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【インタビュー】矢沢永吉

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Thursday, May 20th 2010

interview
矢沢永吉


6月9日にニューアルバム『TWIST』を発売する矢沢永吉。昨年の『ROCK 'N' ROLL』のスタイルを踏襲した直球ど真ん中のロックアルバム!近年では夏フェスに参戦したりと今までになかった活動をもみせ、60歳を超えてからさらにアグレッシブに活動をしている。そんじょそこらの若者ではまるで太刀打ちできないようなそのエネルギーはどこからくるのか!?アルバム『TWIST』の話を中心に、色々矢沢さんにお話を伺ってきました! 




--- 前回のタイトルが『ROCK ’N’ ROLL』、そして今回が『TWIST』。このタイトルはどんな思いを込めてつけたんですか?

 前作『ROCK 'N' ROLL』というタイトルをつけたときから、ものすごく楽しかったですね。原点回帰うんぬん言う人はいっぱいいますけど、そうかもしれないし、僕自身は楽しくて、面白くて、リスナーが求めてるであろう、直球ど真ん中をストーンと入れたようなアルバムを作らなきゃ、とできたのが『ROCK 'N' ROLL』でしたね。

矢沢永吉インタビュー


なぜそこまで思ったのか?と言ったら、今までは、僕は結構、自分の我が道を行くってスタイルでやってたからね。ある程度、行って行って、ちょっと待てよと。僕らがバンドやるきっかけっていうのは、大体洋楽にはまって、本場のアメリカとか、イギリスとかにぶっ飛ばされて「かっこいいな〜、じゃあ俺もビートルズになりたいっ」て始めるじゃないですか。

それで普通はコツコツやるんでしょうけど、僕も含めてですね。そこでやっぱり本場に行ってみたいと思うよね。海の向こうにはうじゃうじゃと凄いミュージシャンがいるからね。そういう奴らと会いたいとか、そういう奴らとレコード作ってみたいと思って。僕の場合は思った事をすぐ実行しちゃうから、実行したわけですよ(笑)。
実行して、作り手としてはこう、行き過ぎたんですね(笑)。行き過ぎた結果、ある時“ちょっと待てよ”と。お前、行くのは結構だけど、リスナーってどのへんで聴いてるの?っていう壁に一回ぶつかったんですね。作り手の俺らとは違う、リスナーっていうのはもっと理屈抜きで、直球でグっと聴きたいんだろうなっていう思いからつけました。

--- そうですね、直球っていうのはスゴイ感じました。ライブ感みたいなものをスゴイ感じて、ライブで「ワっ」と盛り上がるっていうのが感じられるアルバムだと思いました。最近では大きなフェスにも出られて、ああいうところでの盛り上がる感じが想像できますよね。

 まさにそうですよ。同じようなこと、ちょっと似てるかもしれないですね。夏フェスも、昔は一切出なかったじゃないですか。「それ、そっちで勝手にやってよ」みたいな。結構生意気だったから。俺は自分の道がありますし、武道館頑張っているし、というようなことがあって。ロッキン・オン・ジャパンの渋谷さんが、「永ちゃん、やらないか?」って言ってくれて、でも僕は最初どっちかって言うと断ってたんですよ。“夏フェスは俺の場所じゃないでしょ?”って。でも、それがさっき言った、リスナーはどのへんで聴いてるの?っていう壁にぶち当たったのと同じようなことが、夏フェスでも同じ事が起きたわけですよ。

「永ちゃん、でもさ矢沢永吉の名前は知ってても、矢沢のライブを観たことないのが、もう主流だよ。もう20代の90何パーセント、夏フェスに来てるのはほとんど観てない。永ちゃん、本物のロック一発見せようよ。」っていうのが、最初のきっかけだったんですよ。本物と言われれば、こっちも悪い気がしないじゃないですか(笑)。「おお〜そう? OK、じゃあ、やろうか(笑)。」 とやったのが最初のロッキンジャパンフェスティバルです。それはもう、皆さんも噂を聞いてると思いますけど、凄かったですよ。

--- はい、噂は聞いてます!

