北欧屈指TP奏者がバーンスタインに

2010年4月7日 (水)

ピーター・アスプランドのプロフォン新作は、レナード・バーンスタイン名曲を彼のカルテットとオーケストラで共演。ヤコブ・カールソンのピアノも見事！

Leonard Bernstein is a source of inspiration for me.

- Peter Asplund

プロフォンからにリリースされた2004年の『Lochiel's Warning』、そして2008年の『As Knights Concur』で、高い評価を得たスウェーデンのトランペット奏者ピーター・アスプランド(1969年生まれ)。

ストックホルムのロイヤル・ミュージック・アカデミーで学位を得て、ジャズ・トランペットやアンサンブルで教鞭をふるいつつ、1995年に『Open mind』(Dragon)、1999年に『Melos』、2000年に『Satch as Such』(共にSittel)、そして前述のプロフォンからの2枚のアルバムをリリースし、欧州、北米、南米などのツアーを行いました。

参加作品もTolvan Big Band、Stockholm Jazz Orchestra、Jan Lundgren、Victoria Tolstoyなど多岐に渡っています。

そして、前作から2年ぶりとなる彼の新作が『Asplun Meets Vernstein』です。文字通り、巨匠レナード・バーンスタインの楽曲に挑み、総勢30名に及ぶオーケストラと共演した、一大プロジェクト作品です。

アスプランドは、バーンスタインの音楽をとても愛していたようで、自身のオリジナルやスタンダードをとりあげたプロフォンの過去2作に続き、まさに今こそバーンスタインの音楽をやるときだと、決意のもとに本作の制作に入ったようです。

アレンジと指揮は、アスプランドの友人でもあるMats Hlling(1972年生まれ)が担当。クラシックやミュージカルの世界で知られるバーンスタインの音楽が見事にジャズとして蘇りました。

壮大でリッチなオーケストレーションのもと、アスプランドは時に激しく、時に優雅に、まさに自由と至福の喜びを全身で表現するかのように、トランペットを歌わせています。

また、Jacob Karlzon(p)、Hans Andersson(b)、Johan Lofcrantz Ramsay(ds)という前2作で高い実績を得た、自身のカルテットをそのままひきつれ、オーケストラとのレコーディングに臨んでおり、いかに彼がメンバーを信頼しているかが伺えます。

特に評判の高いピアニストJacob Karlzonのプレイは本作でも一際耀きを見せており、オーケストラの存在に負けず、各曲において素晴らしいプレイで、是非ピアノ・ファンにも聴いていただきたい演奏です。

本作は、鉄壁のカルテットとオーケストラ、そしてバーンスタインの音楽という3つが、完璧にリンクした作品と言えるでしょう。