「TAO」 第2回 :ゲスト→都築響一 7　

Thursday, March 26th 2009

---　　そうなんですか？（笑）。


都築：そうそう。何か要するにさ、ずーっとワンパターンな音楽が鳴ってたわけよ。だけど、それを録音したんだけどさ、もうテープ、だよんだよんになっちゃってるし、それだけだと「間が持たないだろう」っていうんで、「何か入れたいな」って思って、で、何10本かエロビデ（オ）を借りてきて（笑）、それの喘ぎシーンだけをこういうの（テレコ）で録音してさ、テレビのとこで。それでそれをコンピューターでぐちゃぐちゃに重ねたのがあれなの。


---　　初めから、あの喘ぎ声が館内に流れてるのかと思ってました（笑）。


都築：違うの、超手作り、家の手作り（笑）。アシスタントとかすっごい嫌がってたんだけどさ（笑）。でもさ、サウンドデザイナーとか雇う余裕はないしさ、自分で全部作んなきゃいけないし･･･楽器が出来るわけでもないからさ。しょうがないから、「自分で出来ることをやらないとな」っていうんで、「やむを得ずやってみました」って感じ。


---　　すっごい、お金がかかってるんですね、これに関しては特に（笑）。


都築：かかってるよー、もーう（笑）。気が遠くなる感じー。ちっちゃいマンションぐらい買えたんじゃないかって感じだよ、もう。


---　　そんなに（笑）。


都築：でもまあ、しょうがないよね、出会いってもんだからさ。でもこれね、"英語版"もあるんだよ。


---　　そうなんですか？


都築：うん。これ今、"日本語版"でしょ？"英語版"っていうのも作ってありますから。キャプションとかも全部ね、英語なの。最初、そっちを作ったの。外国で展覧会をやったのね、これの。それのためにDVDのコンテンツにしたので、まるごとこれの"英語版"っていうのもあるの。


---　　"英語版"になると、また少し雰囲気が変わりそうですね。


都築：まあね、どうなんだろうね。でもね、意外と一緒だった（笑）。


---　　そうですか（笑）。


都築：うん（笑）。キャプションが変わるくらいだからさ。でも何かさ、字幕よりいいかなって思ってさ。


---　　「タコシェ」以外では、どこで買えるんですか？


都築：買えない（笑）。


---　　買えない（笑）。


都築：そうそうそうそう（笑）。「どこも扱ってもらえない」っていう感じ。ISBNとかも付けてないから、流通もしてないんだけどさ。


---　　でも、映像もすごくきれいですよね。


都築：きれいだよね、そう。だってね･･･「とにかく世界遺産のように撮って」みたいな感じだったから、すごい大変だったの、レール引いたりしてさ。おもしろかったけどね。


---　　ポップに撮られてますしね。


都築：そうだよね。何かさ、普通に手持ちのカメラでちょろっと撮るのは嫌だなって思ったの。たくさん売れるようになれば何もさ、自分のパソコンで焼かなくても、どっかに出せるかもしんないし。だってさ、これすっごい時間かかんだもん（笑）、1枚作るのに。Macとかにさ、トーストみたいなソフト、DVDのコピーソフトがあるじゃない？それで今、1枚ずつ作ってんだよ。


---　　それじゃあ･･･結構時間かかりますね（笑）。


都築：時間かかるよー（笑）、すんごい。ずーっとそこに付いてなきゃなんないし。


---　　途中で何か変な風に･･･止まっちゃったりしたら大変ですもんね（笑）。


都築：そうでしょ？（笑）。そうなっちゃったらおしまいじゃない？で、出来たらさ、1度再生して観てみたりさ。


---　　ちゃんと焼けてるかどうか･･･。


都築：そうだよ。それからこう･･･プリンターでこのラベルにプリントして･･･みたいなさ。もう、悲劇（笑）。


---　　悲劇（笑）。


都築：本当だよー。1日かけて20枚くらい作ってるよ（笑）。


---　　これを読んで、気になって下さった方は、「タコシェ」に売ってますのでぜひ、中野ブロードウェイへ！（笑）。


都築：売ってますんでー（笑）。


---　　お時間はまだ大丈夫ですか？わたしは全く構わないんですが･･･。


都築：大丈夫よ。


---　　では、ワンダーJAPANさんとのお話しをお聞きしたいと思ってるんですが･･･。


都築：ワンダーJAPANの話しって何？


---　　「ワンダーWORLD 世界遺産をぶっ飛ばせ！ 2008 SUMMER」のタイの地獄庭園のお話しなんですけど･･･。（P42より）


都築：ああああ、はいはいはいはい。


---　　HMV SHIBUYA ＆ ON LINE 10th Anniversary 「ワンダーワールド・オブ・ワールド」のイベントの当日に、「ワンダーWORLD 世界遺産をぶっ飛ばせ！ 2008 SUMMER」の誌面にスチールで載っていたあの地獄庭園を映像で流して下さいましたよね？


都築：ああ、はいはいはいはい。


---　　そのワンダーJAPANさんと関係されるきっかけっていうのは、何だったんですか？


都築：いや、ワンダーJAPANの方から前、別のことで依頼があって、知り合いになったんだよね。で、「次、"世界編"っていうのをやるんで、何かありませんか？」って来て、それで、「今こういうのやってんだよね」っていうので、あの･･･元々別の雑誌に連載していたものなの、あれは。で、それを「そのうち本にしたいな」って思っていたところだったので、それをちょっと出したって感じ。


