【HMV インタビュー】 SHINGO★西成 page2
Thursday, October 27th 2011
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ええのん出来ましたね。
ほんま「ずるむけたらこうなりました」。
- --- では今回般若さんの「昭和レコード」というレーベルからリリースするというのは自然の流れだったんでしょうか?
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はい。めちゃめちゃ自然ですね。
- --- もともと般若さんは面識があったんですか?
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もちろん。俺がファンでした。「あんな熱い男、日本におってくれてありがとう」みたいな感じですよね。LIVEも作品も全て、やっぱ俺の想像以上やから。色んな種類の人に出会う中で、今まで会うた事のないキャラで、そういう生き方してて。言葉のチョイスも、言葉も、言動も、やっぱ魅力ありましたね。それで色々話したりしてる間に、ここでやらしてもらうって事が、俺の可能性にもなるし、今後、未来を背負っていくやつらの可能性にもなると思ったし。やめていった人とかロックしか知らん世代の人にとって、希望の光になればいいなと思って。酒のあてにでもなったらいいなと思ってますけど。
- --- SHINGOさんが今RAPをやるモチベーションとなっているものは何ですか?
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ハングリー精神じゃないですか?音楽好きなやつは山ほどおるし、HIP HOPやりたいってやつも山ほどおるし、REGGAE好きなやつも山ほどおる。そん中で偉そうにステージ立ってマイク持たせて貰えるんやったら、それなりの自分の覚悟と、日頃準備せなあかんもんもあるでしょうし、作らなあかんもんもあるでしょうし。っていうのがあるから、ほんまに「何くそ」っていう気持ちじゃないですか?それと、自分の思いをみんなに伝えたいっていう気持ち。自己表現がそんなに上手くなかったんで、昔は。そこの部分を音楽やったら出来ると思ってるし。不器用に生きてる周りの若いやつ、人とコミュニケーションとるのは喧嘩ばっかりみたいなね。なんかそういうやつらの気持ちを俺が代弁したいなと思って。それで、言葉を音楽に乗せたら、より言いやすくなったので、この方法を選んだって感じですね。
- --- 反貧困デモなどに参加されてますよね。そういうHIP HOP以外の活動からみても「世の中をどうにかしたい」というモチベーションを感じたりするのですが、その辺りはいかがですか?
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今、自分で思った気持ちを素直に表現してるだけなんですよね。反貧困デモなんか俺が参加した時には誰も話題にしてなかったけど、その反貧困という言葉が時代の言葉になるくらいになりましたやん。避難所とか。そんな話題、今まで無かったですかね。西成は避難所だらけですけど。もともと不況になる、仕事無くなるって言い始める前に、西成から少なくなってる。そういう現実を見てるんですよね。
- --- そういったSHINGOさんのメッセージがたっぷり詰め込まれたニューアルバム『I・N・G』がリリースされますが、完成した率直な感想はいかがでしょうか?
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(一息ついてしみじみと)ええのん出来ましたね。(笑)
- --- ほんとにそう思います。『SPROUT』以来3年半ぶりですが、その3年半という時間を振り返っていかがですか?
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そうですね。結局その3年半、自分のアルバムを出してないっていうのがリアルな話なんで。実際の所を言えば、1年後にも出せるっていう「I’m Ready」な状態やったんです。でも、この3年半という出してない期間があったからこそ、さっきの一言が言えたかなって思います。みなさんにお伝えすんねやったら「ずるむけたらこうなった」って事ですよ。3年半くすぶってたわけじゃなくて「24時間、お前の知らん間もラップのおじさんやったで」と。
客演とか、REGGAE/HIP HOPジャンル問わずやってきて。大阪エヴェッサっていうバスケのチームの歌を大西ユカリさん、香西かおりさんと、ナニワエクスプレスの清水興さんに曲作ってもらってやらしてもらったり。自分の大先輩、赤井英和さんと一緒に「串カツ」っていう曲作ったり。それこそREGGAE/HIP HOP界隈では色々と声かけてもらって。色々とお世話になって、修行出来ました。HIGHEST MOUNTAINではいい景色見れましたし。KREVA君にも仲良くしてもらって、武道館で1曲LIVE出来ましたし。でもほんま、そういうとこでさしてもらうんは、俺の力じゃないし。それこそデモンストレーションじゃないけど、予行演習くらいの強い気持ちでずっと思ってたんで。逆に俺がKREVA君呼んだり、他のアーティスト呼んだりするくらいの器にならなあかんと思ってやってた。 - --- そういったコラボの作品と今回のソロでの作品と、意識の違いはありますか?
