Akira Kosemuraインタビュー
Monday, June 22nd 2009
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現在、世界中の音楽愛好家達が最も注目している音楽レーベル“schole records”の代表であり、レーベル最新作・Motohiro Nakashima『We Hum On The Way Home』のリリースに加え、schole Free Magazineのパワーアップ版『Clarity & Leaf Disc 01』のリリース、そしてNo.9のRemix盤への参加、シンガポールのエレクトロニカ・レーベル“MU-NEST”企画のRemix盤に参加と、とにかく大忙しのAkira Kosemura氏に2度目のインタビューを敢行。上記の最近のお仕事事情に加えて、気になる今後のお話など、とにかく音楽ファン必見の大変貴重なインタビューに仕上がっております!
(text by HMV銀座インズ/古屋 雄裕)
だれかの一日の始まりに寄り添えるような音楽を提案できたらいいなと思っていました
- --- まずは先日リリースされました『clarity & leaf disc』に関してお伺いします。今作は、これまでのフリーペーパー『schole magazine』がリニューアルし、よりパワーアップしてのリリースとなりました。これはフリーペーパーとしてリリースされ始めた当初から予定されていたのでしょうか?
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いいえ、まったく予期してなかったことです。丸2年間フリーマガジンをやってきて、その中で様々なことを経験し、学ぶことができました。そこで昨年秋頃からスタッフと話し合いを重ねる中で、今の状態に満足するのではなく、もっと自分たちが面白いと思えるもの、発信すべきだと思えること、それから細部にまでこだわっていけることを目標にリニューアルの準備を進めてきました。
- --- 今後の『clarity & Leaf disc』のリリース予定としましては、やはり定期的にと考えられているのでしょうか?もし具体的な間隔や時期など決まっていましたら教えて下さい。
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個人的には、定期的である必要は無いのかなと思っているのが本音です。 それよりも、必要な時期に必要だと思えるものが発信していけたらいいなと思っています。 そういったところから考えて、年間二冊くらいがいいのではないかな。
- --- 今作は『Leaf disc 01 - Every Morning, Good Morning -』と言う「朝」をテーマにしたコンピレーションCDが付属しています。これまでの『schole magazine』のイメージとして、付属CDとなると特に何かをテーマとして挙げた収録内容では無く、シンプルに未発表音源やインディーズ・アーティストなどの作品が収録されていたかと思います。小瀬村さんにとって、今回この「朝」というテーマを設定されるにあたっての、こだわりや意図している事などはありましたか?
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編集的な意図でいえば、BOOK部分で掲げているテーマと連動した内容のテーマというのが初めからありました。 これはフリーマガジンの時には考えられなかったことなので、とても重要だったポイントです。 今回は創刊にあたって、「心地いいこと」というテーマを取り上げていたので、そこから連想できるテーマを探しました。 今回「朝」をテーマに選んだのは、どちらかというとプライベートな所からきています。 僕にとっての音楽はとても身近なところにあって、それは様々な所でいえることですが、その中でもまず、一日の始まりの切り替えのような役割を果たしているというか。 高校の頃からずっと、通学時に音楽を聴くことが習慣になっていて、その日の天気や気候、気分に合わせていろいろな音楽を聴きながら過ごしてきました。 そこでは音楽との様々な出会いがあったし、電車のなかで聴いてきた音楽との思い出もたくさんあります。 だから今回創刊するにあたって、だれかの一日の始まりに寄り添えるような音楽を提案できたらいいなと思っていました。 本当に素晴らしいアーティストの皆様にご協力いただけて感謝しています。
- --- それでは、今後考えているテーマや面白いと思われるテーマなどありましたら教えて頂けますか?
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どうだろう、まだあまり考えていません。 ただ、『Leaf disc 01』では、「Every Moring, Good Morning」ということで選曲させて頂いた楽曲のほとんどがギターをメインに据えた楽曲だったので、次回もそういった音楽的な部分でも何か面白い共通点が見つけられたらいいなと思っています。
- --- 続いてお伺い致します。schole recordsは2007年の5月にコンピレーションCD『schole compilation Vol.1』(現在は廃盤)がリリースされてから、最新作のMotohiro Nakashimaさんの作品でちょうど10タイトルのリリースになりました。この10タイトルを振り返ってみて、いかがでしょうか?ようやくという感じでしょうか?それとも、まだまだこれからという感じでしょうか?
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ここにきて、ようやくレーベルを始めた頃に持っていたビジョンはある程度、消化できたかなと思います。 今はどちらかというと、scholeがどのようなアーティストと出会って、どのような作品を発信していくのか、それによってこのレーベルがどのような方向性を持っていくのかが楽しみです。
- --- 先日、マレーシアのアーティスト・flicaの1stアルバムがschole recordsから再発売となりました。schole近辺で言いますと、シンガポールのristにaspidistrafly、中国のME:MOなど、やはりアジア圏内のエレクトロニカ・アーティスト達との関わりを強く感じます。アジアという限定的な地域でのエレクトロニカとしては、何か強く意識してこだわりをお持ちな部分と言うのはありますか?
