砂の器 上巻
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ねも | 兵庫県 | 不明 | 03/March/2021
本書をもとに1974年に制作された同名の映画の評価が極めて高いため、本書を著者の代表作のような扱いをする場合もあるが、それには賛成できない。また、21世紀の視点で読みなおすと古びたところも多く、それが味になっているわけでもない。 鎌田操車場で男性遺体が見つかる。目撃証言から、ズーズー弁と「カメダ」という言葉が浮かび上がる。刑事の今西たちは東北に捜査に出かけるが、そこで若手文化人集団「ヌーボー・グループ」を見かける。その中の評論家・関川の私生活に問題が起きており… ミステリー小説としての面白味は、東北弁の問題と斬新的な殺人方法があげられる。巧みなミスリードもあるものの、刊行時はともかく、今時のミステリー慣れした人なら、どうだろうか。もう一つは、戸籍の問題で、戦争が影を落としている。この辺りのところは、著者らしいとも言えよう。とにかく、刑事たちの地を這うような地道な捜査が素晴らしく、これも清張作品の魅力と言える。 映画を先に見た人は、あのクライマックスを期待したら裏切られるので要注意。 『点と線』『ゼロの焦点』といった作品に比べると、イマイチだが、長さを含め読みごたえがあることは事実だ。0 people agree with this review
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