われる音楽は、おしなべて絵葉書のように既に固定化された美しい風景のイメージをなぞるだけで、どうも僕の脳味噌の奥を一ミリも動かしてはくれない。それはようするに体験ではなく、確認でしかないからだ。

このYAMAANのアルバム『12 Seasonal Music』は確かに「映像的」ではあるのだけれど、その「映像的」という言葉からはどうにもこうにもハミ出して来てしまう「気配」のようなモノが、ディレイやリバーブの奥で静かに、そして狂おしく鳴り響いているのが視える。

既知と未知とが重なり合った光景、どこにもないもうひとつの場所。360°ぐるりと見渡せるような澄んだ音像の中、刻々と変化して行く様々な感情のグラデーションを描き出した12のトラック。

白石隆之

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     YAMAAN
    『12 Seasonal Music』

    2011年1月6日発売

    降神も所属するアーティスト集団、TempleATS から音楽家YAMAAN の1st アルバムが登場!日本の12ヶ月の季節の情景を12曲で表現した音楽絵巻!!ブレイクビーツ・アンビエント・ダブ・テクノ・・・様々な音楽的背景を感じさせる、と言うよりも様々なジャンルを縦断するかのようなサウンドは、ジャンル問わず音楽を偏愛する者の琴線に触れるはず。そして何より、このアルバム全体から放たれる見事なまでの美しさ。侘び寂びを感じさせる世界観。2011年最初にドロップされるドススメ盤!

    [収録曲]
    01. Dawn
    02. 旅する思い出 feat.なのるなもない
    03. Sprout
    04. Blossom (Chorus by CHIYORI)
    05. Grassland
    06. Rain
    07. Lightning
    08. Sea
    09. Higurashi
    10. Fallen Leaves
    11. Recollection
    12. Light Snow

    今月のドススメ YAMAAN


    無人島 俺の10枚 YAMAAN



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     YAMAAN
    『東名TRAX』



    YAMAANのMush Up Live Mix!Temple Atsのミックスシリーズ第1弾!2004年に名古屋のClub Wallで行ったライブをサウンドソースに構築。ここに納められた音は、いわゆるヒップホップではない。もっと独創的なミックスであり、心地よく楽しげである。つまり...ユーモアと踊れ!

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     トライウンゴッズ
    『Seven Days Six Nights』

    2011年1月19日発売

    志人from 降神(TempleATS/ 日本)、Bleubird (Endemik / アメリカ)、Scott Da Ros (Endemik / カナダ) から成るグループTriune Gods。2008 年のBleubird 来日ツアーで3 人は出会いを果たす。お互いの音楽のファンになった彼らは唯のコラボレーションではないグループを出来ないかと考え始める。そして2010 年、彼らはカナダ モントリオールで再会した。Triune Gods ( 三位一体の神) となる為に。
profile

YAMAAN はまるで大編成のバンドアンサンブルが演奏している様な楽曲から、ブレイクビーツ、テクノ、アンビエントまで、世界中の様々なジャンルを横断するような楽曲を一人で作り上げる鬼才。映像作品制作や写真撮影まで手がける彼の作品は、実に映像的かつメロディアスで、息をのむような色彩豊かな美しさに満ちている。これまでにトラックメイカーとしても、なのるなもないの「Shermanship」、CHIYORI「CALL ME」、JUSWANNA「旅は道連れ世は情け」、など数々のクラシックスを生み出してきた。また、RIOW ARAI、Jemapur、等国内の気鋭のビートメイカーが集結したVA『Beat Architecture』(Easel) にも参加し、高く評価されてきた。