Quiet Corner クワイエット・コーナー Vol.8

Quiet Corner クワイエット・コーナー

トラヴェシアの向うに深く耳を澄まして

ブラジル内陸部のミナス・ジェライスという地方を拠点に活動を続けるヘナート・モタ&パトリシア・ロバートの2枚組の大作『Sunni-E』は、アンドレ・メマーリ、沢田穣治(Choro Club)らが参加の元、信心や瞑想を意味する「Bhakti」盤と力や動きを意味する「Shakti」盤からなるマントラ作品だ。そこにはインドのパンジャーブ発のクンダリーニ・ヨガを起点に、ブラジルのミナスを経由し、日本の鎌倉/東京が連なる。彼らの初のマントラ作品『サウンズ:平和のための揺らぎ』を発表した後の2009年初来日の鎌倉:光明寺にてキャリア最高到達点をとらえたライブ録音の『In Mantra』を経て、今年2012年5月に行われ、新たなる提案となった静かなる音楽フェス「sense of “Quiet”」では、アルゼンチンのカルロス・アギーレとキケ・シネシ、そして日本の青葉市子らが、このマントラ3作目となる『Sunni-E』にも収録の「Sat Narayan」を全員で歌い奏で、感動的な大円団と共に、彼ら流のマントラをここ日本にも見事に新たな芽を吹かせてみせた。ところで、同郷ミナスのミルトン・ナシメントが歌った「Travessia」の歌詞の世界観と3.11以降の日本の置かれた状況と重ねて汲み取ると胸が一杯となるが、それに対する一つの答えを導いてくれたのが、このアルバムであり、特に冒頭曲「スニエ(深く耳を澄ます技法)」の唱えに大いに癒され、「ONG NAMÔ」に力を貰い救われた。「Travessia」の向うにあるマントラ、そしてジョアン・ジルベルトから連なる新たなるMPB(ブラジリアン・ポップス)としての『Sunni-E』に深く耳を澄ましてみたら如何であろうか。
文●野見山実

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