HMVインタビュー: Pendulum
Wednesday, May 26th 2010
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ペンデュラム オフィシャル・インタヴュー
質問・文 有島博志(GrindHouse)
ロック・ナンバーもガンガン、プレイできる。で、平行してもろドラムンベースと言えるような音楽もやれる。それが、俺たちペンデュラムだから。
- --- 前作『In Silico』発売後の2008年夏にペンデュラムとして初来日しましたね。そして東京で単独公演をやり、サマソニにも出たわけですけど、今もいい思い出として残ってますか?
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ギャレス・マクグリレン(以下、GM): もちろんさ!渋谷でやったライヴのときなんか、クレージーなモッシュ・ピットが4つもできててさ。だけど曲が終わると、みんな急に静かになってね(笑)。で、次の曲をやり始めると、また即モッシュピットができて、再びみんながボコボコにやり合うっていう…。あの光景、体験は忘れられないよ。日本ならではのものだもん(笑)。
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ロブ・スワイア(以下、RS): 俺はサマソニのライヴのときの方が印象的だったな。ライヴ中、曲を重ねて行くうちにどんどん観客の数が増えて行き、終いには入場制限まで出たらしいからね。ああいう経験はあのときが初めてだったよ。
- --- あの、曲と曲の間にシーンとしてしまう日本独特の雰囲気のことですね(笑)。
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GM: そうそう(笑)。最初は正直あの反応には面喰ったけど、今はもう大丈夫、克服したから(笑)。俺たちのクルーってこれまでに何度も日本にきているベテラン揃いで、事前に日本の観客の反応ってこうだよって教えてくれてたんだけど、やはり聞くのと、実際に経験するのとでは大違いだったよ(笑)。
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RS: 国それぞれにそれぞれのお国柄というものがあるし、むしろあって当然だから、日本の観客ならではの反応の仕方があって当たり前だと思うんだ。俺はマナーのしっかりした日本の観客も好きだよ。目の前で、それまで大暴れしていた観客が突然シーンとされたときは、さすがにビックリしたけどね(笑)。
- --- 前作『In Silico』を今振り返ってみて、音楽的、歌詞的にどう捉えていますか?
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RS: 今でも正しい選択の下に制作した作品だったと思っているよ。制作中に多くの難題に直面したけどね。結果的にとてもいい作品に仕上がったと今も誇りに思えるよ。とにかくロックのリスナーと、ダンス/クラブのリスナーっていう2つの大陸の間で漂う氷山のような作品にはしたくなかったんだ。つまり誰も聴かないような作品にはしたくなかったっていうことね。音楽面でかなりリスクを犯したんだけど、やってよかったと思っているよ。本当の意味でペンデュラムを多くの人たちに受け入れてもらうためには、思いっ切りぶつかって行くしかなかったんだよね。
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GM: うん、あのときリスクを犯すという決断をして大正解だったと思うね。けして間違いではなかった。自分たちがやりたかったダンス/クラブ・ミュージックと、ロックをいい形で融合することができた作品となったんだ。うん、うまく行ったよ(笑)。
- --- 新作『Immersion』がついに発売されたわけですが、そのアイディアはいつ頃からあったんですか?
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RS: ほとんど前作が完成した直後にはもうあったね。
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GM: うん、前作完成後57分したころにはもう…。
- --- アイディアがあったと? 冗談抜きで(笑)。
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GM: うん、マジでそうだったよ(笑)。さっきもロブが言ったけど、前作の制作は本当に大変でね。だから完成後に、その大変な環境から解放されたような、とても楽な気分になったんだ。そしたら、すぐに次作のアイディアがふぅっと浮かんできてね。
- --- いつもレコーディングのプロセスってどういうふうに進めるんですか?
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GM: 俺たちのやり方のスタンダードって2つぐらいあるんだ。実は今回と前回って真逆でね。今回はたくさんのアイディアを楽器を使って録ったんだ。これがまず最初のプロセス。そして、それにさらなるアイデアを乗せて行く。その後スタジオに入り、そこで多くのパーツを捨て、一度バラバラにして、再び構築するっていう…。その結果、今回は前作以上にオーガニックな作風になったよ。
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RS: そのプロセスの最中に何度もメンバー間で話し合い、どのアイディアを生かし、どの曲を作品に入れるかを決めるんだ。今回、このプロセスはとてもスムーズだったよ。
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GM: ちなみに、そういう初期段階のアイデアの多くはツアー中やその合間に作るんだ。
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RS: ツアー中に曲作りや、そのアイディアを考えることすらも難しいと言う人たちがいるけど、俺たちはその反対で、ツアー中だからこそすごく作業しやすいんだよね(笑)。
- --- 活動基盤をイギリスのロンドンに置いてますけど、そうした一連の作業はやはりロンドンで? たまには母国オーストラリアのパースに帰ってやることもあるんですか?
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RS: ほとんどロンドンでやる。だけど作業中に、最低でも2週間から1ヵ月ぐらいはパースに帰るようにして、一部の作業をやったりもする。まったく違う環境に行くわけだからね。しかもロンドンよりパースの方がリラックスできるし(笑)。
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GM: 実は新作のアイデアやデモ音源の90%を、新作制作に入る前にオーストラリアでDJとして回ったときに使ったんだ。つまり事前実験したっていうわけ(笑)。
- --- 新作をどういうものにしたかったんですか? 前作の延長線上にあるもの? それとも前作とはまるで違うものに?
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RS: とにかく同じことは繰り返したくなかった。オーストラリアでのDJセットとかで、どのアイディアがよくて、どれがダメかはある程度わかっていたから、制作に入る前の時点でだいたいのビジョンはできていたんだ。それは前作の延長線上にあるものだったけど、それでいて違うというものでもあった。
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GM: そう、ときには前作とは反対のことをしたいという思いもあった。正直ドラムンベースには飽き飽きしていたから、これまで以上にロック色を出したかった。かと言ってロックだけに偏るというのも本意ではなかったので、その両方をこれまで以上にうまく融合することにしたんだ。ロックでもメタル寄りのものにした曲もあるんだよ、新作には。
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RS: と同時にそれとは真逆の超エレクトロニックで、どドラムンベースな曲もあるんだ。
- --- つまり、ロックとダンス/クラブの究極の融合だと?
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RS: そう、それが新作のポイントさ。俺たちは両方の音楽が好きだ。ロック・ナンバーもガンガン、プレイできる。で、平行してもろドラムンベースと言えるような音楽もやれる。それが、俺たちペンデュラムだから。
- --- 新作を聴くと一目瞭然ですけど、その融合のバランス感が最高ですね。
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RS: ありがとう、俺たちもそう思ってるよ。うん、その点にはとても満足しているんだ。とにかく、クラブ/ダンスとロックのどちらかに偏らないように細心の注意を払った。ひとつの曲をまとめる際、前のはどんなバランスにしたかなど気をつけつつやっていたからね。ロックし過ぎていたら、次の曲はその反対にするようにしたりってね。
- --- それでは新作はかなり意図的に作ったと?
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GM: イヤ、両方だよ。かなり意図して作ったところもあるけど、反対に完全に自然体でできたところもあるから。この点も、とてもよかったと思ってるんだ。
- --- 8月にサマソニ参戦でペンデュラムとして再来日しますね。今から楽しみでしょう?
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RS: もちろんだよ!とても楽しみにしてるよ。再びマナーのいい日本の観客の前でプレイできることをね。
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GM: 今度はモッシュ・ピットを4つだけじゃなくもっとたくさんできてくれるといいなと思っているよ!
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- 新譜Immersion / Pendulum
- 「プロディジー+リンキンパーク」とも称された、スタジアム級のダンス・ロック・アルバム『In Silico』で大ブレイクを果たしたオーストラリアはバース出身の6人組 Pendulumが待望のニュー・アルバムを完成!先行シングル「Watercolour」では相変わらずのエモーショナルなヴォーカルとロッキン&レイヴィンなドラムン・サウンドを展開。期待の高まる一枚に!!