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1曲1曲の思い入れは一緒です。ほんまに全身全霊っす。108%。煩悩の数くらい入れましたけど(笑)
でも、アルバム単位になったら、やっぱね。さらに自分の言葉の力、音楽の力、音楽の可能性、そして自分が自然に責任を持って使える言葉を詰め込まなあかんて思ったんで。それを実現したって感じですね。 - --- 今回のアルバムにフィーチャリングがないと言うのも、自分自身の作品という意識が強いのでしょうか?
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そうですね。ほんま「ずるむけたらこうなりました」。(笑)
ほんとはいっぱいやりたいアーティストは居るんす。それこそジャンル問わず。アルバム作ってる最中、鬼束ちひろさんの曲聴いたり、YUKIさんの曲も聴いたり、SALYUもめっちゃかっこいいなと思ったし。やっぱり、色んなジャンルの音楽を聴いて出来上がった作品やと思いますね。 - --- 音楽の聴き方というのは、昔からあまり変わっていないんですね。
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変わらないですね。おかんが料理しながら歌ってる鼻歌から、JAY-ZとかBEYONCEとかケミカルブラザーズかて俺にとっては全部一緒というか、音楽なんで。そういうの全部ひっくるめて自分なりに表現してると思います。
- --- タイトル『I・N・G』はどのような思いが込められていますか?
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音楽と言うものが、もし隙間産業なら、HIP HOPってのは、そのさらに隙間ですやん。希望を与えたいんですよね。伝統工芸みたいな音楽をしたいです。伝わっていくような。
でもHIP HOPのいいところは、作っては壊すなんで。そうじゃないと進化していかないですからね。進化するために俺のアルバムのタイトルを『I・N・G』にしたんです。 - --- レコーディングはどのような意識で臨んでいましたか。
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今回に関しては、今までより余計に一音一音、一言一言、磨いて出すのか、野菜で言うたら土ついたまま出すのか。そこの注意はしたつもりです。俺らの周りに居る人達の見方、アドバイスに対しても聞く耳を持てたし。
楽曲ごとに振り幅があって、色んな種類があると思います。全てわかりやすい言葉で歌ってるやつもあるし、皮肉混じりな曲もあるし。
大阪人が一生懸命、標準語しゃべるのも無理あるんすよ。逆もあるし。そういう自分が使って違和感のある言葉ではなく、等身大の自分が使える言葉で、やりましたね。
だから、1曲目の「G.H.E.T.T.O」も、自分の見てきた事を言葉にしただけですし。
「頑張ってれば…」とかは、頑張るとか、仲間とか、家族とか綺麗事のように聞こえる言葉ってありますやん。そういう言葉を使ういう事が一時は大嫌いでね。他の人が歌ってるの聴いたら偽善者やとか思って、俺も視野が狭かった時期もあるんです。けど、この3年半で、そういう言葉を使いたくなるぐらい、色々悩んだり苦しかった事もあったし、せやからこと素直に出せたと思うんですよね。 - --- ホントに聴いててもSHINGOさんの目線で、SHINGOさんの言葉で全てが語られている印象がすごくあって、家族の事だったり、感謝の気持ちがテーマに歌われている楽曲も、凡百のそのテーマの楽曲とは一線を画して、リアルに聴こえるというか。
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そういう聴き方してくれたら有難いです。でも色んな聴き方してくれていいんすよ。仕事しんどい時でも、逆にゆっくり出来る時でも。色んな表情がある曲に仕上げたと思うんで。楽曲を人だとしたら、横顔も正面からも上からも、しゃがんでる姿も見てもらって色んな感じ方してもらったら。
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- I・N・G
SHINGO★西成 - 2010年11月10日発売
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- SPROUT
SHINGO★西成 - 1st ALBUM