---　　別の雑誌っていうのは、「週刊大衆増刊パパラッチ」ですよね？


都築：うん、そうそう、「（週刊大衆増刊）パパラッチ」。シール貼ってあるようなエロ雑誌なの。で、僕のページ以外全部エロっていう（笑）。おもしろかったよ、もうないんだけどさ。そこで取材費をもらって、取材してたの。2年くらいやってたよ。行くの大変だからさ、あそこ。全部いなかだしね。


---　　わたしもここ、「行ってみたいなあ」って思いました。まだ、タイにも行ったことないんですよね。


都築：本当？行ってみてー。絶対おもしろいよー、本当に。


---　　すっごい撮っちゃいそうです、写真（笑）。


都築：撮るよ、絶対（笑）。すんごいおもしろいよ、今タイは。安いしさ、超行き時だよ。みんなさ、政情不安とか持ってんじゃない？だからさ、人気なくなってるしさ、そんでバーツも安いしさ。もう今、めちゃくちゃ行き時だよ、空いてるし。


---　　空いてますか？


都築：空いてる、ホテルなんかもすごい安いし。本当だよー。いやあもう、絶対行き時だよ、今。ぜひ行ってみて？教えるから、行き方とか全部。


---　　ありがとうございます。行く時にはぜひ、お願いします（笑）。あれを映像で撮られたっていうのはやっぱり、あの庭園のオブジェがお金を入れると動いたりするから、その動いてる映像を撮りたいっていうことだったんですか？


都築：いや･･･あれはだから、テレビでやりたかったんだよ。ちゃんとしたクルーにちゃんと撮ってもらいたくて、何か･･･「ハイビジョンの番組とかで出来ないかな？」って思って、その説得のために自分の安っちいビデオで一応撮ってみただけなんだよね。だけど、全く説得が上手く行かず、ちょっとだけ何かやるんだけど、CSか何かので。だけど、まともな番組を作ってくれるところがなかなかなく･･･。


---　　ないですか？


都築：そう･･･それこそプレゼンのために撮ったものなの。自分でびーとかって撮ってるだけだからさ、クオリティー最悪なんですけど･･･それで自分のMacで編集したりしてたらさ、どんどん画質は落ちていき･･･（笑）。最低なんですけど、でもあんなの他にないしさ。やむないっていうね。


---　　あの･･･以前、何枚組だったかな？DVD-BOXを･･･。


都築：ああ、そう･･･24枚組のDVD･･･っていうのを今作ろうとしたまま、全く時間がなく、「もうどうしましょう」っていう感じ（笑）。


---　　24枚組だったんですね･･･。


都築：うん、やりたい気は十分だし、素材もあるんですけど･･･でもさ、いろんなとこで、わーわーわーわー言ってるとさ、だいたいどっかのDVDメーカーが来てくれるわけよ。「うちとやりませんか？」って。何社も来てくれて、でも全員が「いやあー、やっぱり24枚組は出来たらいいんですけど、大変なんでとりあえず、ベスト盤3枚組どうですか？」みたいな感じになってさ。「わかってないじゃん！それは」みたいな。「多いから説得力もある」って思ってもいるからさ、何回もそういう話しをもらって、何回も決裂したんだよなあ。だからもう、あきらめててさ。「自分でやるしかないな」って。だけど、来年は出来るよ。


---　　そうだったんですね。でも、早く観たいなあ。そのDVDの噂を知ってた方って、わたしのように思ってると思うんですよね。


都築：本当だよねえ。だって、素材はうちしかないんだからさ、絶対な強みがあるわけじゃない。だからこう･･･何とかやりたいんですけど。なんせ、僕も一緒に撮ったディレクターも日々の仕事が忙しく、2人ともアシスタントもいず･･･っていうことで。


---　　めずらしいのかなあ･･･アシスタントってだいだいいらっしゃいますかね？都築さんと同じくらいのキャリアがあると･･･。


都築：いるねー、何人かいるねー。で、僕が写真もやってるじゃない？カメラマンでアシスタントいないなんて、あんまりいないよねえ（笑）。ゼロだもん。週に1回、経理とかやってくれる子が来るだけだもんなあ。


---　　肩書きだと･･･都築さんの肩書きは、"ライター"とか"編集者"とか"写真家"ってありますけど･･･。


都築："編集者"。


---　　"編集者"が･･･。


都築：うん、本業なの。"ライター"も"写真家"もやむを得ずやってるだけなの。本当は、チームを作ってやりたい。そしたら自分はインタビューとかさ、いろんな次のことに専念出来るじゃない？ちゃんと書いてくれる人がいて、ちゃんと撮ってくれる人がいたら、全部おまかせしたいの。写真に自信とかまだないし、そんな。


---　　自信ないですか？


都築：うん、だから、写真もやむを得ず撮ってるだけなんだよ。だけど、僕のやる仕事なんてそんなに売れないしさ、 何人も使って出来るような予算は絶対ないわけよ。それって不可能なんだよね。だけど、1人で全部やるんなら、まあ出来るっていうこともあるわけ。だって、チームを作ってやればはかどるしさ、次のこともいろいろ出来るしさ、スピードもアップするじゃん？だから本当はそうしたいんだけどさ、経済的に出来ないだけ。だけどね、1人で全部やればさ、自分が撮りたいような写真が撮れるっていうこともある。でも、お給料安くて言うこと聞いてくれて、クオリティーのいいカメラマンとライターがいれば、「すぐに使いたい」って感じなんだよ。

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