Die Entfuhrung aus dem Serail : McVicar, Ticciati / Age of Enlightenment Orchestra, S.Matthews, Montvidas, etc (2015 Stereo)(Glyndebourne)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 27/October/2016
現在のマクヴィカーにかつての才気走った「読み替え演出家」の面影はもはやない。これも非常にリアルな、いやスーパー・リアルな舞台。歌や台詞のない默役を舞台に出して物語の背景を膨らまそうという彼のやり口はここでも健在で太守まわりの人々、謁見に来たヨーロッパ人たちや黒人の侍従長、複数の妻、子供たちが登場しており、一夫多妻の国だったんだと改めて思い至る。ただし、この18世紀のおとぎ話に徹底したリアリズムを持ち込むことの難しさを随所で感ぜざるをえないのも事実。台詞は要所要所でかなり書き足されており(台詞は台本通りという演出家の発言は嘘)、コンスタンツェはかなり太守に心惹かれているようだが、ベルモンテより太守が好きという読み替えには至らない。そうなると太守の苦悩を克明に描きたいのは分かるが、最後のいかにも啓蒙専制君主の時代らしい寛大さがどうしても嘘っぽい。オスミンをめぐって「文明の衝突」を描きたいのだとしても、そのためにこの人物に欠かせぬ愛嬌が失われ、特に終盤、相互理解不能な「ただの怖い人」になってしまったのは明らかにモーツァルトの意図に反するだろう。 マシューズは、寝室に舞台を移した例の大アリアではメトでのどんぶり勘定気味の演技とは別人のような迫力ある演唱を見せるが、その魅力はイマイチ。モントヴィダスは長身のイケメンで、貴族のお坊ちゃんらしさは良く出ている。この人物の「上から目線」ぶりを少し風刺的に描こうというのも、演出意図だろう。それでもヤーコプスの録音でも歌っていたエリクスメンのブロンデと中年の庭師オジサンになったガンネルのペドリッロ(演出家は歌手を見てからこのキャラを考えたのではないか)の方が魅力的。ケーラーのオスミンは立派な声だが、(ほぼ演出の責任とはいえ)前述の通り、役作りに関しては大いに疑問。ティチアーティのみずみずしい指揮は素晴らしい。第2幕フィナーレの陰影と躍動感など出色だ。0 people agree with this review
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