「TAO」 第2回 :ゲスト→都築響一 6　

Thursday, March 19th 2009

---　　今中野に住んでるんですけど･･･。


都築：ああ、そうなの！


---　　ええ。それでこの間･･･ブロードウェイの「タコシェ」で･･･こちら（"精子宮 失われた秘宝の館"）を購入しました。


都築：あらー、ありがとうございますー、すいませーん（笑）。


---　　イベントの時に数枚、都築さんが直接お持ちになって、販売されてましたもんね？（笑）。


都築：そうなんだよ。これはもうとにかく、自分のパソコンで焼いて、自分のプリンターで刷って、パッケージのサイズに合わせて切ったりしてるからさ、なかなか枚数多く出来ないわけよ（笑）。


---　　すっごい手作りなんですもんね（笑）。


都築：そうですよー、手作りですよ、もーう。


---　　ちょうどあの･･･中野の南口から線路沿いに歩いて行くと、TSUTAYAがありますよね？


都築：ああ、あるね。


---　　あのTSUTAYAをもっとずーっと奥に入って行ったところに今、住んでるんです。


都築：本当。TSUTAYAがあって、佐世保バーガーがあってさ･･･。


---　　そうです、そうです。


都築：あの角を入って行くと、コンビニがあってさ、あの側にさ、古い銭湯があるの知らない？


---　　銭湯、あったかなあ？


都築：あるんだよ。僕ね、その辺に2年ぐらい住んでたんだよ。


---　　本当ですか？偶然ですね。


都築：3、4年前、そう。何かね、三叉路になっててさ、角にね、5人ぐらいしか入れない焼き鳥屋があってね･･･。


---　　焼き鳥屋さん？（このお話しの後、実際に行ってみたんですが･･･ありました。その名も"やき鳥専科 一の酉" 機会がありましたらぜひ、行って見て下さいねん）


都築：そうそう。あそこ、すごいおかしいよ。本当、定員5人みたいな感じでちょうど角に、3角の店になっててね。 何かね、角に小窓が付いててね、そこはこう･･･お持ち帰り用なんだよ、受け渡し口になってて。


---　　もう、長いお店なんですか？


都築：うん、すんごい長い。そうそう、たのしいよ。いいよね、中野。


---　　そこに住む前から、縁があったんですか？中野には。


都築：全然。何かこう･･･"セカンドルームプロジェクト"･･･プロジェクトっていうか趣味の世界なんだけど、「セカンドルームを借りる」っていうのをやっててさ、仕事場兼住居とそれの他にね･･･ワンルームとか1DKくらいのを借りて、荷物なんか別にそんなに必要ないから、そこをセカンドルームにして、入ったらその後は絶対更新しないでさ、2年くらいずついろんなとこを移ってったらおもしろいかなって思って･･･。


---　　おもしろいですね。


都築：「中央線から始めてみよう」って思い、阿佐ヶ谷に借り、高円寺に借り、中野北口に借り、中野南口に借り･･･って、8年くらいやってたの。


---　　へえええー。


都築：そうよ、こないだまでね。で、「次にどこ行こうかな？」って時に、バンコクにアパート借りることにしちゃったので･･･。


---　　バンコクに！


都築：そうなのよ。で、今それは中断してるんですけど、借りてく途中に中野に出会ったんだけど、でも、すごい好きだよ、あの辺。


---　　「タコシェ」とのお付き合いは、それよりもずっと前からなんですよね？


都築：うん、そうそう。あそこはね、もうずいぶん前から、僕の本も売っててくれてたんで、全然仲良しなんですけど。


---　　「出来たから置いて下さい」って、このDVDを？


都築：そうだよ、自分でセールスに。でも、あそこと個人的につながりがあったわけじゃないから、直接行ってさ、「こういうの作ったんですけど、置いてくれる？」っていう話しをしてね。でもね、そういう風に自分でセールスに行くこと、今でも結構あるよ？


---　　今でも？


都築：あるよ。だって、"自費出版"のもしてるしさ、ヘンリー・ダーガーの本とか。


---　　あれもそうですか？


都築：そうだよ。だって、あの本出したくて、友達と2人で会社作っちゃったんだもん。それで在庫は、自分で発送とかしてるよ？


---　　そうなんですね（笑）。


都築：そこに積んでるのあるでしょ？（とおっしゃって、本のある山を指指す都築さん･･･）


---　　本当ですね･･･。


都築：それがそう･･･在庫だもん。だから、メール便作ったりとかさ、本屋には自分で持ってってるよ。でもね、そういうことするとたのしいじゃん、現場の人と話せるしさ。やっぱ、本屋にはさ、営業の人しか行かないわけだからさ、著者が直接持ってったりしたらさ、よくしてくれるしさ。だって、本屋の店員さんが一番くわしいしさ、本のことはさ。


