HMVインタビュー：Roi Anthony

2010年9月15日 (水)

interview

The iZ

インディ・ソウル・ファンなら知らぬ者はいない、あの ヴォーカル・グループLeJitのメンバーとしても知られ、ソロ・アーティストとしても 絶大な人気を誇るルイジアナの実力派シンガー、Roi Anthonyが、今年待望のニューアルバム『Who Am I Part I』をリリース。 遠く離れた日本では地元での具体的な活動がそれほど知られていないRoiに、LeJit時代からのファンで、アルバムを出す度に勝手に応援しまくっていた担当者が インタビュー！

LeJitは今もうやる気満々で年末にはアルバムをリリースする予定だよ！要チェックさ！

--- ニューアルバム発売おめでとうございます。今の率直な気持ちを教えてください。また地元での反応はいかがでしょう。

反応は最高だったよ。僕の事をサポートし、僕の音楽を愛してくれる家族、仲間、多くのファンがいる。彼らは今回のアルバムも「THE BEST R&B ALBUM OF THE YEAR」だと言ってくれているんだ。本当にこんなにサポートされている僕は、恵まれていると思うよ！

--- フル・アルバムとしては前作の『True Soul Lifestyle』以来、約2年ぶりとなりますが、その間はどうされてましたか？

『The True Soul』のアルバムが成功したからソロとLeJitとしてツアーをずっとしていたよ。後は、プロデューサー業をしていたよ。Y.Luck(ニューオーリンズをベースにしているラッパー)、Devin Crutcher （DiddyがプロデュースするMTVの番組「Making Of The Band」のシーズン4の出場者）、Romeo(元 Lil Romeo)、 他のアーティスト、College Boyz & Specifically、Cyphonique Miller (Nickelodeon/Sony Recordsと契約しているスーパー・ティーンエイジャー)とかね。他にもPercy Miller (Master P)とMTVのリアリティショーのプロジェクトをしたり、アニメだったら「Jolly Bean Kids」、「Gee Gee The Giraffe」、これから始まるCymphoniqueの番組「Fabulous Girls」なんかの仕事もしたりね。でも、メインの仕事は自分のレーベルMOHITZのアーティストであるAsiyahやPallo Da Jiint、Yung NA & Roll-X、Cuban Papiらの世話かな。

--- ニューアルバムのコンセプトについて教えてください。

今回の新しいアルバムのコンセプトは、僕の持っている2つの人格、Roi AnthonyとChipの「違い」と「共通点」を見せること。『Who Am I-Pt.1』はどっちかと言うとR&B寄りのRoi Anthonyで、『Who Am I Pt.2』はChipっぽくてもう少しヒップホップ寄りかな。どっちもR&Bなんだけど、Pt.2はより多くのアーティストとコラボしているけど、どっちもソウルで気持ちいいかって感じだね。

--- オートチューンを使ったりとメインストリームの手法もさらりと取り入れていますね。流行のサウンドは気にするようにしていますか。

Pt.1では何曲かは、Auto-Tuneを使っているよ。プロデューサーとしてはトレンドに乗っかったり、自らトレンドを作り出して、人がそれについてきてくれる事願っている。僕はソウルシンガーだし、Auto-Tuneはいらないけど、たまに曲に合えば使うよ。その曲に何が必要かだね。個人的に楽器として使うのが好きで、声でピアノやシンセサイザーみたいにしたり、バックのヴォーカル用に使ったり（*トークボックスのことを言っている？）。子供の頃The Zapp & Roger Troutmanも好きでChipのサウンドはAuto-Tuneが多いよ！最高だね！

--- 今作に参加しているゲスト・アーティストはどのように選んだのですか？ Cupid以外は日本で知られていないアーティストが多いので、できるだけ詳しく教えていただけると助かります。

色んなアーティストと仕事をして、僕のアルバムを価値ある物に仕立て上げるのにメジャーアーティストはいらないと思った。ファンは僕の音楽を愛してくれているから、彼らの愛する音楽をそのままあげたかったし、僕が大切にしているアーティストたちに自分のアルバムに関わって欲しかったんだ。『Who Am I-Pt.2』にはJaekwon（J-Kwon？）、Master P、Romeoとかメジャーなアーティストをフィーチャリングしているけど、曲に合っていればその人を選ぶってことだね。

--- 「She's On」にフィーチャーしているY.Luckは「Walking To New Orleans」で客演されてますよね。彼はどのようなアーティストでしょうか。

Y.Luckはニューオーリンズ吹いた新しい風だよ。彼は僕が個人的に後押ししているヤツで、ニューオリンズのヒップホップを復活させる新しいアーティストだと思っている。彼は双子のようであり、カリスマもあって、仕事熱心で、謙虚で、僕から学ぶことを嫌がらないヤツだ。彼には「Long Way From Home」のようにニューオーリンズの心を一発でわしづかみするような曲をあげたかったんだ。そして思い通りになったよ！！8月29日にはMTV Jamsで20回以上流れたし、Fats Domino本人からお墨付きだし、ニューオリンズの町を歩いていてすごい反響だったよ！

