TOP > My page > Review List of つよしくん

Review List of つよしくん 

Showing 1156 - 1170 of 1958 items

%%header%%

%%message%%

  • 7 people agree with this review
     2011/01/08

    威風堂々たる素晴らしい名演だ。スケルツォ全集のレビューにも記したが、メジューエワは、ショパンがスコアに記した音符のすべてを、一音たりとも蔑にせず、完璧に弾き抜いている。要は、メジューエワのショパンには曖昧模糊なところが全くない。それ故に、旋律線が実にくっきりと明瞭に描き出されることになる。だからと言って、音楽の流れが損なわれることはなく、陰影の乏しい演奏ということにもなっていない。それどころか、メジューエワの卓越した表現力が、こうしたピアニズムを見事にカバーし、女流ピアニストならではの繊細な詩情も相まって、珠玉の芸術に仕立て上げるというとてつもない、離れ業とも言うべき至芸を示していると言える。このような風格のある堂々たるショパンは、他にもあまり類例を見ないものであるが、メジューエワは、正に、21世紀の新しいショパン像を確立したとさえ言えるだろう。このような素晴らしいピアニストが、我が国を拠点として活動していることに感慨を覚える。おさめられた楽曲はいずれ劣らぬ名演揃いであるが、特に、感動したのは舟歌。この陰影のはっきりした楽曲は、前述のようなメジューエワのアプローチに見事に符合する作品であり、おそらくは、同曲の過去の様々な名演の中でもトップの座を争う名演と高く評価したい。録音も鮮明で実に素晴らしい。

    7 people agree with this review

    Agree with this review

  • 6 people agree with this review
     2011/01/08

    実に聴きごたえのする素晴らしい名演だ。メジューエワは、昨年、同じくショパンの夜想曲集で、レコード・アカデミー賞を受賞したが、本盤は、一連のショパンの録音の中でも最も古い録音である。とは言っても、メジューエワのショパンへのアプローチが変わったわけではない。メジューエワは、ショパンがスコアに記したすべての音符を一音たりとも蔑にしない。一音一音を丁寧に、そして確信を持って弾き抜いている。それ故に、旋律線が実にくっきりと明瞭に描き出されることになる。こうしたアプローチは、音楽の流れを損なってしまう危険性もあるのだが、メジューエワの場合、そのようなことは全くなく、音楽も実に美しく自然に流れるのである。正に、風格のある堂々たるピアニズムであるが、それでいて、女流ピアニストならではの繊細な詩情にもいささかの不足がない。要は、我々聴き手がショパン演奏に望むすべての要素を兼ね備えた驚くべき名演ということができよう。本盤におさめられたスケルツォ、そして即興曲や夜想曲のいずれも名演であるが、スケルツォの収録順を番号順にせず、有名な第2番を冒頭においた点においても、メジューエワの同曲への拘りと深い理解を感じさせる。録音も申し分ない鮮明さだ。

    6 people agree with this review

    Agree with this review

  • 5 people agree with this review
     2011/01/08

    かつて従来CDで聴いた時は、いい演奏とは思ったものの、さほどの感銘を受けなかったところであるが、今般のXRCD&SHM−CD盤の鮮明な音質を聴いて驚いた。今般の高音質化によって、私も、この演奏の素晴らしさを再認識したところである。メンデルスゾーンの第4&第5のCDとしては、かのトスカニーニの歴史的な超名演があるが、この超名演に肉薄する名演と評価してもいいのではないかとさえ考える。とにかく、演奏全体に漲っている熱気が素晴らしい。ミュンシュは、特に、ライブ録音において、とてつもない生命力を発散する豪演を成し遂げる指揮者であったが、スタジオ録音でも、調子に乗った時は、ライブ録音なみの爆演を披露することがある。有名な例が、最晩年のパリ管弦楽団との幻想交響曲やブラームスの第1であるが、本盤も、それに近いものがある。その力強い生命力は、かのトスカニーニの名演にも匹敵するものがあると言える。さすがに、トスカニーニ一流の極上のカンタービレは散見されないが、その分、ここには、ストラスブール出身で、ドイツ音楽を得意とした巨匠ならではの重厚さがあると言える。特に、第5は、その楽曲の性格から、トスカニーニの名演を凌駕する出来と言えるかもしれない。ボストン交響楽団も、後年の小澤時代が信じられないような、重量感溢れるドイツ風の音を出しているのが素晴らしい。

