21 Nocturnes : Irina Mejoueva(P)(2016 Live)(2CD)
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ジュピター | 東京都 | 不明 | 03/January/2017
私は、この演奏の現場にいた。東京文化会館小ホールは満席、異様な静けさが張り詰めていた。息を凝らし、その緊張感の中でメジューエワの一音一音明確で透き通った深い音が空間に解き放たれていった。これを至福と言わずして何と表現したらよいのだろうか。この幸せは次はいつ味わえるのだろうか。録音しているとは知らず、最高の記録を残してくれたことに感謝している。メジューエワのCDは名演にもかかわらず、録音の状態がいつも曇ったような感じで残念であるが、このCDはとても明瞭で、1925年製ニューヨーク・スタインウェイの懐深い音を堪能できて最高の状態である。願わくば拍手をカットしてほしかった。ショパンの夜想曲全曲は前回リリース盤がレコードアカデミー賞を取った名盤であるが、もしどちらかを購入予定であれば、絶対にこのライヴ盤を購入することをお勧めする。(今回もレコードアカデミー賞を取るべき演奏だと思う)メジューエワが日本に住み、日本を活動の拠点としていることを幸せを感じる。このリサイタルを聴いて、「メジューエワを一生聴き続ける」と誓った。2 people agree with this review
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QBE | 不明 | 不明 | 05/October/2016
6年前にリリースされたセッション録音と比較して、採用した版に異同はあるものの解釈自体に大きな変更はない。もっとも、当然のことながらセッションでは一曲づつ丁寧に録音するのに対し、ライヴでは作品番号単位に連続して弾かれたものを収録する。また、休憩をはさんだ前と後がそれぞれ一連の流れでプログラミングされるため、複数の曲を一つの塊として俯瞰的にとらえる視点がそこに加わる。さらに、居合わせた聴衆の反応や会場の大きさといった演奏会のつど異なる環境にも影響を受ける(9月に催されたミューザ川崎でのコンサートは明らかに空間が広すぎた。)。こうしたことから、全曲を聴き通しての印象は旧盤とずいぶん異なるものになっている。新盤の一貫した流れの良さは見事なものだが、旧盤の目の詰んだ演奏も捨てがたい。こうしたセッションとライヴの違いを先鋭に意識化したのがグールドであった。ライヴコンサートをドロップアウトした彼は、スタジオにこもってテイクを繰り返し、それらをつなぎ合わせて一つの作品に仕立て上げた。あれから半世紀を経て、今やコンピュータ(人工知能)がレンブラントの筆致と見紛うばかりの絵を描く時代を迎えている。10年ほど前には、グールドが弾いたゴルトベルク変奏曲の旧盤をコンピュータで解析し、彼ソックリに自動ピアノで弾かせた録音が出た。当時は賛否が分かれたが、今の技術を使えばもっと上手くやれるはずだ。日進月歩のコンピュータは芸術の分野にまで適用範囲を拡げつつある。そして、コンピュータとの親和性が高いのはライヴよりセッション録音の方だろう。この先、完全性を求めるセッション録音にコンピュータの関与が進む一方で、ライヴの一回性、祝祭性の価値はいや増すに違いない。9 people agree with this review
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