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- Immersion【国内盤】
Pendulum - 2010年6月9日 発売予定

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- Immersion【輸入盤】
Pendulum - 2010年5月25日 入荷予定

08年5月(日本発売は7月)アルバム『イン・シリコ』でメジャー・デビューを果たしたオーストラリアはバース出身の6人組。「プロディジー+リンキンパーク」とも称された、ダンス・ビートとアグレッシヴなロックを境目なく融合させたスタジアム級のダンス・ロック・アルバム『イン・シリコ』は、全英アルバム・チャートで初登場2位を飾り、プラチナ・アルバムを獲得。シングル「Propane Nightmares」もトップ10チャートに入り、Kerrang!アウォードのベスト・シングルにもノミネートされた。ダウンロード・フェスティバル(なんと!Marylin Mansonの前に登場)、Vフェスティバル、Tイン・ザ・パーク、アイル・オブ・ホワイト、そしてオクシジェンの各フェスティバルのメイン・ステージへの出演も果たし、ライヴ・バンドとしても不動の人気を得る。またアメリカでも、"Carson Daly"や"Jimmy Kimmel"といったTV番組への出演、コーチェラ出演、ウルトラ・ミュージック・フェスティヴァル(毎年マイアミで開催)で、The ProdigyやBloc Partyと共にヘッドライナーも飾った。日本でもSUMMERSONIC08でダンス・テントのヘッド・ラインを務め、09年9月にはプロディジー率いる”ウォリアーズ・ダンス・フェスト”にDJセットで出演。
【メンバー】
Rob Swire (Vo/Synth/Producer)
Gareth McGrillen (B/DJ)
Perry ap Gwynedd (G)
Paul 'El Hornet' Harding (DJ)
Kodish (Ds)
Verse (MC)
<オフィシャル・サイト プロフィールより>
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