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- よろしくお願いします
KREVA - 「アグレッシ部(Remix) feat. KOHEI JAPAN & SHINGO★西成」収録
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- 串かつ(二度付け禁止)
赤井英和 with ICHIMONKAI - SHINGO★西成参加
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- HIGHEST MOUNTAIN 2010
MIGHTY JAM ROCK - SHINGO★西成参加

まるでタイムスリップしたかのように"昭和の香り"が色濃い、おっちゃんのキャップ(着用)率西日本最高の大阪のイルなゲットー=ドヤ街「西成」、釜ヶ崎は三角公園近くの長屋で生まれ育つ。10代前半でヒップホップと出会い、ラッパーとしての活動はちょうど『さんピンCAMP』で日本語ラップの新たな夜明けが見えた96年から。臭い物にはすぐに蓋をする現代社会のしわ寄せが痛々しく残るその町"西成を通じた現実"を、「今に見とけよ!」精神と冷静な視点、自らの体験を元に「間」を活かした独自のソウルフルなべしゃり芸で表現する超オリジナルな世界観は、層が厚く、キャラの濃い関西シーンの中でも突出していた('00年代前半からは420FAMILYのメンバーとしても活躍)。彼が語るストリートとは、若者しかいない場所のことではなく、生きるか死ぬかの瀬戸際さえも見える"社会の縮図"としての現実であり、「人生は苦しいのが9で楽しいのが1」という持論を展開しながらネガをポジに転写する、そして時にはお上に"MCらしく捻りを効かせて"物申す姿は、所謂ヒップホップ・ヘッズ以外からも支持を集めている。
06年3月には自己名義では初のミニ・アルバム『Welcome To Ghetto』をリリースし、同年末にはYOSHI(餓鬼レンジャー)、MISTA O.K.I、DJ FUKU、446と結成した「大阪咲かそう」さながらの"いてまえ打線"的スーパー・ユニット=ULTRA NANIWATIC MC'Sでもアルバム『THE FIRST』を発表。そして07年4月、自身初となる名刺代わりのフル・アルバム『Sprout』で、そのキャリア上での"発芽"を全国に知らしめることに。同作収録の「ILL西成BLUES」のPVは朝日新聞や産経新聞が取材、また大阪毎日放送の夕方のニュースで特番が組まれるなど、TVニュース等ではモザイクや規制が入り写されなかった「生の西成」を写した完成度の高い作品として話題を呼ぶ(YouTubeでも確認できるように、彼は地元での社会活動でも知られる"ほんまもんのフッドスター"である)。同年は、サイプレス上野&ロベルト吉野から、Romancrew、CHIEF ROKKA、DOSMOCCOS、NG HEAD、LARGE PROFITS、ARIA、INFINITY16、SHING02、大西ユカリらとのコラボ仕事も連発。中でも武道館公演でも完全ロックしたKREVA「アグレッシ部(Remix) feat. KOHEI JAPAN & SHINGO★西成」は語り草に。MSCのPRIMALとの東西ユニット=鉄板BOYZでのEP「鉄板BOYZ」のリリースもあった08年以降もその勢いは留まる事を知らず、14年ぶりに復活したMICROPHONE PAGERや、日本レゲエ界のハーデストワーキン・バンド =Home Grown、さらには"西成繋がり"の赤井英和とのユニットに、ナニワエキスプレスの清水興が指揮を執ったbjリーグ大阪エヴェッサの公式応援ソング「Go Evessa!」を香西かおり、大西ユカリと唄ったり、日本最高峰のレゲエ野外イヴェント『Highest Mountain2010』(2度目の客演参加)では2万5000人の大観衆を沸かせたり・・・と、軸のブレないスタイルながらも常にニュー・スラングやニュー・フロウを発信し続ける真の「こてこてライマー/しゃべくりメッセンジャー」である彼は、そのクロスオーバーな資質、ユニークであったかい人間性ゆえに"ジャンルを超えた存在"(にしてRep西成、HipHop)として注目され続けている。そんな今や完全なる"大阪名物"のSHINGO★西成が、前々からシンパシーを感じていたというラッパー = 般若が立ち上げた"昭和レコード"に移籍し、満を持して放つ次なる一手は?「油断すな!!」
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