2010年2月10日 (水)
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![]() from clammbon クラムボンのベーシスト。いくつかのソロプロジェクトや多方面のアーティストのプロデュース活動も活発に行うオールラウンド・プレーヤー。 |
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![]() from 「MARQUEE」 ポップカルチャーとマニアックな視点で独自な音楽を紹介する音楽雑誌「MARQUEE」の編集長。 |
どもです、ミトです!お待たせいたしました、『MMM Radio Psychedelic』vol.11の配信です!!
2010年の一発目、今回は「2000年代の10年を振り返る」がテーマです!
なんともこの大きな総括をこの少ない枚数で、、、って流石に全部を紹介するのは無理ですので、そのなかで僕が思う2000年代重要アーティストを4枚お届け。
メインストリームで重要だった2000年代アーティストとは別の、ある種カウンター的な役割を果たしたものをお送りいたします!!
対してMMMatsumotoさんはというと、2000年代を見据えた上での日本のカルチャーを考察。
MMMatsumotoさん選出の2枚の邦楽バンドを聴きつつ、新たなる2010年の音楽シーンを徹底解剖します!
さあ、今年もがっちりと行きますよー!ではでは!!!
音楽雑誌「MARQUEE」とMMMRadio Psychedelicで紹介したPlay Listをご紹介
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GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR / Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven |
MMMatsumoto 「2000年発売なんですね」 mito 「そうなんですよ、コレで幕を開けたんですよ。 god speedはコレを出して世界的にブレイクというか。 2000年の中では僕はすごく(この作品に)インスピレーションを受けて。もうずーっとコレしか聴いてなかったですね。 クラムボンチームでもすごく話題に挙がってたし」 MMMatsumoto 「そうなんですね」 mito 「このバンドがいたからインストバンドとか…いうなればレディオヘッド的な、雰囲気としてはダークなモノがメロディックに響いたり、っていうところの足掛けにも絶対なってただろうと思うし。 あとは、長尺が許される、ていうのの中でいうと、僕の中ではフィッシュマンズとかあの辺のバンドとも近い、 ストーリーを作るっていう作り方、テクスチャーとかセッションで組み上げていくようなカンジ、 そういうのにすごい影響を受けましたね」 |
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【解説 by mito】 93年、音楽的土壌の認知のまるでなかったカナダのモントリオールで、一つのバンドが誕生した。 ドラム2人、ベース2人、ギター3人、そしてバイオリン、チェロまで入ったこのバンドは、60年代末期のジャーマンロックの集団のようにコミューンを作り、権力主義社会に断固たるアンチメッセージを讃え、浮浪者との会話を録音したテープを流し、退廃した労働者地域の映像を流しながら、その「怒り」と「悲しみ」と「慈しみ」を長尺の楽曲を演奏した。最初に33本のコピーしか作らなかったこのバンドの音楽は、その後のカナダの音楽シーンを変え、世界の音楽を変えてしまう。このアルバムは、最も「世界と彼ら」とが密接に干渉していた(注目され、人気があった)頃の、歴史的ともいえる名盤。 |
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Ghost & Vodka / precious blood |
mito 「このアルバムは2001年発売かな。toeのデビュー含め、要するに日本でのポストロック元年というか」 MMMatsumoto 「ハードコアやっててポストロックにいく、っていうのはパターンだよね」 mito 「ハードコアの音楽的技量というか楽器的なボキャブラリーが増えたのにも関わらず、 その音楽性自体がそれ以上拡がらなかったじゃないですか。 だから、その持ってるボキャブラリーを使って別のモノに作用していく、というか。 真逆のことをやってみる、みたいなね。 今まで歪んでたギターをアコギに換えて同じことをやってみる、みたいな」 MMMatsumoto 「はいはい」 mito 「一番判りやすいのは、クロスオーヴァーやフュージョンの時代に近いのかと思って。 何が近いかっていうのも説明しづらいんだけども。そういうの感じません?」 MMMatsumoto 「あー感じますね。 ハードコアに飽き足らないというかね」 |