    5 people agree with this review

    Agree with this review

  • 4 people agree with this review
     2011/01/08

    かの有名歌手であるシュヴァルツコップが「無人島に持っていく1枚」と称賛したとの曰くつきのCDであるが、確かに素晴らしい名演だ。XRCD&SHM−CD化によって、後述のように、この演奏の凄さが際立った感もあり、録音も含めて高く評価したい名演と言える。まず、何よりも凄いのは、アンサンブルの超絶的な正確さだ。シカゴ交響楽団と言えば、今でこそショルティ時代の鉄壁のアンサンブルとパワフルで輝かしい音色が、どうしても脳裏をよぎってしまうが、本盤を聴くと、そのルーツは、ライナー時代に遡ることがよくわかる。金管楽器も木管楽器も実に巧いし、しかもそのどれかが目立つということはなく、見事に揃っている。パワーも凄まじいものがある。そして、弦楽器も鉄壁のアンサンブルを見せ、全体として、あたかも眼前に巨大な建造物が構築されているかのような印象を受ける。では、このような硬質とも言える演奏は、ウィンナ・ワルツと水と油ではないかと言う考え方もあるが、よく聴くと、必ずしもそうではないのだ。それは、ライナーの指揮が、歌うべきところは実に優雅に歌うなど、実にコクのある演奏を繰り広げているからだ。もっとも、これは、従来CDでは聴き取れなかった音質とも言える。その意味では、今般のXRCD&SHM−CD化によって、はじめてこの名演の真価が明らかにされたと言えるだろう。推測の域を出ないが、舞踏への勧誘のチェロはシュタルケルであろうか。この曲でのチェロは特に絶品の美しさだ。

    4 people agree with this review

    Agree with this review

  • 7 people agree with this review
     2011/01/06

    これは素晴らしい名演だ。昨年のレコードアカデミー賞を受賞したとのことであり、私も、今回の受賞を契機として、メジューエワの演奏を今回はじめて聴いたが、実に素晴らしい。何が素晴らしいかと言うと、様々な点を掲げることができるが、いい意味で女流ピアニスト離れした堂々たるピアニズムを披露している点を先ずは掲げたい。冒頭の嬰ハ短調からして、他のピアニストとはまるで異なる。とにかく、旋律線が実に明瞭でくっきりとしている。この遺作となる同曲には、抒情的、内省的な演奏を心がけるあまり、曖昧模糊とした演奏が多い中で、メジューエワの確固たる造型の構築力が際立つ。要は、メジューエワは、ショパンのノクターンに対して、ベートーヴェンのピアノソナタなどと同様のアプローチを心がけているのだ。これは、作品9以下のすべての楽曲にも言えるところであり、いずれの楽曲も、堂々たるピアニズム、一音一音をゆるがせにしない確固たる造型美によって、風格のある偉大な芸術作品の構築に成功したと言える。ノクターンを陳腐なサロン音楽などと蔑視する一部の見解をあざ笑うかのような快挙と言える。前述のように、これは女流ピアニスト離れした至芸とも言えるが、それでいて、ショパン特有の繊細な抒情においてもいささかも不足はなく、こうした点は、正に女流ピアニストならではのアドバンテージと言えるだろう。冒頭と最後に、遺作となる嬰ハ短調とハ短調のノクターンを配しているのも、メジューエワのノクターンへの深い拘りと愛着を感じさせる。いずれにしても、本盤のノクターンは、堂々たる風格溢れるピアニズム、卓越した技量に裏打ちされた力強い打鍵、厳しく構築された造型、そして、ショパンの心の深淵を追及するかの如き深みのある繊細な抒情など、我々聴き手が望むすべての要素を兼ね備えた驚くべき名演と高く評価したい。

