Wozzeck : Kentridge, Vladimir Jurowski / Vienna Philharmonic, Matthias Goerne, Grigorian, Daszak, etc (2017 Stereo)(+DVD)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 18/January/2020
予想通り、映像と手書きアニメーションを多用した舞台。第1幕第1場でヴォツェックが大尉の髭剃りをしているのではなく、映写機をいじっているのは全体のプロローグとしての意味があるのだろう。第2場でのアンドレスとヴォツェックも大尉のためのステッキを刈るわけではなく、瓦礫を積み上げたようなセットの中をただ歩いているだけだ。メトでの『ルル』では雄弁な映像に比べて歌手たちの演技がイマイチだと不満を述べたが、こちらは上述のようにアンチリアル路線が徹底しているので、これはこれで良いと思える。第2幕第4場や第3幕第3場のように人々が踊る場面では、彼らが人形のような動きをするのが面白いが、リーフレットに掲載されたインタビューでは、25年前にビュヒナーの原作戯曲の方を人形劇団のために演出したのが、自分の演出家としての初仕事だったとケントリッジは述べている。第3幕第2場でもヴォツェックがマリーをナイフで刺すような動作はなく、最終場は人形つかいの操るパペットとして表現されるマリーの子供が一人、舞台上にいるのみで、他の子供たちは暗闇の中から声が聞こえるだけ。この人形がガスマスクをつけているのは第一次大戦へのアリュージョン(例のインタビューで演出家自身がそう述べている)。 歌手陣では歌、演技ともに目覚ましい新鋭グリゴリアンが大収穫。ゲルネの題名役はもちろん大変達者だが、チューリッヒのゲルハーエルが(演出も含めて)被差別者の悲哀を感じさせる役作りだったのに対し、こちらはむしろこの人物の「怒り」と「狂気」を前面に出した演唱。他にもダスザック、ジーゲル、ラーセンと芸達者を揃えている。ウィーン・フィル相手にびびった訳でもあるまいが、ユロフスキーの指揮は彼らしい尖鋭さがあまり聴かれず、手堅いまとめにとどまっているのは残念。3 people agree with this review
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