特殊漫画大統領・根本敬の初監督作品が！

特殊漫画家・根本敬の初監督作品にして、今なお日本映画史においてハッテンバ（トイレ）の様に亀幕を刺激し続けてやまない入手困難なる映像『さむくないかい』が21世紀初のパートカラー作品として鮮やかに甦る。根本氏が発掘した一度見たら二度と忘れられないインパクトを持つ新人俳優・亀一郎を主役に、73歳（当時）のラッパー・坂上弘、音楽評論家の湯浅学など個性的なキャラが脇を固める。パリ人肉事件で知られる佐川一政の怪演も見物！また、本編と対を成すディスク2は、映像と音を駆使して即興演奏を行うユダヤジャズこと相馬大による『さむくないかい』 2010年2月7日自宅MEGAMIXライブ作品『しおサイケデリック』を収録！

亀ノ市（亀一郎）は40歳の童貞。趣味はストリート千摺り。下足番として勤務する企業の上司（佐川一政）のデコピンなどイジメもやまぬ毎日。しかし、作曲家の吉田佐吉（大宮イチ）と便所で出会い、彼の生活は一変する。吉田の家に住み込みでこき使われ、先輩（坂上弘）に励まされながら歌手を目指しての特訓に明け暮れる”掬い”なき、亀の問答無用な日々が始まったが、ある日･･･。

監督・脚本：根本敬

撮影：藤原章 （『ラッパー慕情』）

亀一郎、佐川一政、ママ野際、坂上弘（「交通地獄」）、湯浅学（湯浅湾）、平やん、大宮イチ 他

その昔、根本敬氏の御書を読み込んでいた時節･･･会社の直通電話にこんな留守電をキャッチした。「あ、あのぉー、先ほどお伺い致しました○○でございます。5月31日の10時からということでお話申し上げたんですが、孫の運動会がございまして･･･出来れば6月に入ってからでも結構でございますので･･･またお電話申し上げます」と。おそらく、電気かガスなどの工事なのだろう。こんなプライベートな事柄が会社の留守電に入っているとはまさか、思いもよらない。”電波系”が電波をキャッチした、まさにそんな瞬間だったのである。

根本氏の作品に触れていると、こういった事象がつながることが多いようで、この時期は駅のホームや街にいても、ちょっと”独特な”方々にお声かけ頂く機会も多かった。加えてこの時期は、映像夜間中学にも何度か遊びに行っていて、生で拝見する根本氏の圧倒的な佇まいと繰り広げられる内容に”新しいものを見せてくれる刺激剤”としてお世話になっていた。その映像夜間中学は今年で10周年！を迎えられたそうで･･･おめでとうございます！その伝説の第1夜にこの『さむくないかい』がお披露目されたという逸話もあるのだが、今までVHSでしか観れなかった本作がDVDでリリースされる！しかも、VHSはカラーだったのにも関わらず、あえて！21世紀初のパートカラー作品として！また、本編と対を成すディスク2として、映像と音を駆使して即興演奏を行うユダヤジャズこと相馬大による『さむくないかい』 2010年2月7日自宅MEGAMIXライブ作品『しおサイケデリック』を収録！この2作品を観ることで”因果力”によって生まれたこの『さむくないかい』の世界をはじめて体験＆堪能して頂けるという垂涎アイテム。そして、パッケージデザインにおいても、その徹底的な遊び心を忘れない！仕掛けが施されており、お手に取っていろいろと･･･イジって頂きたい。2010年に突如飛び出して来たこのニュースは根本氏ファンはもちろん、「作品の噂は何となく知っていたけど･･･」という方々をざわつかせているはずだ。

本作は、女性のミニスカートからのぞく美しい足に夢中な亀一郎氏が自慰行為する映像に溢れ、今やメジャーフィールドで大活躍！若き日（･･･と言っても当時、73歳）の坂上弘氏が披露する、ビブラートが効きまくり、水割り感漂う貫禄の「交通地獄」の歌声と、それにまつわるエピソードを交え、根本氏に縁のある面々が続々登場！と、ここでしか観れない衝撃映像のカオス（混沌）仕様。そして、この映像群をキャメラで収めたのが最新作！『ダンプねえちゃんとホルモン大王』を撮られた藤原章氏というのもうれしい。

そして、なんと言ってもこの『さむくないかい』というタイトル。「素晴らし過ぎる」と思うのはわたしだけでしょうか？

後日、根本先生に「今、なぜこのタイミングで『さむくないかい』のリリースを？」などというお話を直接伺って参りますので、ご期待下さい。そして、わたしがまた、何らかの電波をキャッチせぬよう、氏神さまなどに赴いた際はぜひ、お祈り頂けますように。アーメン。

漫画家、エッセイスト、歌謡曲研究家。「特殊漫画家」、「特殊漫画大統領」を自称する。「因果者」「イイ顔」「電波系」「ゴミ屋敷」などといったキーワードを作り出し、悪趣味系のサブカルチャーへ与えた影響は大きい。「ガロ系」と呼ばれる、日本のオルタナティブ・コミックの作家のなかでも、極北に位置する、もっとも過激な作風の漫画家。