    7 people agree with this review

    Agree with this review

  • 8 people agree with this review
     2011/01/05

    実になだらかで美しい演奏だ。録音のせいや、小編成のオーケストラということもあるのかもしれないが、これほど、ドラマティックさを抑制した「わが祖国」も珍しいと言えるのではなかろうか。「わが祖国」と言えば、チェコ出身の指揮者による定番プログラムであり、古くはターリヒ、アンチェル、そして、クーベリックやノイマンなどに至るまで、民俗色豊かな、そして愛国心の高揚を掲げたドラマティックな名演を成し遂げてきた。チェコ出身以外の指揮者にしても、小林研一郎の劇的な名演や、アーノンクールによる切れ味鋭い名演などがあった。こうした海千山千の数々の名演の中にあって、チェコ期待の20代の若手指揮者フルシャの演奏は、むしろ、きわめて新鮮に響くと言えるのではなかろうか。前述にように、ドラマティックという性格は薬にもしたくなく、やたら愛国心を振りかざした演奏ではないが、わが祖国の根源的な音楽の美しさ、魅力を自然体で表現したという意味では、正に、新世代による名演と評価してもよいと考える。あたかも、埃をかぶった名画から、長年の埃を取り払ったようなイメージであり、フルシャ&プラハ・フィルハーモニアによるこのような新鮮な名演を、プラハの春国際音楽祭のオープニングに選ばれたこと自体が、チェコの音楽界の新たな方向性を示唆しているとも言える。このコンビの今後の更なる発展を大いに期待したい。

    8 people agree with this review

    Agree with this review

  • 2 people agree with this review
     2011/01/04

    オーパスの素晴らしい復刻を持ってしても、音質の劣悪さはあまり解消されたとは言えない。ティボーのヴァイオリンに焦点を絞って録音がなされたこともあって、オーケストラの音質が劣悪であり、序奏とロンド・カプリチオーソにおけるピアノの音も蚊の鳴くような音だ。しかしながら、これだけで切って捨ててしまっては、本CDの意義が全く見失われてしまう。本CDで聴くティボーのヴァイオリンは何と言う瀟洒な味わいであろうか。現今のヴァイオリニストでも、個性的な弾き手は数多くいるが、個性に加えて、これだけのフランス風のエスプリ溢れる瀟洒な味わいを音化できる弾き手は、おそらくはティボーだけではないかと考える。確かに、技量という点からすれば、他にも優れた弾き手はあまたいるが、ティボーの演奏を聴いていると、仰ぎ見るような偉大な芸術を前にして、技量など二の次のように思われてくる。いずれの曲もティボーの至芸を味わうことが可能であるが、私は、特に、スペイン交響曲と詩曲に惹かれた。スペイン交響曲のむせ返るような異国情緒を、これ以上に雰囲気豊かに演奏した例はほかにも見当たらないし、詩曲におけるこれぞフランス音楽ならではの香しい詩情は、ティボーだけにしか出し得ない瀟洒な味わいに満ち溢れている。

    2 people agree with this review

    Agree with this review

  • 10 people agree with this review
     2011/01/03

    凄い名演だ。ブラームスのオーケストラ作品、特に、分厚いオーケストレーションを誇る交響曲では、重厚でシンフォニックな表現が演奏様式として一つの理想形となるが、ペライアのブラームスは、ピアノ演奏におけるシンフォニックな表現と言える。正に、巨匠風の重厚なピアニズムと言える。ブラームスのピアノ曲の他の演奏には、例えば、超個性的なグールドやアファナシエフ、清澄なリリシズムを旨とするルプーなど、名演が目白押しであるが、ペライアのピアノは正に正統派。聴き手が仰ぎ見てしまうような威容に満ち溢れていると言える。ヘンデルの主題による変奏曲とフーガや2つのラプソディにおける、あたりを振り払うような峻厳たる威容は、これぞ3大Bの一角を占めるブラームスならではの重厚さだ。6つのピアノ小品も、第1曲など、威風堂々たるピアニズムであるが、第2曲、第5曲、そして第6曲の寂寥感溢れる抒情は、最晩年のブラームスの心底を覗き込むような深みのある音楽に仕上がっている。4つのピアノ小品の高踏的な深みのある美しさは、前述のグールドやアファナシエフなども到達し得なかった至高・至純の高みに達していると言える。録音も鮮明で、ぺライアの堂々たるシンフォニックなタッチをクリアに味わうことができるのが素晴らしい。それにしても、ぺライアは、今や巨大な存在になったと言える。そんな評価があながち大げさとは言えない驚異的な本CDの登場を大いに歓迎したい。

