Der Rosenkavalier : R.Jones, Ticciati / London Philharmonic, Erraught, K.Royal, Woldt, T.Gheorghiu, etc (2014 Stereo)(2DVD)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 04/July/2015
このオペラに対する「脱神話化」の企ては何度か試みられてきたが、ここまで過激なものはかつてなかったのではないか。この作品、副題は確かに「喜劇」なのだが、演出家はこれを全く字義通りに受け取ろうとしている。喜劇という意匠の下にシリアスなテーマを含ませるというのは、同時代の(音楽の付いていない)喜劇『気難しい男』に端的に見られるようにホフマンスタールの得意とするところだが、演出家はこのオペラにおけるシリアスなテーマ、必然的に「心変わり」や「老い」を招く無情な時間の流れにわれわれ人間はどう対処したら良いか、といったテーマに全く関心がないようだ。オックス男爵をめぐる喜劇的な場面が生彩豊かであるのは、なるほど結構なこと。けれども、この舞台では銀のバラの献呈式における恋人たちの一目惚れシーンなども喜劇的に色付けされており、彼らも戯画化、パロディ化されてオックスと同じ水準に引き下げられている。特にオールド・ファンを激怒させそうなのは元帥夫人に対する扱い。演出家自身が言う通り、夫のいぬ間に愛人をベッドに引き入れている彼女は確かに倫理観の欠けた人物ではあろう。そうは言っても、ここまで「下品に」描かれると、さすがにショックを隠せない。たとえば第1幕冒頭、舞台中央奥が浴槽になっていて、彼女はここで(実際にはボディスーツ着用らしいが)全裸を見せる。カーセン演出に全裸の売春婦が出てくるのとは次元が違う。第3幕でオックスに自分とオクタヴィアンの関係を漏らさぬよう脅迫するあたりも、実に嫌らしい人物として描かれるし、ゾフィーにオクタヴィアンを譲る「美しい」幕切れも、複数の愛人のうち一人を見切っただけであることが露骨にほのめかされると、(確かに実際にはそうかもしれないが)すっかり白けてしまう。もちろん黙役だが、両端幕にはジクムント・フロイト博士も姿を見せる。各幕の装置の歪んだパースペクティヴも不条理な、夢のような印象を強調するかのよう。 相変わらず好きになれないケイト・ロイヤルの作り物めいた演唱も、この演出ならまあ仕方ないか。小太りで愛嬌のある・・・つまり普通に考えれば、あまりオクタヴィアンにふさわしくないタラ・エロートもうまく演出コンセプトにはまっている。ティチアーティの若々しく俊敏な指揮は魅力的だが、できれば違った演出で聴きたかった。3 people agree with this review
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