 僕は凄い嬉しかったですね。渋谷さんにも、ものすごくサンキューって気持ちだったし、逆に反省もしましたよ。俺は何してたの? 音楽に、ロックにエイジも国境もないよね? なんで俺はもっと今の10代、20代、30代の「矢沢?知らね〜よ、名前は聞いたことあるけどさ。」っていう奴らに、もっと俺の音楽をアピールしなかったんだって反省しましたよ。その反省と共に、ライブのこともそうだったし、それは同じように直球ど真ん中のサウンドを作らなきゃいけないよね?っていうレコード作りの上でも同じ気持ちだったわけですね。それで出来たのが『ROCK 'N' ROLL』ですよ。まさにど真ん中にドーンといれたら、案の定反応が即出ましたよね。それはもう売上ですよ。売れましたよ。それで気を良くしちゃって(笑)。「おお〜売れたよ。」って。そしたらどこかに火が点いちゃって、だったらもう夏フェス共々、もう一回なんか知らないけど、「俺の音楽をもっと聴いてくれ〜」というアピールをもっとしなきゃ、俺は今まで何をやってたんだ!ということで、間髪いれずにこの第二弾、『TWIST』!

矢沢永吉インタビュー


夏フェスを観て、僕はいいな〜と思いましたね。いろんな人が見に来て、夏のアノなまぬるい暑さのところで、30から40くらいの数のバンドが出るわけじゃないですか。一緒に同じ場を共有して。アレはね〜本当に俺は何をしてたんだ!って思いましたね。もっと早くからこういうことをやるべきだったと思いました。だから、今は夏フェスもそうだし、自分のレコードを聴いてくれっていうアピール、プロモーションも必要になってきますよね。”矢沢のレコードかけてくださいっ!”っていう感じですよ(笑)

--- 今までやってこなかったからこそ、お客さんたちも欲しがってるっていうのはあるんじゃないですかね?

 そう、「何、かっこつけてやってこなかったの?」みたいなね(笑)。嬉しかったですよ、「ap bank fes」にも出たときにね、「今日誰が来てると思います!?君達は時代の証人です!」みたいなことを言ってミスチルの桜井さんが最大限盛り上げるんですよ(笑)。「やざわっっー!」ってね(笑)。そこで「なぁんだ〜」と言われたらこっちもがっくり来るんだけど(笑)。「うっそっっー!!」「わーっっ!!!」ってなったからね(笑)。幸せだな〜っていうのと同時に、「あ〜俺はいったい何やってたんだ!??(笑)。」またそこで何やってんだって思って、そのかわりにおもいっきり歌いましたよ!(笑)

--- (笑)

 去年60歳になりまして。60になるとね、そういうことも全部含めて「クっ」と「キュン」と来る感じ?。何やってたんだよと思いつつも、まあちょうどいい時にこういう気持ちがものすごく強くなったのも、まためっけモノかなと思ってますけどね。

--- その前に1年休まれてたっていうのも大きいですか?

 そうそう、それも大きかったですね。僕は止めたことがないので、36,7年ノンストップで走りまくって来たな〜って。そこでちょっと止めて、ゆっくり見たんですよ。そしたら発見がありましたね。わかってはいたけど、俺には音楽しかないな〜とか、音楽やっててよかったな〜とか、その同じぐらいのときに、夏フェスだとか、直球ど真ん中のロックンロールだとかがテーマになってきてましたからね。全てよかったですね。

--- 今回HMVのオリジナル特典で“コラボノート”っていうのが付くんですけど、割とファンのかたには意外だなって思うような特典だと思うんですけど。 ここに矢沢さんの写真がバッとでます。

 ほ〜、ちょっといいですか?(と、手にとってサンプルを見る) ノートか!(笑) これかわいいね〜(笑)。


矢沢永吉特典サンプル
 ※こちらの特典コラボノートは終了しました


--- これの矢沢さんバージョンができますんで!

 なるほどね〜(笑)。最高だね!(笑)

--- こういった感じの特典やプロモーション仕方っていうのもいままでとは違いますよね。

 そうですね、昔はやらなかったですね。去年はけっこうやりましたよ。

--- 一旦休まれてから、活動がさらにアグレッシブになった気がするんですけど?