    10 people agree with this review

    Agree with this review

  • 7 people agree with this review
     2011/01/03

    イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、技術的にも、そして、その内容を豊かに表現するという意味においても、稀に見る難曲である。正に、イザイが模範としたバッハの無伴奏・ヴァイオリン・ソナタと同様の難しさがあり、近年のヴァイオリニストも、バッハとともに、このイザイのソナタに挑戦する者が増えてきている傾向にある。とは言っても、若手のヴァオリニストが、イザイのソナタに挑戦するというのは正気の沙汰ではなく、その意味でも、松田里奈は、凄いことをやってのけたと考える。ライナー・ノーツの解説によれば、松田は、イザイに幼いころから慣れ親しんできたとのことであるが、それにしても、今般の全曲録音は快挙と言える。そして、演奏も素晴らしい。録音の良さを考えると、同曲のトップの座を争う名演と評価してもいいのではないか。卓越した技量もさることながら、松田は、この変化の激しい各曲の描き分けが実に巧み。強弱も、そして緩急自在のテンポの変化も、よくぞここまで完璧に表現することができたものだと感心してしまう。それでいて、音楽の流れを損なうことはいささかもなく、ゆったりとした気持ちで、イザイのソナタを満喫することができるのが素晴らしい。抒情的な箇所の調べは、女流ヴァイオリニストならではの繊細な美しさに満ち溢れている。松田は、まだ20歳代半ば。本盤のような名演を聴くと、彼女の前途洋々たる将来性を感じずにはいられない。併録の、メイキング映像など、貴重な記録がDVDで添付されているのも嬉しい。

    7 people agree with this review

    Agree with this review

  • 5 people agree with this review
     2011/01/03

    ブラームスのピアノ協奏曲第2番の演奏史上、スコアを完璧に音化した演奏ということができる。ライナー&シカゴ交響楽団の技量は圧巻であり、アンサンブルなどいささかも弛緩することはない。金管楽器も木管楽器も完璧な技量を披露している。ギレリスも凄い。鋼鉄のピアニストと称されたギレリスであるが、本盤は、その面目躍如たる硬質のタッチを示している。ギレリスは、後年に、ヨッフムと同曲を録音しているが、そちらの方は、やや角の取れた柔らかさがあり、ギレリスらしさと言えば、本盤に軍配があがると考える。こうした鉄壁のライナー&シカゴ交響楽団と、鋼鉄のギレリスのピアノが組み合わさると、正に完璧な演奏が生み出されることになるのは必定だ。第1楽章や第2楽章など、抒情的な美しさなど薬にしたくもなく、圧巻の音塊が炸裂する。第3楽章になると、シュタルケルのチェロなど、美しい箇所も散見されるが、終楽章になると、再び凄まじい進軍が開始される。この演奏を評価する聴き手も多いと思われる。それは、演奏技術として非のうちどころがないからである。しかしながら、私としては、これがチャイコフスキーだったら、どんなに感動的な演奏になったのだろうかと思ってしまうのだ。要は、ブラームスの場合、何かが足りないのではないか。ブラームスには、卓越した技量や圧倒的な迫力だけではなく、人生の苦みを感じさせるような深みのある表現も不可欠ではないか。そう思う時、この完璧な演奏を無条件で推薦するわけにはいかないのである。録音は、XRCD&SHM−CDという鮮明な高音質であるが、特に、オーケストラの音色がデッドに響く箇所があり、それがいささか気になった。