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【解説 by mito】 90年代のアメリカのエモ、ハードコアシーンの中で生まれた伝説的バンド[CAP'N JAZZ]。 このバンドが解散してから彼らの渡り歩いたバンドの数、そしてその雄々しい活動を聴けば、如何にここに在籍していたメンバーが凄まじい才能の持ち主であるかを痛感せざるおえないだろう。 Joan Of Arc、The Promise Ring、Maritime、American Football、Owen、Owls、Make Believe...そしてもう一つがこのGhost & Vodkaであり、日本のポストロック、インスト・ギター・ロックの雛形を作ったと言って過言ではない盤である。ここに録音されたギターアンサンブルの数々は、今の時代においても全く色あせることなく、音像は隅々までエネルギーに満ちあふれていて文句の付けようがない。 この今も、日本のどこかで、コレを聴きながらスタジオに籠っているギターキッズはたくさんいるのだ。 |
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The Postal Service / Give Up |
mito 「何気にコレが2003年なんですね」 MMMatsumoto 「信じられないね」 mito 「始めはコラボ企画のユニットだったんですよね。コレ出た時に、個人的にはすごい衝撃だったんですよ。2000年代をまとめようとすると、Postal Serviceっていうのは1つの軸点に置けるんですよ」 MMMatsumoto 「うんうん」 mito 「それは何かっていうと、DAW世代なんですよ。宅録世代がバンドという形態とは全く別になって、 尚且つバンドのエッセンスを持っていながら打ち込みの素材にキレイに入っていった好例だと思うし、 この流れの音楽はこの後どんどん拡がっていくワケじゃないですか」 MMMatsumoto 「そうですよね」 mito 「今こういう音楽しかないじゃん!っていう(笑)」 MMMatsumoto 「(笑)」 mito 「コレが今後のベーシックになるだろうなという予感はあっただろうし、 可能性を予見させてくれた好例のアルバムっていうカンジです」 |
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【解説 by mito】 [Death Cab for Cutie]のボーカルであるBen Gibbard、そして[Dntel]ことJimmy Tamborelloが「郵便配達サービス」を使って音源をやり取りしたのがきっかけで始まったユニット。 アーティスト同士が顔を合わすことなく音源を作っていくことは当時でもそこそこあったのだが、このユニットの特筆すべきところはそこではなく、むしろその後のネット社会が生み出す「自分のベッドルームで確実に機能する音楽」を作ったことにあると思う。この当時、iTunesやmyspaceは黎明期にあり、まだ「ネットで新しい音楽を探してゆくユーザー」、そしてそれに答える「DAWベースで全てを自身の手によって完成させるアーティスト」との需要と供給のバランスが整っていなかった。 そこに、このポスタル・サーヴィスのサウンドは偶然にも完全にマッチし、新しいリスナーとアーティストの「理想の音楽の形」を見たのだ。 甘酸っぱいエレクトロ・ポップに潜む音楽と文明のリークを知ってこそ、この音楽の素晴らしさはより確信的な衝撃を以て僕たちに響く。 |
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VITALIC / OK Cowboy |
mito 「コレ出た時はさすがに凄かったっすよ。 ちょうどツアー中にみんなで車で聴いてて「なんだコリャ!」みたいな話になって。 でも今このジャケ見ると、一頃昔のトランスのジャケットみたいに感じません(笑)?」 MMMatsumoto 「うん、そういう感じがする(笑)」 mito 「下世話な感じっていうか。何気にあんまセンス良くないんですよね、VITALICのジャケって(笑)」 MMMatsumoto 「(笑)」 mito 「日本では大流行したエレクトロの、爆発させたきっかけだったんじゃないかと僕は勝手に思ってるんですけど。 DAFT PUNKの『Discovery』って2001年なんですよ。あの頃、やっぱりエレクトロとは括れないで、 DAFT PUNKはDAFT PUNKだったんですよ。それがどんどん派生してノイジーになって、トランシーなモノも含めて、 全部を総括してエレクトロと言わせたのは、VITALICが最初だったんじゃないかと。」 |