 去年が60歳で、一昨年が一旦止めた年ですよね。“59か、いよいよ来年60だな”っていう時ですね。なんかいい気持ちだったんですね。いい気持ちっていうのは、さて、60になって俺はどういうスタンスで歌い続けていけるんだろう?行くんだろうか?って思ったときに「どうすりゃいいの?」と考えますよね?頑張るって言っても、今まで散々頑張ってきたから、「頑張る」っていうのもつまんない言葉だなと思ったときに「歌はやめたくない、現役貫きたい、歌えるまでは。」そうだ、思いっきり楽しんじゃおう!思いっきり本気でちょっと面白がってやろうかなって。ソコを思いましたね。思いっきり面白がってやろうと思ったら、もうね〜、楽しいんだよね(笑)。インストアライブやったあとに、東京ドームでやる(笑)。300人のあとに5万人(笑)。その上で、ものすっごい青臭いようなサウンドの、ちょっとザラザラ揺さぶっちゃうようなTWISTみたいなサウンド出しちゃう。…コレですよね(笑)。下手したら10年前、15年前の矢沢なんかより、よっぽどシャウト、ロックンロールしてますよね(笑)。サウンド良かったでしょ?『TWIST』。

--- 最高です!前作から踏襲しているシンプルな感じがガツンときます。

 フレーズも結構意識しましたよ。リフとかフィルとかギタリストの「ワー」っていう凄いソロ、そんなの一切欲しくない。とにかく俺が口で言った、このラインを再現してくれみたいな。わかりやすいのね、キャッチー。決まったフレーズを吹こうとか。そのほうが絶対いいと思ってるしね、今は。洋楽には絶対にしたくない。だからミックスダウンも絶対、僕の信頼できる、日本のテイストをもった日本人。日本人が絶対やるべきだと思ってるし。だけどもグルーヴは欲しいよね。だから、ここだけはしょうがない、LAでドラムとベースは録ろうみたいな。だけどLAで録るけど、洋楽にはしたくない、おいしいとこどりみたいなね。

矢沢永吉インタビュー


それが言えるのも、こんなに長くやって来たからわかるんですよね。昔なんて僕は、誰々のギターとか誰々のドラムとか、スゲーよな〜!って。でもリスナーってそんなところでは聴いてないんですよね。リスナーってもっと直球で聴いてるんですよ。やっとそれが「だよね〜!」ってわかる年になったんですよ。

--- それはやっぱり、今までの経験があるからですよね。

 そう。それとまあ、僕が24,5でキャロルでデビューしたじゃない? それで35ぐらいで音楽はこうだ!ってわかったら気持ち悪いじゃない(笑)。やっぱり馬鹿が付くぐらいに、海の向う!って言ったらさっさと行くし。本場!っていったら本場行っちゃうし。でも本場で「ワォ!」っていうのは我々作り手なんだよ。でもリスナーってそこにいないじゃない?そこを気づくのに何十年かかったんだよね(笑)。

--- そこまで経験をしてきたのにですか?。

 してしてして、した上で(笑)。でもね、自分ごときの話なんですけど、そういう矢沢で良かったんじゃないですか?これを真面目と言わなかったら、何が真面目ですか?(笑) 本気でやっちゃうんだから、本気でやってバーンと壁にぶちあたってさ、俺何やってんだろう?みたいなね。遠回りっていう言葉は適してないかもしれないですけど、まあいいんじゃないですか?(笑) 結局、まだ僕は現役だし、現役でぶらさがってるわけじゃないし、その中で、「だよねー、リスナーってそんなことじゃねーよな。ストレートだよね。」「よし!次のアルバムでロックンロールつくる!」って言えて、やっちゃたんだから、僕はこれでいいと思いますよ(笑)。

--- 今後もきっと矢沢さんの中で変わっていく部分もあるんでしょうね。

 あるでしょうね。こうやってロックンロール第二弾が『TWIST』。第三弾どうする?っていったら、今度はちょっとテイスト変えるかもわからない。変えてもコレは忘れない(笑)。リスナーはどの変で聴いてんの?っていうコレだけは絶対に忘れちゃいけない。もう散々自分本位で走って来ましたから、自己満足のサウンドはもういいよね(笑)。


 ※最後に動画コメントをもらいました!





「サイコーな Rock You !」PV

profile

矢沢永吉

 1972年ロックンロールバンド「キャロル」のリーダーとしてデビュー。このバンドは約2年半の短い活動期間であったが、日本語ロックの走りとして、その後の日本のミュージシャンたちに与えた影響は計り知れないものがある。1975年春、日比谷野音で燃え盛る炎の中「キャロル」解散、この年の秋、早くも矢沢永吉はソロデビューを果たす。

1977年には、日本人ロックアーティストとして初の武道館公演、78年には後楽園球場公演と、快進撃を続けた矢沢は、自らの生きざまを語り下ろした著書「成りあがり」で、一大「矢沢ブーム」を作りあげた。

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※公式サイトより
⇒矢沢永吉公式サイト