--- 「Why Don't People Slow Dance」はどんな想いを込めて作ったのでしょうか。

Wow!!!!! R&Bを寄り強く引き出さなきゃって感情だね。ダンス・ミュージックばかりじゃなくて、イチャつける甘い音楽を人々に思い出してもらいたかったんだ。R&B/SOULの無いヒップホップはないからね。だから、Soulja BoyやGucci Maneをリスペクトしているよ。僕はラップのプロデューサーでもあるしね。でも、バランスが全てだよ。特にクラブとかで女を口説きたいときとかには必要さ！笑！

--- ニューアルバムで一番苦労した点は？

すぐ発表しちゃわないようにとっておくことかな。本当にどの曲も最高な出来で、レコーディングが終わったらすぐリリースしたい衝動にかられたよ！そして、このPt.2（もっとヒットしそうな･・・）・・・。辛抱強く待たなきゃ（笑）！ 最終判断でどの曲がPt.1のRoi Anthonyバージョンを作り出す曲で、どの曲がPt.2のThe Chipバージョンを作り出すかをバランスよく選曲出来たと思うよ。

--- 『Who Am I』はPart.1ですが、今後もシリーズ化していく予定でしょうか？ そうだとしたら次回はいつ頃になりますか？

さっきも言ったように、『Who Am I』には「Part 2」があるんだ。ちょっとヒップホップ寄りだけど、ソウルだらけなんだ。DrakeやKanyeのように成功したヒップホップがそうであるように、思うがまま自然にやってるんだ。リードシングルはレジェンドであるMaster PをフィーチャリングしたZappの「Computer Love」のリメイクなんだ！VOICEBOX（ボコーダー）は全て歌い直したんだ！最高の気分だよ！

--- カトリーナ支援ソング「Long Way From Home」を再度収録しようと思ったのはなぜですか？

ニューオーリンズが経験した、そして未だにある、傷、痛み、失ったものを世界中は知らなくちゃいけないと思う。この曲は全人類が一回は聴いて欲しい曲なんだ。僕は歌声を聴いてもらう事が出来る選ばれた人間だから、僕はその任務を果たすよ。

--- 海を越えた日本では、カトリーナ後のニューオリンズの様子は今では殆ど報じられることがありません。 まだ完全復興まで至ってないということも耳にしますが、現状はいかがでしょう。

ゆっくりだけど、確実に良い方向には進んでいるよ。今はもう50万人位は住民が戻ってきたかな。でも残念ながら回復に時間がかかりすぎている・・・。放棄されている家、ホテル、病院、会社なんかが沢山ある。それを、どうにかしようとしている人たちも沢山いる。でも、家を建て直す経済力が無いから、全く違う環境で一からやり直している人たちも沢山いるんだ。ニューオーリンズを囲っているセントバーナード郡とかは、もう忘れ去られているよ。大洪水で何人も命を落としているし、ある老人ホームでは20人以上のお年寄りが命を落としたりしている。本当に全てを失うって事は精神的にも肉体的にもストレスなんだよ。ただ、ゆっくりだけど、だんだんビジネスもまた発展してきているし、町もパーティーし始めたよ！本当にThe Saintsに感謝！僕自身もダウンタウンの近い場所に戻って住んでいるけど、今はまだメインの家としては住んでないんだ。ファンが言ってくれているように、僕の音楽でより多くの人たちが町に戻ってくるといいな。本当に町が戻ってきて良かったよ。

--- 音楽から話題はそれてしまいますが、昨年（第44回）はNFL（アメフト）でニューオリンズ・セインツが優勝しましたよね。 地元に良い影響はありましたか？

ゲームセットの瞬間、放送で「スーパーボール新チャンピオンは・・・ニューオリンズ・セインツ!!!!!」って発表された瞬間の人々の涙、叫び、痛み、喜び、車のクラクション、あらとあらゆる音は本当に5-10時間ぶっ通しに鳴り響いていて、本当にあの瞬間はすごかったよ。老若男女問わず、みんな涙流していた！！！アメフトが今でかつてこんな事を成し遂げたことは、一回もなかったよ。みんなで祈って、お祝いして、本当にあの時はみんな最高なひと時だったよ。THE SAINTS最高！

--- R&Bやソウル、ヒップホップ、伝統的なニューオリンズ・ミュージックと様々な要素の入った貴方の楽曲を聴いていると、新しいのになぜか懐かしい気持ちを抱きます。どのような音楽を聴いて育ってきたのでしょうか。

オールドスクールさ!!!僕は覚えている限りではね！本当に色んなスタイルがある･･･ルイジアナ州では、セカンド･ライン、バウンス、ザディコ、ブルース、ラップ/ヒップホップ、ソウル/R&Bとか色んなカルチャーがあるけど、聴いていて単純に気持ちが良かったり、自然と体が動き出さないようなスタイルは音楽的に間違ってるよね。僕はルイジアナの中部とニューオリンズを行き来して育ったから、僕の中には一生尽きないくらいのソウルとグルーヴがあるんだ！ガンボみたいなもんだよ。「色んな材料を鍋に投げ込んで最高の南部の味がでる。それを全部僕のSPIRITとSOULに閉じ込めて！」