    5 people agree with this review

    Agree with this review

  • 1 people agree with this review
     2011/01/03

    このコンビによるベートーヴェンの第5&第7が素晴らしい名演であったので、本盤を購入し、聴いてみたところ、期待どおりの見事な名演であった。ベートーヴェンの交響曲の演奏の主流は、今や、ピリオド楽器の使用や、古楽器奏法の活用などになりつつあるが、インバルは、そのような演奏傾向には背を向け、本演奏においても、旧スタイルを貫いている。この姿勢が、聴き手に大いに安心感を与えるのだ。もちろん、最近の演奏傾向を否定するものではないが、芸術性をどこかに置き忘れた軽妙浮薄な演奏をよく耳にする昨今においては、旧スタイルを懐かしく思ってしまうのだ。前述のように、インバルは旧スタイルと言ったが、もちろん、インバルならではの個性的な解釈も散見される。特に、第1楽章や終楽章における思い切った表情づけなどには、いささかやり過ぎのきらいもないわけではないが、全体としては、ドイツ風の重厚さが支配的な堂々たる名演に仕上がっていると言える。インバルの確かな統率の下、東京都交響楽団も最高のパフォーマンスを示している。併録のコリオランも、エロイカと同様の重量感溢れる名演。録音もSACDによる極上の高音質であり、文句なし。なお、エロイカ終了後の聴衆のマナーについて一言。演奏の余韻を味わうための間を少し置くことはできないのだろうか。演奏終了とほぼ同時の品の悪い大音声は、殆ど顰蹙ものである。

    1 people agree with this review

    Agree with this review

  • 6 people agree with this review
     2011/01/03

    マークの指揮するブルックナー、そして演奏時間がブルックナーの第5としては最速と思われる約66分ということで、聴く前は全く期待していなかったのだが、聴き終えて大変驚くとともに、深い感動を覚えた。これは素晴らしい名演だ。第1楽章の冒頭のピッツィカートからして快速。その後の第1主題も凄いスピードであるが、せかせかした印象を全く与えることがない。これだけ早いテンポだと、浮ついた音になってしまいがちなのだが、重厚さにはいささかの不足もない。これは、東京都交響楽団が凄い音楽を奏でているということであり、今から約25年も前に、このオーケストラがこれだけの演奏を行っていたことは殆ど驚異ですらある。オーケストラの底力とともに、マークの類まれなる統率力を感じる。第2主題に入ると一転してゆったりとしたテンポになるが、この情感溢れる歌い方は実に感動的だ。第2楽章もテンポは早い。これは、第2主題が誰よりも早いことに起因するが、それでいて、弦楽器の詩情溢れる歌い方はこれぞブルックナーだ。第3楽章になると、ノーマルなテンポに戻るが、第1主題の力感溢れる重厚さは、野人ブルックナーを表現し得て妙だ。トリオのテンポの激変は、ほとんど芝居がかっているとも言えるが、それでいて、やり過ぎの印象を与えることがないのは、卓越した指揮芸術の賜物と言える。終楽章も、冒頭は堂々たる進軍であるが、フーガの主題の超スローテンポによる提示。その後のテンポの激変は、第3楽章のトリオと同様であるが、音楽が小さくならないのは、マークが、ブルックナーの本質をしっかりと鷲掴みにしているからにほかならない。演奏終了後の熱狂も当然のことであると考える。録音も鮮明で文句なし。

