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LOUDインタビュー: INCOGNITO

Thursday, July 28th 2011

interview

INCOGNITO

モーリシャス出身のイギリス人ミュージシャン、“ブルーイ”ことジャン・ポール・モーニック率いる、ブリティッシュ・ジャズ・ファンク・バンド、インコグニート。'80年代初頭に結成され、'90年代以降はアシッド・ジャズ・ムーブメントを牽引する存在として、精力的に活動を展開してきた人気グループだ。今年3月には、ロンドンで開催された、結成30周年コンサートの模様を収録したDVD作品を発表している。
そんな彼らが、前作『Tales From The Beach』('08)以来となる、通算14作目のオリジナル・アルバム『トランスアトランティック・RPM』をリリースした。ブルーイがリスペクトするチャカ・カーン、アル・マッケイ、リオン・ウェアをはじめ、マリオ・ビオンディ、アーシュラ・ラッカー、ラッキー・アイアム、メイザ・リークなど、多彩なゲスト・アーティスト陣をフィーチャーした力作だ。“ライブ・バンドのエネルギーを表現したかった”というそのサウンドは、メモリアルなリリースに相応しい熱気がこもった、グルーヴィーなものとなっている。
インコグニートの本質が詰まった『トランスアトランティック・RPM』。本作の内容について、ブルーイに話を聞いた。

僕の音楽に影響を与えてくれたアーティストのために曲を書いて、彼らとコラボレーションしたいっていう願いが、遂に実現した。


--- 最新アルバム『トランスアトランティック・RPM』は、インコグニート結成30周年の節目に制作された作品となりましたね。現在の心境はいかがですか?

ブルーイ: 意外かもしれないけど、結成30周年っていう実感は、あまりないんだ。今年で何年目って数えていたのは、最初の頃だけ(笑)。きっと、僕らが一緒に仕事をしてきた人達やファンにとっては、“30年”って目印みたいなものなんだろうけどね。でも僕にとっては、他の年と変わらない気分さ。

--- 今作では、あなたが音楽活動を始めた当時に憧れていたという、チャカ・カーン、アル・マッケイ(元アース・ウィンド・アンド・ファイアーのギタリスト)、リオン・ウェアといった、大御所アーティストとのコラボレーションを実現させていますね。アルバムのコンセプトは、どのようなものだったんですか?

ブルーイ: 自分の過去のレコード・コレクションに回帰したアルバムをつくろうっていう構想が、一年くらい前からあったんだ。僕の音楽に影響を与えてくれたアーティストのために曲を書いて、彼らとコラボレーションしたいっていう願いが、遂に実現した。本当に素晴らしい経験になったよ。僕がアメリカとイギリスを行き来して、少しずつアルバムを完成させていく制作スタイルをとったから、制作自体はちょっと不思議な感じだったけど。

--- アルバム・タイトルの“トランスアトランティック(=太平洋横断)・RPM”という言葉には、あなたのどのような思いが反映されているんですか?

ブルーイ: 僕はインコグニートを結成する一年前まで、ノース・ロンドンで小さなレコード店を経営していたんだ。アメリカのレコードを専門に輸入していて、僕らはそれを“池を渡ってやって来たレコード”って呼んでいた。イギリスとアメリカの間には太平洋があるからね。金曜の夜は、店にDJのお客さんがいっぱい来ていたよ。今回カヴァーした「Lowdown」のオリジナルは、ボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』('76)に収録されているんだけど、'70年代後半、ボズのこのアルバムは、僕のレコード店で一番売れた輸入盤だった。つまりこのアルバム・タイトルは、太平洋を渡ってきた全ての音楽のことを指している。“RPM”の方は、もちろんレコードのRevolution Per Minute(1分間あたりの回転数)のことさ。

--- なるほど。

ブルーイ: ちなみに、今作に収録されている「1975」は、僕の音楽的原点を記した曲さ。この曲は、僕が'75年の夏にクラブで聴いた音楽そのもので、クラブ/ダンス・ミュージックは、僕にとってどれだけ大切な音楽だったのかということを語ったものになっている。このアルバムは、僕と音楽の歴史、つまり僕のライフ・ストーリーを捉えた作品なんだ。

--- チャカ・カーンやリオン・ウェアには、どのようにして連絡を取ったんですか?

ブルーイ: このアルバムをつくり始める前、僕はロンドンで『ヒア・カム・ザ・ガールズ』っていうミュージカルの音楽ディレクターをしていたんだけど、それにチャカ・カーンが出演していてね。で、ディレクターに就任した後、実はチャカが僕を指名してくれたってことを知ったんだ。彼女の指名を受けたからにはベストを尽くそうって、いつも以上にハッスルして仕事したよ(笑)。そうしたら、その思いが彼女にも伝わったみたいで、“一緒に曲をやりましょうよ”って言ってくれたんだ。“夢が叶った...”って思ったよ。このアルバムでは、そうやって自分の夢が次々と現実になっていったんだ。

--- どういうことですか?

ブルーイ: 妻の、“あなたが会いたいと思っている他のアーティストとのコラボも、きっと実現するわよ”ってアドバイスに従って、実際にLAに行ってみると、本当にリオンと奇跡的に出会えたし、スタジオでレコーディングをしていると、今作に参加してくれた人々が次々とやって来てね。人と人とがつながっていく毎日だったよ。トーチャード・ソウルのジョン・クリスチャン・ユーリックなんて、ロンドンからカナダ経由でLAに向かう途中、カナダの空港で偶然会えたんだ。全てのコラボレーションが、本当に素晴らしかった。まるで大きな夢を見ているみたいだったな。

--- 音楽的には、打ち込みのビートをフィーチャーしていた前作『Tales From The Beach』とは違って、生のバンド・サウンドを前面に打ち出した、よりオーガニックでリッチな音楽性を堪能できる作品に仕上がっていますね。

ブルーイ: そうだね。前作は、自宅スタジオで下準備した曲をレコーディングして、後からミュージシャンを足していくってやり方でつくったんだけど、今回は、バンドで輪になって演奏するスタイルが基本だったんだ。ジャムしながら、グルーヴにまかせて曲をつくっていったよ。このアルバムでは、ライブ・バンドのエネルギーを表現したかったからね。このアルバムで、僕は'70年代の自分に帰ったんだ。あの頃に感じたこととか、どうやって音楽に触れていたか、どうレコーディングしていたのかを、全て再現した。だから、レコーディングも、ほぼ全て'70年代の方法でやったね。

--- では最後に、今後の活動目標を教えてください。

ブルーイ: 好きなレコードはまだ山ほどあるから、まだまだ自分の過去をたどるアルバムがつくれるね(笑)。次回は、ぜひジル・スコットと仕事がしたい。今回は、ツアーと、彼女が妊娠していたこともあって、タイミングが合わなかったから。それと今後は、キューバやブラジルで、地元アーティストとのレコーディングも控えている。同じ場所で、同じ空気を吸って、同じ時間を過ごして、笑顔になること。僕にとって、それが何よりもかけがえのない経験なんだ。



新譜TRANSATLANTIC RPM / INCOGNITO
世界最強ジャズファンク・バンド Incognito 2年振りのスタジオ・アルバムが完成!チャカ・カーン、アル・マッケイ、リオン・ウェアといったビッグ・ネームとのコラボレーションが実現。結成30年の節目を祝うに相応しい、ゴージャスでスタイリッシュな一枚に!

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