--- 影響を受けたシンガーは誰ですか？

笑・・・すっごいいるよ！まずは、オールドスクールから The Barkays、Donny Hathaway、Fats Domino、Rebirth（Rebirth Brass Band）とか、R&BだとLuther(Vandross)、Teddy(Pendergrass)、Babyface、Stevie(Wonder)、Faith Evans、D'Angelo、Lauryn Hill、Jazmine Sullivanとか、ヒップホップだとNotorious Big、Ice Cube、Scarface、Jay Z、Mystikalとかたくさんいるよ。

--- 楽曲制作の手順を簡単に教えてください。先に歌メロを作るのでしょうか。

いい曲は歌詞かトラックからだね。いい曲はミュージックが無くてもそれだけでいいんだ。音楽無しでヒットの予感がしたらもうそれで全て完璧だね。個人的には、良いグルーヴが好き。本当に気持ちが良くなれたら言っている事なんてなんでもいいんだ。それが出来たら、僕はもう書くのは辞めてマイクに向かって思い浮かんだことを片っ端から言ってみる。気持ち良い事を、フリースタイルしてみて、いいものは残して最初から最後までその流れでいっちゃう。

--- あなたのクルーを教えてください。

もちろん！LeJit(John & Chris Anthony, Devin Crutcher) – MOHITZ - Y.Luck、Cuban Papi、Asiyah、Yung Na & Roll-X & Poleon、Hollywood Dream Music- Cymmphonique、Romeo/College Boyz、Veno。

--- 貴方の兄弟とのグループ、LeJitの活動は今、どうされてますか？

毎週末、僕達はショーのパフォーマンスをしていてチケットはいつも完売さ。LeJitは今もうやる気満々で年末にはアルバムをリリースする予定だよ！要チェックさ！Chrisは2011年にソロを予定しているよ。彼なりのオールドスクールに挑戦中。新メンバーのDevinは「Touch」っていうシングルとミックステープを10月にリリースして、Johnは2011年の後半にリリースがあるよ。どしどしリリースされるから待っててね！

--- 以前、Universal傘下になるGloby House/Fontanaと契約したとMySpaceにありましたが、現在どういう状況なのでしょうか。

Globy HouseはSilk The ShockerをCEO、僕がバイスプレジデントとして始めたレーベルで、新しいアーティストやFontanaの新しい計画とかを企画しているよ。

--- 最近のお気に入りのアーティストがいたら教えてください。

MOHITZのアーティストは本当に愛しているけど、Jazmine Sullivanはすごい。Bobby Womackのトリビュートでいい仕事をしていたCalvin Richardson、Cash Money/Young MoneyのMC、Nikki Minajと Drakeも。みんなヤバいね！

--- 私は、幸運にも2007年のEssence Music Festivalで貴方のステージを初めて生で観る機会がありました。 その時の感動があまりにも大きくて、今でも忘れられません。 ぜひ、貴方のライブを日本でも観たいのですが、来日する予定はありませんか？

このアルバムのフォーカス、ゴールは日本に行く事だよ！バンドを連れて行って、GROOVE、SWING、2 ND LINEで日本のR&Bファンをうっとりさせたい！本当に行きたいからみんな、Roi Anthonyを宜しくね！レディーのみんなは日本中をスローダンスしちゃって！！（笑）

--- LeJit時代から日本では貴方のファンがたくさんいます。日本のファンへメッセージをお願いします。

日本のみんな、本当に僕とLeJitを長い間、サポートしてくれてありがとう。そして、ニューオリンズへの熱い思い、カトリーナの災害への復興作業のサポートに感謝しています。そして、先ほども行ったように、日本に行くことを楽しみにしています。もし、日本のファンのみんなに会えたら、一人一人と話してハグしたいくらいだよ。これからも僕へのサポート、音楽への愛を宜しく。本当に皆さんのようなファンに感謝！！もうすぐ行く！行くよ！！興奮して鳥肌立った！！

新譜Who Am I Part I
2007年のEP『True Soul Experience』、翌年のフル・アルバム『True Soul Lifestyle』でインディR&Bファンのみならず、ソウル/ヒップホップ・リスナーをも巻き込み、我がHMVで大ヒットを記録した（オンラインだけですけど）、ニューオリンズはラファイエットの本格派シンガー、Roi Anthonyが新作を引っさげ戻ってきました！今回ももちろん､南部臭プンプン漂わせた濃密R&Bがてんこ盛り。しかもこれまでのソロ作品で魅せたヒップホップ世代らしいアプローチもさらに磨きがかかり、ミディアム〜スロウの仕上がりのクオリティの高さは、逆にメジャー・アーティストでは出せないのではと思うほど、艶やかに黒光りしております！


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