Sleeping Beauty : Jarvi / Bergen Philharmonic, Ehnes(Vn)Demaine(Vc)(2SACD)(Hybrid)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 24/April/2016
きわめて個性の鮮明な演奏。チャイコフスキーのバレエ音楽は大別すれば二種類の音楽でできている。第1に劇的あるいは抒情的な、いわば交響曲のような音楽。これはチャイコフスキー以前のバレエ音楽には無かったものである。第2は踊りそのものに即した様々な舞曲。このコンビの演奏、前者の系統の音楽はほぼダメだ。特に抒情的な音楽は壊滅的。たとえば冒頭の序奏ではカラボスの主題が終わって、ホ長調のリラの精の主題になったとたん、CDをプレーヤーから取り出したくなるし、第2幕の名高い「パノラマ」もどうしてこんなに素っ気なく演奏できるのか、腹が立つほど。ところが後者の方、舞曲形式の音楽になると、とたんに演奏が精彩を放ち始める。第1幕の「ワルツ」だけは例外的に遅めのテンポで、しなやかなテンポ・ルバートが見事だが、概してテンポは速め。実際のバレエの舞台で良くあるように、ナンバーの終わりでリタルダンドして「見得を切る」箇所もあるが、実際の舞台に即した演奏とも言えまい。この速いテンポで踊るのは事実上、不可能だ。スタッカート気味な音楽の駆り立てが随所で効果をあげていて、普通の演奏だと何事もない序奏の次の「行進曲」なども思いがけぬヴィルトゥオーゾ・ピースに変貌している。特に絢爛豪華な第3幕のディヴェルティスマンは圧巻。ベルゲン・フィルは田舎のオケどころか、この録音に限れば非常に華やかな響きで、メジャー・オーケストラも真っ青だ。1 people agree with this review
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 24/February/2013
史上最高のレコーディング・アーティストと評されているのはかのヘルベルト・フォン・カラヤンであるが、そのカラヤンをもはるかに超える膨大なレコーディングを行っている指揮者が存在する。既に75歳になっているが、今なおレコーディングへの意欲をいささかも失っていないその指揮者こそはネーメ・ヤルヴィである。ネーメ・ヤルヴィに対しては、一部の毒舌の音楽評論家から「なんでも屋」であり、膨大なレコーディングは粗製濫造などと言った罵詈雑言が浴びせられているが、それはいささかいい過ぎであると言えるところであり、確かに、他の指揮者を圧倒するような名演は殆ど皆無ではあるが、いずれの録音も水準以上の演奏に仕上がっているのではないかと考えられるところだ。ネーメ・ヤルヴィの最大の功績は、特に北欧の知られざる作曲家の作品を数多く録音して、広く世に知らしめたということであり、このことだけでも、後世に名を残すだけの名指揮者と言っても過言ではあるまい。そのような膨大なレコーディングを行っているネーメ・ヤルヴィであるが、意外にもチャイコフスキーの三大バレエ音楽の録音は本盤がはじめてとのことである。数年前にBISレーベルに水準の高いチャイコフスキーの交響曲全集を録音しているだけに意外な気もするが、それだけにネーメ・ヤルヴィとしても満を持して取り組む録音であると言うことができるだろう。そして、本盤のバレエ音楽「眠れる森の美女」の録音は、そうした我々の期待をいささかも裏切ることがない素晴らしい名演に仕上がっていると言える。三大バレエ音楽の中でも、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」と比較すると全曲録音の点数がかなり少ない「眠れる森の美女」であるだけに、本演奏は極めて貴重な存在とも言える。ヤルヴィのアプローチは、例によって聴かせどころのツボを心得たわかりやすさを信条とするもの。交響曲ではなく、バレエ音楽だけに、このようなアプローチは理想的であり、チャイコフスキーならではの親しみやすい旋律に満たされた同曲の魅力を、我々聴き手は安定した気持ちで満喫することができるのが素晴らしい。各場面の描き分けも秀逸であり、これまで数多くのレコーディングを手掛けてきたネーメ・ヤルヴィならではの演出巧者ぶりが十二分に発揮されていると言える。そして、本盤の最大のアドバンテージは、マルチチャンネル付きのSACD盤であるということ。チャイコフスキーの三大バレエ音楽のマルチチャンネル付きのSACD盤の登場は、私が知る限りにおいては本盤がはじめてではないかとも思われるところであり、その意味でも臨場感溢れる鮮明な高音質で同曲を味わうことができるというのは、実に素晴らしいことであると思われるところだ。いずれにしても、本演奏は、演奏内容、そして音質面の両面において、極めて水準の高い素晴らしい名盤であると高く評価したいと考える。ネーメ・ヤルヴィは、本盤を皮切りとして、今後、「白鳥の湖」と「くるみ割り人形」を録音するとのことであるが、実に楽しみである。10 people agree with this review
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