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【解説 by mito】 いわゆる[エレクトロ]というブームの発端はDaft Punkの『Human After All』から始まったという人が多いが、実はVITALICの「La Rock 01」がアナログで発売されたのはその一年も前のハナシ。 つまるところ[エレクトロ]の始祖というべき存在は、やはりこの人であったというべきか。 2001年に発売した「Poney Part 1」から、彼の特有である空間がねじれたようなコンプレッション・サウンドは顕在しており、「My Friend Dario」では攻撃的なディストーション・ギターが唸りをあげる。 そして「La Rock 01」で完成された、非常識ともとれる「歪みの応酬」!もはやキック以外は全てノイズにまみれたあのサウンド...2005年のFUJI ROCKで彼の勇姿を観ていた時の興奮が、今でも忘れられない。 そしてこれが突如として日本のメインストリームに流れ込み、またアメリカのポップシーンにも否応ことなく流れていったこと...この音楽が持つ「究極のわかり易さ」故のブームを否定することのできる「新たなムーヴメント」は、今現時点では見つかってはいないのだ。 |
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your gold,my pink / parade |
MMMatsumoto 「日本のインディーバンドで、USインディーズが好きなんだろうなっていう感じなんですけど、 実はそういうサンプルとして出したワケじゃなくて、何の話をしたかったかっていうと、 最近J-POP/J-ROCKをガンガンClubでかけて踊りまくるっていうパーティーが一番熱を持ってる、っていうことなんですよ」 mito 「ああ〜」 MMMatsumoto 「それはフェスと直結していて、個人パーティーっていうのと合体しているんですよ。 つまりね、僕が言いたいのは“音楽の聴き方”の話なんですけど、 その中で最近良いんだか悪いんだか判んないっていう感じがあって。 みんなが知っているヒット曲を矢継ぎ早にかけて7時間ぶっとおしでアガってる状態っていうのがあるんですよ。 どっちかっていうとフェスなんかでいうモッシュに近い感じで」 mito 「あ〜なるほど。機能的な音楽メインというか」 MMMatsumoto 「で、このバンドなんかもかかったりするんだけどね。 この曲の真ん中でハンドクラップとかあるじゃないですか、ああいうノリとかすごく合うわけですよ」 | |
【解説 by MMMatsumoto】 関西出身のニューカマー。 ピクシーズ辺りからの影響が強く感じられる予測のつかない展開に、ポップなメロディラインが乗り、不思議と日本語詞がハマる。 オルタナなギターサウンドが間奏部で突如それも難なくダブに移行したり、ロックのニューレイヴ解釈的なダンスっぽさがあったりと、とにかく曲が多角的で興味が尽きない。 メロディのポップもこのタイプでは抜けたもの感じる。 |
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The SAMOS / INVOICE |
mito 「(エレクトロが)日本にぴったりマッチした理由なんじゃないか、っていうのでもう1つあって。 メロのラインが2つ(2種類)に分かれてて。 1つはちょっとしたパワーポップ…このTHE SAMOSもTHE NACKじゃないですか。 もっと判りやすくPrimal Screamって言った方がイイのか」 MMMatsumoto 「そうですね」 mito 「っていうのと、もう1つは木村カエラの「NO IMAGE」って曲を作った時に思ったんですけど、 歌謡のメロディーもしくはヨナ抜き(音階 ※ドレミのファとシを抜いた音階)を入れるとエレクトロになるんです(笑)!」 MMMatsumoto 「なるほど〜(笑)」 mito 「なんでこうなっちゃうんだろ、みたいな感じでエレクトロになるんですよ」 | |
【解説 by MMMatsumoto】 エレクトロ要素がバンドに浸透する中、バンド形態を取りながら中身がDJユニットなのが彼等。 エッジが利いてニューウェイヴィーなロックサウンド。 今回のアルバムではメロディも重視され、予想以上にロック色、曲としての完成度が高い。 でも本来ライヴでの彼等は、はるかにDJライクだ。 そして何よりもポイントなのはユーモア、フェイクの感性がキレまくっていること。 パーティー感覚も強い。 |
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MARQUEE Vol.77 2010年2月9日発売 800円(tax in) コード ISBN978-4-434-14161-4 |
断トツ第一特集、中田ヤスタカ。capsuleニューアルバム「PLAYER」と中田ヤスタカのソロにしてサントラ「LIAR GAME 2」について、2010年初インタビュー! それもロング。第二特集、Mizca。pal@popがサウンドプロデュースするエレクトロポップのニューアイコン。
その他、YUKI最新インタビュー、LOVE PSYCHEDELICO、魅惑の撮り下ろし付き特集・Base Ball Bear 関根史織、サカナクション、阿部真央、S.R.S、小林太郎、People In The Box、andymori、映画「BANDAGE」fet.杏、などなど。酒井景都の連載も3Pに拡大。MEGの連載もスタート!
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