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冷戦とクラシック 音楽家たちの知られざる闘い Nhk出版新書

Yusuke Nakagawa

User Review :4.0
(3)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784140885215
ISBN 10 : 4140885211
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2017
Japan

Content Description

かつて世界は二つに分断されていた。核戦争の危機も迫っていた。そのとき音楽家たちは―。「クラシック後進国」のアメリカから世界を魅了したバーンスタイン、ソ連にあって当局にも屈しないムラヴィンスキー、そして「壁」のあるベルリンに君臨した帝王カラヤン…。冷戦とともに歩み、冷戦の終結とともにこの世を去った音楽家たちの姿から、戦後クラシック界の興亡を描き出す。

目次 : 序章 「戦後」の始まり―1945年/ 第1章 鉄のカーテン―1945〜49年/ 第2章 雪どけ―1953〜58年/ 第3章 音楽外交―1958〜64年/ 第4章 停滞の時代―1965〜86年/ 第5章 三人の指揮者の死―1987〜90年

【著者紹介】
中川右介 : 1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社アルファベータ代表取締役編集長(〜2014年)として、音楽家や文学者の評伝などを編集・発行。自らもクラシック音楽、歌舞伎、映画などの分野で旺盛な執筆活動を続ける。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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政治記事と音楽記事を時系列的に並べたもの...

投稿日:2023/08/17 (木)

政治記事と音楽記事を時系列的に並べたもので、「新聞ダイジェスト」を読んでいる気分。音楽と政治との関連は漠然とした知識しか無かったので、頭の整理にはいいだろう。以下、気になった点。@カラヤンの記述が少ない。彼はナチス党員だったから、そこから「帝王」へのし上がる課程がこの著作のテーマとも合致して興味深いはずなのだが、ほとんど素通りしている。勿体ない話である。Aショスタコーヴィチの記述が多いのは当然だろうが、彼が政権との闘争の中で音楽の中に込めた暗号、粛正と隣り合わせの「究極のジョーク」には、ほとんど触れていない。特に、大変な議論を呼び起こしたヴォルコフの代表的な著作「ショスタコーヴィチの証言」に一言も触れていないのは、どういう了見なのだろうか?Bバーンスタインは、政治に全く忖度しない平和主義者として描かれているが、彼はイスラエルを絶対視し、そのテロ行為には目を背ける偏面的な平和主義者であるはずなのに、そのことにも一言も触れていない。…というわけで、本著を読破して現代音楽史、演奏史を理解できたと思い込むのは早計であり、あくまで入門書レベルと考えた方がいい。しかし、クラシック音楽の基礎知識がないと読み進めるのは困難な内容だ。つまり、「読者を選ぶ」著書ということになるだろう。

umibouzu1964 さん | 山口県 | 不明

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 中山右介さんの「戦争交響曲〜音楽家たち...

投稿日:2021/04/14 (水)

 中山右介さんの「戦争交響曲〜音楽家たちの第二次世界大戦」(朝日新書)の続編ともいうべき本であり、ここでは第二次大戦後の「東西冷戦」の中での音楽家の生きた足跡が書かれている。  中山右介さんの本は、「点」としてバラバラに持っている知識を、線あるいは面、さらには立体的な複合的視点へとレベルアップしてくれるものが多い。漠然と知っているだけの情報を、いろいろな視点から眺め直すことで、新たな側面や気付かなかった意味があることに気づかされる。  この本もそんな中の一つで、話の展開軸はアメリカとソビエトによる「冷戦」。その中でも、「西」の代表としてアメリカのバーンスタイン、「東」の代表としてソビエトのムラヴィンスキー、東西分裂国家となったドイツのカラヤンといった指揮者を中心に話が進んで行く。今から思えば、何という面倒くさい世の中だったのだろうということになるが、そういった国家・社会の威信をかけて「芸術家」が利用され翻弄される20世紀社会であったということだ。音楽家も大変な「重荷」を背負わされていたことになる。そんな時代の記録として、後世にも語り継がないといけない「歴史」なのだろう。  この本も、他の中山さんの本と同様に、初級者を卒業してひととおりクラシック音楽の常識を持った愛好家が、自分の持っている個々バラバラの音楽に関するエピソードや見識を時間順に、そしてそれら相互関係を体系的に整理するため本だということになるだろう。何も予備知識なしに読むのはちょっと辛いかも。

Tan2 さん | 神奈川県 | 不明

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冷戦という視点で現代のクラシック音楽界(...

投稿日:2017/08/26 (土)

冷戦という視点で現代のクラシック音楽界(特に指揮者)を俯瞰すると、なかなか興味深いです。バーンスタイン・ムラヴィンスキー・カラヤンを3本の軸として、3人を取り巻く音楽家を含めた現代史は新鮮なアプローチです。冷戦の終結とともにこの世を去った音楽家たちの姿はドラマティックに映ります。中川右介氏の著作はいつも斬新なアプローチが魅力です。

テリーヌ さん | Hyogo | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • harass

    同著者の第二次大戦中のクラシック演奏家たちを描く「戦争交響曲」の続きといえる新書。冷戦の始まりと終わりまでの歴史に振り回される巨匠たち。ショスタコーヴィチとムラヴィンスキーとバーンスタインが軸。ショパンコンクールのポゴレリチ事件のエピソードなど興味深い。各演奏家のエピソードはバラバラに知っているが、歴史とまとめていくのは労作。ただ平坦に感じるところもあるが、それを避けるとしたらこの厚い本がもっと厚くなるのは必須だろう。個人的にピアニストシフラのデビュー前の話は初耳だった。言及される公演のCDリストつき。

  • けぴ

    著者の中川さんの『カラヤンとフルトヴェングラー』が面白かったので、本作も読んでみた。第二次大戦後からベルリンの壁崩壊までのクラシック界が、東西冷戦に巻き込まれ、思うように活動できない様が描かれる。バーンスタインとムラヴィンスキーが中心に話がすすむが、様々なエピソードを漏れなく記載しようとしたせいで、雑駁な展開。焦点を絞って半分くらいのページにまとめた方が良かったのではないか、と感じた。

  • 流之助

    冷戦期の文化交流について。祖国への愛とその政治体制との軋轢の中で生きる道をそれぞれ見出していく音楽家たち。特に、カラヤンとバーンスタインという巨人の誕生と死についての章にひかれた。日本との影響も。

  • ボル

    クラシック音楽を知ることは、ヨーロッパの歴史を知ることになると改めて認識。私はチャイコフスキーの音楽が好きなので必然的にロシア音楽を聞く傾向がある。なのでソビエトの社会主義のベールに包まれたムラヴィンスキーを中心に読んだ。カラヤン・バーンスタイン・ノイマンなど名指揮者の生涯を始め、戦争と言うキーワードに欠かせないショスタコーヴィチのことが掲載されており、興味深く読んだ。失礼な言い方かもしれないが、音楽や音楽の表現には、苦難を乗り越えていこうという意思が名作を生みやすいことを改めて感じた。

  • DEE

    音楽家として活動している時期が冷戦時代と重なっていた、カラヤン、バーンスタイン、ショスタコーヴィッチ、ムラヴィンスキーの四人を活動を追いながら、冷戦とはいかなる時代だったのか語られる。 とにかくソヴィエトという国は面倒くさい国だったんだなということ。 今も変わらないのかもしれないが… コンサートやコンクールにも政治が深く絡み、それを嫌って実力ある音楽家がどんどん亡命。 でも、本当に素晴らしい演奏というものは誰も文句がつけられないというエピソードに芸術の力を見た。

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