冷戦とクラシック 音楽家たちの知られざる闘い Nhk出版新書
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umibouzu1964 | 山口県 | 不明 | 17/August/2023
政治記事と音楽記事を時系列的に並べたもので、「新聞ダイジェスト」を読んでいる気分。音楽と政治との関連は漠然とした知識しか無かったので、頭の整理にはいいだろう。以下、気になった点。@カラヤンの記述が少ない。彼はナチス党員だったから、そこから「帝王」へのし上がる課程がこの著作のテーマとも合致して興味深いはずなのだが、ほとんど素通りしている。勿体ない話である。Aショスタコーヴィチの記述が多いのは当然だろうが、彼が政権との闘争の中で音楽の中に込めた暗号、粛正と隣り合わせの「究極のジョーク」には、ほとんど触れていない。特に、大変な議論を呼び起こしたヴォルコフの代表的な著作「ショスタコーヴィチの証言」に一言も触れていないのは、どういう了見なのだろうか?Bバーンスタインは、政治に全く忖度しない平和主義者として描かれているが、彼はイスラエルを絶対視し、そのテロ行為には目を背ける偏面的な平和主義者であるはずなのに、そのことにも一言も触れていない。…というわけで、本著を読破して現代音楽史、演奏史を理解できたと思い込むのは早計であり、あくまで入門書レベルと考えた方がいい。しかし、クラシック音楽の基礎知識がないと読み進めるのは困難な内容だ。つまり、「読者を選ぶ」著書ということになるだろう。0 people agree with this review
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Tan2 | 神奈川県 | 不明 | 14/April/2021
中山右介さんの「戦争交響曲〜音楽家たちの第二次世界大戦」(朝日新書)の続編ともいうべき本であり、ここでは第二次大戦後の「東西冷戦」の中での音楽家の生きた足跡が書かれている。 中山右介さんの本は、「点」としてバラバラに持っている知識を、線あるいは面、さらには立体的な複合的視点へとレベルアップしてくれるものが多い。漠然と知っているだけの情報を、いろいろな視点から眺め直すことで、新たな側面や気付かなかった意味があることに気づかされる。 この本もそんな中の一つで、話の展開軸はアメリカとソビエトによる「冷戦」。その中でも、「西」の代表としてアメリカのバーンスタイン、「東」の代表としてソビエトのムラヴィンスキー、東西分裂国家となったドイツのカラヤンといった指揮者を中心に話が進んで行く。今から思えば、何という面倒くさい世の中だったのだろうということになるが、そういった国家・社会の威信をかけて「芸術家」が利用され翻弄される20世紀社会であったということだ。音楽家も大変な「重荷」を背負わされていたことになる。そんな時代の記録として、後世にも語り継がないといけない「歴史」なのだろう。 この本も、他の中山さんの本と同様に、初級者を卒業してひととおりクラシック音楽の常識を持った愛好家が、自分の持っている個々バラバラの音楽に関するエピソードや見識を時間順に、そしてそれら相互関係を体系的に整理するため本だということになるだろう。何も予備知識なしに読むのはちょっと辛いかも。0 people agree with this review
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テリーヌ | Hyogo | 不明 | 26/August/2017
冷戦という視点で現代のクラシック音楽界(特に指揮者)を俯瞰すると、なかなか興味深いです。バーンスタイン・ムラヴィンスキー・カラヤンを3本の軸として、3人を取り巻く音楽家を含めた現代史は新鮮なアプローチです。冷戦の終結とともにこの世を去った音楽家たちの姿はドラマティックに映ります。中川右介氏の著作はいつも斬新なアプローチが魅力です。0 people agree with this review
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