---　　そうですよね。


都築：でしょ？評論家とかと話してもつまんないんだけどさ、本屋の店員さんとかと話してる方が全然、たのしいもんね。


---　　その現場でどんな動きがあるかがわかりますもんね。


都築：そうなんだよ、だから、一番くわしいよ。


---　　イベントの時に、「タコシェ」に行って、都築さんが直接納品されてるっておっしゃってたので、実際に行ってみたら、「本当にあった！」って思って（笑）。


都築：本当だよー、だって、持ってってるよー、いつも（笑）。


---　　きのう改めて、こちら（"精子宮 失われた秘宝の館"）を見返したんですけど･･･やっぱり、おもしろかったです（笑）。


都築：本当？ありがとーう（笑）。


---　　あの当時に、ああいう発想があったのがまず、すごいですよね。


都築：そうだよねえ。


---　　ええ。あんなこと普通、考えつかないですよね？（笑）


都築：すっごいよね（笑）。で、しかも、1999年だしね、設定が（笑）。もう終わってるしさ。


---　　2001年の横浜トリエンナーレで、あの"SF未来館"のマネキンとかを展示してたんですよね？


都築：そうそう、やった。そんなに広い場所もらえなかったからさ、"SF未来館"のダイジェスト版みたいなのを作ったわけ、中をこう、巡れる･･･みたいなね。でもさ、超もめたんだよね。


---　　もめたんですか？（笑）。


都築：そう（笑）。あれはさ、キュレーターがアーティスト選んで、それぞれの場所を提供するんだけど、あるキュレーターが僕を選んでね、普通に写真とかを展示するっていう風に思ってたんだと思うんだけどさ、ちょうどその時期ね、あのマネキンとかが家に届いたので、「これをどうしてもやりたいな」って思ってそれを言ったらさ、「絶対やらないで下さい」って言うわけ。で、「何で？」って言ったら、「皇族も来るし･･･」と（笑）。


---　　皇族も･･･（笑）。


都築：うん。それに「子供も来る」と。で、「そんなの関係ないでしょ？」って話しになって、もめにもめてたらさ、そのうち時間切れになって、「じゃあ、しょうがない」って、一番端っこのブースを与えられ（笑）、「絶っ対、外から見えないようにして下さい」って言われてさ、「厚いカーテンで入り口を覆ってくれ」と。で、「いいよ、わかったよ」って。で、そのカーテンの入り口にさ、"18歳未満禁！"って書いてね。そしたらさ、すっごい人が並び･･･（笑）。


---　　へえええー（笑）。


都築：そうそうそうそう（笑）。あの会場でね、唯一、2時間待ちの"客の並ぶブース"っていうのになってしまい･･･でも僕としては、結果的にはまあ、すごいよかったんだけどさ。


---　　鳥羽国際秘宝館の全体を全部、都築さんが買い取られたんですか？


都築：ええとね、"未来もの"だけなの。建物自体は3F立てで、1Fが入り口なんだけど、2Fが"未来"、3Fが"江戸"っていう構成だったわけ。それで、"未来もの"だけ、あまりにももったいないんで、買い取らせてもらったのね。だから、"江戸もの"はもう、壊されちゃったんじゃないかなあ。


---　　"SF未来もの"だけがこのDVDの映像にも入ってて･･･。


都築：そうなの、そうなの。だからもう、鳥羽国際秘宝館はなくなっちゃったから、「これで観てもらうしかない」っていう感じだよねえ。


---　　都築さんがこの映像を記録されて、残されているから、わたしが今こうやって、観れてるわけですもんね（笑）。


都築：本当だよ。しかもそのさあ･･･「じゃあこのマネキン、どこに置くんだよ」って感じになってしょうがないから、いまだに埼玉県に倉庫を借りてるしさ（笑）。


---　　マネキンのために･･･（笑）。


都築：そうだよ（笑）。「なあんでそんなことのために、家賃を稼がなきゃいけないんだ」っていうね。でかい倉庫を借りてるよ。


---　　結構大きい･･･。


都築：大きいよお、そう。マネキンだけで何10体ってあるからさ。


---　　その倉庫、取材させて下さい（笑）。


都築：取材っていうかさ、どっかに買い取って欲しいよ、本当に（笑）。


---　　誰か、買い取ってくれる方いないですかね？


都築：そうだよねえ。"三重県郷土史博物館"とかさ、そういうところで「買い取れ！」って感じなんですけど、いまだにどこからも声はかからず、毎月毎月家賃を払ってるだけっていうね。


---　　あの映像は、エロビデオ屋さんを都築さんがお金を払って雇われてるんですよね？


都築：そう。何か、エロビデ（オ）作ってるスタッフ達が何か、友達の友達にいたので、その人達を雇って来てもらったんだよ、3日間くらい。


---　　都築さんが"SF未来館"を買い取られたっていうその権利があるから、そこを自由に撮影が出来て･･･。


都築：そう。その時確かね、閉館したのかしてないのかっていう時くらいだったんだけど開けてもらって、延々、丸2日半くらい録ってたんじゃないかな。


---　　ナレーションが入って、で、喘ぎ声がすっごい入ってるじゃないですか？（笑）。あれって･･･。


都築：ああ、喘ぎ声ね。あれ、僕が作ったの（笑）。

主な出版アイテムは↓

  左から：『I Love 秘宝館』、『デザイン豚よ木に登れ』、『現代美術場外乱闘』、『秘宝館 House Of Erotica アスペクトlightboxシリーズ』、 『Boro』、『Happy Victims: 着倒れ方丈記』、『イメクラ』、『刑務所良品』、『ラブホテル: Satellite Of Love』、『Roadside Japan: 珍日本紀行 東日本編』、『Roadside Japan: 珍日本紀行 西日本編』、『TOKYO STYLE』、『ローカル』、『精子宮: 鳥羽国際秘宝館・SF未来館のすべて』


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