    6 people agree with this review

    Agree with this review

  • 9 people agree with this review
     2011/01/03

    シノーポリは、1986〜1987年にも、全く同じ交響曲の組み合わせで、フィルハーモニア管弦楽団とスタジオ録音している。特に、第10番は、30分を超えるという異常に遅いテンポが話題となったが、シノーポリの医者出身という経歴を活かした精神分析的なアプローチが功を奏した凄い名演であった。それに対して、第6番の方は、同じく遅いテンポではあるが、やや間延びした印象もあり、美しくはあるものの、今一歩踏み込みが足りない喰い足りなさが感じられる演奏であった。ところが、本盤は、ライブ録音、そして、ドイツのオーケストラということもあって、いずれも素晴らしい名演に仕上がっている。第10番は、スタジオ録音の約6年前の演奏であるが、アプローチ自体は変わらない。テンポは若干早くなっているが、楽曲への切れ味鋭い踏み込みといい、思い切った強弱の設定といい、文句のつけようのない超名演に仕上がっていると言える。特に、弦合奏の重心の低い重量感は、さすがはドイツのオーケストラである。第6番は、スタジオ録音とほぼ同時期の演奏であるが、同様にゆったりとしたテンポだ。特に、第3楽章と終楽章の遅さは尋常ならざるものがあるが、スタジオ録音とは異なり、間延びした印象がいささかも感じられない。むしろ、このテンポ設定こそが必然と感じられるほどで、これらの楽章のこの世のものとは言えない美しさは、シノーポリが、楽曲への精神分析の結果得ることができた、マーラーの生への妄執と憧憬のように思われてならない。録音も、素晴らしい高音質だ。

    9 people agree with this review

    Agree with this review

  • 2 people agree with this review
     2011/01/02

    素晴らしい名演だ。何よりも、札幌交響楽団の健闘を讃えたい。10年ほど前までは、地方のオーケストラなど、大阪フィルを除けば、きわめてお寒い限りであったのだが、最近では、この札幌交響楽団も含め、力量的にも大幅な底上げがなされてきているように思う。その成果の一つが本盤であり、先ず技術的には問題なし。芸術的にも、尾高忠明の指揮の下、実に感動的な音楽を奏でていると言える。次いで、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音を評価したい。北欧の清澄な音楽には、臨場感溢れる音場が最適であるが、本盤の極上の高音質は、あたかも北欧を吹く一陣の風の如くである。特に、ペールギュント組曲のオーゼの死やソルヴェイグの歌の弦楽器の美しさは、筆舌には尽くしがたい素晴らしさだ。そして、選曲の妙と尾高の指揮の素晴らしさを高く評価したい。第2集と比較すると、グリーグ&シベリウスの超有名曲をおさめているのも好企画である。それだけに、指揮の質を問われるが、尾高の指揮も、オーゾドックスなアプローチではあるものの、聴かせどころのツボを心得た巧みなものであり、聴きなれたこれらの各曲を実に感動的に味わうことができたことを評価したい。

    2 people agree with this review

    Agree with this review

  • 5 people agree with this review
     2011/01/02

    シノーポリは、医者出身の指揮者ということもあって、作品の内容を解剖するかの如き精神分析的なアプローチが信条とされている。したがって、作品によっては、シノーポリのアプローチに見事に符合するものがあり、例えば、シューマンの交響曲第2番など、実に素晴らしい名演であった。マーラーも、すべてとは言わないが、シノーポリの芸風に符合する楽曲であると言える。私も、シノーポリの第5にはじめて接した時の衝撃的な感動を今でも思い出す。フィルハーモニア管弦楽団との全集では、この第5と、第2、第10あたりが、素晴らしい名演であると言える。本盤は、フィルハーモニア管弦楽団とのスタジオ録音の3年後の録音であるが、スタジオ録音ではイマイチと思われた第3が、ここでは素晴らしい名演に仕上がっている。やはり、ライブ録音ということもあるのだろう。特に、第1楽章と終楽章が秀逸であり、シノーポリは、いつものように、作品の内面に深く切り込んでいく分析的なアプローチを示すが、音楽の流れを損なうことはいささかもなく、情感豊かな音楽を紡ぎ出している。テンポ設定も巧みであり、シュトゥットガルト放送交響楽団も、ドイツ風の実に重厚な音楽を奏でている。独唱も合唱陣も素晴らしく、最高のパフォーマンスを示していると言える。録音も、鮮明で実に素晴らしい。

    5 people agree with this review

    Agree with this review

Showing 1156 - 1170 of 1958 items