RCAレコード移籍第一弾。デイヴィス兄弟の出身地であるロンドンのマスウェル・ヒルからタイトルをとったこのアルバムは、ロンドン市内から緑豊かな北ロンドン郊外へと引っ越したワーキング・クラスの人々の物語を描いた作品。音楽的にはカントリーやブルーグラス、ミュージック・ホールの音楽など伝統的なアメリカの音楽スタイルに影響を受けている。

1972年に発表の2枚組アルバム『この世はすべてショー・ビジネス』。ライブ音源と、ザ・キンクス自身がアメリカで経験したロックバンドのツアー漬けの毎日をスタジオ録音曲が収録されている。アメリカン・ドリームのほろ苦さをハリウッドというプリズムを通して捉えた「セルロイドの英雄」はザ・キンクスの新章を代表するヒットとなった。

1973年にリリースされたコンセプト・アルバムだ。ヴィレッジ・グリーンの魅力的で小さな街のノスタルジアをテンプレートとして、社会の全体像とその仕組みを2枚の作品を通して描く壮大なロック・オペラであり、バンドにとって最も野心的なプロジェクトとなった。名作『THE VILLAGE GREEN PRESERVATION SOCIETY』のテーマをまぶしながら物語を語っていくこの作品は、Rolling Stone誌から「非常に聴きやすく非常に楽しいアルバム」と評された。

『PRESERVATION ACT 1』から続く物語／コンセプトをテーマにした、1974年発表のコンセプト・アルバム第二幕的作品。この作品では、ヴィレッジ・グリーンの魅力的で小さな街のノスタルジアをテンプレートとして社会の全体像とその仕組みを描く物語を、劇場的展開、インストゥルメンタル、アナウンス、ゲスト・シンガー、そして歌そのもの、全て要素をコンセプトに基づいて精巧に組み上げてながら構築していく、レイ・デイヴィスの音楽劇をさらに発展させた内容となっている。

キンクスの劇場型音楽スタイルを継承した1975年発表のコンセプト・アルバム。この作品は、「普通の人」がいかにスターダムを夢いて、どん底から脱出するか、というテーマにレイ・デイヴィスが取り組んだ作品で、ザ・キンクス史上最も壮大なコンセプト・アルバムとなっている。

今作では子供時代をノスタルジックに旅をしながら、過去のザ・キンクスの楽曲にも登場してきた悪役、ミスター・フラッシュの起源を語っていく、というコンセプトが存在しているのだが、サウンド的にはそれまでの演劇的なスタイルから、ザ・キンクスの持つシンプルで伝統的なロック・サウンドへとシフトしたものとなっており、ロックンロールやハード・ロック、50年代のポップスやドゥーワップなどまで網羅したスタイルを聴くことができる。