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最近起っていることとして、アジア周辺の、うちを含めた若いアーティストやレーベルが、たまたま同じような感覚で同じような発想を持っている、ということがあります。 これはとても面白い出来事で、まったく接点の無かったアーティストがそれぞれ持っていたビジョンをお互いの中に感じ取って交流していく。 それがアジア周辺まで広がっているというのは、今の時代だからこそ、ありえたのだと思っています。 また、これはricks(aspdistrafly)とも話していたことですが、日本人は殊更、ヨーロッパの文化に憧れのようなものを抱いているような印象を受ける文化活動が多いですが、アジア圏内には逆にヨーロッパの文化には無い、固有の発想や印象を持った作品を生み出せるアーティストがたくさんいます。 なので、これからは輸入されてきた文化をリミックスするのではなくて、アジア特有の発想を逆に輸出するという意識や環境作りが大切なのではないかなと思っています。 そういった意味でも、いまアジア圏内のレーベルやアーティストが共通の認識で接触できているというのは、素晴らしいことだと思います。
- --- 先日リリースされましたno.9『Usual Revolution And Nine Remix』、コンピレーション『In This Nest, We Found Our Winged Tales』と、Remix作品の発表が続いていましたが、Remixという作業において、大切にしている部分や心がけている事というのはありますか?
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基本的には、原曲の持っている素晴らしい部分をどうしたらもっと活かせるだろうかということを念頭に置いています。 そのために自分の持っているモチーフを持ち出すこともあります。 僕にとってRemixとは、その曲が持っている原石のような部分を見つけて、それを自分なりに磨いていくような、そんな作業です。
- --- さて次にschole recordsからの最新作、Motohiro Nakashimaさんの『We Hum On The Way Home』についてお伺いします。そもそも中島さんに声をかけられたのは、どういったきっかけだったのでしょうか?
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もともと僕が中島さんの作品にとても惹かれていたので、声を掛けさせてもらいました。
- --- 今作『We Hum On The Way Home』は、前作『I Dreamt Constellation Sang』やnovember recordsの作品などと比べると、電子的な部分がほとんど排除されており、とても暖かくて、本当に美しい作品に仕上がっております。小瀬村さんの率直な意見として、出来上がりを聴いた時の感想をお聞かせ頂けますか?
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驚きました。 僕が想像していた部分を、とても良い意味で思いっきり裏切ってくださって、率直に驚いたのと、改めて感動しました。
- --- 最後に、今後のschole recordsのリリースや活動予定などありましたら教えて頂けますか? 加えてご自身のご予定などもお聞かせ下さい!
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今年の秋頃に、teruyuki nobuchikaさんのファーストアルバムをリリースします。 それから年末頃に、以前ファーストアルバムをリリースしたDom Mino'のセカンドアルバムをリリース予定です。 個人的には、秋頃に豪州のsomeone goodからミニアルバムを、年明けにscholeからフルアルバムをリリース予定です。
- --- お忙しい中ありがとうございました!今後の活動、本当に期待しております!
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- 新譜 『Clarity & Leaf disc 01』
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発行される度に店頭から姿を消した、“schole”から発行されている大人気フリーペーパーが『clarity』としてパワーアップ。第一弾は「心地いいこと」。scholeではお馴染みDom Minoや、クラムボン原田郁子さんの妹であり、写真や書籍で活躍している原田奈々さんなど、各界の心地よさの達人(?)達がいろいろなお話を聞かせてくれます。また、フリーペーパー時代にも付いていたCDも『Leaf disc』としてパワーアップ。paniyoloやmiyauchi yuriなど、あなたの「心地よい時間」を演出します。
(HMVイオン土浦/三好 浩平)
- 1st Akira Kosemura『It's On Everything』
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オーストラリアのアーヴァン・ポップレーベルSOMEONE GOODからリリースされた1stアルバム。
記憶や思い出、感情といった心の中を、様々なアコースティック楽器、繊細なクリックビート、日常生活からサンプリングされた音源を用い、感覚的・衝動的に描き出した作品。
楽曲からイメージされる情景は心の奥深くに眠った記憶とリンクし、僕らが忘れかけてしまっていた、日常に潜むささやかな幸せや、あの頃の美しく穏やかな感情を呼び起こしてくれます。
(HMV/緑川 信宏)
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- Tiny Musical
Akira Kosemura - 2008年9月15日発売
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- It's On Everything
Akira Kosemura - 2007年7月25日発売
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- Afterglow
Akira Kosemura/Haruka Nakamura - 2007年9月14日発売
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- Clarity & Leaf disc 01
- 2009年4月26日発売
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- Usual Revolution And Nine Remix
No.9 - 2009年4月16日発売
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- In This Nest, We Found Our Winged Tales
- 2009年4月15日発売
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- Add To Friends
- 2007年07月25日発売
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- Songs Of Seven Colors
- 2008年11月10日発売
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- Variations Of Silence
- 2009年02月12日発売
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小瀬村晶 Akira Kosemura
[producer / composer / schole records A&R]
1985年生まれ、東京都在住。国内外の音楽レーベルから作品を発表する傍ら、CM音楽の制作、映画やダンス公演への楽曲提供、アーティストのプロデュース、WEBサイトのサウンドデザインなど、様々な分野にて活動を展開。 schole recordsを主宰し、多くのアーティストを輩出、複合メディア「Clarity x Leaf disc」制作ディレクターを努める。2008年、最新作「Tiny Musical」を発表。また、ヨコヤマアヤノ(舞踊)、千葉祐吾(映像)と共にライブパフォーマンスを展開。
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